愛媛の日本酒の特徴 口触りがよく、甘みのある味わい
愛媛県の日本酒は、口触りがよく、甘みのある味わいが特徴。四国の水産物である白身魚などの料理と相性がいいです。
歴史も長く、400年前から愛媛の日本酒が製造され、「伊予の女酒」と呼ばれるほど有名で、人気のある老舗地域。愛媛の県内には、歴史的な蔵元が40以上も存在し、様々な名産が生まれ、一つひとつがブランドになっています。
代表的な蔵元をご紹介
それぞれの蔵元の特徴やこだわりを知ると日本酒の味わいも格段によくなることでしょう。ここではみなさんに人気のある銘柄や隠れた銘酒を発売する蔵元までご紹介していきます。
●成龍酒造|代表銘柄は「伊予賀儀屋」
食べ物との相性にとどまらず、食事やその時間を引き立てるお酒造りを掲げる蔵元です。飲み飽きしない酒が特徴。
●近藤酒造|代表銘柄は「華姫桜」
少量多品種生産により、特徴ある酒造りにチャレンジする蔵元。味わいある旨口が得意。
●石鎚酒造|代表銘柄は「石鎚」
杜氏制を廃し、蔵元家族中心の酒造りを行う蔵元。食中に活きる酒を目指し、純米酒・純米吟醸酒を中心に醸造しています。
●首藤酒造|代表銘柄は「寿喜心」
家族経営の小規模蔵元。酒の肴がなくてもおいしく味わえる酒造りがモットー。全12品のラインナップ。
●梅錦山川|代表銘柄は「梅錦」
設備の近代化により昔ながらの杜氏の経験を究極まで活かす酒造りが特徴。日本酒以外にもリキュールやビールなども手掛ける。
●雪雀酒造|代表銘柄は「雪雀」
麹造りにとことんこだわり中硬水の井戸水をろ過した水で醸した日本酒。40年以上にわたり、酒造りに携わってきた総杜氏による酒造りが今も続く。ラインナップは豊富で30種類以上ある。
●かち鶴酒造|代表銘柄は「かち鶴」
搾りたての生酒を長期熟成した原酒に力をいれている蔵元。昔ながらの手造り・天然醸造にこだわり、原料である米も県内産「松山三井」にこだわって酒造りしている。
●協和酒造|代表銘柄は「初雪盃」
槽搾りや袋搾りなど昔ながらの製法にこだわった酒造りをしています。定番の銘柄以外にもプレミアム、限定ものなどラインナップは多数。飲みごたえのあるしっかりした味わいが特徴です。
●千代の亀酒造|代表銘柄は「千代の亀」
特定名称酒に特化して醸造する蔵元。米、人、水やラベルの紙などすべてに地元産を採用しているまさに「愛媛の地酒」です。
●酒六酒造|代表銘柄は「京ひな」
淡麗辛口の純米酒や大吟醸を愛媛ではいち早く手掛け、今では同社の特徴にもなっています。トップブランドである「七星剣」、キレのある飲み口で人気の「一刀両断」などがあります。
●中城本家酒造|代表銘柄は「城川郷」
愛媛の地酒にこだわり、原料米には県産米を使用。旨味のあるやさしい味わいが特徴。
●西本酒造|代表銘柄「虎の尾」
本醸造酒をメインに醸造・発売する蔵元。代表銘柄である「虎の尾」の歴史は古く約200年以上。現在「虎の尾」を筆頭に全10種類のラインナップです。
愛媛の日本酒の選び方 酒米・水など
愛媛の日本酒を選ぶときのポイントをご紹介します。ポイントは下記。
【1】愛媛県ならではの酒米
【2】愛媛県の美しい水
【3】愛媛県内の地域による違い
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】愛媛県ならではの酒米で選ぶ やわらかい味わいを楽しむ
愛媛には、「松山三井」と「しずく媛」という2種類の酒造好適米があります。愛媛の地酒を存分に堪能したいと考えるなら、原料米にもこだわってみるとよいでしょう。
松山三井
まずはじめに食用米と酒造好適米の大きな違いは、心白といって、米の中心にたんぱく質の空洞があるかどうかです。心白があると、麹菌が深く食い込むので、しっかりと作用する麹米がつくりやすくなります。また酒造好適米は、食用米より大粒でたんぱく質が少なく、吸水しやすい酒づくりに適したお米です。
愛媛県では、県産の食用米「松山三井」による酒づくりがおこなわれてきました。頻繁に愛媛の食卓で登場する品種で、お酒にしたときに、米の旨味が出てやわらかい味わいになる傾向があります。
しずく媛
造れるお酒の味わいのバリエーションを増やす研究の末、2009年に念願の愛媛県産酒造好適米「しずく媛」が誕生しました。
「しずく媛」は、もとは「松山三井」なので、似た部分も持ち合わせていますが、比べると少しシャープでスッキリとしたお酒をつくりやすい傾向にあります。現在では他県でも使用されている良質の「しずく媛」。
「松山三井」か「しずく媛」か、飲むシチュエーションによって選び分けてみてください。
【2】愛媛県の美しい水で選ぶ
石鎚山をはじめとする四国山地からは、豊富な伏流水が湧き出ています。日本酒づくりには、瓶や道具洗いや仕込みに使うものをすべて含めて、酒量の約8倍もの水が必要だといわれています。その点、愛媛は「うちぬき」といって、鉄のパイプを15~30mほど打ち込むだけで地下水が湧き出てくるという地域まであるような、とても美しく、おいしい水の資源豊かな場所です。
軟水がほとんどなので、ゆっくりじっくりと発酵したおだやかな味わいのものが多くなります。心許せる人とグラスを傾けるとき、ほっと落ちつく味わいの愛媛の酒を選んでみてください。
【3】愛媛県内の地域による違いで選ぶ
山と海に囲まれた愛媛県は、東予、中予、南予という3つの地域に分かれています。それぞれに独特の風土があり郷土料理があって、人の気質も違ってくるので、酒のタイプも変わります。とはいえ、瀬戸内の温暖な気候は、飲む人、つくる人の気持ちをおだやかにしているようで、その人柄をあらわしたような安らぎを感じる酒質です。
全国的に見ると「どれもやわらかで落ち着いた味わいで、少し甘めである」ことを念頭においたうえでお話します。
東予はすっきりとしたタイプ
中予は淡麗で旨みのあるタイプ
南予は酒らしい深みと味わいのあるタイプ
これを目安に選んでみてください。
精米歩合によって使い分けたい! 唎酒師のアドバイス
地元の食用米「松山三井」、それをもとに開発した「しずく媛」を多く使用して酒づくりをおこなっている愛媛県。
自宅でゆっくり楽しんだり、居酒屋で気心知れた仲間と団らんする場面におすすめしたい、おだやかで味わいのバランスがいい愛媛県のお酒ですが、自宅用なら「純米酒」や「純米吟醸酒」、とっておきの場面には「純米大吟醸」や「大吟醸」を選ぶことで変化をつけることができそうです。参考にしてみてください。
愛媛日本酒おすすめ15選 産地のもので
ここまで紹介した、愛媛の日本酒の選び方のポイントをふまえて、おすすめ商品をご紹介します。
心と舌で伊予西条の優しい風景を感じるお酒
愛媛県の酒米「しずく媛」を原料にしてつくられたお酒です。「賀儀屋」という珍しい銘柄は、もともと地元の庄屋さんの蔵の鍵を預かって管理する仕事をしており、屋号が「鍵屋」だったことからつけられました。そのなかでも「心を育み、心で楽しむ」というテーマを設けた「心シリーズ」の「石鎚山とオリオン」をおすすめします。
このシリーズのラベルデザインをすべて、蔵の近辺で活動する、はさみ切り絵作家「塩崎剛」さんが手掛けています。若くして目の病気を患った塩崎さんは、下書きをせず心に描いた景色を数時間かけて一気に切り取っていきます。成龍酒造の酒づくりと相通じるところがある、としてこのシリーズはできました。
ラベルに描かれているのは、地元・愛媛県西条市の美しい風景です。石鎚山からの伏流水(弱軟水)を使用してつくられ、味わいは派手ではなく落ち着いていて、優しさを感じます。毎日飲んでも疲れない、肩ひじはらないリラックスを生んでくれます。数量限定ながら、ぜひ家に1本おいてほしいお酒です。
長期熟成された凍結酒
地元農家との契約により栽培された無農薬米を磨きこみ、すべてを手作業で仕込み低温熟成させたお酒です。辛口の発泡タイプですっきりとした飲み口。冷凍庫に保管し、少し溶かしてシャーベット状で飲むとおいしいお酒です。
※楽天・Yahooは6本セットです
麹づくりに注力、家族で醸す辛口すっきりタイプの酒
家族で酒づくりをする、愛媛らしい小さな酒蔵です。西日本最高峰「石鎚山」の麓に酒蔵があることから名前を取っています。1999年という業界では早い時期に、従来の出稼ぎ杜氏集団を受け入れる形から、現在の家族中心に酒づくりをするスタイルへと転換しました。
この蔵がとくに力を入れているのが「麹づくり」。日本酒がどんな味わいになるかを左右する部分はたくさんありますが、そのもっとも大きな要素は、この麹づくりの部分です。力強く、奥行きと深みのある味わいがありながらも、さわやかさを持ち合わせているのが「石鎚」の特徴です。
環境庁「全国おいしい水の鑑評会」連続日本一を獲得した中軟水を、仕込みに使用しています。麹米に「山田錦」、掛米に「松山三井」をつかい、味わいが重くなりすぎないようバランスよく仕上げています。辛口すっきりタイプのお酒はいかがでしょうか。
切れ味に定評! 澄み切った透明感のある純米大吟醸
愛媛県の多くがそうですが、この蔵もまた県外の人にはあまりなじみがないものの、県内では長く愛されているブランドです。あらゆるバリエーションはありながらも、全体的には端麗辛口を目指したお酒が多い「酒六酒造」。1977年に伊方杜氏を招き純米吟醸酒をつくりはじめ、当時、地元では珍しかった「淡麗辛口の純米酒」や「大吟醸」といった手間ひまかかるお酒を次々リリースしてきました。
今回紹介するのは、「剣シリーズ」と呼ばれスパっと切れる辛口をウリにしたシリーズのなかから『純米大吟醸 隠し剣』です。長期醗酵をさせており、澄み切った透明感ある酒質はどんな場面にもふさわしく、しつこさがないのでお口直しのお酒としてもおすすめ。ほかには超辛口「一刀両断」や大吟醸の「吹毛剣」があります。
名前のとおりキレ冴えわたる超辛口
辛口を得意とする同社ラインナップの中でもひと際辛口でキレのある飲み口なのがこのお酒。お酒そのものも十分に楽しめますが、食中酒として料理を引き立てる飲み方にもよいでしょう。
「華媛桜」という美しい名にふさわしい美酒
非常にユニークで、真面目で熱血な社長兼杜氏の近藤さんを筆頭につくられる、華やかでおだやかなお酒が「華姫桜」です。水、米、人……と地元にこだわって酒づくりをしています。
そのなかでもおすすめしたいのは、信頼関係を結んだ契約農家さんが栽培した「松山三井」を使用しており、同蔵の商品ラインナップのなかではやや香り控えめな純米酒。
「松山三井」ならではの米の旨味と酸が、上手にバランスがとれています。フレッシュさ、米の豊かな旨味をゆったりと感じることのできる一本です。
京ひなブランドの最高峰のお酒
山田錦・松山三井を磨きあげ、小田深山(おだみやま)の伏流水で醸した贅沢な日本酒です。純米大吟醸ならではの丸みのある香りでのどごしもなめらか。キレがよく、でも旨味も感じられるお酒に仕上がっています。
梅錦の黒ラベルとして根強い人気
濃厚な香りと押しの強い旨味が特徴の原酒タイプ。酸味と香りのバランスがよく、飲むたびに癖になる味わいです。濃厚な料理と合わせてお楽しみください。
※Amazonは1本、楽天・Yahooは12本セットです
香りも旨みもすべてが上品なお酒
吟醸香の華やかさと口に含んだときに広がる旨味が特徴で、飲んだ後の余韻を楽しみながらも自然と盃が進みます。商品のラインナップも多いので、自分の好みを探せるのも◎。少し冷やして飲むのが蔵元のおすすめです。
ネーミングがユニークな逸品
「手作りで天然醸造」が蔵元のこだわり。昔ながらの袋搾りによる製法で、搾りたてをそのまま瓶詰めし長期熟成しています。個性があって飲みごたえのある原酒です。
すっきりと優しい味わいの地酒
原料米は県内産のしずく媛、水は蔵の裏山の湧水を使用するなど、地元の素材をその地で醸造し、とにかく旨い地酒を造ることにこだわっています。すっきりとやさしい味わいは地元でも人気。冷やして飲むのが、蔵元のおすすめの飲み方です。
歴史ある蔵の飲みやすい甘口です
一般酒でも、精米比率58%以下となっているなど全ラインナップとも高い精米率となりますが、この商品は愛媛県産のしずく媛を45%まで磨きこんだ純米大吟醸酒です。甘口で飲みやすいので、日本酒初心者の方にもおすすめです。
ロンドン酒チャレンジでの金賞受賞実績あり
高縄山系「湧ヶ淵」の名水で醸したお酒は、全国酒類コンクールなどでの受賞歴も多数、地元でも人気の銘柄です。淡麗ですが旨味はしっかりな日本酒をお探しの方におすすめです。
※楽天は3本セットです
松山三井の旨味を堪能できる一本
淡麗ならではのスッキリとした飲み口と吟醸香ならではの華やかな香りが印象的なお酒。2014年にはANA国際線のファーストクラスで提供される銘柄に選ばれています。
地元で人気のある超辛口の銘酒
辛口が得意な蔵元の中でもひと際輝きを放つ超辛口です。キレよく軽快な飲み口が人気で料理とともに楽しめる一本。少し冷やして飲むのが蔵元のおすすめですが、あつ燗の味わいもまた格別です。
「愛媛の日本酒」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 愛媛 日本酒の売れ筋をチェック
楽天市場、Yahoo!ショッピングでの愛媛 日本酒の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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地域ごとに味わいが異なる愛媛の日本酒を飲み比べよう
愛媛の日本酒をご紹介しました。日本酒とひとくちにいっても使っている原材料や製造方法はさまざまです。地域によって味わいも異なります。
ぜひこの記事を参考に、あなたにぴったりな愛媛の日本酒をみつけてくださいね。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
日本酒アドバイザーや飲食店勤務を経て、現在は「とっておきの1本をみつける感動を多くの人に」という想いのもと日本酒の魅力を発信するさまざまな活動をおこなっている。 記事執筆、セミナーや講演、酒蔵での酒造り、各地の酒場での女将業など、あらゆる場所、あらゆる手段で日本酒の美味しさと日本文化の豊かさ、日本の各地方の魅力を伝えている。