福岡の日本酒の特徴
福岡の日本酒は、淡麗辛口な味わいが多いのが特徴。水炊きや明太子、とんこつラーメンなど、福岡県のご当地食品に相性のいいスッキリとした飲みごたえがあります。
また地域によって、もつ鍋といった濃い味に合う甘口の日本酒も製造されているなど、土地の名産の食べ物に合う日本酒も人気です。
代表的な蔵元をご紹介
一口に日本酒といっても蔵元ごとに味わいが異なるため、それぞれの蔵元の特徴やこだわりを知ることができれば自分好みのものを見つけやすくなるでしょう。ここでは代表的な蔵元と銘柄をご紹介します。
●高橋商店|代表銘柄は「繁桝」
創業以来、品質第一を掲げ、手造りの伝統を守り育てる蔵元。県産米と水にこだわり醸すお酒は、約30種類を数えます。
●喜多屋|代表銘柄は「喜多屋」
社長や酒造技術者、杜氏と蔵人が一体となり酒造りを行っている蔵元。代表銘柄である「喜多屋」のほか、「寒山水」や「蒼田」なども人気があります。
●みいの寿|代表銘柄は「三井の寿」
純米にこだわる吟醸蔵。「酒造りは、科学とセンスと情熱」をモットーに斬新な発想で新しい味わいを生み出し続けています。
●比翼鶴酒造|代表銘柄は「比翼鶴」
「また飲みたくなるお酒」が蔵元のモットー。特定名称酒のみを醸造しています。
●寒北斗酒造|代表銘柄は「寒北斗」
古き良き「福岡らしい味」を守り育てるお酒として生まれたのが代表銘柄である「寒北斗」です。
●若波酒造|代表銘柄は「若波」
主張しすぎないお酒造りが蔵元の目指すお酒。チーム若波と呼ぶ5名のメンバーで酒造りを行っています。
●若竹屋酒造場|代表銘柄は「若竹屋」
若竹屋でしかつくれない酒を目指し、良質のミネラル分が豊富な水縄水系の水にこだわり、自ら米作りも行っています。
●白糸酒造|代表銘柄は「白糸」
山田錦の銘産地である福岡県糸島市にある蔵です。原料米はすべて山田錦を使用、代表銘柄である「白糸」のほかに「田中」ブランドも人気です。
●杜の蔵|代表銘柄は「杜の蔵」
水と米で醸す純米酒にこだわり酒造りを行う蔵元。代表銘柄のほかに、食とあわせて楽しめる「独楽蔵(こまぐら)」があります。
●旭菊酒造|代表銘柄は「旭菊」
全国新酒鑑評会での受賞歴もある老舗蔵元。代表銘柄である「旭菊」のほか、契約栽培している山田錦だけで醸した「綾花(あやか)」も人気があります。
福岡の日本酒おすすめ13選 食中酒にも!
うえで紹介した福岡の日本酒の選び方のポイントをふまえて、おすすめ商品を紹介します。気になる日本酒があれば、ぜひ一度手に取って味わってみてくださいね。
太閤秀吉も愛でた、中世のにごり酒
室町時代に造られていて、豊臣秀吉にも献上されたと伝えられている酒のレシピを先代の蔵元が復刻しました。
アルコール度数はわずか4度という特異な日本酒で、見た目はにごり酒に似ていますが、トロリとした絹ごしの口あたりとアルコール度数も低いことから、想像する以上にソフトな飲み口です。
また、もち米を使っていることからやさしい甘みもあり、ほのかな酸味に加えヨーグルトのような感触もあります。箸休めのタイミングや食後酒を探している方にもおすすめです。
「お替りしたくなる酒」を目指す蔵元の定番商品
伝統を受け継ぎながら現代にあった酒造りを追求する蔵元が造る定番酒。飲み口はすっきりと軽く、それでいて味わい深い、そんなお酒に仕上がっています。デザインもおしゃれでパーティーの席やプレゼントとしても最適でしょう。
淡麗辛口で飲むシーンを選ばないお酒
主張しすぎないお酒造りが蔵元の目指すお酒。この商品はやや淡麗辛口で飲みやすく、食中酒として最適です。飲み方は、冷や・常温・ぬる燗が合います。
蔵元の自信作である「極醸」の大吟醸酒
IWC2013日本酒部門で第1位である「チャンピオン・サケ」を受賞した銘酒。地元糸島産の山田錦を磨きあげて造ったお酒は、やや淡麗辛口で、やわらかくなめらかな飲み口、華やかでフルーティーな香りにあふれています。
本格辛口でキレを楽しめるお酒
日本酒度は+14でかなり辛口の純米吟醸。辛口ですが米の旨味もしっかりあり、飲み飽きしないお酒です。2年間の試験醸造の後、レギュラー商品となった一本。デザインもダブルラベルと個性が光ります。
「田んぼの真ん中」から生まれる芳醇な純米酒
蔵元の苗字も「田中」ですが、銘柄の「田中」は「田んぼの真中」から、田園地帯にある酒蔵で造られた酒であることを意味しています。酒蔵のある糸島は、県内でも優良な酒米である「山田錦」の産地となっており、この米を65%に精米したというのが「六五」の由来。
8代目蔵元の田中克典さんが立ち上げた新しいブランドで、この地で育った米からできた純米酒というコンセプトも表しています。芳醇な「山田錦」特有の旨味を感じたい方におすすめ。しっかりとした味を出すのが福岡の酒全般に共通する傾向です。
創業300年の伝統を引き継ぐ一本
米には、福岡県産の酒造好適米を、水には、酒造用水として有効な成分を適度に含んだ矢部川の伏流水を使うなど、原料にこだわった酒造りが特徴です。華やかな吟醸香とふくよかな味わいが印象的な辛口の純米吟醸酒。常温や冷酒がおすすめの飲み方です。
温度と料理の相性が幅広い、食中酒の決定版
甘辛中間タイプではあるものの、ほんのりと米に由来するきれいな甘みが感じられます。そのような酒の味のタイプを「旨口(うまくち)」と呼ぶケースがありますが、まさにそれを体現している純米酒。
なめらかでやわらかい飲み口でありながら深みのある味わいは、ビギナーから酒通の人まで幅広く支持されているので、あまり日本酒になじみがない方にもおすすめです。蔵元は燗(かん)にして飲むことを提唱していますが、冷やして飲んでも豊かな味わいが感じられます。
バランスのよい、端正で洗練された純米吟醸
会社名と同じ主力ブランド「杜の蔵」の代表商品。福岡県が開発した独自の酒米「夢一献」を使用し、米の旨味をきかせた純米酒と、端正で華麗な吟醸(ぎんじょう)造りの両面を取り入れた、いいとこどりの酒と言えるでしょう。
冷酒から常温、ぬる燗まで温度帯の幅も広く、純米酒のみを造っている蔵元が探求している、ひとつの理想が結実したというような酒質に仕上がっています。ひとつの日本酒をさまざまな飲み方で試してみたいという方におすすめです。
米の旨味をしっかり味わえるお酒
精米歩合70%で、米の旨味とコクが凝縮された一本。福岡県酒類鑑評会での受賞歴もあり、うまさには定評があります。昔ながらの懐かしい味を楽しみたい方はぜひ。
冷やでも燗でもおいしく飲める
同社の定番商品がこの旨口の純米酒。やさしい香りとスッキリした飲み口が特徴で、火入れ後に半年間熟成させることによりこの味わいが作られます。
秘伝の黒麹造りを味わえる純米吟醸酒
黒麹で仕込んだやや辛口の純米吟醸酒。洋ナシやリンゴを想起させる酸味と米の旨味をしっかり感じられるとても個性的な味わい。少し冷やして飲むのがおすすめです。
飲み飽きしない軽快な味わい
山田錦のまろやかさとキレの良さを引き出した純米酒。名水の郷「浮羽」の水で醸すお酒は、ほどよい香りと米の旨味が感じられ食中酒に最適です。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 福岡の日本酒の売れ筋をチェック
楽天市場、Yahoo!ショッピングでの福岡の日本酒の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
福岡の日本酒の選び方 酒米・精米歩合・甘み
福岡の日本酒を選ぶときのポイントを紹介します。ポイントは下記。
【1】県産の酒米を用いた純米酒、純米吟醸酒を選ぶ
【2】酒米の精米歩合で選ぶ
【3】米の甘みが感じられる日本酒を選ぶ
【4】歴史のロマンを感じたいなら、復刻版がおすすめ
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】県産の酒米を用いた純米酒、純米吟醸酒を選ぶ
気温が高い九州で造られる酒は、発酵が進みやすく味が多く出る傾向があります。福岡の酒もそれを受けて、濃厚な風味が特徴であるといえます。また筑後川流域を中心とする米どころとしても知られ、酒造りに用いられる酒米についても生産が盛んです。
酒造用では最高の品質といわれる「山田錦」も多く作られており、また「夢一献」というこの県独自の酒米品種があります。これらを用いた純米酒や純米吟醸酒には、とくに米に由来する旨味を感じる、ふくよかで味わい深い酒が多いのが特徴です。
【2】酒米の精米歩合で選ぶ
水炊きや明太子、もつ鍋、長浜ラーメンなど、福岡を代表する料理はどちらかというと濃厚な風味で、香辛料などを使う点も特徴があります。また九州の醤油や味噌は全般に甘い傾向があり、温暖な気候や中国大陸や朝鮮半島などとの交易を通じて、独自の食文化が培われてきました。
味わい豊かな福岡の酒もこれらの料理や味つけとの相性はよく、薄味の和食以外にもスパイスやドレッシングなどを用いた料理とマッチします。そのような料理と楽しむ際には、どちらかというと米を高度に精米していない、精米歩合で50%以上(たとえば 60%、65%など)のものを選ぶとよいでしょう。
【3】米の甘みが感じられる日本酒を選ぶ
一時期の辛口酒人気は一段落し、今は米の旨味を感じさせる「旨口(うまくち)」というタイプが主流になっているといわれています。福岡の酒もそのようなトレンドに合っていることもあり、甘口を好む方にもおすすめできる酒が多いのが特徴です。
日本酒の甘辛度を示す「日本酒度」という指標があります。これは+(プラス)に行けば行くほど辛口で、-(マイナス)になるほど甘口であることを示す数値です。プラスマイナス前後が中口ということになりますが、福岡の酒は+1から+3程度の日本酒度のものでも、米の甘み、旨味を感じさせるものが多いのが特徴です。この日本酒度を参考に、好みの甘さや旨味のものを探してみることをおすすめします。
【4】歴史のロマンを感じたいなら、復刻版がおすすめ
大宰府や博多など、昔から福岡は九州だけでなく、日本の歴史のうえでも重要な役割を担ってきた地域です。そのような歴史のある土地柄を意識して、酒蔵のなかには昔の酒造りの文献を紐解き、かつて飲まれていた酒を復刻して製品化しているところもあります。
元禄、明治など、具体的な時代の名を商品名にうたった酒もあり、今の一般的な日本酒とはまったく違う、ユニークな風味が楽しめます。
エキスパートのアドバイス
多様化する食に合う、懐深い福岡の酒!
焼酎圏と隣接している九州の日本酒は、焼酎との差別化ということも重要なテーマでした。どちらかというと味わいの少ない蒸留酒である焼酎に対抗するところからも、味わいの多いしっかりとした旨味のある酒が造られ、また飲まれてきました。
今日私たちの嗜好(しこう)も多様化し、洋風なテイスト、肉や脂っこい料理を食べる機会も増えてきています。居酒屋のメニューなどもそのような傾向がありますので、概して味が太く旨味の強い福岡の酒は、現代の食文化に見合った汎用性があるといえます。
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福岡の日本酒の味わいや風味に注目
福岡の日本酒をご紹介しました。九州・福岡は酒どころが多いことでも有名なだけに美味しい日本酒を多数取り揃えています。それぞれの味わいや風味にも着目してくださいね。
ぜひこの記事を参考に、あなたにぴったりな福岡の日本酒をみつけてくださいね。
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1960年、横浜市生まれ。大学卒業後、西武百貨店に入社。 商品部、渋谷店などで酒類販売、バイヤーを担当。 1997年に退社し、酒類ジャーナリスト、コンサルタントとして活躍中。 また同年に「日本酒輸出協会」を結成し会長として、日本酒の海外マーケティング、プロモーションに携わる。 「日本酒市民講座」、「うらかすみ日本酒塾」等、消費者対象の日本酒セミナーの講師を担当するほか、各県の清酒鑑評会審査委員、佐賀県、長野県の「原産地呼称管理委員会」清酒焼酎部門の官能審査員のほか、海外での「全米日本酒歓評会」「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」等の審査員を務める。 著書に「大人の探検・日本酒」(監修・実業之日本社)、「日本酒のテキスト①、②」(同友館)など。 「純粋日本酒協会」きき酒コンテストでは30回以上名人となり、永久名人に認定される。