山形の日本酒おすすめ14選 酒処のこだわりを
ここまでで紹介した山形の日本酒の選び方のポイントをふまえて、宇津木聡子さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。ぜひ、山形日本酒ならではのやわらかさと透明感を楽しんでみてください。

ブームの先駆けとなった飲みやすい吟醸酒
1980年、吟醸酒という言葉が一般に知られていなかった当時、いち早く一般の人に手ごろな価格で販売しはじめたお酒がこちら。吟醸酒ブームの先駆け的存在であり、出羽桜の定番酒となっています。
使用米は山形産の美山錦。甘味・酸味・旨味のバランスがよいので、ふくらみがありながら重すぎない味わいで、リンゴ、梨のようなフルーティーな香りがあります。
マックスファクターのSK-Ⅱボディデザイナーというボディコスメの香りサンプルに採用されているそうで、いかにその香りが心地よいかがわかります。私のまわりにも「このお酒が日本酒に目覚めたきっかけ」という方々がいるように、日本酒をあまり飲まない方への入門的なお酒としてもおすすめです。

六歌仙『純米吟醸 出羽の里』
いろいろな料理と合わせやすいオール山形の食中酒
六歌仙は、地区の5つの酒蔵が1972年に集結・再編成した蔵元で、山形県のほぼ中心部にあります。原料米の98%に山形県産米を使用し、山形の風土をあらわすお酒を目指した酒造りがおこなわれています。
こちらのお酒は、山形でつくられたお米「出羽の里」のほか、麹、酵母すべてに山形県産のものが使われており、いわばオール山形の地酒。GI山形認定であり、県の「山形基準」で厳選された「山形セレクション」認定品でもあります。
少し華やかさのある香りとお米由来の旨味がふっくらとした味わいで、後味はすっきり。いろいろな料理と合わせやすいので、食中酒をお探しの方におすすめです。

プロが認める、バランスのよい日本酒
寿虎屋酒造は創業1715年と古く、300年以上の歴史をもつ蔵元で、自社井戸から汲み上げる蔵王山の伏流水でお酒を仕込んでいます。このお酒は、GI山形であるほか、原料米には出羽燦々、酵母と麹についても山形県産のものを使っており、山形で開発されたものを使うことが条件とされる山形県の「DEWA33」認定も取得しています。
山形のお酒らしいやわらかな吟醸香と、酸と甘味のバランスがよく丸みのある味わいで、幅広い料理と一緒に楽しめます。県内の研究者と蔵元でおこなうきき酒会で1位に輝いたそうで、その品質は地元のプロフェッショナルのお墨つき。地元一体となった酒造りにかける研鑽(けんさん)ぶりを感じられるお酒と言えるでしょう。

清流のような透明感、軽やかに楽しめる純米大吟醸酒
楯の川酒造は2010年から、わかりやすさとより一層の品質向上のために、純米大吟醸酒のみの製造にシフト。TATENOKAWA100年ビジョンを掲げるなど、未来を見据えたポリシーのある酒造りをしています。
この「純米大吟醸 清流」は山形の酒米「出羽燦々」を50%まで磨いて造られており、アルコール度数が低め(14%)の軽快なお酒です。フランス人のプロのソムリエが審査する日本酒のコンクール「Kura Master」純米大吟醸部門にて2017年・2018年と連続で見事金賞に輝いています。
フレッシュ感のあるフルーティーな香り、名のとおり清流のような透明感があり、少し温度が上がってくると、お米のやわらかな味わいも感じられます。軽快なお酒なので、白身のお刺身やカルパッチョなどと好相性。軽快な味わいのお酒を好む方におすすめです。
※Amazonは6本、楽天市場・Yahoo!ショッピングは1本の価格です。

日本酒ビギナーも飲みやすい心を溶かす純米吟醸酒
「くどき上手」という名称と浮世絵のラベルがインパクト大なこちらの日本酒。「くどき上手」の名称には、戦国時代の武将の生き様である「力を得るためには相手を武力ではなく誠心誠意説き伏せ、心を解く、心を溶かすように魅了する」という意が込められているそうです。小さな蔵ながらも品質向上には余念がなく、また、全商品の精米歩合が50%以下というこだわりのもと酒造りがおこなわれています。
くどき上手のなかでもっともポピュラーなのがこのお酒ですが、穏やかな香り、ほどよい甘味の中庸な味わい、まろやかな飲み口は、本当に心を解かれるよう。日本酒ビギナーにもお酒好きにも広くおすすめできます。

注目の酒米「亀の尾」を復活させた蔵の純米吟醸
明治時代に山形庄内の篤農家(とくのうか)である阿部亀治が発見・育成した米「亀の尾」は、ササニシキやコシヒカリなど多くのブランド米のルーツ。食用米として急速に普及しましたが、新品種の出現で一時姿を消しました。その復活と、「亀の尾」を使った酒造りに熱心に取り組んだのが鯉川酒造。文字列ついには業界初の快挙と言われる、「亀の尾」100%の純米大吟醸で東北清酒鑑評会の「純米酒の部」で優等賞を受賞しました。
そんな情熱の結晶のひとつがこのお酒。甘味、旨味、酸味がそろったコクのある味わいは、温めると酸味の角が取れてよりふくらみが増します。お燗好きの方はぜひ。「亀の尾」米の発祥の地で「亀の尾」を栽培し、その米で酒を仕込む、そんな蔵元の一貫した情熱が伝わってくるお酒です。

温度を変えてさまざまな楽しみ方ができる辛口酒
全国的にも数少ない、空気中の天然乳酸菌を活かす伝統的な「生酛(きもと)づくり」ですべてのお酒を醸す蔵元です。そんな生酛づくりの高い技術で造られるお酒は、毎年ロンドンで開催される世界最大規模のワインコンペティション「IWC」でも数々の賞を受賞しています。
「魔斬」とは、蔵のある酒田に伝わる漁師などが使う切れ味の鋭い小刀のこと。こちらの日本酒は、そんな名前からも想像されるようなスパッとしたキレがありますが、生酛由来の酸味がほどよく、単純な辛口とは違う味わいで、ぬる燗にすると深みが増します。温度帯によってさまざまな味わいが楽しめるので、家に常備する定番酒を探している方にもおすすめです。

シャンパンのように楽しめるスパークリング日本酒
創業1704年の米鶴酒造。稲穂が首を垂れる姿や鶴の立ち姿にちなみ、感謝を伝える酒でありたいとして名づけられた「米鶴」。山形では平成21年から、山形の酒米「出羽の里」を使った発泡清酒「スパークリング純米酒」の開発に取り組んでおり、これはそのなかのひとつ。
米・米麹のみで造られた味わいは、甘味はありながらも、きれいな酸味によりさっぱりとした後味が爽やか。ラベルの愛らしい稲穂とハートは、米作りと酒造りに対する情熱をあらわしているのだそうです。シャンパンのようなボトルはパーティーで楽しむのにもぴったり。シャンパンのようなボトルもおしゃれで、パーティー用の日本酒としてもおすすめです。ワイングラスでおいしい日本酒アワード2019で金賞を受賞しています。

自由な発想で造られた贅沢な純米大吟醸
「雅山流」という名には、固定概念にとらわれず、自由な発想で真の地酒の意味を追求し、さまざまな酒質を造り出すという意味が込められています。こちらの「極月」は、自社田で育てた出羽燦々が使われる「雅山流」シリーズの最高峰。40%までみがいた出羽燦々と山形酵母を使って醸し、もろみから自然の重力で垂れてきたしずくだけを瓶に詰める、というぜいたくな造りになっています。
旨味、甘味、酸味のバランスが素晴らしく、とてもクリアな味わいです。気品のあるフルーティーな香りを楽しむには、ぜひワイングラスで味わってみてください。ワイングラスは、香りのよいお酒を楽しみたい時におすすめです。雅山流には、造り違いや季節の酒、そして「裏・雅山流」として出羽燦々以外のお米で造るシリーズもあり、いろいろと飲み比べしてみるのもよいでしょう。
キリっとした辛口がもたらす爽快感がやみつきに
丹念に造られた吟醸をじっくり熟成し、超辛口に仕上げた限定品。ほのかに香るフルーティーな香りが、口に含む前から美味しさを感じさせてくれます。
キリっとした超辛口のこちらは、飲むたびにさわやかな爽快感があります。すっきりとした辛口がお好みの方におすすめ。冷やして飲めば、最大の特徴である辛口をよりはっきりと味わうことができるでしょう。
キリっとした辛口がもたらす爽快感がやみつきに
自然が美しい霊峰月山のふもとにある「月山酒造」。良質な米と水を使用したこちらは、山形の自然が生んだ美味しさを感じられる日本酒です。こちらは、山田錦、出羽燦々を贅沢に磨き醸し上げた純米大吟醸。
やわらかな味わいでありながら、キレの良い日本酒に仕上がっています。2014年IWC金賞の中から首席トロフィーを受賞。限定醸造なので、プレミアムな地酒をお探しの方におすすめです。
「十四代」の原点はここにあり! 山形限定の貴重酒
数ある日本酒のなかでも人気の十四代の蔵元、「高木酒造」。こちらは、十四代の原点とも言える銘柄で、芳醇な香りと上品な味わいが魅力の日本酒です。
こちらの特選本造酒は、山形県でのみ限定販売の特別な一本。山形ならではのお酒をお探しの方におすすめです。米の旨みが引き立つ味わいとなっており、「十四代」に引けをとらないと隠れた人気を誇っています。
日本酒好きが認めたプレミアムな一本
5つの蔵元が合併して誕生した唯一の蔵元である「酒田酒造」。酒田の地で生まれた上喜元のなかでも、大吟醸の雫採りで造られた貴重な地酒です。
フルーティーな香りとまろやかさが口の中に広がる上品な味わいとなっています。JAL国際線ファーストクラスの機内酒にも採用されており、日本酒好きが認めたプレミアムな一本。雑味がなく贈り物にもおすすめです。
辛口なのに甘い? 米の本来の旨みを楽しめる純米酒
山形政宗の定番純米酒であるこちらは、辛口のキレを味わえる後味がシャープな日本酒です。低温で丁寧にゆっくりと発酵され、米の旨みや、ほのかな甘みを感じることができます。
日本酒らしいスタンダードな味をお探しの方にもおすすめ。飲み疲れない落ち着いた味わいは、どんな場所にもどんな食事にも合う、心が落ち着く定番のお酒と言えるでしょう。
「山形の日本酒」のおすすめ商品の比較一覧表
山形日本酒の魅力 第一線で研究
山形の日本酒は、安土桃山時代まで遡り、1600年代からの長い歴史があり、人の手作業によって昔ながらの製法で作られてきた背景があります。
山形の地域を生かした自然の豊かさも大きな魅力で、県が率先してお酒の開発を進めるなど他の地域よりも第一線で研究をしてきました。
この記事では、お酒の先駆者でもある山形の日本酒に迫りたいと思います。
山形の日本酒選びのポイントは? 味わいや原料などで
山形の日本酒を選ぶときのポイントをご紹介します。山形のおいしい日本酒を選ぶ際は、意識してみましょう。
原料・酒米で選ぶ
お酒造りに欠かせないよいお米。山形発祥の「亀の尾」という酒造り・食用両方に使われるお米がありますが、より幅広いタイプの酒造りを追求するため、1980年代後半から県オリジナルの酒米の育成も積極的におこなわれてきました。
代表的なものには出羽燦々、出羽の里、出羽きらり、酒未来、そして2017年にデビューした雪女神があり、それぞれ特徴があります。山形らしいお酒を楽しむためのポイントとして、山形のお米が使われているもののなかから、その特徴をみながらセレクトしてみましょう。
山形を代表する蔵元で選ぶ
山形を代表にする【高木酒造】・【出羽桜酒造】は、全国的にも名のあるお酒が多くラインナップされており飲みたくても手に入らない幻のお酒とまで言われていました。大吟醸の独特な味わいとコスパの良さで山形でも愛されています。
【小嶋総本店】は、東光というお酒で有名な蔵元です。変化を求めて現代に寄り添った味わいを目指して作られています。【新藤酒造店】は、やや高級的な存在感で吟醸酒を中心に販売している蔵元になります。
GI山形に注目
山形では、地域・蔵元が一体となって日本酒造り向上のための取り組みを積極的におこなっています。その成果のひとつが、2016年の都道府県単位では日本酒業界初となる地理的表示、「GI山形」の獲得。GIとは、品質や社会的評価などがその産地と結びついていると特定できるものに認められる表示のことです。日本ではまだ歴史が浅いですが、よく知られている例としては、フランス・シャンパーニュ地方のシャンパンなどがあります。
GI山形を表示できるのは、専門家も交えた審査会で一定の基準を満たすと認められたお酒のみ。山形のお酒は、総じて「やわらかくて透明感のある味わい」とされますが、そのなかでもGI山形に注目して、山形ブランドの品質を堪能するのも選び方のひとつです。
山形ブランドを堪能する
山形産のお米を軸に、水はもちろん、酵母も地元で開発されたものを使ったお酒(DEWA33など)や、出羽の里を使ったスパークリング酒(スパークリング・ワイ)など、県をあげての独自の商品開発も特徴的。
山形の日本酒の発展に大きな影響を与えています。そんな情熱あふれる酒造りの工夫、切磋琢磨の結晶を各蔵元のこだわりとともに、ぜひピックアップして楽しんでみましょう。
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 東北の日本酒の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での東北の日本酒の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
山形の日本酒に関連する記事のご紹介!
山形の地酒から山形の豊かさとストーリーを感じる 唎酒師からのアドバイス
山形のお酒には、その進化に地域ブランドづくりのひとつの形があると思います。それぞれのお酒のストーリーが豊かで、ここに紹介しきれない素晴らしいお酒がほかにも多数存在するのも山形の魅力の一つです。
さまざまな個性がありながらも、共通して感じられるのが、おいしさはもちろん「自然の豊かさ」「食とのバランス」「切磋琢磨」。難しく考える必要はありませんが、山形の地酒を楽しむときには、そんな背景も含めて豊かな山形らしさを感じてみてください。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
日本の風土、知恵、歴史が生み出した日本酒の魅力や楽しみ方を、より多くの人に広めるため、訪日外国人へのプライベート日本酒体験、外国人・日本人向け日本酒にまつわるセミナーやイベントの企画を行っている。 外国人のプライベート日本酒体験では、これまでに30か国以上から400人余りをお迎えしている。 日々の生活でも、カンパイは日本酒、スキンケアは日本酒と酒粕で、そして朝晩の甘酒を欠かさない。