山口日本酒おすすめ11選 製法のストーリーからも
ここまでで紹介した山口の日本酒の選び方のポイントをふまえて、国際唎酒師・宇津木聡子さんに選んでもらった商品を紹介します。どれを選ぼうか迷ったときは、宇津木さんのおすすめを参考にしてみましょう。

徹底した酒造りと革新で世界に羽ばたく
国内、海外で大変な人気と知名度をほこる『獺祭』。日本初の23%精米、徹底したデータ管理、遠心分離システムでのしぼりなど、積極的な技術革新に取り組むのは、単純な合理化やこだわりではなく、真においしいお酒を目指すからこそです。ひとつの方向をもったブランド『獺祭』しか造らない姿には、ぶれのない筋のとおったお酒に対する姿勢を感じます。
こちらは山田錦を23%までみがきあげて醸した、『獺祭』のフラッグシップとされる純米大吟醸。上品で華やかな香り、さらりとした蜜のような甘味が特徴です。透明感のある味わいで雑味やクセがないので、あまり日本酒を飲みなれない方にもおすすめ。専用木箱入りで、ギフトにもぴったりです。

シンプルな造りが生みだす納得の味わい
蔵は、県の東部を流れる錦川からの分流「今津川」の河畔にあります。雁木(がんぎ)とは、船着場で荷物の積み下ろしに使う階段のことで、かつては蔵の河畔にもその雁木があったそうです。
杜氏でもある現在の五代目蔵元が、試行錯誤の末にたどり着いた納得のいくお酒にかつての雁木への想いをこめて名付けたのが「雁木」のはじまり。「余計なものを足したり引いたりしない酒造り」という理念のもとに造られるお酒はすべて、活性炭素による濾過(ろか)をしない無濾過の純米酒です。
雁木のベーシックのひとつであるこちらのお酒は、お米の旨味が心地よく、無濾過生原酒らしい飲みごたえがありながらも重さはありません。幅広く楽しめる食中酒としておすすめです。

チャレンジ精神旺盛な蔵が造る伝統製法の酒
蔵は、日本三名橋のひとつ「錦帯橋」で有名な岩国市にあります。錦川の伏流水と、契約農家と密に連携して育てるお米を使い、杜氏をはじめ蔵人は山口の出身者という体制でおこなわれる米・水・人が三位一体となった酒造りが特徴的です。日本酒の可能性への探求が感じられる限定酒なども折々造られ、ファンを楽しませています。
木桶を使って、自然の乳酸菌を生かす生もと造りで仕込むという、とても伝統的な手法で造られるこちらのお酒は、旨味、甘味、酸味がバランスよく融合し、一言では表現しづらい複雑さのある味わい。ふくよかな味わいは常温~ぬる燗にするとより深みが増します。
伝統的な造りのお酒を味わいたい方、コクのあるお酒を好む方におすすめです。

水の個性を映し出すバランス抜群の味わい
宇部市で、米作りから酒造りまでを一貫しておこなうのがこちらの蔵元。『貴』は2002年から販売が開始されたブランドで、「癒しと米味」をコンセプトに醸しだされる食中酒としての味わいは、近年ますます注目を集めています。
仕込み水に使われる、秋吉台のカルスト台地の石灰質を含む土壌から流れる厚東川(ことうがわ)の伏流水は、ミネラル分を含む中硬水。この水の特徴は、甘味をもちながらキレのあるすっきりとした『貴』の味わいにも生きています。
『貴』の定番であるこの純米酒は、柑橘のような酸のあるキレとお米の旨味が融合し、冷酒からお燗まで幅広く楽しめます。食事と合わせる、飲み飽きないお酒を探している方におすすめです。

世界でも高評価の透明感のある酒質
山口の萩にある酒蔵で、東洋美人は「稲をくぐり抜けた水」でありたい、というのがモットー。まだ記憶に新しい、2013年7月の山口・島根の集中豪雨で蔵は大きな被害を受けましたが、全国の酒蔵の応援もあって苦境のなかで酒造りを再開させることに成功しました。
そして、この純米吟醸で、世界一おいしい市販酒を選ぶ「Sake Competition」にて2018年、2019年連続で高位を受賞。バナナを思わせるフルーティーな香り、透明感ある甘味と酸味をもつ味わいがフレッシュに感じられます。どちらかというと、甘さのあるお酒を好む方におすすめですが、その甘味はいたってきれい。重たさやくどさはありません。

杜氏のプライドが詰まった自信作
錦川の上流の山あいにある蔵の敷地内には、超軟水の錦川伏流水、蔵近くの石灰岩地質から湧くミネラル豊富な硬水のふたつの井戸があり、その水を酒質によって使いわけています。
『日下無双』は、杜氏の日下信次氏の名前と世界・天下にならぶものがないほどすぐれているという意味を合わせて名づけられたブランド。自社酵母を使い、造りのすべての工程に格別なこだわりをこめ、少量仕込みで造られています。
特徴である「超低速精米」で時間をかけて45%まで磨きあげた上質の山田錦で醸した、品格ある香りと深みのある旨味が楽しめる純米大吟醸。味わいのすばらしさはもちろん、インパクトのある真っ赤なボトルは、贈りものにもおすすめです。

幅広く親しめる食中酒の王道
萩の阿武川河口にある三角州中央にある酒蔵。お米本来の味わいを活かした旨味のあるお酒を目指し、少量仕込みでの地域に根ざした地酒造りをしています。山田錦を使い、低温でじっくりと発酵をさせたこの純米酒には、まさに蔵元の目指すお米の味わいとやわらかな旨味があります。
あと味はほどよい余韻を残しながらもさっぱり。辛口というよりは、キレという表現が似合います。冷酒、常温、ぬる燗、熱燗まで幅広い温度帯で味わいの違いを楽しむのにうってつけの一本です。
お料理との相性も選択肢が広く、温度や食の組み合わせを試しながら、食中に楽しむお酒としておすすめです。

地元の農業とともに歩む日本酒造り
1887年の創業以来、品質重視を貫く蔵元で、「農業とともに生きる」という理念のもと地域の農業を基盤とした酒造りをしています。2019年には、6代目にあたるご子息が杜氏に就任し、若い世代に造りが託され今後がますます楽しみです。
こちらは、蔵のある三隅町で復刻に成功した山口発祥の幻の酒米「穀良都(こくりょうみやこ)」を使い、自然の乳酸菌を生かす伝統手法「山廃」で仕込んだものです。深みのある旨味と、やや高めの酸があり飲みごたえのある味わいは、肉料理やコクのある味つけの料理と好相性。冷酒やロック、あるいはお燗に、とさまざまな温度帯で楽しめるのも魅力です。飲みごたえのあるタイプのお酒を好む方におすすめです。
※Amazon・Yahoo!ショッピングは1本、楽天市場は6本の価格です。
伝統ある岡崎酒造場の逸品
岡崎酒造場は全国新酒鑑評会で数々の賞を受賞している酒造メーカーであり、全国で最初に日本酒リキュールを造った蔵です。こちらの「長門峡(ちょうもんきょう)」は、地元の景勝地からその名を付けられており、山田錦などの山口県産酒造好適米を100%使用していることが特徴的です。
阿武川の伏流水で育った、米の旨みを存分に感じることのできる辛口のお酒です。
まろやかな果実香と冴えのある大吟醸
大寒の時に、蔵人が昔ながらの伝統的な手造りで、丹精込めて醸した果実香とやわらかで冴えのある大吟醸です。中島屋酒造場は文政6年(1823年)4代目国五郎より、11代目の今日まで酒造一筋に経営を続けてきました。
酒名<寿>は、長命を願い、祝い事やその儀式に使われ、地元の方々に長い間愛され続けています。近年は、屋号<中島屋>を酒名としたこだわりの日本酒や、正統的な醸造法であるキモト造りで醸した商品を発売し、注目を集めています。
女性でも飲みやすい甘口
フルーティーで飲みやすい甘口の口当たりが特徴のお酒です。名前も可愛らしく、女性でも飲みやすいことが特徴。
江戸時代から続く歴史を持つ山城屋酒造が、酵母まで山口県産にこだわった日本酒です。すっきりとした甘口と柔らかい辛口の後口で、魚の塩焼きやお肉料理との相性も抜群。しっかり冷やしてから飲むのがおすすめです。
「山口の日本酒」のおすすめ商品の比較一覧表
山口の日本酒の選び方 山口県独自の味わいを!
国際唎酒師・宇津木聡子さんに、山口の日本酒を選ぶときのポイントを教えてもらいました。山口県の酒蔵の紹介も含めて、山口の日本酒を選ぶ参考にしてみてくださいね。
エリアや酒蔵の違いで選ぶ
山口は、本州最西端に位置し、三方を日本海、瀬戸内海、響灘(ひびきなだ)の海に囲まれ、また中部の美祢市には日本最大級のカルスト台地である「秋吉台」をかかえる、海・山の恵みが非常に豊かなところです。
全体的に「淡麗でありながら旨味がある」のが山口のお酒の味わいといわれますが、変化に富んだ風土とともに育まれたお酒も、実に変化に富んでいます。
あくまで傾向にはなりますが、すっきりしたタイプが好みなら海に面したエリアにある酒蔵のお酒、少しコクがあるものを飲みたいときは山間部に近いエリアにある酒蔵のお酒がおすすめ。どんな場所で造られているお酒なのかをチェックしながらその味わいの違いを楽しんでみましょう。
旭酒造
日本国内だけでなく、海外でもその名が知られているメーカーが旭酒造です。製造している日本酒は純米大吟醸「獺祭」だけという珍しいことを行っています。味わって楽しむことを目的としており、誰が飲んでもおいしいお酒を目指しています。
日本古来から伝わる作り方をやめ、データなどを利用した独自の作り方で、どの個体であれ、同じうまさを味わえる新しい時代の管理方法を用いています。
岩崎酒造
山口県で育った酒米と酵母、水を愛し、こだわりの味わいを作り出しているのが岩崎酒造です。長陽福娘(ちょうようふくむすめ)という製品がよく知られていますが、これは創業者に女の子が生まれたことから名付けられたお酒です。
鑑評会などでさまざまな賞を受けており、製品のよさは折り紙付きです。仕込まれる量は少量であるため、なかなか出会うことのできないお酒でもあります。
岡崎酒造場
岡崎酒造場は全国ではじめて日本酒リキュールを造ったメーカーで、日本酒の新しい道を作り続けています。しかしそこには伝統でつちかってきた技術があり、守るべきものがあるからこそでしょう。
阿武川の水を仕込み水とし、また地元で作られた酒米を原料として使用しています。同じ空気と土壌で育まれたものは相性がよく、米の旨みが存分に感じられ、ふくよかな味を楽しめるお酒に仕上がっています。
永山本家酒造場
永山本家酒造場は、伝統と革新の言葉が似合う、つねに変化し続けるメーカーです。昔から「男山」という多くの日本酒ファンが知るお酒を製造しています。しかし新たに豊潤な香りが特徴の「貴(たか)」が生まれて、新しい日本酒として知名度を上げています。
メーカーの特徴としては酒造りに使われる水は基本的にミネラル分の少ない軟水ですが、山口県にある景勝地である秋芳洞カルスト大地が源流となっているミネラルをふくんでいる中硬水を使っています。
中島屋酒造場
山口県内でも長い歴史をもつ、文政6年に創業したのが中島屋酒造場です。規模自体は大きくなく、家族経営で生産を続けています。そのため一度に仕込む量も少ないので、かんたんに口にはできないお酒です。
製造されている商品は、「寿」、「中島屋」、「カネナカ」などです。じっくりと熟成させたものが多いので、口当たりに重厚感のある深い味わいが特徴です。
村重酒造
村重酒造は、複数の種類の米や水を使い分け、幅広い商品づくりをしています。酒米や仕込むための水も作る製品それぞれのコンセプトに合わせて選ばれた材料を使うこだわりぷりです。
大吟醸 の「錦」や「日下無双」などが知られており、伝統は守りながらも、若い人でも親しみやすいデザインなどを取り入れる姿勢も多くの人に愛される理由でしょう。
酒井酒造
清流錦川を望む位置に創業し、川の恩恵を日本酒に込めているのが酒井酒造です。錦川の伏流軟水を仕込み水に利用し、契約した農家さんがこだわって作った酒米と合わせ、飲みやすい日本酒を作っています。
酒井酒造でつくる「五橋」は、他県でも名を知られている日本酒です。それだけではなくおもしろい商品も扱っており、「ねね」と「のの」という炭酸成分のある日本酒、クセのあるカッコいいデザインの「five」など、概念を撃ち壊すものばかりです。
八百新酒造
八百新酒造はさまざまな苦難を乗り越えながら、一途に酒造りと向き合ってきたメーカー。よりよい日本酒を作るために、仕込み量をセーブしてこだわった作り方をしています。
無濾過で仕上げる「ノ壱」は日本酒の奥なる力を感じられる飲み口になっています。看板の日本酒である「雁木」もまた、旨味のある味わいを体感できます。
山口県独自の酒米「西都の雫」で造られた酒を選ぶ
山口県でのお酒造りの取り組みのひとつに、オリジナル酒米「西都の雫(さいとのしずく)」の開発があります。明治中期に山口で誕生した米「穀良都(こくりょうみやこ)」と「山田錦」を交配してできたお米で、試験醸造を経て2006年から本格的に「西都の雫」で醸(かも)したお酒が売られるようになりました。
淡麗でキレのある味わいのお酒になるのが特徴ですが、そこに各蔵元の造りの考え方や個性が加わり、さまざまな味わいのお酒になっていきます。山口のお酒を楽しむなら、「西都の雫」で造られたお酒はぜひ味わってみましょう。いろいろな蔵元が「西都の雫」で醸す味わいを飲み比べてみてもいいですね。
土地の料理・特産食材との相性をイメージして選ぶ
下関方面のふぐはあまりにも有名ですが、そのほか「やまぐちイカ海道」と銘打った複数の漁港で水揚げされるさまざまな「イカ」、全国有数の漁獲量を誇る瀬戸内海側の「ハモ」、オリジナル地鶏「長州黒かしわ」など、山口には数々の海・山の幸があります。
実際に山口の食材が手に入ったときはもちろんですが、たとえそうでなくても、食べる料理や食材を軸に、そのイメージに近いものが特産とされるエリアの山口のお酒を選んで、その相性を楽しんでみてはいかがでしょうか。
フレッシュな話題が満載の山口の酒・酒蔵 国際唎酒師のアドバイス!
山口県の酒蔵では、蔵の改革や復活、お酒のブランド構築などに活躍する若い世代のフレッシュな話題が多くみられます。郷土への思いや、伝統を大切に受け継ぎながらも、さまざまな新しいチャレンジが生まれている。それが山口の酒の勢いにもつながっているのではないでしょうか。
生産量や流通が限定されているため、ここで紹介しきれなかった新しいストーリーを持ったお酒も多数あります。各蔵元の酒造りへの思いや気概を、お酒を通じてぜひ味わってみてください。
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 山口の日本酒の売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでの山口の日本酒の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
そのほかの日本酒のおすすめはこちら 【関連記事】
まとめ
山口日本酒のおすすめ商品をご紹介しました。
日本酒の味わいや風味は地域でさまざまです。酒造の違いや土地の料理・特産食材との相性をイメージして選んでみてはいかがでしょうか。
ご紹介した内容を参考に、あなたがほしい山口日本酒を選んでみてくださいね。
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日本の風土、知恵、歴史が生み出した日本酒の魅力や楽しみ方を、より多くの人に広めるため、訪日外国人へのプライベート日本酒体験、外国人・日本人向け日本酒にまつわるセミナーやイベントの企画を行っている。 外国人のプライベート日本酒体験では、これまでに30か国以上から400人余りをお迎えしている。 日々の生活でも、カンパイは日本酒、スキンケアは日本酒と酒粕で、そして朝晩の甘酒を欠かさない。