万年筆の選び方 文具のエキスパートに聞く！
文具のエキスパートである出雲義和さんに、万年筆を選ぶときのポイントを3つ教えてもらいました。
【1】ペン先の素材
【2】サイズ・軸の太さ
【3】どんなモノに書くのか
上記の3つのポイントをおさえることで、より具体的に自分に合う万年筆を選ぶことができます。一つひとつ解説していきます。
ペン先の素材で変わる書き心地
父の日や、大切な人に向けてのプレゼントとして定評のある万年筆。
「金」はやわらかい書き心地
万年筆は高額になればなるほどペン先に使用される金の含有量が高くなり、14金では58.5％、18金の場合では75.0％になります。ペン先に金を使用するメリットは、インクによる腐食を受けにくいほか、耐久性が高くやわらかい書き心地になるのが特徴です。
一方、ペン先がステンレススチール製のものは価格をおさえられるほか、カリカリした書き心地を好む人にマッチします。また、最近では金のペン先に近い書き心地のステンレススチールペン先も登場しています。
サイズ・軸の太さで選ぶ
スタンダードサイズは140mm前後
スタンダードな万年筆のサイズ（全長）は、おおむね140mm前後です。高額な万年筆になるとさらに長くなり、軸も太くなります。後に紹介する国産3社（プラチナ・セーラー・パイロット）の万年筆は、このスタンダードなサイズにあたります。
書き心地を優先するならスタンダードサイズもしくは太い軸、携帯性を重んじるならスリムなタイプといった点も選択の基準になります。
どんなモノに書くのかを考慮する
手帳か？ 手紙か？ 用途を決めれば失敗なし
シャープペンの場合、一般的な0.5mmから2.0mmのほかに最近では 0.2mmという超極細も登場しました。万年筆の場合も同様に、細字・中字・太字など大きく3種類に分類できます。国産の万年筆は、さらに極細や極太などのバリエーションを誇るメーカーもあります。
手帳など、比較的小さい面積の紙に筆記する場合には細字、手紙など読みやすい大きさの文字を書く場合には中字から太字といった具合に、購入前に用途をしっかり考えておくと失敗はないでしょう。
1万円前後で購入できる万年筆おすすめ8選 文具のエキスパートが厳選！
超極細から極太まで11種類の太さから選べる
『カスタム74』は、「パイロット」の定番中の定番の万年筆です。男性女性を問わず手に馴染む太さで、普段使いでも違和感なく筆記が楽しめるモデル。なにより、11種類とペン先の太さが豊富なのが特徴です。超極細EFからオーソドックスな細字F、中字M、太字Bに加え、極太BBから楽譜用極太MS（ミュージック）などから選択できます。
小さな手帳に文字をびっしり書き込みたい人には、超極細がおすすめ。ほかにない筆記体験が楽しめます。
※通販サイトリンク先の商品は、すべて「ブラック・中字M」となっています。
| サイズ | 全長143.0×直径14.7mm |
|---|---|
| ペン先素材 | 14K 5号 |
| ペン先太さ | EF、F、SF、FM、SFM、M、SM、B、BB、C、MS |
| インクの充填法 | カートリッジ・コンバーター両用式 |
| カラー | ブラック、ディープレッド、ダークブルー、ダークグリーン |
| メーカー国 | 日本 |
| サイズ | 全長143.0×直径14.7mm |
|---|---|
| ペン先素材 | 14K 5号 |
| ペン先太さ | EF、F、SF、FM、SFM、M、SM、B、BB、C、MS |
| インクの充填法 | カートリッジ・コンバーター両用式 |
| カラー | ブラック、ディープレッド、ダークブルー、ダークグリーン |
| メーカー国 | 日本 |
デザインにこだわるならLAMYの新モデル
ドイツの名門「LAMY」から2017年に登場した『aion（アイオン）』は、インテリアデザイナーのジャスパーモリソンが手がけた万年筆。シンプルでいて、飽きのこない洗練されたデザインは、デザイナーが変わっても歴代「LAMY」の遺伝子を引き継ぐ万年筆といえるでしょう。
ペン先にはスチール製が採用され、少し固めの書き心地。筆圧が高めのひとにはしっかり書ける心地よさがあります。同じメーカーに『LAMYサファリ』が出されていますが、『LAMYアイオン』は、大人の万年筆に興味のある人に持ってほしい1本です。
| サイズ | 全長148（収納時）×直径14mm |
|---|---|
| ペン先素材 | スチール |
| ペン先太さ | EF、F、M |
| インクの充填法 | カートリッジ・コンバーター両用式 |
| カラー | ダークグリーン、ブラック、オリーブシルバー |
| メーカー国 | ドイツ |
| サイズ | 全長148（収納時）×直径14mm |
|---|---|
| ペン先素材 | スチール |
| ペン先太さ | EF、F、M |
| インクの充填法 | カートリッジ・コンバーター両用式 |
| カラー | ダークグリーン、ブラック、オリーブシルバー |
| メーカー国 | ドイツ |
台湾から来た話題の黒船万年筆
台湾の「TWSBI」は、ヨーロッパの万年筆メーカーのOEMとして40年の実績を誇るメーカーです。ラインナップの特徴は、すべてスチール製にもかかわらず、金ペンにひけをとらない柔らかな書き心地があることです。『ダイヤモンド580』のボディにはダイヤモンドカット加工されているので、インクが宝石のように輝いて見える構造です。
さらに、直接本体にインクを吸い上げる吸入式を採用しているので、カートリッジやコンバーターは不要です。
| サイズ | 全長142（収納時）×直径13mm |
|---|---|
| ペン先素材 | ステンレススチール |
| ペン先太さ | EF、F、M、B |
| インクの充填法 | 吸入式 |
| カラー | クリア |
| メーカー国 | 台湾 |
| サイズ | 全長142（収納時）×直径13mm |
|---|---|
| ペン先素材 | ステンレススチール |
| ペン先太さ | EF、F、M、B |
| インクの充填法 | 吸入式 |
| カラー | クリア |
| メーカー国 | 台湾 |
オシャレな万年筆でまわりと差をつけよう
海外のブランドに魅力を感じている人には、おしゃれで上品なオーラを放つ『Pelikan M200』がおすすめです。万年筆のキャップのデザインは、シャツやジャケットのポケットに差すと天冠（てんかん）に描かれたペリカンの姿が見え隠れして、さりげないオシャレなアイテムとして演出をしてくれます。
ゴールドに輝くペン先は、スチールに24金のコーティングを施してあり、筆記中も華やかな気分にしてくれます。はじめての万年筆はもちろん、2本目以降にも欲しくなる万年筆です。
| サイズ | 全長126（収納時）×直径12mm |
|---|---|
| ペン先素材 | ステンレス |
| ペン先太さ | EF、F、M、B |
| インクの充填法 | 吸入式 |
| カラー | ゴールドマーブル、ブラック ほか |
| メーカー国 | ドイツ |
| サイズ | 全長126（収納時）×直径12mm |
|---|---|
| ペン先素材 | ステンレス |
| ペン先太さ | EF、F、M、B |
| インクの充填法 | 吸入式 |
| カラー | ゴールドマーブル、ブラック ほか |
| メーカー国 | ドイツ |
ストレートラインが美しいスチール万年筆
細身で上品なストレートラインが特徴的。つや消し効果のある特殊レジン素材が、木のようなあたたかみのある手触りを実現しています。
軽量で細身なので持ち運びもラクラク。長時間使用しても手が疲れにくいのも大きな魅力のひとつです。ペン先にはステンレススチールを採用。かたすぎないしなやかさで文字をスラスラ書くことができるでしょう。
| サイズ | - |
|---|---|
| ペン先素材 | ステンレス |
| ペン先太さ | EF、F |
| インクの充填法 | カートリッジ・コンバータ両用式 |
| カラー | ブラック、ロンバス ほか |
| メーカー国 | ドイツ |
| サイズ | - |
|---|---|
| ペン先素材 | ステンレス |
| ペン先太さ | EF、F |
| インクの充填法 | カートリッジ・コンバータ両用式 |
| カラー | ブラック、ロンバス ほか |
| メーカー国 | ドイツ |
かためのペン先が心地よいひと品
高級感を出しつつカジュアルに使用できる万年筆といえばこの商品。ペン先は14金を使用していて、かための感触が心地よさを与えてくれます。上品なデザインで、軽量スリムボディとなっているため、持ちやすく手が疲れにくいことが特徴。
カートリッジ、コンバーター両用式で、気軽に使いたい方はカートリッジ、万年筆らしさを味わいたければコンバーターと1本で選べます。本体カラーは4色あるので好みや気分で選ぶのもいいですね。
| サイズ | 全長124×直径17mm |
|---|---|
| ペン先素材 | 14金、ロジウムプレート |
| ペン先太さ | 細字、中字、太字 ほか |
| インクの充填法 | カートリッジ・コンバータ両用式 |
| カラー | ホワイト、ダークフランボワーズ、ブルーベリー、ブラック |
| メーカー国 | 日本 |
| サイズ | 全長124×直径17mm |
|---|---|
| ペン先素材 | 14金、ロジウムプレート |
| ペン先太さ | 細字、中字、太字 ほか |
| インクの充填法 | カートリッジ・コンバータ両用式 |
| カラー | ホワイト、ダークフランボワーズ、ブルーベリー、ブラック |
| メーカー国 | 日本 |
スリムで軽い書き心地、斬新なノック式デザイン
ノック式でスタイリッシュなデザインが魅力の万年筆。軽量スリムで女性が使用しても優雅に手元を飾ります。18金のペン先は細く、ふだんより文字がきれいに見えるところがうれしいポイント。
ノックの感触は普通のボールペンとはまた違った感覚でクセになるかもしれません。これまで万年筆を使ったことがない人でも、気軽に使用できるひと品です。
| サイズ | 全長140×直径12mm |
|---|---|
| ペン先素材 | 18金 |
| ペン先太さ | EF、F、M |
| インクの充填法 | カートリッジ・コンバーター両用式 |
| カラー | ダークブルーマイカ、ダークグレーマイカ、パールホワイト、シャンパンピンク ほか |
| メーカー国 | 日本 |
| サイズ | 全長140×直径12mm |
|---|---|
| ペン先素材 | 18金 |
| ペン先太さ | EF、F、M |
| インクの充填法 | カートリッジ・コンバーター両用式 |
| カラー | ダークブルーマイカ、ダークグレーマイカ、パールホワイト、シャンパンピンク ほか |
| メーカー国 | 日本 |
メタリックな美しいフォルム
メタリックなフォルムと斬新なデザインが印象的な1本。フランスの高級筆記具メーカーであるパーカー社製、独自の技術で作り上げたペン先はしなやかで書き心地は秀逸です。重量感もあるので、しっかり手になじみます。
太めのペン軸は長時間の使用でも疲れにくい設計。大人のおしゃれアイテムとして持っておきたい商品です。
※現在は創業地アメリカとイギリス（1987年イギリス資本が入り本部がイギリスへ）の工場が閉鎖。生産拠点がフランスへ移動。アメリカのサンフォード傘下。
| サイズ | 全長140mm（収納時）×直径13.5mm |
|---|---|
| ペン先素材 | サンドブラストマット仕上げ |
| ペン先太さ | F、M |
| インクの充填法 | リフィル |
| カラー | ディープブラックレッドBT、ディープブラックグリーンBT ほか |
| メーカー国 | イギリス ※ |
| サイズ | 全長140mm（収納時）×直径13.5mm |
|---|---|
| ペン先素材 | サンドブラストマット仕上げ |
| ペン先太さ | F、M |
| インクの充填法 | リフィル |
| カラー | ディープブラックレッドBT、ディープブラックグリーンBT ほか |
| メーカー国 | イギリス ※ |
おすすめ商品の比較一覧表
文具のエキスパートからメッセージ ペン先の質や太さにこだわりを
1万円クラスの万年筆は、エントリーモデルとしてコストパフォーマンスにすぐれたものばかりです。各メーカーとも定番とされている万年筆で失敗することは少ないでしょう。
ただし、ペンの太さにはちょっと注意が必要です。細字Fの場合では海外の万年筆は国産万年筆よりやや太めの傾向があるので、海外の万年筆は、ひとクラス下のサイズを選ぶといいでしょう。
最近は金額が抑えられた万年筆も販売されていますが、ペン先の質、太さやデザインにこだわって筆記具として長い人生をともに過ごすのなら、1万円クラスの万年筆から選ぶ事をおすすめします。
通販サイトの人気ランキング 万年筆の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での万年筆の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
1万円前後の万年筆について7つのポイントをおさらい
1.ペン先が金の場合、インクによる腐食を受けにくく、やわらかい書き心地になる
2.ステンレススチール製は価格をおさえられ、カリカリした書き心地になる
3.書き心地を優先するならスタンダードサイズまたは太軸
4.携帯性を優先するならスリムタイプ
5.手帳など、比較的小さい面積の紙に筆記する場合には細字
6.手紙などは中字から太字
7.海外の万年筆は太い場合があるので、ひとクラス下のサイズを選ぶとよい
手紙や手帳など「どんなモノに書き込む機会が多いか」をイメージしておけば。グッと選びやすくなります。用途に合った万年筆を選びたいですね。
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