高知の日本酒文化と特徴
江戸時代、歴代の土佐藩主はお酒好きだったそうで、坂本龍馬をはじめとする幕末の志士もお酒を飲みながら熱く議論を交わしたといわれます。
心ゆくまでお酒を酌(く)み交わせるように酒宴中の盛り付けや配膳の手間を省いた、海山の幸を大皿に盛る郷土料理「皿鉢(さわち)料理」、お座敷遊びなどに使われる「べく杯」と呼ばれる酒器(穴が開いていたり、自立しない形だったりして、注がれたお酒を飲み干すしかない)など、高知独特の酒文化も多く見られます。
土佐弁では酒宴のことを「おきゃく」と呼び、皆で酒食を楽しむ文化が根づいている高知。全体的に、ドライでありながら旨味のある味わいで食中酒としてたっぷり楽しめるお酒がそろっています。
高知日本酒おすすめ15選
上で紹介した高知の日本酒の選び方のポイントをふまえて、おすすめ商品をご紹介します。料理との組みあわせや好みの飲み方にあわせて、お気に入りの1本を選んでみてくださいね。
自然の旨さを追求し、清浄な天然水で醸造!
自然の旨さを追求し添加物を一切使用せずに磨き上げた米・麹・酵母と、清浄な天然水で醸造されています。四万十川は、人気の酒造好適米「山田錦」を60%まで精米して仕込まれた、飲み口爽やかな純米吟醸酒です。
癖が少なく飲みやすいので、女性やお酒が苦手な人にもおすすめしたい純米吟醸酒です。四万十川をイメージした豪快さが特徴で、ボトルもブルーと鮮やかな色合いで味わいもスッキリしています。
清く澄んだ水を活かすつくりが生む繊細な味わい
仕込み水の大切さを重視し、水の個性を活かしたお酒造りをする蔵元。高知の県木である魚梁瀬杉(やなせすぎ)のふるさと甚吉森(じんきちもり)を源とする、奈半利川(なはりがわ)の清らかで澄んだ伏流水が使われています。その水は超軟水のため、お酒造りにおいては手間を要しますが、お酒として生み出されるやわらかで繊細な味わいは、「美丈夫」の個性ともいえるでしょう。
「美丈夫」の定番酒ともいえるのがこのお酒。ほんのりグレープフルーツのような香り、やわらかなお米の旨味があり、あと味はすっときれいに引いていきます。和食はもちろん、柑橘をしぼった魚介類のカルパッチョなどとあわせるのもいいでしょう。
コクのあるお料理と引き立てあうお酒
県東部の安芸市の赤野という、海沿いの集落にある蔵では、アユで有名な赤野川のそばにある井戸からの水を使って、時間と手間を惜しまない酒造りをしています。その手間のひとつとして特徴的なのが、すべてのお酒を機械的な力を加えない、槽搾り(ふねしぼり)方法でしぼっていること。
こちらは、あえてお米をあまり磨かず、上質な酒米「山田錦」ならではの米の味を活かした純米酒。飲みごたえを感じるボディがありながら、軽快さとシャープさがあります。常温やぬる燗で、やや濃厚な味のお料理と楽しむと、おいしさの相乗効果が感じられるでしょう。「安芸虎」のお酒ラベルにはいろいろな虎が登場します。「虎」違いを飲み比べてみても楽しいですね。
お米の味わいを感じながら楽しむ
お酒を愛した幕末の土佐藩士「山内容堂(やまうちようどう)」の雅名、「鯨海酔候(げいかいすいこう)」から命名された「酔鯨」。高知市北部の水量豊かな鏡川の源流水を使い、酒米の味わいを活かすために、ひとつのお酒には1種類の酒米のみを使ったお酒造りをしていることが特徴です。
大胆なくじらの尾のデザインが印象的なこのお酒は、高知の酒米「吟の夢」で造られています。さらりとしていながら、口に含むとお米の旨味と柑橘系の酸味が広がり、心地よく飲み進められる味わい。あわせる料理を選ばない食中酒としておすすめです。
ちょっと個性派、甘酸っぱい味わいのお酒
土佐市の地で、仁淀川水系の軟水を仕込み水に、おもに地元高知の米や酵母を使ってお酒造りをしています。CEL-24は高知で開発された酒酵母のひとつで、香りが高く甘酸っぱい味わいを生み出す特徴があります。
CEL-24を使って醸されたこちらのお酒は、パイナップルのような香りが華やかで、甘酸っぱい味わいは、やや甘口の白ワインのよう。甘味は高いですが、酸のキレがあるので重さはありません。ぜひよく冷やしてお楽しみください。あまり日本酒を飲みなれない方、甘味強めのお酒を好む方におすすめ。
視覚からも味わいからも「海」を感じる
室戸岬を遠くに望む安芸郡安田町にあり、創業200余年の歴史があります。「品質第一・誇れる品質の酒を造れ」という社是を継承しながら、「淡麗にして旨い辛口」のお酒を造っています。
高知県が取りくむ、室戸海洋深層水を活用した商品づくりのひとつでもある、こちらのお酒。ミネラルが豊富に含まれる海洋深層水では、発酵が力強く進むそうで、もろみのなかの糖分も旺盛(おうせい)に消費されてすっきりとした味わいが生まれます。味わいに加えて、「青」を意味する『azure』のネーミング、深く海を連想させる青のボトルも含めてお酒を表現しているところがすてきですね。パーティーに持っていったり、贈りものにしたりするのにもおすすめです。
※Amazon・Yahoo!ショッピングは1本、楽天市場は6本の価格です。
繊細な造りが生み出すこまやかな味わい
創業は1603年で、400年を超える歴史がある司牡丹は、高知の酒を牽引(けんいん)してきた酒蔵のひとつ。ニューヨークの最高級フレンチレストランでも人気を博しているというこのお酒は、最上の山田錦を40%まで磨き、槽搾りで繊細に仕上げられています。
品格のある香り、旨味・甘味・酸味のバランスがとれたやわらかく奥行きのある味わいです。香味をぞんぶんに楽しむなら、ワイングラスで。和洋問わず、繊細な味わいのお料理とあわせて、少しぜいたくに楽しみたい日におすすめです。
「気持ちよい男前」を感じる味わい
南は太平洋、北は魚梁瀬(やなせ)美林を背景にして、アユやアマゴの泳ぐ清流、安田川がそばを流れる自然豊かな場所に蔵があります。すべてのお酒に使う麹(こうじ)を、少量ずつ手間をかける方法(箱麹)で造り、「目の行き届く範囲での酒造り」をしているため、生産量は多くはありません。しかしながら、芳醇(ほうじゅん)な味わいと心地よいキレ味、辛口ながら荒っぽさのないお酒には多くのファンがいます。
高知酵母を使って醸(かも)されたこちらのお酒は、穏やかな香り、コクとみずみずしい旨味と酸の飲み応えがありつつも、土佐のお酒らしく後味は爽快にキレていきます。あわせる料理や、飲む温度帯を選ばない万能なタイプなので、高知のお酒をはじめて飲む方にもおすすめ。
「かざりたてない美人」を感じるお酒
1877年創業。「文佳人」とは、「文の佳人(教養にあふれた美人)」を意味します。「搾るまでは手をかけ、搾ってからは手を加えず」をモットーに、少量仕込みでていねいに造られるお酒には、みずみずしいフレッシュ感があります。精読者(文学を深く読みこむ人)を意味する「リズール」の純米吟醸は、「文佳人」らしいフレッシュ感があふれる甘味・旨味・酸味が調和しています。
すっきりした味わいは、新鮮なお刺身や、マリネした野菜などとあわせていただくのがおすすめです。
カツオの町ならではのボリューム感
県中西部のカツオ漁「土佐の一本釣り」で有名な久礼の地にある、1781年創業の酒蔵。仕込み水には、地下湧水の四万十川源流名水を使い、伝統を守りながらていねいなお酒造りを続けています。
こちらの純米吟醸は、高知産の酒米「吟の夢」で造られたお酒。フルーティーな香りをまとったコクのある味わいで、辛口でありながらしっかりとした飲みごたえが楽しめます。もちろん、土佐の郷土料理であるにんにくをたっぷりのせたカツオとの相性はばつぐん。旨味の高い食材やお料理とあわせて楽しむのがおすすめです。
55%まで磨き上げ、究極の食中酒を目指す
「毎日の晩酌に飲んでほしい」と酔鯨(すいげい)酒造の思いが込められた食中酒です。香りは控えめで、酔鯨特有の酸味が特徴。米の旨みにキレの良い後口を組み合わせた純米酒です。
酔鯨(すいげい)酒造の商品は、クジラをモチーフにした商品が多く、こちらは丸っこいクジラの全身が目印。尻尾が描かれた、精米歩合50%の『酔鯨 純米吟醸 高育54号』も人気です。
濃厚とろり! 口当たりがふんわり優しい濁り酒
甘めのお酒が好きな人におすすめ。新米新酒夏仕込みで醸されたにごり酒です。高知県のまんなかあたり、香南市赤岡町にある蔵元「高木酒造」で作られるこちらは、平成22年の日本全国美酒鑑評会で、個性派部門「準大賞」を受賞。
アルコール度数が高めなので、レモンを搾ったり、ソーダ割りにしたり。リキュールのように、ジュースなどで割るのもおすすめです。新感覚で楽しめる濁り酒をぜひお楽しみください。もちろんストレートやロックでもおいしくいただけます。
香りと酸味が絶妙なバランスで、料理によく合う!
南酒造場のお酒はすべて、精米歩合60%以下で作られているのが特徴。日本酒マニアにもファンが多い酒造です。明治2年創業。こちらは、1985年に山形県で開発された酒米「出羽燦々」から作られています。
米の旨みを楽しみたい方には、冷やがおすすめ。キレを楽しみたい方は、常温から上燗や熱燗でいただいてみてください。高知県名産のカツオや、チーズなどともよく合います。
坂本龍馬とも縁深い蔵元「司牡丹酒造」
発売以来約20年、全国から問い合わせが途絶えない超辛口の名品。超辛口でありながら、極めて滑らかな味わいを楽しめるお酒です。
ちなみに、こちらの商品名は、坂本龍馬が船中にて考えた策に由来しています。そんなロマンある背景からファンも多く、平成27年秋の日経新聞【何でもランキング】「お燗酒コンテスト」では、第2位を受賞。高知県らしいお酒としても愛されています。
世界で初めて? 深層水で作られた吟醸酒
室戸岬沖の海洋深層水を使って作られたお酒です。酒造によると「深層水を仕込み水に使用すると、遺伝子レベルで大変効果的に働き、酵母の発酵力を高め、香りと味の成分を向上させるということが、証明されている」のだとか!
高知県いいものおいしいものコンクール「審査員特別賞受賞」を受賞。香りがとても高く、すっきりした味わいを楽しめます。デザイン性の高いボトルなので贈り物にもおすすめです。
「高知日本酒」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 高知の日本酒の売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでの高知の日本酒の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
高知の日本酒の選び方
それでは、高知の日本酒の基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の3つ。
【1】日本酒に使われる水の種類
【2】高知独自のお米・酵母
【3】あわせる料理や飲みたい温度
上記の3つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】日本酒に使われる水の種類をチェック
日本三大清流のひとつであり、本流に大規模なダムがつくられていないことから「最後の清流」といわれる「四万十川(しまんとがわ)」、透明度が高く独特の青色の水流が「仁淀(によど)ブルー」として有名な「仁淀川」など、水がとても豊かな高知。また室戸岬沖から得られる海洋深層水も、近年ではお酒造りに使われるようになりました。
高知のお酒を選ぶとき、お酒の重要な源のひとつである「水」にも着目して選んでみましょう。味わいの違いはもちろん、自然の恵みを感じながら味わうお酒は、心にもしみる楽しさがあります。
【2】高知独自のお米・酵母をチェック
過去には、酒造りに使われるお米の多くは県外から調達されていました。しかし、原料の原産地への関心が高まるなかで、より高知らしいお酒造りを目指して、1988年に高知県酒米研究会が設立。これまでに『土佐錦』『吟の夢』『風鳴子』、最近では『土佐麗』という高知オリジナルの酒米が開発・生産されるようになりました。
また、高知では高知県工業技術センターと連携し、独自の酵母開発をはじめ、全蔵のデータを共有してお酒造りの向上をめざす「高知方式」と呼ばれる取り組みがおこなわれています。
高知らしいお酒を楽しむなら、まず高知独自のお米、酵母が使われているものを選んで、風土に根ざした味わいと心意気を味わってみてはいかがでしょうか?
【3】あわせる料理や飲みたい温度をチェック
高知の日本酒は、酒食を楽しむ宴を中心に食中酒として発展してきました。そのため、あわせるお料理や、飲む温度の選択肢が幅広いという特徴があります。全体的にキレのあるドライな味わいでありながら、そのなかに野菜料理や白身魚などにあう淡麗なものや、しっかりとした肉料理や高知名産品でもあるカツオなどとぴったりとはまる濃醇なものがあり、個性豊かな日本酒がそろっています。
また、冷酒向きのものや、お燗(かん)でさらに味わいがふくらむものなどの選択肢も豊かで、シチュエーションにあわせて選ぶのにこと欠きません。一緒に食べるお料理、飲みたい温度にあわせて、食中酒としての高知のお酒を味わいつくしましょう。
エキスパートのアドバイス
おいしく、楽しく、豪快に楽しみたい
高知すなわち「土佐」の酒文化を見ると、「食」と「集う人」があり、そこにお酒があるという、本来の日本酒の存在感と楽しみ方を感じます。またそこには、お酒の味わいを支える、美しい水の恵み、お米や酵母へのあくなき追求、酒蔵ごとのお酒づくりへのこだわりがあります。
高知のお酒を手に入れたなら、ぜひご家族、友人と一緒に「おきゃく」スタイルで楽しんでください。
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まとめ
本記事では、高知県の日本酒の特徴やおすすめ商品、そして選び方をご紹介しましたが、いかがでしたか?
お酒に強いイメージのある高知県。近くにある太平洋からの豊富な海産物など、美味しい食材に囲まれ、ついお酒も進んでしまうのかもしれません。さらに、高知独特の酒文化も数多くあり、お酒だけでなく、文化も楽しめるのが大きな特徴です。ぜひ本記事を参考に、高知のお酒を楽しんでくださいね。
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日本の風土、知恵、歴史が生み出した日本酒の魅力や楽しみ方を、より多くの人に広めるため、訪日外国人へのプライベート日本酒体験、外国人・日本人向け日本酒にまつわるセミナーやイベントの企画を行っている。 外国人のプライベート日本酒体験では、これまでに30か国以上から400人余りをお迎えしている。 日々の生活でも、カンパイは日本酒、スキンケアは日本酒と酒粕で、そして朝晩の甘酒を欠かさない。