万葉集にも登場した岡山県の日本酒
岡山県は古くからの銘醸地で、奈良時代末期の万葉集には吉備の酒を詠んだ歌が登場しています。
また、安土桃山時代に豊臣秀吉公がおこなった醍醐の花見にも、児島諸白の酒が登場しています。明治後期から昭和前期におこなわれた全国清酒品評会では、昭和初期に岡山酒の躍進が目立ち、現在でも銘酒が数多く存在。歴史ある銘醸地だけあって、知名度が低いものでも高品質のお酒が数多く存在します。
岡山の日本酒おすすめ18選
ここからはおすすめしたい岡山の日本酒をご紹介していきます。日本酒学講師の石黒建大さんに選んでもらった日本酒も掲載しているのでぜひチェックしてみてください。
▼専門家のイチオシ
それでは早速、酒匠/日本酒学講師でもある、石黒 建大さんが厳選した、岡山県の日本酒のおすすめ商品をご紹介します。お酒の専門家が選んだ日本酒は、一体どれだったのでしょうか?

岡山の雄町米の良さを最大限引き出した逸品
1716年、徳川吉宗公の時代に創業され、300年以上の歴史を誇る老舗。熟練した蔵人が伝統的な酒造りの技法のもと、酒蔵の北に日本第一熊野神社、南に五流尊瀧院(ごりゅうそんりゅういん)と寺院に囲まれた地で、裏山より湧き出た霊水を使った酒造りをおこなっています。
こちらの『庵 特別純米 備前雄町』は、大阪の酒類専門商社であるモトックスとの共同開発商品で、地元の契約栽培の雄町米を使用した特別限定ボトルです。その味わいはなめらかでふくらみがあり、後味のキレのよさが特徴で、清楚な果実香を含んでいます。
おすすめの飲用温度帯は12℃前後、または40℃前後。冷やしてふわりとしつつ、キレのよい味わいを楽しむか、ぬる燗にてなめらかでふくらみのある味わいが楽しめます。
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名君、池田光正公の名前を冠した隠れた銘酒
創業は大正年間の1918年、銘柄の櫻芳烈は岡山藩主三代目、名君として知られる池田光政公のおくり名「芳烈公」にちなんでいます。岡山産の酒米と有漢川の伏流水を使用し、杜氏歴44年のベテラン杜氏が酒造りをおこなっています。
こちらの生原酒は、地元産の米のアキヒカリを使用したやや甘口のお酒。できる前から予約が入るほどの人気酒で、なめらかでふくよか、後味のキレのよさが特徴です。
おすすめの飲用温度帯は12℃前後、45℃前後。少し冷やしてフレッシュな柑橘香と柔らかな味わいを楽しむか、燗にてなめらかでふくよか、後味のキレのよい味わいを楽しめます。
※リンク先はふるさと納税用となっています。

地産地消にこだわった老舗の銘酒
創業は1688年(元禄元年)の老舗酒蔵です。1891年は千石蔵となり、その後に開催された全国清酒品評会でも入賞を重ね銘酒として知られるようになりました。1985年より全面的に地元雄町米の使用に切り替え、地産地消の酒造りをおこなうようになり、水は雄町の冷泉を使用しています。
こちらの『櫻室町 純米吟醸 備前幻』の味わいはやわらかくふくらみがあり、シャープでスッキリとした後味が特徴です。おすすめの温度帯は12℃前後、または40℃前後。冷やしてふくらみのある滑らかでシャープな味わいと清楚な果実香を楽しむか、ぬる燗にてやわらかくふくよかな味わいを楽しむかです。

地産地消にこだわった勝山藩御用達の銘酒
創業は1804年、御前酒の銘は美作勝山藩御用達の献上酒「御膳酒」の銘を受けたことから。地元の米、地元の水、地元の技にこだわり、水は旭川の伏流水、米は地元産の雄町や山田錦を主に使用しています(岡山県は雄町米だけでなく、良質の山田錦の産地でもあります)。杜氏は女性杜氏の辻麻衣子氏で、旨味があってキレのいい酒造りを目指しています。
こちらの『美禄 純米酒』は、地元産の山田錦を全量使用した食中酒で、ふくらみがありしっとりした味わいで、後味がスパッと切れるお酒。
おすすめの飲用温度帯は15℃前後で、少し冷やしてふわりとしつつキレのいい味わいを楽しむか、50℃前後で燗(かん)にしてふくらみがありしっとりとした味わいを楽しむかです。

IWCで2年連続金賞を受賞したベストセラー商品
1913年創業の比較的若い酒蔵で、常に自分たちも消費者であることを意識した酒造りをおこなっている酒蔵です。
こちらの『特別本醸造酒 秘宝』はイギリス・ロンドンで毎年4月に開催されるワインコンペIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の「SAKE部門」で、2017年と2018年の2年連続でゴールドメダルを獲得した嘉美心酒造の代表作。その味わいは、ふわりと繊細でやわらかく、後味がさらりと消えるのが特徴です。
おすすめの飲用温度帯は12℃前後や40℃前後で、冷やしてやわらかくさらりとした味わいを楽しむ、または燗にして、ふくらみがありやわらかく繊細な味わいを楽しめます。

燦然(さんぜん)と輝く高品質の特別純米酒
かつて千石船(せんごくぶね)の行きかった備中玉島の港町(現在の倉敷市玉島地区)の問屋街の一角にある菊池酒造は、明治11年(1878年)に創業。蔵内にモーツアルトの音楽が流れるなかで、高梁川流域の水とすぐれた備中杜氏の技術を持って品質にこだわった酒造りをおこなっています。
こちらの特別純米酒は岡山県産の雄町米を使用し、やわらかくまろやかで切れ味のよい味わいが特徴。20℃前後でやわらかくスッキリとした味わいを、また40℃前後のぬる燗にてふくよかでまろやかな味わいを楽しめます。

備中杜氏の技で仕込まれた穏やかな味わいの逸品
創業は明治期の1886年、備中杜氏のふるさとのひとつ高梁市成羽町にある酒蔵です。地元産の雄町や山田錦、朝日米、幻の酒米である造酒錦(みきにしき)や白菊を復活させ、高梁川水系の伏流水を使用し、備中杜氏のなかの成羽杜氏(なりわとうじ)の技で酒造りをおこなっています。
こちらの『大典白菊 純米吟醸 備州』は、雄町、山田錦、朝日米で造られ熟成した原酒をブレンド。スッキリシャープでややふくらみのある、おだやかな香りが特徴です。
おすすめの飲用温度帯は10℃前後、45℃前後。少し冷やしてスッキリシャープな飲み口とほのかな柑橘香を楽しむか、燗にするとふくらみがあり滑らかで、シャープな後味を楽しめます。

雄町米を復活させた酒蔵の逸品
雄町米は、昭和初期に全国清酒品評会で「上位入賞するには雄町米で醸した吟醸酒でなければ不可能」とさえ言われていたほど。
なかでも軽部産の雄町は最高と言われていましたが、草丈が高く病害虫に弱いうえ農業の機械化に不向きでした。戦後、農業の機械化が進むとともに栽培面積が減っていましたが、その軽部産雄町を復活させ、「赤磐(あかいわ)雄町米」と命名したのが利守酒造の四代目の利守忠義氏です。
こちらの雄町米を使用した生酛(きもと)造りの純米吟醸酒は、ふくよかでなめらか、後味のキレのよさが特徴。おすすめの飲用温度帯は20℃前後、または45℃前後の普通燗です。ひや酒にてふくらみがありスッキリした味わいを楽しむか、燗にてやわらかくふくよかな味わいを楽しむかです。
▼編集部のイチオシ
ここからは、通販サイトの売れ筋ランキングを参考に編集部が選んだ岡山の日本酒をご紹介します。
フルーティーでお酒が苦手な人も飲みやすい
あんずやスモモのような甘酸っぱさ、フルーティーさが特徴のワインテイストの日本酒。「これが日本酒?」と思ってしまうような新感覚のお酒です。
爽やかな味わいで、アルコール度数が8度と低めなのもポイント。お酒が苦手な方、日本酒が苦手な方も飲みやすくなっています。甘口でまろやかな日本酒がお好みの方にも一度試してほしい、ほかにはない味わいです。
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自然の恵みと奇跡が育んだふくよかな旨みが特徴
「奇跡のりんご」で知られる木村秋則氏の提唱する肥料・農薬を使用しない自然栽培で収穫した米「雄町」で醸した日本酒。雄町のふくよかな旨みが感じられる純米吟醸です。
米の段階からこだわり抜いたお酒は、自然そのものの味わいを大切にしたい方におすすめ。芳醇で豊かな香りを楽しめるこちらは、フェミナリーズ世界ワインコンクール2020日本酒部門第1位にも輝きました。

心華やぐフルーティーな香りが上品な純米大吟醸
全国有数の米どころ、岡山県赤磐市で収穫された朝日を使用した純米大吟醸です。米本来の旨みを引き出すため、低温でじっくりと造られています。
特徴的なフルーティーな香りは、どこか洋梨を感じさせる上品な香り。まろやかな口当たりで、フルーティーな風味を最後まで楽しむことができます。ワインテイストに近い味わいをお探しの方におすすめです。
さわやかでまろやかな大吟醸の極み!
杜氏によって、丁寧に造られたこちらは、さわやかさとまろやかさのベストマッチを感じられる大吟醸です。全国新酒鑑評会やコンクール、日本酒アワードなどで数々の賞を受賞。
宮下酒造最高峰のお酒とも称されており、大吟醸を追求した最高峰の日本酒と言えるでしょう。飲み方は常温がおすすめ。極み抜かれた味わい、香りを堪能できるはずです。
日本酒の味をダイレクトに楽しめる原酒
出来たての純米酒を無濾過で直汲みした原酒なので、上質な日本酒の本来の味わいをしっかりと楽しむことができます。特に開封直後は発酵の過程で生まれる炭酸ガスの残存感も楽しむことができます。もちろん、開封後ある程度の時間が経過することで炭酸ガスも抜け、またこのお酒本来の味わいをしっかりと楽しめるようになります。
華やかな香りの吟醸生原酒
米のうまみがしっかりと凝縮された芳醇な味わいをしっかりと楽しむことができる純米吟醸の生原酒です。絞る際に極力圧力を加えないように丁寧に作業することによって、まるでフルーツのような優しい香りを楽しむことができます。多くの銘酒のある岡山県でも特に高い人気を誇る完全予約受注生産の特別な日本酒なので、贈り物にもおすすめです。
世界でも評価される大吟醸
酒米の王様とも称される上質な山田錦を贅沢に35%にまで磨き上げることによって、華やかな味わいに仕上げられた大吟醸です。ブリュッセル国際コンクールにおいてもトロフィーを受賞するなど、ジャパニーズSAKEとして世界的にも高く評価されている日本酒です。飲みやすく洗練された本格的な日本酒を味わいたい方におすすめです。
華やかな香りとまろやかな味わい
山田錦を贅沢に50%まで磨き上げることによって、最上級の酒米の味わいを最大限にまで引き出した純米大吟醸です。華やかな香りとまろやかな味わいを楽しむことができます。後味はすっきりとしており、切れ味もあるのでさまざまな料理にマッチする日本酒となっています。より純粋な岡山の日本酒を味わいたいという方におすすめの銘酒です。
毎日飲みたい純米酒
純粋な米のうまみをたっぷりと引き出すことによって、毎日飲んでも飲み飽きない純米酒に仕上げられています。クセもあまりなくとても飲みやすいのでさまざまな料理においしさをしっかりと引き出してくれます。価格も比較的リーズナブルなので、特別な日というよりも毎日の食卓、晩酌のお供にする日本酒を探している方におすすめの日本酒です。
ふくよかな香りを楽しめる
美しい水と、古くから受け継がれてきた伝統の技法によって丁寧に作られているのでふくよかな香りと、繊細で奥深い味わいを楽しむことができます。まさに岡山の豊かな自然によって生み出された日本酒であると言えるでしょう。少し冷やすことによってその味わいや香りをより豊かに楽しむことができます。お食事のお供にもおすすめの日本酒です。
▼おすすめ商品の比較一覧表
各通販サイトの人気ランキング 岡山 日本酒の売れ筋をチェック
Amazonでの岡山 日本酒の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
岡山県の日本酒の選び方
酒匠で日本酒学講師の石黒建大さんに、岡山県の日本酒を選ぶときのポイントを3つ教えてもらいました。
【1】岡山県で作られる酒造好適米「雄町」の酒に注目
【2】酒造りに欠かせない「水」をチェック
【3】「杜氏」の技術に注目して選ぶ
1つずつみていきましょう。
【1】岡山県で作られる酒造好適米「雄町」の酒に注目
岡山県で造られる酒造好適米の代表と言えば雄町。江戸時代末期より盛んに栽培がおこなわれ、昭和初期には酒造好適米の代表格になりました。
栽培がむずかしく収量が少ない雄町は、戦後、栽培面積が減少し「幻の米」と呼ばれるように。昭和40年代後半から、利守酒造が中心となって雄町の復活栽培がおこなわれるようになり、現在では岡山を代表する酒米となっています。
雄町で造ったお酒の特徴は、濃醇でふくよかな旨味を持つこと。お酒選びに迷ったら「雄町米」が使われているものをチョイスしてみるといいでしょう。
【2】酒造りに欠かせない「水」をチェック
岡山県の地形は北部には中国山地が、南部は吉井川、旭川、高梁川(たかはしがわ)の三大河川の堆積作用によってできた岡山平野が広がっていて、その伏流水が酒造用水として利用されています。
旭川の伏流水である雄町の冷泉は、舌に優しくのどごしもさわやか。清浄、高潔と言われ、この水の出る地域に酒蔵が多く存在します。岡山県北、真庭市にある「塩釜の冷泉」は舌にやわらかく甘く、冷たい清涼な湧水。
岡山の水は水量が豊富で軟水又は、中軟水が多いです。「どんな水が使われているか」に注目して日本酒を選ぶのもいいでしょう。
【3】「杜氏」の技術に注目して選ぶ
岡山県には備中杜氏(びっちゅうとうじ)と呼ばれる杜氏集団が存在します。江戸時代後期より備中杜氏と呼ばれるようになり、大正年間には隆盛(りゅうせい)を極めました。現在では、ほかの流派の杜氏さんも加わって酒造りがおこなわれています。
地域の食文化と密着し、県北部の美作地方(津山市、真庭市、美作市など)では濃醇旨口型の酒が多くみられ、県南部の備前、備中地方(岡山市、玉野市、備前市、赤磐市、倉敷市、総社市、高梁市など)では淡麗辛口、甘口の酒が多くみられます。
どの地域で作られているのか、そしてどんな杜氏の技術が採用されているのかにも注目してみましょう。
そのほかの日本酒のおすすめはこちら 【関連記事】
高品質の酒造好適米で地産地消にこだろう
高品質の酒造好適米で地産地消にこだろう
岡山県の酒造好適米と言えば雄町米ですが、同時に高品質の山田錦の産地でもあります。日本酒造りに欠かせない水に関しては、吉井川、旭川、高梁川の三大河川の非常に豊富で高品質の伏流水が酒造用水として利用されています。
また、江戸後期の文化年間より備中杜氏の流派が確立し、明治時代後半におこなわれた第一回の全国清酒品評会で岡山の「口印 三角正宗」が優等5等に入賞。以降の品評会でも岡山県のお酒が上位入賞しており、岡山の高品質の酒造りの基礎を築いたと言えます。
現在では、備中杜氏のほかに越後杜氏、南部杜氏、但馬杜氏等が加わり酒造りをおこなっていますが、水、米、技と地産地消にこだわる酒蔵が多く存在し、隠れた銘酒もたくさん存在しています。
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