ちろりとは? 日本酒を熱燗にする道具
ちろりとは日本酒をお燗するための道具で、酒たんぽとも呼ばれています。筒状で注ぎ口と取っ手がついており、約0.18リットル(1合)が入るくらいの大きさから販売されています。ちろりは直接火にかけるのではなく、湯煎(ゆせん)のなかに入れて日本酒を温めるアイテム。日本酒をお燗(かん)することで味や香りに変化をもたらし、バランスがよくなるといわれています。また、冷酒を入れると保冷してくれるため、熱燗と冷酒どちらも楽しめるようになっています。
ちろりの選び方 日本酒ナビゲーターに聞いた!
まずはちろりの選び方をチェックしていきましょう。日本酒ナビゲーター・田口忠臣さんのアドバイスもご紹介しています。自分の使い方にぴったりのちろりを選ぶために参考にしてみてくださいね。
素材で選ぶ
ちろりは使われている素材によって日本酒に変化をもたらします。どのタイプがいいかは好みになるので、まずはちろりの素材をひとつずつチェックしていきましょう。
錫(すず)製は、熱燗と冷酒どちらにも対応できる
錫(すず)は熱伝導性が高く日本酒を効率的に温めてくれます。一方、冷酒を入れても温度を一気に下げて保冷も可能です。錫には抗菌作用があり、水分のなかの雑菌や繁殖を防ぎます。また、イオン作用をもち、日本酒に含まれるフーゼル油を溶かしてくれます。フーゼル油の割合が少なくなると臭みや濁りが減少します。錫のちろりは「2級の酒を1級酒にする」ともいわれるアイテムです。
銅製は、熱燗が好きな人に適している
銅も熱伝導性が高く、錫の6倍の熱伝導率があるとされています。たとえば、15度の冷酒を銅製のちろりでお燗すると、1分経過後に50度、2分だと70度にまで温度が上がるといわれています。持ったときにずっしりとした重厚さを感じ、長年使い続けるほど見た目に味が出る素材です。銅製のちろりは、ステンレス製やアルミ製よりも熱伝導性が高いので、熱燗を好む人に試してほしいアイテムです。
アルミ製は、はじめてちろりに挑戦する人に適している
「ちろりに挑戦したいけど、結構値段が高めだな……。」と思う人におすすめなのがアルミ製のちろりです。手軽に熱燗を作りたい人にも適しています。ほかの金属製よりも価格が抑えられていることが特徴です。熱伝導性が悪いわけではなく、しっかりと日本酒をお燗できます。はじめてちろりを購入する人やいつも電子レンジでお燗している人などにも試してほしいアイテムです。
ステンレス製は、直火でお燗ができる
ステンレス製ちろりの大きな特徴は、直火で使えることです。そのため、アウトドアなど湯煎が難しい場面でも日本酒をお燗でき、直火なので早く温めることが可能。また、日本酒以外にも、コーヒーやお茶、牛乳、カップラーメンなどさまざまな食品に使えるので、いろんな場面で重宝します。「趣味のキャンプで熱燗を作りたい!」という人にもチェックしてほしい素材です。
ガラス製は、視覚的にも美しい
ガラス製のちろりは、筒状のちろりが急須にセットされた見た目が特徴です。わざわざお燗するための湯煎容器を用意する必要もありません。耐熱性のガラスで作られているので、熱燗と冷酒どちらも楽しむことができます。視覚的に美しいアイテムで、日本酒だけではなく緑茶を入れて味わうことも可能。見た目の楽しさもあるので、お客さまをもてなすときなどにも活躍します。
蓋のありなしで選ぶ
ちろりに蓋がついているタイプなら、蓋を閉じることで湯煎している間に発生する日本酒の蒸発や、温度低下を防ぐことができます。また、香りが逃げるのを防ぐことも可能です。蒸発と温度低下を防ぐことで、時間が経過してもおいしい熱燗を楽しむことができます。ゆっくりと時間をかけて日本酒を味わいたい人におすすめです。
取っ手の仕様で選ぶ
ちろりを購入する前に、取っ手の仕様にも注目しましょう。ちろりは熱伝導性が高い金属で作られていることが多いため、取っ手が金属の状態のままだと湯煎から取り出すときに火傷を負うおそれがあります。藤巻仕様になっている取っ手なら、火傷の心配をすることなく熱燗が作れます。熱々の状態でも触りやすくなっているので、取っ手の仕様にもこだわってみましょう。
お燗セット付きだと保温できる
ちろりは筒状の本体だけが販売されていることが一般的です。しかし、最近はお燗機能をもつ器とセットになっているタイプも多くみられるようになりました。テーブルのうえに置けるコンパクトサイズなら、お燗するたびにキッチンを往復する必要がなくなります。また、自分の好みの熱さに調節してくれる電気式のお燗機能も存在します。
日本酒好きへのプレゼントにしても◎! 日本酒ナビゲーターがアドバイス
食生活アドバイザー、日本酒ナビゲーター、自動車ディーラー歴20年
日本酒を温めるための酒器「ちろり」には、材質や形状によって熱燗にしたときの味わいに違いがでます。日本酒の銘柄だけでなく呑む時の酒器にもこだわれば、もっと日本酒の楽しみ方が広がります。まるで工芸品のような美しい錫や銅で作られた「ちろり」は、日本酒好きの人への贈り物にもおすすめです。
ちろりの老舗メーカーを紹介 人気の製造メーカー
ここでは、ちろりを製造している老舗メーカーを3つご紹介します。
能作
能作(のうさく)は1916年から存在する鋳物メーカーです。仏具、茶道具、花器を中心に製造しています。ちろりに関しては、主に熱伝導性のいい錫製のタイプを販売しています。シンプルで飽きのこないデザイン性が特徴で、シルバーが鈍く上品に輝いている製品が多数。蒸発を防ぐ蓋つきや、火傷を防ぐ藤巻仕様の取っ手を採用しているので、利便性の高さも注目のメーカーです。
新光金属
新光金属は1959年に設立したメーカーです。主に銅製のアイテムを作り続けています。技術、機能性、品質、デザイン、価値が高い水準になるように取り組んでいます。新光金属のちろりは赤褐色に輝く色合いが特徴。職人によって淡雪模様が施されたデザインのちろりが人気です。また、取っ手を藤巻仕様にしているタイプもあります。
大阪錫器
大阪錫器は、昭和24年に「大阪錫器株式会社」が設立された歴史あるメーカーです。ほぼすべての商品が、経済産業大臣の指定を受けた「伝統工芸品」です。
デザインも優れていて、食事のひとときを優雅な気持ちにさせてくれるでしょう。国の認定する伝統工芸士がつくるちろりは、もはや芸術品です。
ちろりのおすすめ11選 日本酒ナビゲーターと編集部が選んだ
日本酒ナビゲーター・田口忠臣さんと編集部が選んだ、おすすめのちろりを11商品紹介します。
食生活アドバイザー、日本酒ナビゲーター、自動車ディーラー歴20年
はじめてちろりを購入するなら、アルミ製の前川金属『籐巻タンポ 2合』がおすすめ。価格が安く手入れが簡単なので、気にせずどんどん使いこめます。
サンシン『電気式ミニかんすけ・匠』は、電気式でぬる燗から熱燗まで好みの温度に温めることができます。
日本酒好きの人へのプレゼントにぴったりなのが新光金属『チロリ 酒たんぽ 銅 2合 淡雪』。銅に浮かんだ雪月花が、とてもおしゃれです。

前川金属『籐巻タンポ 2合』 エキスパートおすすめ商品!

出典:Amazon
素材 | アルミ |
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蓋の有無 | - |
取っ手の仕様 | 藤巻 |
お燗機能の有無 | - |
容量 | 350cc |

サンシン『電気式ミニかんすけ・匠』 エキスパートおすすめ商品!




出典:楽天市場
素材 | 錫 |
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蓋の有無 | あり |
取っ手の仕様 | 藤巻 |
お燗機能の有無 | あり |
容量 | 360cc |

新光金属 雪月花シリーズ『チロリ 酒たんぽ 銅 2合 淡雪(CF-32-1)』 エキスパートおすすめ商品!

出典:Amazon
素材 | 銅 |
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蓋の有無 | - |
取っ手の仕様 | - |
お燗機能の有無 | - |
容量 | 360cc |
能作『蓋付ちろり-S(600191)』

出典:Amazon
素材 | 錫、フタ・持ち手(ステンレス) |
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蓋の有無 | あり |
取っ手の仕様 | 藤巻 |
お燗機能の有無 | - |
容量 | 180cc |
新光金属『銅製ちろり 酒たんぽ 2合』

出典:Amazon
素材 | 銅 |
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蓋の有無 | - |
取っ手の仕様 | 藤巻 |
お燗機能の有無 | - |
容量 | 520cc |
エムテートリマツ『酒タンポ 藤巻 2合(MT18-8)』

出典:Amazon
素材 | ステンレス |
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蓋の有無 | - |
取っ手の仕様 | 藤巻 |
お燗機能の有無 | - |
容量 | - |
大阪錫器『チロリ ペジーブル』








出典:Amazon
素材 | 錫 |
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蓋の有無 | - |
取っ手の仕様 | 藤巻 |
お燗機能の有無 | - |
容量 | 220cc |
前川金属『タンポ 2号(ESK5702)』

出典:Amazon
素材 | アルミ |
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蓋の有無 | - |
取っ手の仕様 | - |
お燗機能の有無 | - |
容量 | 350cc |
HARIO『丸地炉利M(IDX-2MSV)』












出典:Amazon
素材 | ガラスボール:耐熱ガラス、フタ・取っ手:ステンレス、フタツマミ:真鍮、氷入れパッキン:ポリエチレン |
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蓋の有無 | あり |
取っ手の仕様 | - |
お燗機能の有無 | - |
容量 | 360cc |
サンシン『1合ミニかんすけ・匠』






出典:楽天市場
素材 | 錫、蓋(ステンレス) |
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蓋の有無 | あり |
取っ手の仕様 | 藤巻 |
お燗機能の有無 | あり |
容量 | 180cc |
サンシン『卓上式ミニかんすけ・匠』

出典:Amazon
素材 | 錫、蓋(ステンレス) |
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蓋の有無 | あり |
取っ手の仕様 | 藤巻 |
お燗機能の有無 | あり |
容量 | 360cc |
「ちろり」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ちろりの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場でのちろりの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ちろりの使い方 おいしい熱燗を飲む方法
まず、鍋で水を沸騰させます。沸騰したら火を止めて日本酒を入れたちろりを鍋の中に沈めてください。お燗機能がある陶器がセットになっているなら、陶器にお湯を入れたあとちろりを収めます。
日向燗(ひなたかん)は30度、人肌燗は35度、ぬる燗は40度、上燗は45度、熱燗は50度、飛びきり燗は55度以上など、好みの温度に合わせて作ってみてください。
ちろりを使っておいしく飲める日本酒 熱燗は温度に気を付けて
日本酒についても知っておきたい方は、こちらの記事をどうぞ。
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まとめ 熱燗も冷酒も楽しめる
本記事では、ちろりの選び方とおすすめの商品を日本酒ナビゲーター・田口忠臣さんと編集部でご紹介しました。ちろりは素材によって温まり方や味わいの変化が異なります。また、蓋の有無や取っ手の仕様によって、使い勝手も変わります。今回ご紹介したおすすめ商品も参考にして、日本酒をおいしく飲めるちろりをぜひ見つけてくださいね。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/01/12 商品リンクを取り直しました。(マイナビおすすめナビ編集部 渡辺裕美)
地元北海道の食材を使った商品開発のコンサルタント。発売した商品はビール、ドレッシング、醤油、甘酒、魚加工品、炊き込みご飯の素、スイーツなど。北海道を食と観光で応援したいと思っています。 現在はグルメ、日本酒、ワイン、観光情報のサイトで記事を執筆。時間のある時には、農家さんの手伝いをして農業の勉強もしています。 趣味はアウトドアと飲み歩き。特に日本酒が好きで、日本酒ナビゲーターの資格を所持。また、自動車ディーラーに20年以上勤めていました。