5000円以下の万年筆の選び方
目利きライターの納富廉邦さんに、5000円以下の万年筆を選ぶときのポイントを教えてもらいました。初めて万年筆を購入する方はもちろん、2本目以降で新しいものをお探し方も、エキスパートが注目するポイントをチェックして購入する際に役立ててみてください。ポイントは下記になります。
【1】持ち方・書き方の違い
【2】ペン先の素材
【3】ペン先の太さ
【4】インクの補充方法
それぞれについてご紹介しますので、購入するときの参考にしてみてください。
【1】持ち方・書き方の違いから選ぶ
フリーライター、小物王
万年筆はボールペンや鉛筆と違って、ペンを寝かせ気味にして筆圧をかけずに書きます。そのため、ふだんの調子で持ってみて、それで購入しても実際に書くときには思ったような持ち心地ではない場合があります。
寝かせて持つと重心のバランスも変わりますから、まずは安い万年筆を買って、寝かせて筆圧をかけない書き方に慣れてからあらためて選ぶのもいいでしょう。
【2】ペン先の素材で選ぶ
金
万年筆のペン先に金を用いているものが多く見られますが、その理由はインクの成分にあります。万年筆のインクには、硫酸や塩酸などかなり腐食性の強い成分が含まれています。そのため、ペン先には腐食に強い素材が用いられてきました。
金のペン先は書き味に弾力がある、という表現をする方が多くいます。書き味は好みによりますので、実際に店頭で試せる場合は試してみて、実際に確認するのが一番です。
ステンレス
ステンレスは、金に比べて安価で腐食に弱いですが、金以外の金属に比べれば腐食に強いので、金の次にペン先でよく用いられています。価格が安価になるため、安い価格帯の万年筆はステンレスのペン先になっていることがほとんどです。
ステンレスのペン先は、金に比べてかための書き味が特徴。金とどちらがいいかというと、好みによるため一概にはいえません。さまざまな種類のものを試して自分自身の好みを探っていくのも、万年筆の醍醐味です。
【3】ペン先の太さで選ぶ
こちらは美しいラインが魅力的なパイロットの万年筆です。同社のコンバーター(CON-40)を使えば、ボトルインクを使うことができます。
フリーライター、小物王
意外に誤解されることが多いのですが、万年筆は特殊な形状のペン先でない限り、筆記時に筆のように筆圧で描線の太さを変えることはできません。そのため、購入前に自分の用途にあわせて、細字(F)、中字(M)、太字(B)などのペン先の種類を選ぶ必要があります。
ボールペンでいえば、0.5mmくらいが細字、0.8mmくらいが中字、1.2mmくらいが太字といった感じです。しかし、メーカーや製品によって違うのであくまで目安として考えてみてください。
【4】インクの補充方法で選ぶ
カートリッジ式
もっとも手軽にインクを補充できる方法です。インクがなくなったカートリッジを抜き、新しいカートリッジを万年筆の本体に差しこんで使用します。手があまり汚れずラクなのですが、豊富な色のボトルインクが使えないという点がデメリットです。
好きな色のボトルインクを使いたいと考えている場合は、ほかの方法でインクを補充できる万年筆を選びましょう。
吸入式
ペン先からインクを吸いあげて補充する方法が吸入式です。昔からあるインクの補充方法で、好きなボトルインクを使うことができます。吸入式のデメリットは、インクを吸入した後にペン先をきれいにするなど、少し手間がかかり手が汚れることもある点。ただ、手間をかけてメンテナンスすることで、愛着がわいてくるという側面もあります。
コンバーター式
カートリッジ式と吸入式のハイブリッド型をコンバーター式と呼びます。コンバーターと呼ばれる吸入器でインクを吸いあげられるだけでなく、コンバーターを外してカートリッジを装着することでもインクを補充できます。近年は、この仕組みを持っている万年筆が主流ですが、使い方は商品によって違いがあります。
5000円以下の万年筆『パイロット』おすすめ4選

バランスのよさにすぐれた初心者におすすめの1本
価格、デザイン、書き心地、安定性といった基本的な筆記具としての性能のバランスがとれた、最初に持つ万年筆として、現在、最も手ごろで高性能な万年筆です。別売のコンバーター(CON-40、CON-50、CON-70対応)を使えば、ボトルインクの使用も可能。
自然と正しい持ち方になるグリップ、正しい使い方が書かれた説明書もついて、初心者でも間違いなく快適に書けるようになっているのもポイント。
クリップのない独特のデザインは握りやすくて軽いので扱いやすく、ペン先はスチール製で多少荒く扱っても壊れません。そのため、とにかく書きながら万年筆に慣れることができます。最初は万年筆らしい文字が書ける中字がおすすめ。

まゆのように美しい曲線のフォルム
ギフトにも使える、流線型のボディラインの美しさと握りやすさが、コクーン万年筆の一番の特徴です。また、ふだん使いに適した、スルスルと書けるワンランク上のペン先や、金属軸の仕上げのよさなど、人前でも充分に使えるクオリティもコクーンの魅力。チタンは色の名前として使われているだけで、実際にチタン製ではないので注意しましょう。
コンバーターはパイロットのCON-40が使用可能。ペン先は、MとFがありますが、初心者にはM(中字)の方がスムーズに書けるうえ、線が途切れにくいのでおすすめです。同じデザインでボールペンなどもあるので、そろえて持つのもかっこいいです。
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スムーズなインク吸引で使い勝手抜群
万年筆のエントリーモデルとしては珍しい5,000円という価格は、初心者向けと2本め以降の万年筆のちょうど中間に位置していて、どちらの用途にも使えます。コンバーターにも対応しているのですが、すばらしいのはそのコンバーターを使ったときのインク吸入のしやすさ。
通常の万年筆がペン先全体をインクにひたさなければならないところ、プロシオンはペン先を少しインクにつければOKなのです。
そのため、インクが少なくなったインク瓶からもスムーズにインク吸入ができます。しかも、キャップをすれば2年間放置しても筆記が可能。軸のカラーは新鮮な色が多く、ターコイズブルーのようなビビッドなものもあって使っていて楽しい製品です。
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「5,000円以下の万年筆」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 万年筆の売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでの万年筆の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ペン先の材質などに注意して5,000円以下の万年筆を選ぼう
文房具ライターの納富 廉邦さんにお話をうかがい、5,000円以下で買える万年筆の選び方とおすすめ商品をご紹介しました。納富廉邦さんのアドバイスにあったように、インクの補充方式やペン先の材質などを確認して、自分にあった万年筆を選ぶようにしましょう。
5,000円以下でも、書き味がよい、握りやすいなどの魅力を持った万年筆はたくさんあります。そのなかから「これは!」と思う1本を見つけて購入し、万年筆で書くよろこびを体感してみてください。
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まずは中字、軸は透明がおすすめです! 目利きライターからのアドバイス
フリーライター、小物王
万年筆らしい書き心地は、太いペン先ほど味わえるのですが、太いペン先は慣れないと線が途切れやすい上に、細すぎると紙にペン先がこすれてカリカリした書き味になります。そのため、まずは中字からはじめて、用途にあわせながら太さを変えていくといいでしょう。
軸色はインクの残量がわかりやすい透明軸がおすすめ。何色のインクを入れたかもわかりやすいです。基本的に、長く使えるものですからデザインをよく見て、本当に気にいった形のものを選ぶのも重要になります。
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文化、飲食、メディア、ガジェット、雑貨、伝統芸能など、娯楽全般をフィールドに雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、講演などで活動する。 文具系、カバンなどの装身具、お茶、やかん、ガジェット、小説、落語などに関する著書もある。テレビ「マツコの知らない世界」ではボールペンの人、「嵐にしやがれ」ではシステム手帳の人として出演。