製図用シャーペンは普通のシャーペンと何が違う? 図を描くだけじゃない!
「製図用シャーペン」は、こまかい作業を伴う図面の作成作業が効率的に行なえるように工夫されているシャーペンです。
一般的なシャープペンとの主な違いは、ペン先が見やすいように、芯の出る部分が長くなっているところです。
設計士・一級建築士など専門家が使うアイテムというイメージもありますが、製図を考慮した書きやすさや使いやすさは、イラストなどさまざまな用途に活用できます。ふだんの仕事や勉強に使えば効率が高まることもあるので、ぜひチェックしてみてください。
製図用シャーペンの選び方 専門家が解説
文房具ユーザーの他故壁氏からのアドバイスをもとに、製図用シャーペンを選ぶときのポイントを教えてもらいました。
ポイントは次のとおり。
【1】重さや重心の位置
【2】ペン先の保護とグリップの握りやすさ
【3】芯径
これらのポイントをおさえることで、あなたにピッタリの商品が見つかります! 一つひとつ解説していきます。
【1】重さや重心の位置で選ぶ
扱いやすさに直結する重量バランスは大切なポイントです。基本的には低重心のタイプがペンを垂直に立てても書きやすく、種類も豊富です。ただ、軽いボディが好みであれば樹脂軸の製品を、全体的に重いボディが好みであれば全体が金属軸の製品を選択しましょう。
【2】ペン先の保護とグリップの握りやすさで選ぶ
一般筆記用に製図用シャープペンシルを選ぶ場合、気をつける点は「先端の保護」と「グリップの素材」です。製図用シャープペンシルはロングガイドパイプ製品が主流ですので、乱雑に扱ったり落下させたりするとかんたんにガイドパイプが曲がり、書けなくなってしまいます。先端を保護する機構が搭載されたものを選ぶと、事故が減ります。
また、グリップ部分にラバーが付いた一般筆記用と異なり、金属に細かく凹凸を付けたローレット加工のものが多くあります。これは低重心にするための工夫であり、滑りにくくするためです。
【3】芯径で選ぶ
製図用シャープペンシルには、一般筆記用より多くの芯径が存在します。0.2~2.0mmの芯径が一般的で、好みに合った太さを選べます。最近は0.2mmなどの細い芯でも折れにくいので、文字を細かく書くことができますよ。
反対に、1.5mmなど太い芯だと、黒く塗りつぶしたり、太い線を書いたりしやすいです。用途に応じて太さを選ぶようにしましょう。
製図用シャーペンのおすすめブランド 人気商品をチェックしよう!
製図用シャーペンは、さまざまな文具メーカーから販売されています。なかでも人気を集めているのは下記のブランド。
・ぺんてる:ロングセラー商品の「グラフペンシル」を手掛ける
・ロットリング:重力感とバツグンの書きやすさを誇る「ロットリング600」が大人気
・ステッドラー:アルミボディの「925 25」が多くの支持を得ている
何を買うか迷ったりプレゼントにしたりするなら、定番の人気商品を選ぶのがおすすめ。ただし、人気商品のなかでも、重さや書き心地、デザインはさまざまなので、特徴をチェックしながら選ぶと楽しいですよ。
製図用シャーペンおすすめ17選 使い心地やグリップなど
ここまで紹介した製図用シャーペンの選び方のポイントをふまえて、文房具ユーザーの他故壁氏さんと編集部で選んだおすすめ商品を紹介します。気になるブランドをチェックしてみてくださいね!
▼ぺんてる
愛され続けているベストセラー
芯径は0.5mm以外廃盤になってしまいましたが、1972年発売以来長らく愛されてきた歴史のある製図用シャーペン。細身で軽い作りなので、書いていて疲れにくいという点が特徴です。
グリップは、こまかい溝があって滑り止めの役目をしっかりと果たし、使いやすい点も注目ポイント。手ごろな価格で手になじみやすく書きやすい製図用シャーペンです。

歴史に裏打ちされた完成度の製図用シャープペンシル
1986年に生まれたベストセラー。パイプ以外を黒染めした、直線的な円錐ではなく段になった口金、グリップは金属パーツからゴムパーツが顔を出す、特徴的なデザインです。
仮に口金が緩んでも芯の繰り出しに影響がない内部機構の搭載など、過去の製図用シャープの概念をくつがえし、のちのスタンダードとなった製品です。日本の誇る「ザ・製図用シャープペンシル」は、どの方にも安心しておすすめできます。
おしゃれなデザインのシャーペン
グリップの模様が特徴的なデザインをしているため、文房具入れに入っていても、一目ですぐわかるデザインとなっています。低重心になっているため、書きやすさは抜群です。
1度目のノックで芯スリープが出て、2回目のノックで芯が出るという仕組みも、使いやすいポイントです。普段使い用としても活躍しますよ。
製図用シャーペンの特徴を持ちつつ軽い使い心地
製図用シャーペンとして分類されていませんが、中の機構は「グラフ1000」と同様で、一般的な用途に向いた仕様と手ごろな価格設定のシャーペンです。シリコンゴム製のラバーグリップで、握り心地がよく滑りにくい構造になっています。
製図用シャーペンを探しているけれど、本体が重いと疲れてしまうという方や、ローレット加工のグリップは苦手だけど滑り止めはほしいと考えている方に適した商品です。
▼ロットリング

フルメタルの重量感、ハードなローレット
ドイツの製図メーカー・ロットリング社の製図用シャープペンシルです。中でも600シリーズはロットリングの製品を代表する存在です。
フルメタルの重量感、ブレの一切生じないグリップと一体化した口金、グリップは爪ヤスリかと思うほどのハードなローレット加工。グリップは円筒形ですが、本体は鉛筆を模した六角形。手にしたときの安定感、安心感が他製品とは異なります。
特別な機能は何もありませんが、ハードでスタイリッシュな外観に惹かれた方は多いでしょう。ひたすら正確な線を引くための、まっすぐな存在です。
ふだん使いできるロットリングをお求めの方に
ロットリングの製図用シャーペンの中では比較的軽めの作りです。価格も抑えめで、購入しやすい製品。ボディはプラスチック、握りの部分はメタルグリップなので重心バランスがよく書きやすい点は、ロットリングらしさが出ています。
日常使いできる手ごろな価格で、軽めだけど性能のいい製図用シャーペンがほしいという方に適した製図用シャーペンです。
筆圧の強い人でも芯が壊れにくい機構
強い力をかけて書くとガイドパイプが奥に入って芯が壊れるのを防ぐ機構を持っている製図用シャーペン。筆圧が強いと、ガイドパイプを壊してしまう可能性があります。しかし、本製品は一定以上の筆圧がかかると、ガイドパイプが奥に入り破損を防ぎます。
デザインは、ロッドリングらしく質実剛健なイメージで、ビジネスにも勉強にも持っていける落ち着いた印象です。筆圧強めの方に向いています。
▼ステッドラー

ラバーグリップ装備の軽量シャープペンシル
グリップにエラストマー樹脂のラバーグリップを採用した、軽量シャープペンシルです。500円という価格帯ながら硬度表示(回転式で窓から3H〜2Bの硬度を表示することができる)、4mmロングガイドパイプと、製図用シャープとしての性能を過不足なく装備している製品です。
ラバーグリップは指への当たりもやわらかなので、製図用だけでなく一般筆記にも最適です。全身ブラックのスタイリッシュなスタイルが好みで、安価でありながら製図用シャープペンシルの性能もほしい、という方はぜひお手に取ってみてください。
筆圧の強い方に適した太い芯径
筆圧が強くて製図用シャーペンをあきらめていた方でも使える太い芯径展開が豊富な製品。0.7、0.9、2.0mmが選べるステッドラーのシリーズです。芯径が2mmあれば、少々のことではおれません。ただ、日常使いのことも考えて、それぞれを書き比べて確認するとよいでしょう。
ナイトブルーの美しいアルミボディで、握りの部分はローレット加工。デザイン性が高い点も特徴のひとつです。筆圧の高さで一度製図用シャーペンをあきらめた人や、ちょっとカッコイイ製図用シャーペンをお求めならチェックしてみてください。
▼ゼブラ

振って芯の出る個性派製図用シャープペンシル
製図用シャープペンシルを謳った製品で、振って芯が出る機構を備えているのは、2018年時点でこのテクトツーウェイシリーズだけです。1,000円と600円のタイプがありますが、ここで紹介するライトは樹脂素材の軽量タイプです。
ゼブラでは「フリシャ」と呼ぶ、振って芯の出る機構を持っています。またボディ中央のリングを回すことでフリシャロックがかかるので、持ち運んだ際に不意に芯が出ることを防止できます。
グリップには3本のゴムリングが入っていて、これで滑りを防止しています。一般筆記でも製図作業時でも、芯を出す行為で作業のリズムを崩したくない方には、これしかありません。
▼パイロット

300円でも充分すぎる製図用シャープペンシル
気軽に使える300円という価格帯ですが、製図用シャープペンシルの基本性能はそろっています。ボディは透明樹脂で、グリップはゆるいリング状の凹凸があるのみですが、滑ってしまうことはありません。
口金(芯の出る部分を覆う金属部分)は定規で引きやすいロングガイドパイプ、金属クリップは着脱式、転がり防止の突起と、300円とは思えないほどの充実ぶりです。芯径もカラーも豊富ですので、製図用シャープペンシルに興味を持たれた方の入門製品として最適です。
▼三菱鉛筆

シフト機構でペン先を完全に守る
シフトは正確には製図用シャープペンシルを名乗っていない製品です。しかし実際には、ロングガイドパイプを持ち、金属ローレットグリップを装備した、製図用シャープペンシルの特徴を持ったシャープペンシルです(ローレット:金属にこまかい凹凸をつけて滑りにくくした加工)
ロングガイドパイプを持つシャープペンシルは、ペンケースに入れた状態で持ち運ぶときに振動や落下などの原因で「ペンの生命」とも呼べるパイプを曲げてしまうことがあります。
シフトはボディ中央にシフト機構があり、これをひねってロックを外すことによりグリップパーツが前方に移動します。
さらにひねると再度ロックがかかり、ロングガイドパイプを完全に保護します。ペン先を傷めることを気にする方は、ぜひシフトを選択肢に入れてみてください。
まるで鉛筆のようなシャーペン
昔懐かしい鉛筆のようなデザインのシャーペンです。書き心地はとても滑らかで、鉛筆のように使えるので、普段あまりシャーペンを使っていない方にもおすすめできる商品となっています。グリップはローレット加工がされているため、滑りにくくなっており、長時間書いても疲れにくいように設計されている商品となっています。
▼その他メーカーの人気商品

クッション機能の切り替えで充実の筆記性能
ドイツの名門鉛筆メーカー・ファーバーカステルの高級製図用シャープペンシルです。
口金とグリップが金属製で、低重心設計です。グリップは他社の製図用シャープペンシルよりも細く、鉛筆に近い印象を受けます。金属に浅いリング錠の溝があるだけなのですが、指が吸いつくような感触で、筆記中に滑るようなことはありません。
金属グリップを捻ることにより、製図用の芯固定モード(hard)と一般筆記用の芯クッションモード(soft)に切り替えが可能です。また、回転繰り出し式の極細消しゴムをノックパーツに内蔵しています。細身の軸で低重心の製品をお探しの方にうってつけの製品です。

超極細モノ消しゴム内蔵の製図用シャープペンシル
口金とグリップが金属パーツで、低重心な製図用シャープペンシルです。
先端が重いので、強い力を掛けることなく正確な線を引くことができます。グリップはローレット加工、滑りをがっちり止めてくれます。
また、ノック部分に直径2.3ミリの超極細モノ消しゴムを内蔵し、ピンポイントの消去に対応します。細かな製図作業や一般筆記文字をピンポイントで消しながら作業される方にぴったりな一品です。

全身金属の軽量製図用シャープペンシル
アルミニウムの軽量ボディで取り回しやすい製図用シャープペンシルです。
グリップ部分はローレット加工(金属に直接すべり止めの削り加工が入っている)タイプですが、ローレットのエッジはなだらかでやさしい刻み具合です。強いエッジを持つローレット加工が苦手な方にも安心して使えます。
口金の部分が3段になっていて先端までが長く、見通しもいいので製図用としても安心して使うことができます。全身金属ボディがお好みの方におすすめします。

シュノークシステムで好みの書き味に
プロユース171は、強い筆圧を掛けると芯が内部に沈み込んで折れを防ぐ「セーフティスライド機構」を搭載しています。
ただ、一般筆記では有効なクッション機能ですが、製図用シャープペンシルとして使う際にはむしろ邪魔なものです。本製品の特徴である「シュノークシステム」は、その「セーフティスライド機構」のクッションONとOFFを切り替える能力を持ちます。
また、ガイドパイプの長さも好みに変えることが可能です。口金が前方にせり出し、露出しているガイドパイプの量を調整できます。このため、使用後などはガイドパイプをすべて隠す状態にしておけば、ペンケース内でのパイプ曲がりなどの事故を防ぐこともできます。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 製図用シャーペンの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での製図用シャーペンの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
理想に合う1本を選びましょう
仕事や授業で製図を行う場合でも、一般筆記に使用する場合でも、まずは価格より「自分の理想とするバランスの製品か」を検討してください。高いからといって極端に高性能なわけではなく、文手になじむかどうかのほうが重要です。
また、最近のシャープ芯は性能が向上したため無駄に折れたり詰まったりする可能性は減りましたが、それでも芯詰まりが心配なことはありますよね。そういう場合は、製品の消しゴムにクリーナーピンが装着されているか確認してください。
これは製品によって、また製造の時期によって有無が左右されることがあるので、ここでは断定ができません。必要があればメーカーに問い合わせるなどしてみてください。
製図用シャーペンに関連する記事のご紹介! 【関連記事】
自分好みの1本を見つけよう ラクに図や文字を書ける!
文房具ユーザーの他故壁氏さんへの取材をもとに製図用シャーペンの選び方とおすすめ商品をご紹介しましたがいかがでしたか。他故壁氏さんのアドバイスのように、用途に応じて先端の精度や保護機能などに注意しつつ、自分に合った製図用シャーペンを選びましょう。
製図用シャーペンをまったく触った経験がない場合は、一度実店舗で実物を触って、自分の好みはどういうタイプなのかを考えてみるのもひとつの方法です。
ぴったりの製図用シャーペンを購入して、製図や筆記を快適なものにしてください。
◆Amazonや楽天を始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しており、当記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されます。◆記事公開後も情報の更新に努めていますが、最新の情報とは異なる場合があります。(更新日は記事上部に表示しています)◆記事中のコンテンツは、エキスパートの選定した商品やコメントを除き、すべて編集部の責任において制作されており、広告出稿の有無に影響を受けることはありません。◆アンケートや外部サイトから提供を受けるコメントは、一部内容を編集して掲載しています。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。