IH式炊飯の基礎知識 実は「IH式」には2種類がある
IH炊飯器は、炊飯器の外釜に張り巡らされているコイルに電流を流し、ジュール熱を発生させてお米を炊く炊飯器のこと。IH炊飯器の強みは、お米をよりおいしく炊き上げるほか、さまざまな炊き分けができること。
このIH炊飯器は各メーカーの炊飯器として、基本でありメインの商品でもあります。そのため、各社が研究を重ね、さまざまな新製品が販売されています。
主に、「IH炊飯器」と「圧力IH炊飯器」の2種類があります。一般的なのが「IH炊飯器」で、さらに圧力を加え、高温で炊き上げるのが「圧力IH炊飯器」です。
▼IH式の炊き方

内釜自体を発熱させて、内釜全体にむらなく熱を伝えることができるのがIH炊飯器です。炊飯器の底部だけを加熱するマイコン式に比べて、高火力でごはんが炊けるので、シャッキリとした食感に炊き上がります。
圧力IH炊飯器と比較して価格もリーズナブルなので、売れ筋の人気炊飯器です。
▼圧力IH式の炊き方

IHの炊飯方式に「蒸気の圧力」を加えて炊き上げるのが圧力IH炊飯器です。内釜全体を熱してふっくら炊き上げるだけでなく、圧力の力で食感のモチモチ感を出したり、お米の甘みを引き出すことが可能。
また、圧力機能があるため、ごはんだけでなく、そのほかの調理ができる機種も多いです。しかし、IH式よりも高機能なため、価格もさらに高価になります。
(★)ポイント:マイコン炊飯器との違い

炊飯器には圧力IH式・IH式のほかに、マイコン式もあります。マイコン炊飯器は底にある発熱装置で釜を温めてお米を炊きます。
釜全体を加熱するIH式と違い、マイコン式は底だけで加熱します。そのため、炊き上がりはふんわりとした食感になる一方、熱にムラが出やすいため、少量の炊飯向き。その分、安価な製品が多く、一人暮らしの方向けの製品と言えるでしょう。
主要メーカー7社の特徴比較
炊飯器には各機能が有名なメーカーが主に7社あります。大まかな特徴は下記になります。
メーカー | 大まかな特徴 |
ZOJIRUSHI(象印) |
「炎舞炊き」でふっくら仕上がる |
TIGER(タイガー) |
「土鍋釜」でふっくら&しっとり炊き上げる |
Panasonic(パナソニック) |
「おどり炊き」でお米を激しくおどらせ、甘みのあるお米に |
MITSUBISHI(三菱電機) |
「炭」を利用し、ふっくら炊き上げる |
HITACHI(日立) |
スチームの力でしっとりした美味しさに |
TOSHIBA(東芝) |
真空技術による炊き上がり時間と保存力が魅力 |
アイリスオーヤマ |
リーズナブルな価格と扱いやすい機能性が魅力 |
それぞれの特徴を解説していきます。ぜひ参考にしてくださいね。
■ZOJIRUSHI(象印)
象印は様々なキッチン家電を扱う有名メーカー。特に、圧力IH炊飯器は「炎舞炊き」をはじめ、釜の中で対流を起こし、お米一粒一粒に熱を加え、ふっくらとした炊き上がりにすることが特徴です。
また、保温機能にも強く、お米の味をしっかり引き出したあと、美味しさを維持することにも長けています。
■TIGER(タイガー)
タイガーは電気ポットや炊飯器などを中心とした家電を扱う有名メーカー。特に、土鍋釜を活用した圧力IH炊飯器は、ふっくらとした炊き上がりになることで人気です。
また、玄米や雑穀米など、白米以外のお米を、適切に炊ける「炊き分け機能」も人気。様々なお米を手軽に味わうことができます。
■Panasonic(パナソニック)
パナソニック炊飯器には「おどり炊き」機能が搭載されているのが特徴。IHの火力によって炊飯器のなかに対流を発生させ、お米を炊飯器のなかで激しくおどらせながら炊き上げます。これにより、ハリやうまみ、甘みのあるふっくらとしたお米が炊き上がります。
ほかにも好みのお米の食感に炊き分ける機能やお米の鮮度を見きわめて炊き分ける鮮度センシングなど、いろいろな機能が搭載されています。
■MITSUBISHI(三菱電機)
三菱電機の炊飯器の大きな特徴は、「炭」を利用した内釜と、かまどの高火力を再現した加熱構造にあります。
炭を利用した内釜は、IHと相性が良く、熱を瞬間的に取り込むため、一気に発熱し、大熱量でお米全体を加熱することができ、お米のうまみを引き出します。
各他社メーカーが、ハイエンドモデルとして圧力をかけて火力を出す「圧力IH式」を取り入れているのに対し、三菱電機はこの構造により、「炭」と「IH」で高火力を出力することが大きな違いです。
■HITACHI(日立)
日立(HITACHI)炊飯器の大きな特徴は、各機能で採用されているスチーム機能です。
炊き方の面では、圧力とスチームを活用し、お米ひと粒ひと粒を丁寧に炊き上げることで、「外硬内軟」となり、甘みをより感じられます。
さらに、保温の面については、6~7時間ごとに3回、保温をしながらスチームを送り込むことで、長時間、お米のしっとりとした美味しさを保つことができます。
■TOSHIBA(東芝)
東芝の炊飯器の大きな特徴は、独自の真空技術による炊き上げです。これは、炊飯器内の内釜を真空にし、圧力差によってお米に吸水させる技術のこと。
これにより、お米のうま味や甘さを最大に引き出すほか、吸水しにくい玄米や麦なども芯までふっくらと炊き上げる事が可能。炊き上がり時間が40分ほどと、他社メーカーと比べ、比較的早いのも魅力です。
また、保温機能にもこの真空技術が応用され、ご飯の保温時でも最大40時間までふっくらとしたお米を保ってくれます。
■アイリスオーヤマ
アイリスオーヤマの炊飯器の大きな特徴は、リーズナブルな価格です。
炊飯器のシリーズは全部で8種類(※)で、価格は2万円〜4万円ほど。ほとんどが2万円前後で購入でき、低価格なもので1万5000円ほど、最高機能のものでも4万円ほどです。
他社メーカーの炊飯器の場合、オーソドックスなモデルで2〜4万円程度、最高機能の商品で8万円〜10万円となることを考えると、リーズナブルな商品が揃っています。
さらに、「炊き分け機能」といったオーソドックスな機能性も搭載されており、シンプルに使いこなせます。
※『ヘルシーサポート炊飯器』は生産終了のため、8種類と記載しております。(2023/01/06時点)
IH炊飯器の選び方
それでは、IH炊飯器の基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記。
【1】炊飯できる容量
【2】内釜の仕様
【3】保温機能
【4】炊き分け機能
【5】お手入れのしやすさ
【6】炊飯以外の機能
上記のポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】炊飯できる容量をチェック
家庭用炊飯器の容量は、1升炊き、5合炊き、3合炊きが主流です。それぞれ用途に合う炊飯量の炊飯器を選びましょう。以下を目安に選ぶのがおすすめです。
▼6人以上など大人数のご家庭
1升炊き
▼2~5人のご家庭
5合炊き
▼一人暮らし
3合炊き
また、最大炊飯量の2/3の容量で炊くと、より美味しくご飯が炊けるとされています。おいしくご飯にこだわりたい場合は、ご家族が食べる量に合わせて炊飯量も選んでみましょう。
【2】内釜の仕様をチェック
お米に直接熱を加える内側は、鉄釜や土鍋釜などメーカーごとにこだわりを持って作られている部分です。内釜の仕様によって炊けるご飯のおいしさも異なるので、内釜もぜひチェックしてみてください。
▼鉄釜
発熱性が高いのが特徴。素早く炊き上がる。
▼炭釜
炭自体が熱を発する事と、遠赤外線も放射するのが特徴。お米の芯まで熱を加え、お米をふっくらさせます。
▼土鍋釜
熱をため込む性質があり、加熱中は内釜に「土鍋泡」が発生するのが特徴。泡がお米をかき混ぜるため、ムラなく、ふっくらと炊き上げます。
【3】保温機能をチェック
保温状態にすることが多い場合は、保温機能が充実しているかをチェックしましょう。保温機能のなかで重要なのは、ごはんの乾燥やニオイ、黄ばみ防ぐ機能、すぐにおいしく食べられる再加熱機能などです。
保温可能な時間は12~24時間が中心です。なかには40時間まで長時間保温できるタイプもあるので、保温機能と機能ごとの保温時間や、保温温度も確かめて選びましょう。
【4】炊き分け機能があるかチェック
炊飯器を活用するさいにあると便利な機能が「炊き分け機能」です。かためややわらかめなどの食感に合わせたり、炊き込みごはんやお粥など調理方式によって変えたりと、炊き分け機能があるだけで、より好みの米飯を楽しめます。
また、同じメーカーでも機種やシリーズによって炊き分け機能の内容は異なるので、どんなモードがあるのか確認し、ほしいメニューの入ったものを選びましょう。
米の種類や銘柄に合わせて炊けるものから、甘み、香り、ねばりといったおいしいごはんに欠かせない要素を引き出す独自に開発したメニューまで幅広くあります。おいしいと感じるごはんを追求するなら、食感を好みに合わせて炊けるタイプに注目してみましょう。
【5】お手入れのしやすさをチェック
パーツを外せる洗いやすいタイプの炊飯器は、ふだんのお手入れがかんたんです。庫内がフラットであれば、ごはん粒がついて汚れてもきれいに拭き取ることができます。
炊き込みごはんや調理に使ったあとは、内釜や内ぶたを洗ってもなかなかニオイが取れません。そうした炊飯器のニオイは、クリーニング機能のついたものを選ぶとラクにお手入れできるでしょう。
【6】炊飯以外の機能にも注目
炊飯メニューにはごはんを炊く以外に調理メニューのついたモデルがあるのでチェックしてみましょう。煮込みや蒸し料理に対応していればおかずも炊飯器で作れます。
ケーキメニューつきでは焦げ目のないふっくらケーキ作り、生地の発酵から焼き上げまで対応しているパンメニューつきならば食事パンや菓子パン作りが可能です。忙しい人はプレートを使って一度におかずまで仕上げられるタイプを選ぶと便利でしょう。
エキスパートからのアドバイス
デジタル&家電ライター
おいしさ重視ならIHは必須
IH炊飯器はメーカーによってその立ち位置が大きく異なる商品。安さが売りのモデルもあれば、おいしさを求めた結果、IH炊飯器になったというモデルも存在しています。
そのため、選ぶ際にはなにを重視するか?が重要。おいしさ重視なら上位モデルにも圧力機能がない三菱電機が、保温機能が不要ならバーミキュラが候補となります。
また、すぐに手が届く価格帯でも選択肢は豊富です。こちらは機能やデザインで選ぶといいでしょう。
IH炊飯器のおすすめ商品
それでは、IH炊飯器のおすすめ商品をご紹介いたします。ご紹介するのは、一般的なIH式と、高機能な圧力IH式の2種類です。
▼おすすめ13選|IH式
▼おすすめ7選|圧力IH式
各種類のおすすめ商品をすぐに見たい方は、ぜひ上記のリンクをクリックしてください。
▼おすすめ13選|IH式
まずは、IH式のおすすめ商品をご紹介いたします。ぜひ参考にしてくださいね。
一台で多彩な調理が楽しめるデザイン性の高い炊飯器
炊飯いがいにも、「低温調理」「パン・ケーキ」機能搭載で、ご飯を炊く以外でも活躍するマルチな炊飯器。話題の低温調理機能を使えば、難しい煮込み料理やローストビーフを楽しめるほか、ヨーグルトなどの発酵も可能。さらに、パン・ケーキ機能を使えば出来立てのパンや、ふわふわのケーキがご自宅でも簡単に楽しめますよ。
また、炊飯機能も優秀で、銘柄ごとの炊き分けや、合計9通りのかたさ・食感の調節がが脳です。さらに、床と蓋にに温度センサーを搭載しており、いつの季節でも美味しいごはんを食べられるのも嬉しいポイント。
おしゃれなデザインで、炊飯以外の機能もほしいなと思っているかたは、ぜひチェックしていただきたい製品です。
40種の銘柄をおいしく炊き分ける2020年モデル
あらゆるお米をおいしく炊き上げてくれる、アイリスオーヤマの銘柄炊きシリーズ2020年モデルです。おいしさの理由はふたつ。ひとつは、40種の銘柄を炊き分ける機能です。米粒の大きさや水分量によって、個別に火力や加熱時間を調整します。もうひとつは、4層構造の極厚の釜と、725Wと強い火力で上下から熱するパワーが理由です。
白米以外にも、雑穀米や玄米などにも対応しています。無洗米や早炊きのコースもあるので、忙しい人も助かるでしょう。
省エネモードにしておけば、約15%も消費電力を減らせます。押しやすく、わかりやすいパネルに、取り外してお手入れもしやすい内釜など、使いやすさにもこだわりありです。
自社製の鋳物ホーロー鍋とIHヒーターのセット
一般的な炊飯器とは異なり、独自に製造した鋳物(いもの)ホーロー鍋と専用のIHヒーターをセットしたIH炊飯器です。
鍋にお米と水をセットしてボタンを押すと、自動的にごはんが炊けます。鋳物ホーロー鍋の蓄熱性と密閉性の高さにより、炊きたてのごはんのおいしさはトップクラスです。
ただし、保温機能をはじめとして、やわらかめに炊くなどの食感を変える機能はありません。また、おかず調理ができるのも特徴のひとつ。ハイレベルな無水調理や低温調理がこの鍋ひとつでできます。
あくまで鍋なので、一般的な炊飯器のような使い方はできません。ごはんを保温しない、おかず調理にも使いたいといった方におすすめできる炊飯器です。
▼おすすめ7選|圧力IH式
続いては、圧力IH式のおすすめ商品をご紹介します。こちらも、ぜひ参考にしてくださいね。
お米の甘味を感じるおいしいごはんに炊き上がる
象印だけの「4つの底IHヒーター」採用モデル。それぞれ独立したIHヒーターが激しく複雑な対流を生み出し、ふっくらとした粒感で、お米の甘みを感じる美味しい炊き上がりに。
また、簡単操作で炊き方を調節できる機能も豊富にラインナップ。中でも、前回食べたごはんの「かたさ」「粘り」の感想を入力することで、ご家庭ごとの好みに合わせた炊き上がりに調節できる「わが家炊き」は秀逸。その他にも時間をかけてうまみを引き出す「熟成炊き」や、1合を約30分で炊き上げる「白米急速メニュー」など、美味しく炊ける機能が満載です。
より美味しいごはんを食べたい方には、ぜひチェックしていただきたい製品です。
おすすめ商品の比較一覧表
各通販サイトのランキングを見る IH炊飯器の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのIH炊飯器の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
IH炊飯器のQ&A よくある質問
炊飯器の寿命や買い替え時は?

炊飯器の寿命は、大体3~5年といわれています。丁寧に使えば長持ちする場合もありますが、故障のサインがあらわれてきたら買い替えるのがおすすめです。
▼故障のサイン
・内窯のコーティングが劣化した
・炊飯中に異音や異臭がする
・炊けたごはんの匂いがいつもと違う
・炊けたご飯が水っぽかったり焦げついたりする
・ボタンがうまく動作しない
炊飯器はどうやって捨てるの?

炊飯器は「小型家電リサイクル法」対象商品なので、リサイクル料を支払わずに回収してもらえる場合があります。ただし、自治体によって回収方法や手数料の有無などの違いがあるため確認が必要です。
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まとめ
IH式がどんな炊飯器なのかを知ると、どれを選べばいいのかも見えてきます。
同じIH式でも、圧力があるのとないのとでは食感に違いが出ます。容量のような基本的なことから、炊き上がりに関わる内釜の質、保温をはじめとしたさまざまな機能、お手入れのしやすさも考えるべきポイントです。メーカーごとにも強みが違い、それぞれに個性や魅力があります。
本記事を参考に、ぜひ自分が必要なポイントを見極め、ぴったりな炊飯器を見つけてくださいね。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
1973年生まれ。大学在学中にライターデビュー。現在はデジタル&家電ライターとしてパソコンからデジタルガジェット、AV機器、白物家電全般を専門分野として執筆活動を展開。得意分野は調理家電。寄稿先はモノ雑誌を中心で、ファッション誌、ニュースサイト、そしてメーカーのwebサイト、オウンドメディアなど多岐にわたる。AllAboutガイドも勤める。執筆以外に企業へのアドバイスやコンサルティングなども行う。