「熱燗」はどんな飲み方?
熱燗とは、温めた日本酒のことで、寒い季節や地方でよく親しまれている飲み方です。さらに、熱燗のなかでも温度によって呼び方がさまざまあり、人肌前後の温度だと「人肌燗」、より熱くしたものを「とびきり燗」というなど奥深い飲み方です。
また、日本酒は温度によって味わいや風味が変わるのが特徴。ふだんは冷酒などで楽しんでいる人も、ぜひ熱燗を試してみて、新しい日本酒の風味を味わってみましょう。
熱燗でおいしい日本酒選びのポイント
熱燗に合う日本酒の選び方をチェックしていきましょう。唎酒師で酒屋の三代目でもある小林健太さんのアドバイスもご紹介しています。自分の好みにぴったりの熱燗に合う日本酒を選ぶために参考にしてみてくださいね。
【1】燗の温度から選ぶ
ひと口で熱燗といっても、温めた温度によって味わいや風味はさまざまです。そこで、熱燗の温度ごとにぴったりの日本酒の特徴を把握しておきましょう。
●温度が低めの「人肌燗」や「ぬる燗」
30度~40度のやや低めの温度帯の熱燗は、「日向燗」や「人肌燗」、「ぬる燗」といった種類があります。この温度の日本酒は、お米の甘みやコクを強く感じられるのが特徴で、角のないやわらかい口当たりを楽しめます。
そのため、純米酒などのシンプルな素材で作られた日本酒ほど豊かな風味を感じられ、熱燗の魅力を堪能できます。
●温度が高めの「上燗」や「とびきり燗」
45℃~55℃といった、より高い音で飲むことを「日向燗」や「とびきり燗」と呼び、一般的に「熱燗」と呼ばれるのは約50℃のお酒を指しています。この温度帯はアルコールの感じ方が変わりやすく、日向燗や熱燗では辛さがやわらぎ、とびきり燗になると辛さを感じやすくなります。
そのため、アルコールを強く感じる本醸造酒は、この温度帯でも風味や旨味が変わりづらく、より熱い温度で楽しみたい人ほどぴったりです。
【2】旨みが濃いしっかりとした味わいのもの
酒屋の三代目/唎酒師/焼酎唎酒師
冷酒と比べ熱燗では、以下のように味わいが変化をします。
・香り:豊かにひろがる
・旨味:味わいがふくらむ
・酸味(乳酸)の変化:旨味成分に変わる
・飲み口:まろやかになり、より辛口になる
そのため、旨みが濃いしっかりとした味わいの純米酒は、その長所がより強く感じられるのでおすすめ。具体的には酸度、アミノ酸度が、それぞれ1.5以上のお酒は旨みが濃い、しっかりとした味わいのお酒になると言われています。同様に、数年以上熟成させたお酒も、熟成による旨みを感じやすくなるためおすすめです。一般的にこのタイプの日本酒は、少し熱いと感じる45度前後から、55度前後の熱めの燗までが良いと言われています。
【3】「山廃造り」や「生酛造り」など酸味にも注目
酒屋の三代目/唎酒師/焼酎唎酒師
一般的な山廃(やまはい)造り、生酛(きもと)造りのお酒は、ヨーグルトのような酸味(乳酸)と力強い旨み、コク、苦みといった特徴があります。燗をつけると旨みが増し、まろやかになると同時に、苦みなどを適度にマスキングしてくれるでしょう。
また、お酒に含まれる酸味の中には、冷旨酸(れいしさん)と温旨酸(おんしさん)と呼ばれる、冷やしておいしい酸と、温めておいしい酸があります。山廃造り、生酛造りのお酒は相対的に酸味が多く、冷たい温度では感じられなかった温旨酸を感じられるのでおすすめです。一般的にこのタイプの日本酒は、少し熱いと感じる45度前後から、55度前後の熱めの燗までが良いと言われています。
【4】シンプルな「純米酒」や「本醸造酒」がおいしい
酒屋の三代目/唎酒師/焼酎唎酒師
淡麗辛口でスッキリとした本醸造酒や、優しい飲み口の軽快な純米酒なども熱燗におすすめです。華やかな香りの大吟醸酒や甘みが濃い生原酒などは、燗をつけると味わいのバランスが崩れてしまうことがあります。
スッキリとしたシンプルなお酒は、燗にしても味わいのバランスが崩れることが少なくおすすめです。また、隠れていた酸味がはっきりと感じられるようになるなど「燗上がり(燗でとくにおいしくなること)」がわかりやすいという特徴もあります。一般的にこのタイプの日本酒は、人肌程度の35度~40度前後が良いと言われています。
熱燗でおいしい日本酒おすすめ15選 酒屋の三代目が厳選
上記で紹介した熱燗でおいしい日本酒の選び方のポイントをふまえて、酒屋の三代目の小林健太さんと編集部が選んだおすすめ商品を紹介します。

千代むすび酒造『千代むすび 純米辛口 じゅんから』






出典:Amazon
原料米 | 五百万石(鳥取県産) |
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精米歩合 | 56% |
日本酒度 | +15 |
酸度 | 1.4 |
アルコール度 | 16~17度 |
容量 | 300・720・1800ml |
アミノ酸度 | - |

名手酒造『純米酒 黒牛』

出典:Amazon
原料米 | 山田錦、酒造好適米 |
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精米歩合 | 麹50%、掛60% |
日本酒度 | +4.0 |
酸度 | 1.6 |
アルコール度 | 15.6度 |
容量 | 180・300・720・1800ml |
アミノ酸度 | 1.5 |

神亀酒造『神亀 純米清酒』

出典:Amazon
原料米 | 山田錦 |
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精米歩合 | 60% |
日本酒度 | +5〜+6 |
酸度 | 1.5 |
アルコール度 | 15度以上16度未満 |
容量 | 180・300・500・720・1800ml |
アミノ酸度 | - |

出羽桜酒造『出羽桜 三年熟成大古酒 枯山水』








出典:Amazon
原料米 | 国産米 |
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精米歩合 | 55% |
日本酒度 | +5 |
酸度 | 1.3 |
アルコール度 | 15度 |
容量 | 720・1800ml |
アミノ酸度 | - |

西田酒造『特別純米酒 山廃 田酒』








出典:Amazon
原料米 | 華吹雪 |
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精米歩合 | 55% |
日本酒度 | ±0 |
酸度 | 1.6 |
アルコール度 | 15.5度 |
容量 | 720・1800ml |
アミノ酸度 | - |

朝日酒造『純米大吟醸(山廃仕込)久保田 碧寿』












出典:Amazon
原料米 | 五百万石 |
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精米歩合 | 50% |
日本酒度 | +2 |
酸度 | 1.2 |
アルコール度 | 15度 |
容量 | 720・1800ml |
アミノ酸度 | - |

東北銘醸『初孫 生酛純米酒』

出典:Amazon
原料米 | 山形県産米 |
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精米歩合 | 60% |
日本酒度 | +3 |
酸度 | 1.4 |
アルコール度 | 15.3度 |
容量 | 180・300・720・1800ml |
アミノ酸度 | 1.5 |

山本『白瀑 純米酒 ど辛』






出典:Amazon
原料米 | ぎんさん(秋田県湯沢市産) |
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精米歩合 | 65% |
日本酒度 | +15 |
酸度 | 1.8 |
アルコール度 | 15度 |
容量 | 720・1800ml |
アミノ酸度 | - |

高橋商店『繁桝 特別純米 ひやおろし』

出典:Amazon
原料米 | 国産米 |
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精米歩合 | 60% |
日本酒度 | +1~+3 |
酸度 | - |
アルコール度 | 16度以上17度未満 |
容量 | 720・1800ml |
アミノ酸度 | - |

八海醸造『特別本醸造 八海山』

出典:Amazon
原料米 | 麹米:五百万石、掛米:五百万石、トドロキワセほか |
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精米歩合 | 55% |
日本酒度 | +4.0 |
酸度 | 1.0 |
アルコール度 | 15.5度 |
容量 | 180・300・720・1800ml |
アミノ酸度 | 1.2 |
油長酒造 『風の森純米吟醸無濾過生原酒』












出典:Amazon
原料米 | 秋津穂(奈良県産) |
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精米歩合 | 50% |
日本酒度 | +4 |
酸度 | 1.9 |
アルコール度 | 17.5度 |
容量 | 720ml |
アミノ酸度 | - |
朝日酒造『久保田 千寿』






出典:Amazon
原料米 | 五百万石 |
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精米歩合 | 50%~55% |
日本酒度 | +5 |
酸度 | 1.1 |
アルコール度 | 15度 |
容量 | 720・1800ml |
アミノ酸度 | - |
大七酒造『大七生もと純米』








出典:Amazon
原料米 | 五百万石 |
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精米歩合 | 65% |
日本酒度 | +3 |
酸度 | 1.8 |
アルコール度 | 15~16度 |
容量 | 720・1800ml |
アミノ酸度 | - |
木下酒造『玉川 自然仕込 純米酒』

出典:Amazon
原料米 | 北錦 |
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精米歩合 | 66% |
日本酒度 | +9 |
酸度 | - |
アルコール度 | 18度 |
容量 | 720・1800ml |
アミノ酸度 | - |
旭食品『酔鯨特別本酒造』
![酔鯨特別純米酒瓶720ml[高知県]](/assets/loading-gif-831efa60fcaad8b543579bb1809cf3a0cded0accde7b020d68cf390d70415d6c.gif)
出典:Amazon
原料米 | 米・米こうじ |
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精米歩合 | 55% |
日本酒度 | +6 |
酸度 | 1.6 |
アルコール度 | 15% |
容量 | 720・1800ml |
アミノ酸度 | - |
おすすめ商品の比較一覧表
【最後に】酒屋の三代目のアドバイス
酒屋の三代目/唎酒師/焼酎唎酒師
燗酒はいろいろな温度での飲み比べが楽しい
燗酒というと熱々の温度をイメージする方や、何度に温めるべきか難しいと感じる方もおられると思います。飲食店でお店の一押しの温度の燗酒を楽しむのもいいですが、燗酒の一番の楽しみは、少しずつ温度を変えて「一番おいしい温度を探すこと」。
テーブルにお湯と酒燗計(温度計)を用意して、大体5℃刻みで「温める」「飲む」を繰り返し、一番おいしい温度を探す「飲み比べ」がおすすめです。ぜひ気軽な気持ちで飲み比べを試してみて下さい。
【関連記事】その他の日本酒をチェック
日本酒の基礎知識も紹介しているので、これから日本酒を楽しもうという方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
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※2020/12/04 コンテンツ追加のため、記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 加藤佑一)
東京都板橋区の地酒専門店 若松屋酒店の三代目。 1982年、板橋区高島平生まれ。 2016年に約12年務めた会社を退職し、酒屋修行のため1年間全国の酒蔵を訪問。 2017年、実家である板橋区高島平の若松屋酒店に入社。 店頭での業務に加え、日本酒、焼酎の魅力を1人でも多くの方に知って欲しいとの想いで、ライター活動も行う。 唎酒師、焼酎唎酒師、酒匠、日本酒学講師、SAKE DIPLOMA。