新潟の日本酒の選び方 蔵元や甘口、辛口などをチェック!
日本酒メーカーの数と成人1人あたりの日本酒消費量がトップクラスの新潟県は、生産量も兵庫や京都につぎ第3位と、日本有数の酒どころです。「幻の酒」と呼ばれた『越乃寒梅』は、「地酒ブーム」の火付け役となり、以後も『八海山』『久保田』『〆張鶴』などが人気を集めてきました。そこで、酒類ジャーナリストである松﨑晴雄さんに、新潟の日本酒を選ぶときのポイントを教えていただきました。
新潟を代表する蔵元から選ぶ 下越、中越、上越の3つの地域による味の違い
東西に長い県土を持つ新潟県は、下越(かえつ)、中越(ちゅうえつ)、上越(じょうえつ)という3つの地域に分かれ、これに離島の佐渡が加わります。それぞれに食文化の違いなどもありますが、新潟の日本酒は、「淡麗辛口」と表現されることが多いお酒です。
新潟市などの下越地方や佐渡の酒は辛口
宮尾酒造の「〆張鶴」、大洋酒造の「大洋盛」、石本酒造の「越乃寒梅」、麒麟山酒造の「麒麟山」、峰野白梅酒造の「峰野白梅」、越後鶴亀の「越後鶴亀」、菊水酒造の「菊水」などが代表的な銘柄です。
特に、石本酒造『越乃寒梅 吟醸 別撰』は新潟県産の五百万石や兵庫県産の山田錦などを用いてつくられた、軽やかさと澄んだ辛さが魅力の銘酒です。
長岡市を中心とする中越地方は中口
吉乃川の「吉乃川」、八海醸造の「八海山」、青木酒造の「鶴齢」、諸橋酒造の「越乃景虎」、緑川酒造の「緑川」、朝日酒造の「久保田」など誰もが聞いたことのある銘柄が多いでしょう。特に、八海醸造の『純米吟醸 八海山』は、新潟のみならず全国的に有名な「八海山」。キレはあるけれど米の旨味が感じられてまろやかな飲み口です。
上越市や糸魚川市といった上越地方は甘口
丸山酒造の「雪中梅」、妙高酒造の「妙高山」、鮎正宗酒造の「鮎正宗」などが代表的な銘柄です。特に、丸山酒造『雪中梅 本醸造』は、すっきりした辛口の酒が多い新潟のなかでは甘口なほうで、米の旨味が感じられる味わい深いお酒です。
佐渡地方
北雪酒造の「北雪」、尾畑酒造の「真野鶴」などが代表的な銘柄です。特に北雪酒造の『純米大吟醸 北雪YK35』は、山田錦を35%まで磨きこんだ濃醇・辛口の贅沢なお酒です。
新潟県が生んだ「酒米」にも注目
酒類ジャーナリスト
日本酒造りに用いられている米は酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)や酒米(さかまい)といわれ、一番有名な品種は「山田錦」(兵庫などおもに西日本で生産)です。
米どころでもある新潟県には「五百万石」「越淡麗(こしたんれい)」という独自の品種があります。
一般的に「五百万石」は落ち着いた風味が特徴で、すっきりとした淡麗辛口タイプの酒質を生み出します。
一方の「越淡麗」は「山田錦」と「五百万石」を掛け合わせた、酒米のサラブレッド的な品種です。平成年間に入ってから開発された「越淡麗」はどちらかというとふくよかで厚みのある味わいが特徴です。
このほかにも新潟には「コシヒカリ」など一般米を用いた酒もあり、原料米による飲み比べをたのしむのもよいでしょう。
「吟醸」「本醸造」にも新潟らしい銘酒がある 「純米」だけじゃない
酒類ジャーナリスト
原料で日本酒を見ると、米と米麹、水だけで造る「純米酒」と、これに少量のアルコールを添加する「本醸造」という、2つのタイプに分かれます。アルコールを添加する理由には、酒の切れ味をよくする、香りを引き立たせるといった目的があります。
すっきりとした飲み口が特徴の新潟の酒は、アルコールを加えた「本醸造」や「吟醸(ぎんじょう)」の銘酒が多く、またそれらの存在が銘醸地としての人気を保ってきた背景にあるといってもよいでしょう。
どうしても「純米酒」にこだわりたいという方は別ですが、新潟らしい淡麗辛口型の酒を探すのであれば、「本醸造」「吟醸」から選ぶのもおすすめです。
料理とともに新潟の酒を楽しむのも!
日本酒のトレンドは、香り高くふくよかな味わいのある「芳醇旨口(ほうじゅんうまくち)」にとって代わり、一時期に比べ「淡麗辛口」の人気も落ち着いたといわれています。しかしながらこのすっきりとして洗練された味わいは広く定着し、『八海山』『久保田』『上善如水』『菊水』といった新潟の酒は、今や日本酒を代表する銘柄としても有名になりました。
また、料理との相性もいいことから、多くの銘柄が割烹(かっぽう)や居酒屋で提供されています。新潟は米だけでなく野菜や魚介類など、さまざまな食材に恵まれた地域でもあります。そのような地で育まれてきた新潟の酒も、実際に食事とともに楽しむことでそのおいしさがよく理解できると思います。訪れた店で「新潟の酒」を指名して味わってみるのもひとつの方法です。
新潟の日本酒のおすすめ13選 酒類ジャーナリストと編集部が選んだ
先ほどお伝えした新潟の日本酒の選び方のポイントをもとに、酒類ジャーナリストである松﨑晴雄さんと編集部がそれぞれおすすめの銘柄を選びました。自分用においしい新潟の日本酒を探している方はもちろん、大切な方への贈り物を探している方も、ぜひチェックしてみてくださいね。

石本酒造『越乃寒梅 吟醸 別撰』

出典:Amazon
地域 | 下越地方 |
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タイプ | 吟醸 |
原料米 | 五百万石(新潟県)、山田錦(兵庫県三木市志染町産)ほか |
アルコール度数 | 16度 |
精米歩合 | 55% |
内容量 | 720ml、1.8L |
地酒ブームの先駆、高品質日本酒の時代を拓いた銘酒
物資が不足する太平洋戦争の最中にも、原料米をより多く精米することで高品質の酒造りを追求。また戦後糖類を添加した甘口の酒が蔓延(まんえん)したなかでも、水のように飲み口のよい酒を造り続け、毅然とした姿勢と流通量の少なさから幻の酒と呼ばれたのが「越乃寒梅」で新潟を代表する銘柄です。
透明感のある澄んだ飲み口は、まさに淡麗辛口と呼ばれる新潟の酒の真骨頂(しんこっちょう)ですが、ただ飲みやすいというのではなく穏やかな味わいをたたえ、料理との相性も幅広いです。
昭和後期の地酒ブームのころを知る、年配の日本酒通にとってはあこがれの銘柄でもあるので、恩師やお父さんへのプレゼントにも最適でしょう。

麒麟山酒造『伝統辛口』






出典:Amazon
地域 | 下越地方 |
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タイプ | 普通酒 |
原料米 | 五百万石、こしいぶき |
アルコール度数 | 15度以上16度未満 |
精米歩合 | 65% |
内容量 | 180ml、300ml、720ml、1.8L |
越後鶴亀『越後鶴亀 純米酒』

出典:Amazon
地域 | 下越地方 |
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タイプ | 純米 |
原料米 | 山田錦、五百万石 |
アルコール度数 | 15度以上16度未満 |
精米歩合 | 60% |
内容量 | 300ml、720ml、1800ml |

加茂錦酒造『加茂錦 荷札酒 雄町50 純米大吟醸』

出典:楽天市場
地域 | 中越地方 |
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タイプ | 生詰原酒 純米大吟醸 |
原料米 | 雄町 |
アルコール度数 | 15度 |
精米歩合 | 50% |
内容量 | 720ml、1.8L |
若手蔵元が醸しだす新潟酒のホープ
その名のとおり、荷札に似せたユニークなラベルが目を引きます。仕込みのタンク別に商品化しているのも特徴で、みずみずしい酸味とこまかく感じる炭酸ガスの感触があり、洋ナシなどのフルーツを連想させるチャーミングな味わい。かなりモダンな新しいタイプの酒ですが、あと口のきれいな澄んだ印象に新潟の酒のアイデンティティーが感じられます。
蔵元の子息が自ら杜氏(とうじ)として酒造りの指揮を執り、造り手の姿を映したようなさわやかでフレッシュな酒質。ワイングラスなど、薄手の大きめのグラスで飲むと香味が引き立ちます。あまり日本酒になじみのないビギナーや、ほかのアルコ-ル飲料は飲むけれど日本酒は苦手だという方にぜひ飲んでほしいです。
八海醸造『特別本醸造 八海山』






出典:Amazon
地域 | 中越地方 |
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タイプ | 特別本醸造 |
原料米 | 五百万石、トドロキワセ、ほか |
アルコール度数 | 15.5度 |
精米歩合 | 55% |
内容量 | 180ml、300ml、720ml、1800ml |
吉乃川『厳選辛口 吉乃川』

出典:Amazon
地域 | 中越地方 |
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タイプ | 普通酒 |
原料米 | 新潟県産米 |
アルコール度数 | 15度 |
精米歩合 | 65% |
内容量 | 180ml、300ml、720ml、1800ml |
青木酒造『鶴齢 (かくれい) 純米吟醸』






出典:Amazon
地域 | 中越地方 |
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タイプ | 純米吟醸 |
原料米 | 越淡麗 |
アルコール度数 | 15度以上16度未満 |
精米歩合 | 55% |
内容量 | 180ml、300ml、720ml、1800ml |
朝日酒造『久保田 千寿』

出典:Amazon
地域 | 中越地方 |
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タイプ | 吟醸 |
原料米 | 五百万石 |
アルコール度数 | 15度 |
精米歩合 | 50% |
内容量 | 720ml、1800ml |

渡辺酒造店『Nechi 根知谷産五百万石壱等米』






出典:楽天市場
地域 | 上越地方 |
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タイプ | 清酒 |
原料米 | 五百万石(根知谷産) |
アルコール度数 | 16.5度 |
精米歩合 | 55% |
内容量 | 720ml |
蔵元自らが栽培する「五百万石」を使用
日本酒の原料となる酒米を自ら栽培する酒蔵は少なく、全国に1,000以上ある蔵元の1割も満たしていません。米どころ新潟にあっても事情は同じですが、この酒蔵では周囲にある自家田を毎年広げており、ワインのように農業、醸造の一体化した酒造りを推し進めています。
蔵が立地する根知谷は米作りにも理想的な環境であるといわれ、五百万石と越淡麗の酒米2品種で、毎年のビンテージを表示した製品を出荷。みずみずしく張りのある五百万石という米のポテンシャルを引き出した酒で、酸味と甘みが調和したチャーミングな味わいが堪能できます。こだわりの蔵元の味をたのしんでみたい方におすすめです。

丸山酒造場『雪中梅 本醸造』

出典:Amazon
地域 | 上越地方 |
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タイプ | 本醸造 |
原料米 | 五百万石、山田錦 |
アルコール度数 | 15度以上16度未満 |
精米歩合 | 63% |
内容量 | 720ml、1.8L |
妙高酒造『純米大吟醸 妙高山』

出典:Amazon
地域 | 上越地方 |
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タイプ | 純米大吟醸 |
原料米 | 越淡麗 |
アルコール度数 | 15.8度 |
精米歩合 | 50% |
内容量 | 720ml、1800ml |
鮎正宗酒造『鮎正宗 本醸造』






出典:楽天市場
地域 | 上越地方 |
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タイプ | 本醸造 |
原料米 | 五百万石・こしいぶき |
アルコール度数 | 15度 |
精米歩合 | 65% |
内容量 | 180ml、300ml、720ml、1800ml |
尾畑酒造『真野鶴 大吟醸』

出典:Amazon
地域 | 佐渡地方 |
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タイプ | 大吟醸 |
原料米 | 五百万石 |
アルコール度数 | 15度 |
精米歩合 | 50% |
内容量 | 720ml、1800ml |
「新潟の日本酒」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 新潟の日本酒の売れ筋をチェック
楽天市場、Yahoo!ショッピングでの新潟の日本酒の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
全国都道府県別の日本酒特集!
地方ごとに特色ある地酒が紹介されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
北海道 青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島
茨城 栃木 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川
新潟 富山 石川 福井 山梨 長野 岐阜 静岡 愛知
三重 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山
鳥取 島根 岡山 広島 山口
徳島 香川 愛媛 高知
福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄
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※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
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※2020/12/17 コンテンツを一部修正しました(マイナビおすすめナビ編集部 渡辺裕美)
1960年、横浜市生まれ。大学卒業後、西武百貨店に入社。 商品部、渋谷店などで酒類販売、バイヤーを担当。 1997年に退社し、酒類ジャーナリスト、コンサルタントとして活躍中。 また同年に「日本酒輸出協会」を結成し会長として、日本酒の海外マーケティング、プロモーションに携わる。 「日本酒市民講座」、「うらかすみ日本酒塾」等、消費者対象の日本酒セミナーの講師を担当するほか、各県の清酒鑑評会審査委員、佐賀県、長野県の「原産地呼称管理委員会」清酒焼酎部門の官能審査員のほか、海外での「全米日本酒歓評会」「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」等の審査員を務める。 著書に「大人の探検・日本酒」(監修・実業之日本社)、「日本酒のテキスト①、②」(同友館)など。 「純粋日本酒協会」きき酒コンテストでは30回以上名人となり、永久名人に認定される。