「地酒」のおすすめ商品の比較一覧表
地元酒造のこだわりを感じられる地酒
文字通り「地の酒」。土地の風土や文化の一部であり、地元でつくられ愛されているお酒、大量生産型ではないその土地・蔵ならではの技や味わいをもつお酒、といったものではないでしょうか。
地酒を飲んでいると、つくり手を知りたくなったり、つくられている場所を訪ねたくなったりするときがあります。その土地の風土、つくり手のメッセージや酒蔵のストーリーと一緒に醸されるのが、地酒の魅力といえるでしょう
地酒の選び方
国際唎酒師の宇津木聡子さんに、地酒を選ぶときのポイントを教えてもらいました。日本酒のエキスパートである宇津木さんならではの選び方を、商品選びに活かしてみてください。
まずは都道府県に注目!
現在、酒造免許を所持している蔵は、日本全国に1,400あまりあるといわれています。
数や規模の違いはあるものの、日本の47都道府県すべてに日本酒の蔵元があります。焼酎や泡盛のイメージが強い九州や沖縄でも、日本酒はつくられているのです。まずは自分の生まれた都道府県のお酒が、地酒選びの軸のひとつになります。出身地以外でも、旅行した際はその土地のお酒を見つけて、ぜひ味わってみてください。
気になる県の酒蔵をチェックしてみる
酒蔵ごとに固有の歴史やお酒づくりへの思いがあり、お酒の味わいはもちろん、蔵やお酒の名称、ラベルのデザインなどにそれらが反映されています。
気に入ったお酒が見つかったら、その酒蔵の歴史やお酒づくりの考え方、それらを育んできた風土などをぜひ調べてみましょう。いろいろな感動や発見があるとともに、お酒を深く味わう楽しみがさらに増えます。
純米大吟醸や本醸造酒など特定名称から選ぶ
日本酒には精米歩合により名称がそれぞれ異なります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
米の旨味を感じる「純米大吟醸酒」「大吟醸酒」
精米歩合が50%以下で、米と米麹だけで醸造したものが「純米大吟醸酒」、そこに醸造アルコールを添加しているものを「大吟醸酒」と呼びます。一般的に、フルーティで口当たりがよいなどと表現されることが多く、女性や日本酒が苦手な方も飲みやすい傾向にあります。
香りが控えめな「純米吟醸酒」「吟醸酒」
精米歩合が60%以下で、米と米麹だけで醸造したものが「純米吟醸酒」、そこに醸造アルコールを添加しているものを「吟醸酒」と呼びます。一般的に、大吟醸に比べ香りが控えめで、米の旨みが味わえるものが多い種類で、日本酒好きに好まれる傾向にあります。
飲みやすさなら「特別純米酒」「純米酒」
米と米麹だけで醸造された日本酒のことを「純米酒」と呼び、精米歩合の規定はありません。なお、「純米酒」で、かつ精米歩合が60%以下で、特別な醸造方法のものを「特別純米酒」と呼びます。
一般的に、旨みやコクがあるものが多い種類で、冷や(常温)から燗酒に向いている傾向にあります。
スッキリした口当たり「本醸造」「特別本醸造酒」
精米歩合が70%以下で、醸造アルコールを添加しているものを「本醸造酒」と呼びます。純米酒同様、精米歩合が60%以下で特別な醸造方法のものを「特別本醸造酒」と呼びます。
原料に使われている酒米もチェック
お酒の原料に使われるのは「酒米」という米ですが、なかでも日本酒造りを目的として作られたお米を「酒造好適米」と呼びます。100種類以上の品種が生産されていますが、良質な麹を造る「山田錦」や、加工性能にすぐれた「五百万石」などがとくに知られています。
原料米によってお酒の味わいも変わるので、好みの味わいを見つけるのに役立ててみてください。
甘口・辛口は酒度や酸度で選ぶ
「日本酒度」は甘さや辛さを示す数値です。「+」は淡麗で辛めのお酒で、「-」は濃醇で甘味のあるお酒になります。「酸度」は酸味を表す数値で、平均は1.2~1.4で、数値が高いものは濃醇、低いものは淡くやわらかい味わいです。
ただし、日本酒の味わいにはさまざまな要素の組みあわせが影響しますし、味の感じ方にも個人差があります。これらのスペックは、あくまで好みの味わいに近いものを選ぶための目安としてとらえてください。
料理に合わせて選ぶ
日本酒は、おもに食事とともに楽しむお酒です。その土地でよく食べられる郷土料理やお酒は、風土の一部として地域に寄り添いながら育まれています。料理にあわせてその食材やメニューと近しい関係にあるお酒を選び、食とお酒のハーモニーを楽しんでみましょう。
新しいスタイルや味わいに挑戦しているお酒を選ぶ
新しいスタイルの日本酒には、スパークリング日本酒、白麹や黒麹を使ったお酒などがあげられます。一方で、伝統に立ち返ることで新たな味わいを醸(かも)しだすお酒もあります。
地酒といってもその特徴や味わいの幅は大きく広がり、日本酒全体のトレンドをつくり出しています。そんな新しいスタイルの地酒も、ぜひ探して味わってみましょう。
地酒のおすすめ16選 日本全国のおいしい地酒を紹介
うえで紹介した地酒の選び方のポイントをふまえて、国際唎酒師の宇津木聡子さんに選んでもらったおすすめ商品16選をご紹介します。商品ごとに丁寧に解説いただきましたので、チェックして商品を選んでみてくださいね。

須藤本家『郷乃譽(さとのほまれ)純米大吟醸』






出典:楽天市場
日本最古の酒蔵が醸す、伝統と革新が融合した1本
茨城県笠間市にある須藤本家は、平安時代の1141年創業、850年を超える歴史を持つ日本最古の酒蔵。「酒・米・土・水・木」を代々の家訓として醸されるお酒の数々は、国内のみならず海外でも高く評価されています。全国ではじめて生酒を販売したのも、須藤本家です。
自然のままであることや品質へのこだわりゆえ、すべてのお酒が無濾過(ろか)の純米大吟醸。収穫5カ月以内、半径5キロ圏内の地元産コシヒカリのみを使用するなど、歴史と伝統を守りながらも、その酒づくりには革新性のあるストーリーがあふれています。
『郷乃譽』は須藤本家の定番のお酒。やさしい甘さとキレがほどよく、軽快でいろいろな料理と楽しめます。地の酒としての誇りが感じられるようなお酒です。「地酒」の神髄(しんずい)を、その歴史やストーリーと一緒に味わってみたい方におすすめです。

大沼酒造店『乾坤一(けんこんいち) 特別純米辛口』

出典:Amazon
地元産の飯米でていねいに醸す「地酒」
大沼酒造店の蔵は宮城県南部の、「みちのく宮城の小京都」と呼ばれ土蔵造りの商家が立ち並ぶ村田町にあります。特徴的なのが、宮城県産の飯米ササニシキを使ったこだわりの酒づくり。
この蔵は、東日本大震災で大きな被害を受けましたが、苦難を乗り越えて蔵の立てなおしに成功しました。被災前と変わらず、ひとつひとつのお酒を小仕込みといわれる少量のタンクで、手間をいとわずていねいにつくっています。
『乾坤一』の特別純米辛口は、蔵の定番といえるお酒。丸みのあるお米のうま味のなかにスッキリとしたキレがあり、食事と一緒でも飽きずに楽しめます。そのほかに、ササニシキの親のササシグレや愛国を使ったお酒などもありますが、共通して感じられるのは、ほっとするような温かみと落ち着きのある味わいです。お米のうま味を感じられるお酒を飲みたい方におすすめ。

渡辺酒造店『根知男山(ねちおとこやま) 純米吟醸』








出典:Amazon
その土地のオリジナリティを追求したお酒
渡辺酒造店の酒蔵は、新潟県の西端、長野と富山の県境にある山に囲まれた小さな谷「根知谷」にあります。
「原料米の生産からお酒づくりまで、酒蔵のある土地で手がけることに日本酒の本質的な価値がある」という考えを持っています。まずは根知谷の米農家と酒米の契約栽培からはじめ、2003年にはすべてのお酒を自社栽培のお米で醸すことを目指して自社田での酒米づくりを開始。お米を育むところからお酒にするまで根知の環境で一貫する姿勢には、真の地酒への追求を感じられます。
『根知男山』を代表する純米吟醸は、低温貯蔵で一年ほど熟成してから出荷され、飲み飽きないほどよい香りとやわらかな根知のお米の味わいが楽しめるお酒。お米から育てる渡辺酒造のこだわりの味や日本酒への思いを堪能したい方におすすめです。

神亀酒造『神亀(しんかめ) 純米清酒』

出典:Amazon
お燗にしておいしい純米酒
創業1848年、埼玉県蓮田市にある神亀酒造。日本酒の質とあるべき姿を求め、すべてのお酒を純米酒に切りかえた、戦後初の酒蔵として知られています。戦後の一時期、コメ不足などの影響で質の悪い醸造アルコールなどを加えたお酒が多く市場に出回ったことが、神亀酒造の決断の背景にありました。
2年以上の熟成を経て私たちに届けられるこのお酒は、ボリューム感のあるうま味と深味があり、熱めのお燗(かん)にするとより味わいが花開きます。いわゆるボディのある味わいですが、口あたりのやわらかさとキレのよさで、くどさを感じさせません。食事とともに今夜はゆっくりお燗を、というときにぜひおすすめしたい1本。

美吉野醸造『花巴 水酛 純米原酒』

出典:Yahoo!ショッピング
古来の製法が生み出す新鮮な味わい
千本桜で有名な奈良吉野山。『花巴』の名は、その山桜が咲き広がる美しい光景を意味します。
この商品は、室町時代に考え出された「水酛」という古来製法に加え、蔵に住みつく酵母を取り込む酵母無添加というつくり方で醸されたお酒です。水酛は、生米と蒸米をつけて自然由来の乳酸菌を増殖させた水を仕込みに使う製法。お米はもちろん地元産で、お酒をつくるすべてに吉野にある恵みと力が活かされています。
ヨーグルトやサワークリームのような独特な酸味と、りんごやプラムのようなフルーティーな甘味とコクのある味わいは、スパイシーなお料理と好相性。また、杜氏(とうじ)の方には「バナナチップとあう」とうかがいました。酸味や甘みを感じられる地酒を楽しみたい方におすすめです。

今田酒造本店『富久長 白麹純米酒 海風土(sea food)』

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日本酒の味わいの幅を広げる白麹を使った日本酒
一般的に日本酒づくりには黄麹を使いますが、近ごろ注目を集める白麹を使ったおすすめの1本。クエン酸を多く含むさわやかな味わいが、白麹で作られたお酒の特徴です。
蔵があるのは、瀬戸内海に臨む広島県東広島市安芸津町。牡蠣やびわ、じゃがいもが特産品として知られています。
「名産の牡蠣にあうお酒を」とつくられたのが、この『海風土』。柑橘系の酸味は牡蠣と相性バツグンです。ほかにも魚のフライやグリル、鶏唐揚げなども相性がよく、料理にレモンを添える感覚でさわやかに楽しめます。新しい味わいのお酒として、ワインが好きな方にもおすすめのお酒です。
『海風土』と書いて「シーフード」と読むネーミングや、飲み進めるうちに両面印刷されたラベルの裏面のデザインがボトルのなかにあらわれるなど、楽しく飲むための工夫が凝らされています。

平和酒造『紀土(キッド) 純米大吟醸 スパークリング』

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地元の風土に根ざし、世界に羽ばたく
和歌山湾を臨む海南市。現在の平和酒造を率いる山本社長は、大学卒業後にベンチャー企業勤務を経て実家に戻りました。蔵の酒づくりや経営など、日本酒業界のさまざまな変革に取りくまれ、そのチャレンジは日本酒ファンからも注目されています。
若いつくり手たちと一丸となって醸す「紀土」シリーズは、「紀州の風土」が名前の由来。紀土の『純米大吟醸 Sparkling』は、国際的なワインコンクール・IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2019のスパークリング酒部門で、金賞およびその上位のトロフィーを受賞しました。今後の発展がますます楽しみな商品です。
ほどよくフルーティーな香りと、瓶内二次発酵によって瓶づめ後に生成するこまやかな泡が心地よく、澄んだ味わいが口のなかに広がります。地酒の新しいスタイルを楽しみたい方におすすめです。

五町田酒造『東一(あづまいち) 純米吟醸 Nero』






出典:Amazon
飲みやすい低アルコール度数の純米吟醸原酒
五町田酒造があるのは佐賀県西部の米どころで、温泉が点在する嬉野市。全国で選ばれるのはもちろん、地元に愛され誇りとされる良酒を「人、米、造りが一体となって醸す」のが五町田酒造の信念です。酒米「山田錦」の栽培にも早くから取りくみ、自分たちで育てたお米を使ったお酒づくりをしています。
日本酒は加水をしてアルコール度数を14~16%ぐらいに調整するのが一般的。しかし、『純米吟醸 Nero』は独自の方法と技術で、加水をしない原酒の状態でアルコール度数13%を実現しました。ライトながらも豊かな味わいが特徴です。口あたりがとても滑らかで、マスカットのようなさわやかな甘味と清々しい酸でジューシーな味わいは、やや白ワインのような印象。日本酒をあまり飲みなれない方にもおすすめできます。

戸塚酒造『寒竹(かんちく) 寒造り』
気取らない晩酌にぴったりな魅力ある普通酒
日本酒には「普通酒」と呼ばれるお酒があります。吟醸酒や純米酒、本醸造酒といった「特定名称酒」に区分されない日本酒のことです。「普通酒」だからといって決してグレードが低いわけではなく、お手頃な価格で素晴らしいお酒を見つけられることもあります。普通酒は地元で消費されることも多く、ある意味「地酒らしさ」のひとつの形です。
長野県の佐久にある戸塚酒造の創業は江戸時代初期。「第一にうまい酒造り」が戸塚酒造の信条で、仕込水には八ヶ岳の伏流水を、添加するアルコールには米アルコールを使っています。
杜氏おすすめの自信作である『寒造り』は、甘味をともなった味わいが飲むごとに口のなかに膨らみます。常温からぬる燗の温度で楽しむのがおすすめ。地元で消費されることの多い普通酒を味わいたい方におすすめです。
南陽醸造『花陽浴(はなあび) 純米大吟醸 』

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新政酒造 『No.6(なんばーしっくす) 純米大吟醸 』

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亀の井酒造『くどき上手(くどきじょうず)純米大吟醸』

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大木代吉本店『楽器正宗(がっきまさむね) 本醸造』

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新政酒造『陽乃鳥 (ひのとり) 純米仕込み 貴醸酒』

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高木酒造『十四代 新本丸 秘伝玉返し』






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近藤酒造『赤城山 遠心分離搾り 純米吟醸』






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都道府県別のおすすめの地酒特集!
各地方ごとに特色ある地酒が紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてください。各都道府県をクリックするとおすすめの日本酒記事に飛べます。
北海道 青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島
茨城 栃木 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川
新潟 富山 石川 福井 山梨 長野 岐阜 静岡 愛知
三重 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山
鳥取 島根 岡山 広島 山口
徳島 香川 愛媛 高知
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
国際唎酒師からのアドバイス
唎酒師・国際唎酒師、マーケティングコンサルタント
個性とストーリーを感じて味わおう!
ご紹介させていただいた以外にも、日本全国には数多くの素晴らしい「その土地のお酒」があります。
まずは、あまり複雑に考えずに飲み比べてみましょう。好きなお酒に出会えたら、そのお酒がつくられる背景や原材料についてもう一歩深く知ることで、「おいしい」以上にその地酒を深く楽しめます。気に入ったお酒が醸されている土地へ実際に旅をするのも楽しいでしょうね。
まとめ
地酒は奥が深い日本酒です。好きな都道府県から選ぶのもよし、好きな味わいから選ぶのもよし、さまざまな選び方ができます。ただ、その土地ならではの開発ストーリーや酒造りをしている人の思いなどを知ることでもっと奥深く地酒の魅力に触れることができるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
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日本の風土、知恵、歴史が生み出した日本酒の魅力や楽しみ方を、より多くの人に広めるため、訪日外国人へのプライベート日本酒体験、外国人・日本人向け日本酒にまつわるセミナーやイベントの企画を行っている。 外国人のプライベート日本酒体験では、これまでに30か国以上から400人余りをお迎えしている。 日々の生活でも、カンパイは日本酒、スキンケアは日本酒と酒粕で、そして朝晩の甘酒を欠かさない。