「万年筆」のおすすめ商品の比較一覧表
万年筆とボールペンの違いは?
ボールペンも、ペン軸の中のインクがペン先に持続的に供給されるというメカニズムは、万年筆と共通していますが違いはどこにあるのでしょうか。本項ではまず、万年筆とボールペンの違いについて解説していきます。
万年筆の特徴|長く使いづづけられる
万年筆は高い筆圧は不要で、また筆圧の強弱によって表情豊かな文字を書くことができます。長時間使用する場合や、文字に味を出したい方にはボールペンより、万年筆が適しています。
また、インクを補充できるため、手入れさえ怠らなければ半永久的な使用が可能です。さらにパーツごとに分解できるため、部品の交換や修理も比較的容易ので長く使い続けていくなら万年筆がおすすめです。
ボールペンの特徴|機能面が優れている
は安価で管理がしやすく、筆記具としては圧倒的に普及しています。機能面だけを比べるとボールペンには優れた点が多いのですが、長時間、疲れずに書けるという点では万年筆にはかないません。使い込めば使い込むほど手に馴染んでいく感触も含めて、万年筆が筆記具の王様として君臨している理由がわかります。
万年筆の予算や相場はどれくらい?
万年筆と聞くと高級なイメージがあるかもしれませんが、実は1000円以下で買える安いものから数十万するものまでさまざまです。そのため具体的な相場を示すのが難しいところですが、初めて購入する場合には5000円以下のものがおすすめ。ペン先がステンレス製のモデルが多く、ボールペンに近い書き心地で使えます。
一方で、万年筆らしい書き心地や高級品が欲しい方はペン先が金製の物を選ぶのがおすすめ。比較的手に入りやすい価格帯を選ぶと、海外メーカーのものは2~3万円、国内メーカーだと1~3万円のものが多く、国内メーカーの方が手に入りやすい価格帯です。
万年筆の選び方
次は選ぶ際のチェックポイントを抑えていきましょう。ポイントは下記の5つ。
【1】インクの充填方式で選ぶ
【2】ペン先の素材で選ぶ
【3】用途に合わせて文字の太さを選ぶ
【4】万年筆はプレゼントにもおすすめ
【5】国産・欧米のブランドで選ぶ
上記のポイントを抑えることで、より具体的に万年筆の欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】インクの充填方式で選ぶ
万年筆は、ペン軸の中のインクがペン先に持続的に供給されることで、頻繁にインクを補充することなく書き続けられる筆記具です。万年筆の英語名「fountain pen」のfountainは「泉」という意味なので、泉のようにインクが湧いてくるというイメージでしょうか。このインクの充填方式の違いによって、万年筆は分類が可能です。
インクの充填方式は、大別して吸入式、カートリッジ式、コンバーター式(両用式)の3種類があります。主な特徴は以下の通りです。
カートリッジ式|手軽で初心者ににおすすめ
あらかじめインクが充填された、プラスチック製の使い捨てカートリッジを挿入する方式です。
手間がかからず携帯にも便利で、すぐに予備も準備できます。交換が簡単なので、初心者の方にはこのカートリッジ式がおすすめ。欠点としては、後述する吸入式に使われるボトルインクに比べ、インクの色や種類が限られることが挙げられます。
吸入式|本格的でハイクラス
高価格帯の万年筆に多く見られる方式で、ボトルインクからインクを吸い上げてペン軸内に貯める、万年筆では古くから用いられているスタンダードな方式です。
カートリッジ式やコンバーター式よりも多くのインクを充填することができ、使用できるインクの種類も多いことも魅力のひとつです。
コンバーター式(両用式)|使い方を選べて人気
吸入式とカートリッジ式の両方を行える方式です。カートリッジを挿入できるほか、コンバーター(吸入器)を装着してインク瓶からインクを吸入し、利用することができます。
カートリッジ式の利便性と吸入式の経済性を兼ね備えた方式として、近年人気となっています。
【2】ペン先の素材で選ぶ
書きやすさや書き味を決める大きな要素となるのが、ペン先(ニブ)。素材は、金とステンレス鋼に大別できます。
金製|耐薬品性に優れて柔らかい書き味
金は、強度とインクに侵されない耐薬品性、柔軟性を備えており、ペン先の素材としてはもっともポピュラーです。24K(純金)から18K(18金)が一般的です。中には21K(21金)以上というものもありますが、耐久性では14K(14金)がもっとも優れているとされています。金は耐摩耗性が劣るためロジウムなどでメッキが施されていたり、ペンポイントと呼ばれる先端にイリドスミンの玉が溶接されていたりすることもあります。
ステンレス鋼製|リーズナブルで硬い書き味
ステンレス鋼は、安価で量産に適していることから、リーズナブルな価格の商品に多く見られる素材です。金と比べ柔軟性に欠けるため、やや硬い書き味になります。ステンレスの表面に金メッキを施したものもあり、「◯金仕上げ」「◯金ゴールドプレート」などの表記がそれに当たります。
【3】用途に合わせて文字の太さを選ぶ
万年筆は、ペン先が紙に接する面積の大きさで書ける太さが決まります。太さによって書きやすさもかわってくるので自分の用途にあったものを選びましょう。
▼一般的なペン先の種類
極細字…EFもしくはXF(エクストラファイン)
中細字…MF(ミディアムファイン)
細字 …F(ファイン)
中字 …M(ミディアム)
太字 …B(ブロード)
極太字…BB(ブロードブロード)
初心者の方|細字がおすすめ
初めて万年筆を手にするという場合であれば、まずはF(細字)を試してみるのがよいでしょう。
なお、日本メーカーのペン先は海外のものよりも若干細い傾向がありますので注意が必要です。細すぎるとかすれやすく、ペン先が痛みやすいため、特に筆圧が強い方は、一つ上のMF(ミディアムファイン=中細字)から試してみるとよいでしょう。
メモ書き用|中字・細字がおすすめ
自分用のメモなど雑多にアイデアを出す時に使用するならば、汎用性の高いF(ファイン)やM(ミディアム)の太さが適しています。
また持ち運んでの使用頻度が高い場合、小さくキャップレスなペン先繰り出し式の万年筆が便利。太いボディで使う時間が長いと疲労感がたまることもあるので、細めだとよりよいと言えます。
イラストやカリグラフィー|特殊なペン先
万年筆は文字だけでなく、アートに役立てることも可能。絵やデザインを楽しむならば、MS(ミュージック)など線に強弱がつけやすいペン先を選ぶとよいでしょう。
また、筆記角度によって細字や太字に臨機応変に対応できるセーラー万年筆の『ふでDEまんねん』など、特殊なペン先の万年筆もあります。
彩色も楽しむならば、カートリッジ式ながら安価で多くのカラーが取り揃えられているパイロットの『カクノ』シリーズがおすすめです。
履歴書や契約書など公的な文書作成|国産ブランドの細字
きめ細やかな文字を書くことが多くなる場合は、太字よりはEF(エクストラファイン=極細字)やMF(ミディアムファイン=中細字)など細字のペン先がより適していると言えます。また、適度な緊張感をもって文を執筆することから、軽いボディよりはやや重いくらいの材質が向いています。
さらに、アルファベットを書くことを想定して作られた海外のブランドと比べるとトメ、ハネ、ハライなどをより表現しやすいことから国産メーカーの万年筆の方が無難でしょう。
【4】万年筆はプレゼントにもおすすめ
ご入学、ご入社、ご昇進などのお祝いに、長く使えるものだからこそ大事な日の贈り物には万年筆がおすすめです。名前が入れられるものや、お洒落なデザインのものがあるのでぜひチェックしてみてください。
▼プレゼントの相場は?
贈り物をするときの金額の相場はお相手との距離感により変わりますが、御入学祝が5000円程度、御入社祝10,000円程度、御昇進祝10,000円~20,000円程度とお考えておきましょう。また、プレゼントの場合は名入れができるものだとさらに喜んでもらえるため、検討してみてもいいかもしれません。
【5】国産・欧米のブランドで選ぶ
愛好家には、特定のブランドの万年筆を愛用し続けているという方も多いかもしれません。日本も含め、万年筆の優れたメーカーやブランドを有する国はいくつかあります。有名なところを見ていきましょう。
国産メーカー|繊細さが特徴
日本の3大メーカーであるパイロットコーポレーション、プラチナ万年筆、セーラー万年筆は、世界的にも有名。国産万年筆の特徴として挙げられるのは、日本語はアルファベットなどよりも細かい動きが要求されるので、日本のメーカーの万年筆は細めのペン先が多いことです。
▼セーラー
日本でもっとも歴史のある万年筆のメーカー。海外での評価も高く、国内外の万年筆愛好家から支持されるブランドです。
▼パイロット
初心者も万年筆マニアも使える豊富なラインナップが魅力のメーカーです。
欧米メーカー|ファッション性が高い
海外のおすすめブランドとしては、ドイツのモンブラン、ペリカン、ラミー、イギリスのパーカー、イタリアのアウロラやデルタ、フランスのウォーターマン、アメリカのシェーファーやクロスなど秀逸なブランドがおおくあります。
カルティエ(フランス)やダンヒル(イギリス)なども万年筆を生産しており、ファッション性は高いと言えます。ほかにも、より小規模で職人気質の強い工房なども多くあり、熱心なファンの支持を集めているようなのでぜひチェックしてみてください。
▼モンブラン
万年筆にあまり詳しくない人にも知られている有名なブランドです。
▼パーカー
初心者が扱いやすいモデルから、愛好者を納得させる万年筆まで幅広い製品をそろうメーカーです。
万年筆おすすめランキングTOP10【1万円前後】
まず、初心者の方にもおすすめな万年筆を、1万円前後の価格帯から紹介します。中には1000円しない商品もあるので参考にしてみてください。
※2022年6月10日時点の値段で振り分けています。
万年筆おすすめランキングTOP10【1万円以上】
続いては、1万円以上する商品の中で、生涯の友にしたくなるようなものや、プレゼントにもおすすめな万年筆をランキング形式で発表します。ぜひ参考にしてみてください。
※2022年6月10日時点の値段で振り分けています。
かっこいいベスト型!考え抜かれた逸品です
ついに1位の発表です。ゴールドパーツがふんだんに使われた万年筆かと思いきや。シンプルなシルバーパーツのソリッドなモデルがトップでした。2万円程度で購入できながら、日本人に最適な書き味を追求したパイロットの『カスタム ヘリテイジ912』です。
まず注目してほしいのは、14K10号のペン先です。気高い猛禽類のクチバシを思わせるフォルムに銀色のロジューム装飾が施されており、その美しさといったらもう……(ため息)。ペン先のバリエーションは15を用意しています。どんなニーズにも応えてみせるという心意気を感じます。そして、使用者を極力疲れさせないための絶妙な重量バランスなど、とことん考え尽くされた逸品です。
フラッグシップモデル『#3776』を刷新
日本最高峰の品質を求め、名称は富士山の標高を表す数字「3776m」から名付けられています。ベースになったのは1978年、作家で万年筆コレクターの故梅田晴夫氏を中心とする研究グループが中心となり「理想の万年筆」を目指して開発された『プラチナ#3776』。
その『プラチナ#3776』に改良を加えた『プラチナ#3776センチュリー』は、クリップ以外の全てを刷新し、新たに生まれ変わった万年筆です。「スリップシール機構」を新たに組み込んだ革新のキャップを採用し、万年筆最大の欠点とも言えるインク乾燥を2年間も防ぐことに成功。
耐水性・耐光性が高い代わりに固まりやすい顔料インクも安心して使えます。ペン先は、書き味を左右するインクの流動を見直し、スムーズなインクの流れを実現。繊細なフォルムは、長く付き合うために手に馴染み、飽きのこないよう考え抜かれています。

【第9位】デュポン『ライン D』
万年筆おすすめ13選【プロと編集部が厳選】
文具ライター&フムフムハック編集長のやまぐち まきこさんと、編集部が厳選した万年筆をご紹介します。万年筆の入門用や定番、ちょっと変わったものまで実際に使っているものまであるので参考にしてください。




通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 万年筆の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの万年筆の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
万年筆を長く使い続ける使い方は?
せっかくお気に入りの万年筆を手に入れても使い方が悪かったり、メンテナンスを怠ってしまったら、書き心地が悪くなってしまったり、最悪の場合には使えなくなってしまうこともあります。そうならないコツをお教えします。
Point.1:筆圧は弱くボールペンより傾けて書く
万年筆で文字を書く際には、ペン軸を約45°~60°ほど傾けながら文字を書きます。実際にやってみるとわかるのですが、これはボールペンに比べるとかなり寝かせたイメージになります。
万年筆は、ペン先からインクが持続的に流れ出る構造になっているため、ボールペンと異なり強い筆圧をかける必要はありません。というよりもむしろ、強い筆圧をかけてはいけない筆記具です。筆圧をかけすぎると、ペン先が開いたり曲がったりして文字が割れてしまう可能性があるからです。ペン先を傷め、寿命を縮めてしまうことにもなりますので注意しましょう。
Point.2:毎日使い続ける
毎日使い続けることが、万年筆にとって最もよい使用法だといわれています。長い間インクを入れっぱなしにして使わないでいると、インク詰まりやサビ、腐食の原因となります。使わない万年筆はインクを抜き、洗浄をしたのちに保管するようにしましょう。
Point.3:使わないときはよく水洗いしておく
洗浄は、吸入式やコンバーター式の場合はインクを吸入する要領で、インクの色が見えなくなるまで水かぬるま湯を出し入れします。カートリッジ式はカートリッジを外し、容器に入れて水やぬるま湯に数時間つけましょう。この際は決して、洗剤などは使用しないでください。ペン先やペン軸からインクが抜けたら流水でよく洗い流し、丁寧に水分を拭き取り、乾かします。毎日使う万年筆も2、3カ月に一度、このように洗浄を行うことでより長い期間、快適に使用することができます。
万年筆の保管の際には、キャップを閉めることも習慣にしましょう。ペン先を保護でき、インクの乾燥も防ぐことができます。
Point.4:万年筆のインクにもこだわる
お気に入りの1本が見つかり使うのにも慣れてきたら、インクにも気を配ってみましょう。万年筆のインクは色の違いのほかにも、成分によって染料インクと顔料インクに大別できます。
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機能だけでなくステータスも表現できるアイテム
ここまで万年筆の特徴を紹介しながら、選び方のポイントを考えてきました。また、上記以外に価格も重要な要素となります。万年筆は腕時計などと同様に、機能だけでなくステータスも表現できるアイテムです。その際には価格が、ある種の指標として意味を持ちます。
もちろん値段が高いこと自体に価値があるのではありません。その商品に込められた労力や情熱、創意工夫、テクノロジー、歴史や伝統の重み、ブランドイメージ、希少性などが、価格に反映されているのです。例えば、1906年に創業した世界を代表する筆記具ブランド・モンブランの『マイスターシュテュック 149』は、高級万年筆の代名詞的存在。ペン先は18K(18金)、ボディは天然素材からモンブランがこだわった製法で作った樹脂で、7万円を超すものの、さまざまな万年筆の中でも世界最高峰と称されています。
また、万年筆を購入する際には、できれば試し書きをしてみましょう。紙の上でペン先を走らせたときの書き味や文字の太さ、ペン軸の太さや長さ、握り心地、重さや重心のバランス、デザインなどを確かめながら、フィットする1本を見極めましょう。
◆アンケート情報
調査時期: 2020年1月26日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 合計502名
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※この記事は、2018/05/21にマイナビニュースの「おすすめナビ!」コーナーに掲載した内容を、エキスパートへの取材を経て、リライト・再編集の上で再公開したものです。(元記事執筆・取材:エボル、編集・リライト:マイナビおすすめナビ編集部 成田晴香)
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※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
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年間300万PVを超える人気ブログ「フムフムハック」の編集長。 文房具を中心に“読んでフムフム・ワクワクする”コンテンツを発信。 雑誌やWEBで文具ライターとしても活躍中。 「NIKKEI STYLE」にて文具の連載が新スタート