甘口日本酒のおいしい進化を知ろう
「甘口の日本酒は口の中がベタッとして苦手」「甘くて食事と合わない」なんて声をよく聞きます。でもこれ、実はおいしいお酒との出会いの機会を逃してしまっている可能性があります。
そもそも日本酒はお米のブドウ糖(甘味)からつくられるため、差こそあれ、甘味を含むお酒です。近年は醸造技術や酵母(こうぼ)の進化によって「甘味」をいかした、多様な甘口の日本酒がつくられるようになりました。進化した甘口日本酒の世界を、ぜひお楽しみください!
甘口日本酒の選び方 酒屋の三代目・唎酒師に聞いた!
酒屋の三代目・唎酒師の小林健太さんに、甘口日本酒を選ぶときのポイントを教えてもらいました。ポイントは下記。
【1】「華やかな甘い香り」にこだわる
【2】「果実のようにジューシーな酸味」があるか
【3】「砂糖菓子のようなきれいな甘味」の日本酒を選ぶ
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】「華やかな甘い香り」にこだわる
甘いお酒を選ぶときは香りに注目しましょう。
人間の味覚は嗅覚から大きな影響を受け、甘い香りの日本酒は甘味をより強く感じます。そしてこの「香り」が日本酒が大きく進化したポイントのひとつです。
香りの進化は、酵母が研究・開発された影響が大きいといわれています。近年では花や果実のような華やかな香りの日本酒が多く生まれました。
飲食店や酒販店では「フルーティーなお酒はありますか?」「華やかな香りのお酒はありますか?」などと聞いてみるとよいでしょう。
【2】「果実のようにジューシーな酸味」があるか
たとえばオレンジやパイナップルを口に含んだ瞬間のように、甘味と酸味がジュワッと押し寄せるジューシーな味わいの日本酒がありますが、そのおいしさのポイントは甘味と調和した「酸味」にあるのです。
「酸味」は以前、鮮度の劣化などに関係する「ネガティブな味わい」としてとらえられがちでしたが、最近では「酸味」を長所とするお酒が多くつくられるようになりました。
飲食店や酒販店では「酸味のある甘いお酒ありますか?」などと聞くとよいでしょう。
【3】「砂糖菓子のようなきれいな甘味」の日本酒を選ぶ
繊細な和菓子のように、口の中でやわらかな甘味が広がる日本酒がありますが、そのポイントは「甘味の質と量」です。日本酒には甘酸辛苦渋(かんさんしんくじゅう)といった、味覚のすべての要素が含まれていますが、甘味の感じ方はほかの要素とのバランスで変わるのです。
一部のお酒には「日本酒度」と呼ばれる糖分の量をあらわす数値の表記がされている場合もあり、一般的に、+(プラス)の値が大きいほど辛口(糖分が少なく辛さが際立つ)、-(マイナス)の値が大きいほど甘口(糖分が多く甘さが際立つ)な日本酒といわれています。
甘口日本酒おすすめ13選 酒屋の三代目・唎酒師が厳選!
ここまでに紹介した甘口日本酒の選び方のポイントをふまえて、酒屋の三代目・唎酒師の小林健太さんに選んでもらったおすすめ商品をご紹介します。

華やかな香りの「新しい久保田」
『久保田』といえば淡麗辛口(たんれいからくち)の代表的な銘柄ですが、2018年発売の純米大吟醸(じゅんまいだいぎんじょう)は華やかな香りがある、やや甘口のお酒です。
お酒に鼻を近づけると、ライチや桃のような吟醸香が優しく薫(かお)り、口に含むと香りの印象と同様の、心地よい軽やかな甘味、そして後半は久保田らしいすっきりとしたキレのよさが楽しめます。
知名度も高く、贈りものや、親子で一緒に楽しむお酒としてもおすすめ。淡麗辛口の久保田のファンという方は、久保田の新たな一面に出会える、そんな一本です。

前向きさを感じるフルーティーな日本酒
陶器が有名な佐賀県伊万里市にある古伊万里酒造。ポジティブでチームワークのよい蔵人(くらびと)たちが「笑顔で飲んでもらうための酒」の旗印(はたじるし)のもと、積極的に意見を交わしながら酒づくりをしています。
そんなアットホームな雰囲気のなかでつくられる『古伊万里 前(さき)』は、佐賀県の日本酒の特徴でもある甘味を、現代的にアレンジしたきれいな甘味が特徴です。なかでも純米吟醸は、果実味にあふれ、優しくきれいな甘味をもっとも楽しめる定番酒です。
蔵元の合言葉は「前(さき)を飲んで前を向いて行こう!」。飲むたびに前向きになってほしいという願いの込められた、フルーティーな日本酒です。

エレガントな香りと甘味、三重の銘酒「作」
伊勢志摩サミットの晩餐会で提供され、さまざまな賞を受賞するなど、一躍日本を代表するブランドになった『作(ざく)』。つくりのコンセプトは「香りの主張がしっかりあって、味わいの主張もしっかりあって、キレよく、後味に透明感のある酒」。
なかでも『作 雅乃智(みやびのとも)中取り』は、果実や花のような吟醸香とエレガントな甘味と旨みを、絶妙なバランスで楽しむことができます。冷酒には向かず、少し冷たいくらいがベストのお酒。日本酒ビギナーにもおすすめの1本です。

一口でやみつき 超濃醇(のうじゅん)甘口「嘉山」
ほかに類を見ない圧倒的な濃い甘味で、日本酒ビギナーにもおすすめしたい新潟の酒『嘉山(かやま)』。このお酒はまず7つのコンセプト(※)を決め、それを忠実に再現したお酒でもあります。進化した甘口の日本酒を体現するのにもっとも適した1本ともいえるかもしれません。
辛口な印象の強い日本酒ですが、こちらは甘味と酸味のインパクトが強く、「日本酒はちょっと苦手だな」と感じている方にとくにおすすめです。
※1 華やかで甘美な香り、2 上品な甘味、3 甘味に負けない酸味、4 甘味と酸味のバランスが拮抗、5 喉越しがよくキレがよい、6 全体のバランスがよい、7 無濾過(ろか)生原酒(搾ったまま瓶詰)
甘口の日本酒ならこれ!
大関の極上の甘口は、まるでスイーツを思わせるような甘みが特徴です。一般的な日本酒度が「-3」なのに比べて、こちらの日本酒は「-50」となかなか無い甘さとなっています。デザート感覚でも飲めますが、食事との相性も抜群なのが嬉しいポイント。日本酒があまり好きではない方も美味しく飲めるのではないでしょうか。
※Amazonは1本、楽天市場・Yahoo!ショッピングは6本の価格です。

華やかでジューシーな魅惑の日本酒「姿」
栃木県を代表する銘酒『姿』をつくる飯沼銘醸(めいじょう)。酒名の由来のひとつに「搾ったままの姿」という意味もあるなど、濃くフレッシュな無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)が特徴的な蔵元です。
なかでも酒米の王様「山田錦」を使ったこのお酒は、姿の特徴をもっとも楽しめるお酒のひとつです。口の中でお米のジューシーな甘味と旨みがじゅわっと溢れ出し、それでいて雑味が少なく、山田錦のピュアで濃い味わいを存分に楽しめます。
バランスの取れた程よい甘みの日本酒
亀泉の純米吟醸生原酒は、高知県産の日本酒です。高知県にしては珍しい甘口の日本酒で、酸味と甘みのバランスが絶妙になっています。しっかり冷やして飲むとより一層美味しくいただけますよ。ロックで、溶けていく氷と変化していく味を楽しむのもおすすめです。1度飲んだらやめられなくなってしまうような、癖になる味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

最後に帰ってくるのは甘味と旨みのこの味わい
長野県佐久市にある千曲錦酒造の流通限定酒『帰山(きざん)』。帰山は約20年前に「人間の好む味わいの根本は甘味と旨み。10人に数人でいいので、『この酒でなければ』と言ってもらえる酒をつくりたい」との想いでつくられたお酒です。
甘味と酸味のバランスがよく、よい意味で日本酒らしくないのが特徴で、イタリアンやフレンチなど洋の食事とも好相性です。

お米の甘味を感じる純米酒「かたふね」
竹田酒造店は新潟県の日本海に近い地域にあり、9代目・10代目の蔵元親子を中心に少人数で、ていねいで真摯(しんし)な酒づくりをしています。
代表銘柄の『かたふね』は淡麗甘口の日本酒。なかでも純米酒はお米の甘味をていねいに引き出した、お米への愛情を感じさせる1本です。それほど強くは感じませんが、甘味の奥に酸が効いていて、全体のバランスを引き締め、立体感のある味わいになっています。味噌を使った料理との相性は抜群です。

心地よい甘味と酸味、果実を搾ったような生原酒
『真澄(ますみ)』で全国的にも有名な長野県諏訪市の宮坂醸造。その蔵元が送り出す次世代ブランド『MIYASAKA みやさか』は、1946年にこの蔵で発見された「7号酵母」に特化し、7号酵母特有の繊細な酸味をいかしてつくられています。また、ラベルは7号酵母の「7」の形をベースにしたシャープなデザインになっています。
そんなブランドのなかでもこの生原酒は、濃縮(のうしゅく)された甘味をリンゴ酸が優しく包み込み、まるで「みやさか」という果実をそのまま搾(しぼ)ったような、さわやかで濃い果実味が印象的。フルーティーな味わいの日本酒をお探しの方におすすめです。
濃厚な米の旨味を感じられる日本酒
花泉酒造のロ万ろまんは、米の旨味をできるだけ残すようにして作られているので素材本来の味を楽しむことができます。ミネラルの少ない高清水の柔らかい水を使うことによって、まろやかな仕上がりとなっています。味の美味しさはもちろんですが、飲んだ後に鼻を通る香りもしっかりと楽しめます。冷やしたり熱燗にしたり、好みの飲み方を見つけてみて下さいね。
和食に合うフルーティーな味わい
亜麻猫(あまねこ)という可愛らしい名前の日本酒です。亜麻色はクリーム色のことで、清酒用の「黄麹」と本格焼酎用の「白麹」を混ぜるとこの色になることから命名されたそうです。フルーティーな味わいで、いい意味で日本酒っぽくないと感じる方もいるかもしれません。スッキリとした味わいで飲みやすく、和食などにも合いますよ。飲んだ後にも飾っておきたくなるような可愛いデザインもポイントです。
爽やかで上品な口当たり
油長酒造の風の森は、旨味と酸味のバランスが良く爽やかな味わいとなっています。清冽な水を使うことによって、上品な口当たりと香りに仕上げられています。長年受け継がれた伝統の味を楽しめるので日本酒が好きな方には特におすすめですよ。名前にもなっている「風の森」がどのような味わいなのか、ぜひ感じてみてくださいね。
「甘口日本酒」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 甘口日本酒の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での甘口日本酒の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
毎日の癒やしに、おいしい甘口日本酒を!
甘味は人間が最初からおいしいと感じる味わいで、ケーキやチョコレートのように、自分へのご褒美(ほうび)に楽しむ「癒やしの味わい」でもあります。
ひと口に甘口の日本酒といっても、それぞれのお酒に想いや考えがあり、香りや味わいもさまざまです。お気に入りの1本を見つけ、毎日のちょっとした癒やしの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
そのほかの日本酒関連の記事はこちら
甘口で飲みやすい日本酒をご飯のおともに
甘口日本酒の選び方とおすすめ商品をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
「口の中がベタッとして苦手」「甘くて食事と合わない」などと言われることの多い甘口の日本酒ですが、最近はサラッとしていてご飯とも合わせやすいものもたくさん販売されています。さらに、香りや酸味にこだわって選べば、きっと自分のお気に入りの1本を見つけられますよ!
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