5000円以下の万年筆の選び方
目利きライターの納富廉邦さんに、5000円以下の万年筆を選ぶときのポイントを教えてもらいました。初めて万年筆を購入する方はもちろん、2本目以降で新しいものをお探し方も、エキスパートが注目するポイントをチェックして購入する際に役立ててみてください。
持ち方・書き方の違いから選ぶ
書き心地、安定性にすぐれています。また、万年筆の正しい持ち方や使い方が書かれた説明書がついているため、万年筆に慣れやすい商品です。
フリーライター、小物王
万年筆はボールペンや鉛筆と違って、ペンを寝かせ気味にして筆圧をかけずに書きます。そのため、ふだんの調子で持ってみて、それで購入しても実際に書くときには思ったような持ち心地ではない場合があります。
寝かせて持つと重心のバランスも変わりますから、まずは安い万年筆を買って、寝かせて筆圧をかけない書き方に慣れてからあらためて選ぶのもいいでしょう。
ペン先の素材で選ぶ
金
万年筆のペン先に金を用いているものが多く見られますが、その理由はインクの成分にあります。万年筆のインクには、硫酸や塩酸などかなり腐食性の強い成分が含まれています。そのため、ペン先には腐食に強い素材が用いられてきました。
金のペン先は書き味に弾力がある、という表現をする方が多くいます。書き味は好みによりますので、実際に店頭で試せる場合は試してみて、実際に確認するのが一番です。
ステンレス
ステンレスは、金に比べて安価で腐食に弱いですが、金以外の金属に比べれば腐食に強いので、金の次にペン先でよく用いられています。価格が安価になるため、安い価格帯の万年筆はステンレスのペン先になっていることがほとんどです。
ステンレスのペン先は、金に比べてかための書き味が特徴。金とどちらがいいかというと、好みによるため一概にはいえません。さまざまな種類のものを試して自分自身の好みを探っていくのも、万年筆の醍醐味です。
ペン先の太さを確認する
こちらは美しいラインが魅力的なパイロットの万年筆です。同社のコンバーター(CON-40)を使えば、ボトルインクを使うことができます。
フリーライター、小物王
意外に誤解されることが多いのですが、万年筆は特殊な形状のペン先でない限り、筆記時に筆のように筆圧で描線の太さを変えることはできません。そのため、購入前に自分の用途にあわせて、細字(F)、中字(M)、太字(B)などのペン先の種類を選ぶ必要があります。
ボールペンでいえば、0.5mmくらいが細字、0.8mmくらいが中字、1.2mmくらいが太字といった感じです。しかし、メーカーや製品によって違うのであくまで目安として考えてみてください。
インクの補充方法で選ぶ
カートリッジ式
もっとも手軽にインクを補充できる方法です。インクがなくなったカートリッジを抜き、新しいカートリッジを万年筆の本体に差しこんで使用します。手があまり汚れずラクなのですが、豊富な色のボトルインクが使えないという点がデメリットです。
好きな色のボトルインクを使いたいと考えている場合は、ほかの方法でインクを補充できる万年筆を選びましょう。
吸入式
ペン先からインクを吸いあげて補充する方法が吸入式です。昔からあるインクの補充方法で、好きなボトルインクを使うことができます。吸入式のデメリットは、インクを吸入した後にペン先をきれいにするなど、少し手間がかかり手が汚れることもある点。ただ、手間をかけてメンテナンスすることで、愛着がわいてくるという側面もあります。
コンバーター式
カートリッジ式と吸入式のハイブリッド型をコンバーター式と呼びます。コンバーターと呼ばれる吸入器でインクを吸いあげられるだけでなく、コンバーターを外してカートリッジを装着することでもインクを補充できます。近年は、この仕組みを持っている万年筆が主流ですが、使い方は商品によって違いがあります。
5000円以下の万年筆『パイロット』おすすめ4選

パイロット『万年筆 カクノ 透明軸 M(中字)』

出典:Amazon
ペン先 | 特殊合金 |
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字幅 | 中字 |
インク | カートリッジ/コンバーター両用式 |
サイズ | 全長131×最大径16.0mm |
バランスのよさにすぐれた初心者におすすめの1本
価格、デザイン、書き心地、安定性といった基本的な筆記具としての性能のバランスがとれた、最初に持つ万年筆として、現在、最も手ごろで高性能な万年筆です。別売のコンバーター(CON-40、CON-50、CON-70対応)を使えば、ボトルインクの使用も可能。
自然と正しい持ち方になるグリップ、正しい使い方が書かれた説明書もついて、初心者でも間違いなく快適に書けるようになっているのもポイント。
クリップのない独特のデザインは握りやすくて軽いので扱いやすく、ペン先はスチール製で多少荒く扱っても壊れません。そのため、とにかく書きながら万年筆に慣れることができます。最初は万年筆らしい文字が書ける中字がおすすめ。

パイロット『コクーン万年筆 チタン 中字』








出典:Amazon
ペン先 | 特殊合金 |
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字幅 | 中字 |
インク | コンバーター式 |
サイズ | 全長138×最大径13.2mm |
まゆのように美しい曲線のフォルム
ギフトにも使える、流線型のボディラインの美しさと握りやすさが、コクーン万年筆の一番の特徴です。また、ふだん使いに適した、スルスルと書けるワンランク上のペン先や、金属軸の仕上げのよさなど、人前でも充分に使えるクオリティもコクーンの魅力。チタンは色の名前として使われているだけで、実際にチタン製ではないので注意しましょう。
コンバーターはパイロットのCON-40が使用可能。ペン先は、MとFがありますが、初心者にはM(中字)の方がスムーズに書けるうえ、線が途切れにくいのでおすすめです。同じデザインでボールペンなどもあるので、そろえて持つのもかっこいいです。
パイロット『プレラ 色彩逢い 細字』






出典:Amazon
ペン先 | 特殊合金 |
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字幅 | 細字 |
インク | コンバーター式 |
サイズ | 全長120.4×最大径13.4mm |
パイロット『カヴァリエ ピンク 中字』

出典:Amazon
ペン先 | 特殊合金 |
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字幅 | 中字 |
インク | コンバーター式 |
サイズ | 全長136×最大径9.8mm |
5000円以下の万年筆『メンズにおすすめ』9選 パイロットやプラチナ万年筆など

プラチナ万年筆『プレジール ノバオレンジ 中字』

出典:Amazon
ペン先 | ステンレス |
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字幅 | 中字 |
インク | カートリッジ式 |
サイズ | 全長142.5×最大径15.0mm |

ラミー『サファリ スケルトン 細字』






出典:Amazon
ペン先 | スチール |
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字幅 | 中字 |
インク | コンバーター式 |
サイズ | 全長138.5×最大径14mm |
パーカー『アーバン ファーストトラック 細字』






出典:Amazon
ペン先 | ステンレススチール |
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字幅 | 細字 |
インク | カートリッジ・コンバーター両用 |
サイズ | 全長156(キャップをボディエンドに取り付けた状態)×最大径11mm |

プラチナ万年筆『プロシオン ターコイズブルー M』












出典:Amazon
ペン先 | ステンレス |
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字幅 | 中字 |
インク | コンバーター式 |
サイズ | 全長139.7×最大径14.4mm |
スムーズなインク吸引で使い勝手抜群
万年筆のエントリーモデルとしては珍しい5,000円という価格は、初心者向けと2本め以降の万年筆のちょうど中間に位置していて、どちらの用途にも使えます。コンバーターにも対応しているのですが、すばらしいのはそのコンバーターを使ったときのインク吸入のしやすさ。
通常の万年筆がペン先全体をインクにひたさなければならないところ、プロシオンはペン先を少しインクにつければOKなのです。
そのため、インクが少なくなったインク瓶からもスムーズにインク吸入ができます。しかも、キャップをすれば2年間放置しても筆記が可能。軸のカラーは新鮮な色が多く、ターコイズブルーのようなビビッドなものもあって使っていて楽しい製品です。
オート『万年筆セルサス(FF-20C)』








出典:Amazon
ペン先 | スチール |
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字幅 | - |
インク | カードリッジ式 |
サイズ | 全長142mm×軸径13.2mm |
セーラー万年筆『ヤング・プロフィット 銀 万年筆 中字』

出典:Amazon
ペン先 | ステンレス |
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字幅 | 中字 |
インク | コンバーター式(コンバーターは別売) |
サイズ | 全長136×最大径15mm |
シュナイダー『Base ブラック EF』
















出典:Amazon
ペン先 | イリジウム(プラチナ系金属) |
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字幅 | 極細字 |
インク | カートリッジ式 |
サイズ | 全長160×最大径12mm |
セーラー万年筆『ふでDEまんねん (11-0127)』








出典:Amazon
ペン先 | ステンレス 金色メッキ、特殊ペン |
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字幅 | 細字~太字 |
インク | カートリッジ式/コンバーター両用式 |
サイズ | 全長169×最大径15mm |
プレピー『SOU万年筆(ひなたぼっこ)(H078-49)』












出典:Amazon
ペン先 | ステンレス |
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字幅 | 細字 |
インク | カートリッジ式 |
サイズ | 全長138×最大径13mm |
5000円以下の万年筆『レディースにおすすめ』6選 おしゃれでかわいい
Moonman『万年筆(S3)』












出典:Amazon
ペン先 | イジリウム合金 |
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字幅 | 極細字 |
インク | カートリッジ/コンバーター両用式 |
サイズ | 全長138×最大径14mm |
Wing Sung『万年筆(3008A)』














出典:Amazon
ペン先 | ー |
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字幅 | 極細字 |
インク | コンバーター式 |
サイズ | 全長138×最大径14mm |
プラチナ万年筆『プレピー(PSQ-400)』






出典:Amazon
ペン先 | ステンレス |
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字幅 | 極細字 |
インク | カートリッジ式 |
サイズ | 全長138×最大径13mm |
ラミー『アルスター ヴァイブラントピンクEF(L99-EF)』










出典:Amazon
ペン先 | スチール |
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字幅 | 極細 |
インク | カートリッジ/コンバーター両用式(コンバーター別売) |
サイズ | 全長138.5mm×14mm |
オート『万年筆 タッシェ(FF-10T)』














出典:Amazon
ペン先 | アルミニウム |
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字幅 | 細字 |
インク | カートリッジ式 |
サイズ | 全長98.8(使用時144.8)×最大径9.7mm |
Asixx『フェザーペン』


















出典:Amazon
ペン先 | 合金 |
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字幅 | 極細字 |
インク | ー |
サイズ | 全長300mm |
5000円以下の万年筆『カジュアル&普段使いにおすすめ』4選
ナカバヤシ『PENFORT Facet 万年筆クリア−EF(TPF-001-C-EF)』










出典:Amazon
ペン先 | ステンレス、イリジウム |
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字幅 | 極細 |
インク | カートリッジ/コンバーター両用式(コンバーター別売) |
サイズ | 全長141mm×胴軸径最太部16~最細部13mm |
ペリカン『万年筆 ツイスト 極細字』










出典:Amazon
ペン先 | ステンレススチール |
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字幅 | 極細字 |
インク | カートリッジ/コンバーター両用式(コンバーター別売) |
サイズ | 全長140×最大径17mm |
セーラー万年筆『ハイエース ネオ クリア万年筆 シルバー 細字』


















出典:Amazon
ペン先 | ステンレス |
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字幅 | 細字 |
インク | コンバーター式(コンバーターは別売) |
サイズ | 全長136×最大径13.5mm |
ナカバヤシ『e・万年筆 中字 ブラック(LMP-01D-1P)』












出典:Amazon
ペン先 | スチール |
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字幅 | 中字 |
インク | - |
サイズ | 全長137×径14mm(キャップ付) |
「5,000円以下の万年筆」のおすすめ商品の比較一覧表
まずは中字、軸は透明がおすすめです! 目利きライターからのアドバイス
フリーライター、小物王
万年筆らしい書き心地は、太いペン先ほど味わえるのですが、太いペン先は慣れないと線が途切れやすい上に、細すぎると紙にペン先がこすれてカリカリした書き味になります。そのため、まずは中字からはじめて、用途にあわせながら太さを変えていくといいでしょう。
軸色はインクの残量がわかりやすい透明軸がおすすめ。何色のインクを入れたかもわかりやすいです。基本的に、長く使えるものですからデザインをよく見て、本当に気にいった形のものを選ぶのも重要になります。
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 万年筆の売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでの万年筆の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ペン先の材質などに注意して5,000円以下の万年筆を選ぼう
文房具ライターの納富 廉邦さんにお話をうかがい、5,000円以下で買える万年筆の選び方とおすすめ商品をご紹介しました。納富廉邦さんのアドバイスにあったように、インクの補充方式やペン先の材質などを確認して、自分にあった万年筆を選ぶようにしましょう。
5,000円以下でも、書き味がよい、握りやすいなどの魅力を持った万年筆はたくさんあります。そのなかから「これは!」と思う1本を見つけて購入し、万年筆で書くよろこびを体感してみてください。
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高価な筆記具のひとつである万年筆。仕事などで大切に使っている方も多いことでしょう。そんな万年筆を保護したり、持ち運んだりするのに便利な「万年筆ケース」。いざ購入しようと思っても、ケースの種類は形や色、素材や収納力などさまざまで、どれを選べばいいか悩んでしまいますよね。そこで、目利きライターの納...
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2021/01/18 コンテンツ追加のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 渡辺裕美)
文化、飲食、メディア、ガジェット、雑貨、伝統芸能など、娯楽全般をフィールドに雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、講演などで活動する。 文具系、カバンなどの装身具、お茶、やかん、ガジェット、小説、落語などに関する著書もある。テレビ「マツコの知らない世界」ではボールペンの人、「嵐にしやがれ」ではシステム手帳の人として出演。