簡易トイレの必要性
簡易トイレはトイレがない場所でもトイレができるアイテムです。災害時に設置される仮設トイレは自由に使えないため、水分摂取を控えたり、我慢したりして体調をくずしてしまう人が出てくる可能性もあります。
簡易トイレを持っていれば自分のタイミングで利用できるだけではなく、感染症対策にもなるので便利です。水や食料を1週間分用意しておくなら、簡易トイレも同じ数だけ用意しておきましょう。防災用の備蓄だけではなく、キャンプなどのアウトドアや介護用にぴったりの商品もあります。
トイレは、食料と同じくらい大事な備蓄品
大地震や水害などの広域災害時、自宅が無事であればわざわざ不便な避難所へ行く必要はなく、備蓄品などを使って生活を継続することができます。このときに忘れがちなのが「トイレ」です。水や食料を1週間分用意するならば、非常用トイレも1週間分準備するなど、食料とトイレは同量を備蓄するようにしてください。
高層マンションの上層階で、自宅のトイレが使用できなくなった場合、毎回地上まで降りて避難所のトイレを使ったり、トイレ用の水を階段で運んだりすることは難しいのが現実です。
また、トイレが自由に使えないと思うと、とくに高齢の方のような災害弱者は、飲食を控えてしまいがち。つまり、トイレ不足は体調を崩す原因になるのです。必ず、じゅうぶんな量のトイレを備蓄しておきましょう。
簡易トイレの種類・タイプ
簡易トイレには、「片手で使える携帯向けのトイレ」「便器で使えるトイレ」「組み立て式で便座付きのトイレ」の3種類に分かれます。それぞれの特徴をみていきましょう。
▼片手で使えるタイプ:携帯に便利
キャンプなどのアウトドアやドライブ、車の渋滞時に必要になってくる携帯トイレ。パッケージから取り出して組み立て、凝固剤をセットしてから使うタイプもありますが、せっぱつまった状況で使うことも多いので、サッと取り出してそのまま使えるタイプが便利です。
また、両手がふさがってしまうと姿勢が不安定になりがちですし、トイレットペーパーの取り扱いにも不便です。「トパック『片手で秒速トイレ』」のように、片手で持てるものや、地面に置いても使えるものがおすすめです。
▼便器で使えるタイプ:断水時などに便利
自宅で過ごせるけど、断水してしまったときなどに活躍するのが「便器で使えるタイプ」です。いつものトイレを使うので、精神的にも安心して使えるのがポイント。
選ぶときのポイントは、組み立てや設置が容易にできることが第一。また、家族の人数や構成によって使用回数も違ってくるので、その点もチェックが必要です。汚物処理の仕方や、ゴミ処理ができるようになるまで自宅で保管して置くときの方法も確認しておきましょう。
▼組み立て式:場所を選ばずに使える
組み立て式の簡易トイレは、便座として使い、なかに汚物袋を取り付けて使います。災害時、家のなかに入れないときなどに活躍するので、防災バッグに入れておくのもいいですね。トイレを置くスペースさえあれば、場所を選ばずに使用できます。女性でも周囲の視線を気にすることなく使用できるでしょう。
組み立てて使用するため、だれでもかんたんに組み立てられるかは要チェック。また、子どもも大人も座れるように耐荷重も確認しましょう。
簡易トイレの選び方
それでは、簡易トイレの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記のとおり。
【1】袋のタイプ
【2】凝固剤
【3】後処理のしやすさ
上記のポイントをおさえることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】袋のタイプをチェック
排泄用の袋も重要です。薄くて耐久性の低いものは、破れてしまうことがあります。簡易トイレを選ぶ場合は、便袋の厚さや丈夫さに気をつけるのもポイントです。
また、色が薄い袋の場合、なかの排泄物が透けてしまいます。とくに携帯トイレは、使用済みの汚物袋を持ち歩いたり保管したりする可能性を考えて、黒など濃い色をした厚手の汚物袋を選ぶようにしましょう。
袋の口がチャック状になっていたり、袋自体に防臭効果があったり、袋が二重になっていたりして、ニオイが漏れにくいものを選んでおくと、災害時のQOLが上がります。
【2】凝固剤をチェック
簡易トイレのセットに含まれる凝固剤は、素早く排泄物を固めてくれます。とくに、おむつなどにも使われる「吸水ポリマー」は、固まるのが早いのでどんな凝固剤が使われているかチェックしてみましょう。また、排泄物が入った袋を長く持っておかなければならない事態も想定し、消臭効果つきのものを選ぶとよいでしょう。
ほかにも、災害時に断水が続き、手を洗えないことが原因で食中毒になる方もいます。少しでも衛生面の不安をなくすために、抗菌効果のある簡易トイレを選ぶのもひとつの方法です。
【3】後処理のしやすさをチェック
簡易トイレは、使用後自分で後処理をしなければいけません。少しでも清潔に後処理するために、排泄物に触れずに処理できるものを選びましょう。また、ニオイが気にならないかどうか、そのまま燃えるごみとして出せるかどうかもポイントです。
後処理がしやすい簡易トイレを選ぶとともに、使用済みの袋を入れておく大きなゴミ袋を用意するなど、自分でできる工夫もしておくといいですね。
防災アドバイザーからのアドバイス
簡易トイレは「備えてこそ」意味がある
家庭だけでなく、 企業や自治体における備蓄でもトイレは最優先アイテムのひとつです。水や食料の配付が半日ほど遅れたとしても、ただちに支障はでません。しかし、トイレの需要については、災害直後から発生する可能性があり、半日遅れるともう手遅れとなります。
そのため、災害直後の初動対応計画のなかに、非常用トイレの設置という項目を設けて、専用のトイレ班を組織したうえで素早く対応することが重要です。
建物が無事であれば、家庭同様にトイレの洋式便器に非常用トイレを設置するのがおすすめ。使用法などをまとめた用紙を印刷しておき、すぐに貼り出して使えるようにしておくとよいでしょう。
簡易トイレのおすすめ商品
それでは、おすすめの簡易トイレをご紹介いたします。
▼片手で使えるタイプ
▼便器で使えるタイプ
▼組み立て式
すぐに各商品が見たい方は、上記のリンクをクリックしてくださいね。
▼片手で使えるタイプ
ここからは、おすすめの簡易トイレをタイプ別にご紹介します。まずは、アウトドアなどに便利な片手で使えるタイプから!

多目的に使える大容量携帯トイレ
通勤や通学時に持ち歩いたり、非常持ち出し袋に入れたりして使用する「携帯トイレ」のひとつです。排泄用の袋・凝固剤(吸水ポリマー)・廃棄用の袋がセットになっています。
特長としては、吸収容量が1,000ccと大きく必要じゅうぶんであること。また、排泄用の袋を両手でつかめるようになっており、直立状態で使用することができるため、足場が悪い場所などでも使えるようになっていて、大便にも対応しています。
袋を取り出してから使用可能になるまでの準備時間が短いので、文字どおりの緊急時に使用できます。もちろん防災用途だけでなく、登山などのアウトドア、ドライブ時の車内備蓄用にも使うことが可能。
男女兼用の作りですので、災害直後に備えて、家族×1日分ほど準備しておくとよいでしょう。

型枠からポンチョまでのフルセットを収納
やや大きめのサイズのため、日頃から持ち歩く用途ではなく、非常持ち出し袋に入れておきたい携帯トイレです。
排泄用の袋・凝固剤(タブレットタイプ)・廃棄用の巾着袋の基本アイテムに加えて、ティッシュ・簡易トイレ型枠・簡易ポンチョが付属されており、これ1セット以外には準備しなくてよいという完結性が特長です。
排泄用の袋をトイレの型枠にセットすることで、和式トイレのように使うことができるため安定性が高く、また付属のポンチョをかぶれば目隠しになるため、屋外でも使いやすくなっています。
せっぱつまったときでも瞬時に使える!
大きめの紙コップのような筒に便袋がセットされた携帯トイレ。折りたたまれた袋を伸ばし、付属の粉末凝固剤を入れ、使用した後は黒色の廃棄用袋に入れて処理します。
男女兼用で大小ともに対応。パッケージから出したら、瞬時に凝固してくれるのでニオイもれも少なくて衛生的です。
凝固剤が抗菌タイプなので、菌が繁殖しにくいのも安心。ドライブやアウトドアの必需品です。
大きく使える世界最小携帯トイレ
小さいのに頼もしい、世界最小クラスの携帯トイレ。ポケットティッシュサイズながら、しっかり広がり固形化してくれます。
ニオイ漏れしないスタンドチャック袋は、ちゃんと自立してくれるので多少不安定な足場でも安心です。アウトドアやドライブの渋滞時、登山のときだけでなく、災害時用にもおすすめです。
ハイカー愛用の携帯・備蓄兼用トイレ
洋式・和式・ポータブルトイレにセットできるのはもちろん、便器がなくても便袋を広げてふちを折り返せばそのまま使えます。
袋には紙オムツと同素材の高速吸水凝固シートが一体化されているので、使用前後に凝固剤をかける必要がなく、開くだけですぐに使うことができます。
便袋上部の切り取り線を切り離すと結び紐になるので、使用後はしっかり口を結べばニオイも気になりません。
大きなポンチョで人目をさえぎる携帯用の簡易トイレ
パッケージがおしゃれでスタイリッシュなデザイン。周囲の視線をシャットアウトできるポンチョつきで、とくに女性にはうれしい簡易トイレではないでしょうか。
ポーチ型の簡易トイレには密封チャックが付いており、においの漏れを防いでくれます。さらに、持ち帰り袋もセットになっているので、使用後の持ち歩きがより安心です。
災害時の携帯用簡易トイレとしての利用はもちろん、登山やキャンプ、帰省中などの長時間ドライブなどにもサッと使えて便利。外出先で子どもがトイレを我慢できないときに備えておくのもいいですね。
ダブルチャック防臭袋つきでにおわない
日本の人気アウトドアメーカーのモンベルが開発した、携帯用の簡易トイレです。アウトドアや災害時向けに作られており、重量が38gと軽量でコンパクトなのが特徴。かさばりにくいため、持ち歩きに向いています。
セット内容は、排泄用の袋・吸水ポリマー・廃棄用の防臭袋の3点。排泄物は吸水ポリマーを使えば1分ほどで凝固します。
携帯用簡易トイレでは、においが漏れにくい作りになっていることが大切なポイントです。こちらの商品では、使用後は排泄用の袋の口を縛り、それをダブルチャックつきの防臭袋に入れて持ち帰れます。
エプロンつきだから恥ずかしくない!
携帯トイレは、慣れていないと使うのが恥ずかしいという方もいるでしょう。こちらの商品は腰に巻くエプロンがついているので、使うときの恥ずかしさを軽減してくれます。
尿凝固剤が尿をすばやくかためてくれるため、ニオイがもれにくいのもうれしいポイント。
使用後は密封ファスナーをしっかり閉めて、持ち帰り袋に入れて持ち帰りましょう。長時間のドライブやキャンプなどのアウトドアにも便利です。
▼便器で使えるタイプ
ここからは、いつものトイレに装着して使えるタイプのおすすめ商品をご紹介します。
大容量なのにコンパクトに収納可能
50回分入りの15年保存できる簡易トイレです。使う前に便器のなかにビニールを敷くので、使用後のビニールが水に濡れません。使用後はポリエチレン製の手袋を使うため、手が汚れず衛生的に交換が可能です。もちろん、使用枚数分入っています。
本棚に入るくらいコンパクトなサイズなので収納場所をとりません。水がいらず、汚れない携帯トイレは台風や大地震などの災害で断水したときに、持っていると便利です。

防臭袋でにおいを漏らさない備蓄トイレ
災害時の在宅避難時、洋式便器に被せて使うタイプの備蓄トイレです。便器カバー・排泄用の袋・凝固剤・廃棄用の袋の基本セットで構成されています。
特徴は、防臭性能にすぐれた廃棄用の防臭袋。いわゆる「ビニール袋」は、ガスバリア性能に劣るため、強いにおいがするものを長期間保存するとにおいが漏れてしまいます。
非常用トイレは基本的に燃えるゴミとして出すことになりますが、大規模災害時はゴミ回収の再開まで時間がかかるので、においの問題が深刻となるのです。
この商品の防臭袋は、高機能素材を使用しているため、長期間排泄物(が入っている袋)を入れておいても、においが漏れづらいというメリットがあります。
1度セットすれば10回連続で使える
災害時などで水が使えない時、自宅やオフィスの洋式便器にセットして使うタイプの備蓄簡易トイレです。
10回分を1度でまとめてセットできるので、使用するたびに毎回袋をかける必要がありません。使用後は、1番上の袋のみをはがしてまとめるだけでOK。子どもやご年配の方にもやさしい作りになっています。
また、こちらの備蓄簡易トイレは、ちょっとした隙間などへコンパクトに収納できるのも魅力。長期間備蓄することを考えると、場所をとらずに保管できるのはうれしいですね。
凝固剤ですばやく汚物をかためる
ご自宅のトイレはもちろん、登山や長時間のドライブなどシーンを問わず使用できる簡易トイレです。汚物袋に凝固剤を入れて使用します。汚物をすばやくかためるため、ニオイがもれにくいのが特徴です。
汚物袋はなかが見えない黒色で約65×50cmと大きめで、口を縛りやすいのもうれしいポイント。使用後は処理袋に入れて自治体の分別方式にしたがって捨てましょう。
▼組み立て式
ここからは、組み立てて使えるおすすめ商品をご紹介します。

シンプルで安価な「非常用便器」セット
なにかしらの理由で、自宅の便器そのものが使えなくなっている場合、あるいは車中泊や屋外避難でトイレがない場合に使用する「非常用便器(簡易トイレ)」です。
組み立て式の洋式便器本体がコンパクトに畳まれており、好きな場所に便器を用意することができます。
段ボール製の台座にプラスチック製の便座を乗せるシンプルな構造ですが、耐荷重は約120kgですので頑丈さとしてはじゅうぶんです。
また、シンプルなぶん実売価格も3,000円程度と安く、備蓄用に適しています。
通常の洋式便器よりやや高さが低い(320mm)ため、子どもには使いやすいですが、足の悪い高齢者には立ち上がるのが少々たいへんなので、高さをかさ上げするか、周囲に手を置く場所を用意するなどの工夫が必要になりそうです。
テントと便座で非常時もストレスなし
凝固剤・蓄便袋のセットに、組み立てかんたんなスチール便座、ワンタッチでセットできるテントが付いた非常用簡易トイレ。
1袋で一般的な成人1回のトイレの量を吸収できる凝固剤が50回分付きです。これなら他人の視線を気にせずトイレを使うことができますね。
値段はそれなりにしますが、キャンプなどのアウトドア時のトイレや、着替えにも使えると思えば安いもの。もちろん、凝固剤、蓄便袋は自宅避難時にも使えるので安心です。
非常用便器つき! 折りたたみ式の段ボール製トイレ
災害時に自宅のトイレが使用できなくなったときに活躍する、非常用便器がセットになった簡易トイレです。非常用便器は折りたたみ式のダンボール製なので、保管する際に場所をとりません。
また、段ボール製ながら250kgの重さまで耐えられるというのもポイント。大柄な方でも安心して利用できます。
使用回数が5回分のセットなので、子どもや両親などと一緒に暮らす、家族の多い方や長引く災害に備えたい方は、被せるタイプの簡易トイレもあわせてそろえておくといいでしょう。
非常用便器がセットになった簡易トイレは、自宅以外に車中泊する場合やアウトドアの場面でも利用できて便利です。
丈夫で軽量な段ボール組み立て式
段ボールを組み立てて作る簡易トイレは耐荷重100kgと強度が高く、1kg未満と軽くて持ち運びやすいのが特徴。
作り方がついているので、だれでもかんたんに組み立てられます。凝固剤がついているので水が使えない断水時や屋外でも使用可能。しっかりと腰をおろせるため、いつものように使えます。
ベッドの横に設置して介護用として使うこともできますし、キャンプやバーベキューなどアウトドアシーンでも活躍します。
簡易チェアとしても使える簡易トイレ
折りたたみチェアのような形状が特徴の簡易トイレは、重量が2kgとある程度重さがあるため、安定感があります。
座面の下にもぐりこませるように段ボールを設置したら、市販のポリ袋を設置して使用します。便座部分まで包むことで衛生的に使うことが可能です。
凝固剤はついていないため、必要な方は別で購入してください。段ボールタイプでは強度が心配という方におすすめの商品です。
「簡易トイレ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 簡易トイレの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの簡易トイレの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
簡易トイレの使い方
ここからは、簡易トイレの使い方をご紹介します。
●「携帯トイレ」の使い方
パッケージから取り出して便袋を広げ、凝固剤や凝固シートをセットしてから用を足します。最初から凝固剤がセットされているタイプもあります。
「立ったまま使えるタイプ」と「座って使うタイプ」があります。座って使う場合は袋を開いて地面に置くので自立する袋のほうが使いやすいでしょう。
用を足した後は、空気が入らないように固く縛り、防臭袋がついていればそれに入れます。使用後は、可燃ごみとしてそのまま捨てられますが、自治体の収集方法を確認しましょう。
●「備蓄トイレ」の使い方
メーカーによって異なりますが、基本的には「便袋を開いて凝固剤を入れてから用を足す」または、「用を足してから凝固剤を入れる」という方法です。便袋に凝固剤がセットされているものもあります。
自宅トイレが使える場合は便器に袋をかぶせて使いますが、あらかじめ大きめのゴミ袋をかぶせてから便袋を設置すると、便袋が濡れず周囲を汚しません。自宅トイレが使えない場合のために、段ボール等で便器を組み立てるタイプもあります。
使用後は便袋を取り出し、袋の空気を抜いて口をかたく縛ります。密閉できる容器などに保管して、ゴミ処理ができるようになるまで保管します。消臭スプレーなども助けになります。
簡易トイレに関するQ&A
簡易トイレに関してよくある質問にお答えします!
簡易トイレはいくつ必要?
簡易トイレは災害の規模によって復旧にかかる時間が異なります。災害時、避難所に仮設トイレが届くまで3日間、水道復旧までは少なくても1週間かかるといわれています。人間は1日5~7回排尿するため、少なくとも5回×7日として、一人当たり35回分の簡易トイレが必要です。
このことから簡易トイレは少なくても一人当たり15~35回分備えておきましょう。仮設トイレが設置されたあともスムーズに利用できるとは限らないため、35回分より多めに備えておくことをおすすめします。
簡易トイレに使用期限はある?
簡易トイレに使われる凝固剤に使用期限があるのでチェックしておきましょう。
実は、凝固剤には5~10年の使用期限があり、使用期限をすぎると凝固剤本来の機能が低下する可能性があります。ただし、消費期限はメーカーにより異なるので確認してください。
簡易トイレは商品によっては災害時以外でも使えるため、いくつ用意していてもよいですが、あまり大量に備えていると、いざというときに凝固剤の消費期限が切れてしまっていることも。定期的にストックの期限をチェックしておくと安心ですね。
目隠しも用意しておこう!
災害時は、屋外で用を足すことも十分考えられます。そんなとき、目隠しとなるポンチョがあると少しは安心して簡易トイレを使うことができると思います。一緒に用意しておきましょう。
多用途な目隠しポンチョ
避難所や、屋外で用を足すときに目隠しとなるポンチョです。頭からかぶるだけなので、簡単に装着できますよ。
また、全体を覆うサイズ感なので、寒さ対策や雨対策としても使うことができますよ。アウトドアシーンでも1枚あると何かと便利なはずです。
番外編|非常用の備蓄リスト
地震や台風などの自然災害が発生したとき、ライフラインの復旧や災害支援物資の到着に数日を要するケースは多々あり、その間は自分たちで命をつなぐ必要があります。
食料や水、それにまつわる備品や簡易トイレ、情報を得るためのツール、安全を確保するための機器のほか、乳幼児、高齢者、ペットなど、その家族ならではの必要な備蓄品を、リストにして見直してみましょう。
水
水は成人1人につき1日3Lを目安に7日分備蓄しましょう。備蓄には長期保存できるように殺菌処理回数を増やし、専用の容器に入れた長期保存水がおすすめです。保存期間は5年から15年くらいまでさまざま。長く保存できるものほど高価格ですが、買い換え頻度を考えれば長いもののほうが割安です。
また、日本人は日ごろ硬度0~120mg/L未満の軟水を飲んでいるので、ラベル表示を見て同程度の軟水を選びましょう。
また、ボトルサイズも重要です。500mlの飲み切りサイズは非常持ち出し袋に数本入れておきましょう。一方、備蓄用の2Lサイズは飲料水が配られるようになったらタンク代わりにも使えます。両方のタイプを揃えるのがおすすめです。
食料
非常食料を揃えるのにどれくらい用意したらよいのかわからない人は、数日分の非常食料が家族の人数分セットになっているものをまずは選びましょう。それにプラスして、家族に合わせ乳幼児用や介護食、あるいは自分の好みのものを買い足すようにします。また、避難所へ行くときのことも考えて、実際に食べるために必要なものも確認しましょう。
たとえば、缶詰を開ける缶切りやフリーズドライ食品を戻す水、レトルトを温めるお湯、紙皿や紙コップが必要な場合もあります。
また、ストレスフルな避難生活には甘いおやつも助けになります。これらの食品は1年に1回、期限表示を確認する日を作り、実際に食べたら買い足す習慣を持ちましょう。
カセットコンロ
災害に遭ってライフラインが絶たれてしまったときのために、カセットコンロとカセットガスボンベが必要です。
精神的負担の大きい災害時に温かい食事がとれるのは、大きな安心感につながります。熱源があれば、お湯を沸かして温かい飲み物を飲むこともでき、カップ麺やフリーズドライ食品を戻すこともできます。
そのときに必ず一緒に準備しなければならないのが、カセットボンベです。災害時のカセットボンベの備蓄目安は、大人2人の7日間分で9本程度といわれています。カセットボンベの使用期限は製造日から約7年です。日ごろの生活で使いながらストックを回していくローリングストックがおすすめです。
ウォータータンク、ウォーターバッグ
災害時に断水があった場合、たとえ備蓄用に飲料水を持っていたとしても、避難生活が長引けば飲料水が足りなくなってしまう可能性もあります。そんな事態に備えて、家族の飲料水を給水拠点まで水をもらいにいくウォータータンクやウォーターバッグが必要です。
せっかくなら大きいもののほうがいいと思いがちですが、あまり大きいと重くなって持ち運びができなくなってしまう可能性もあります。容量10L前後で、運びやすいように持ち手やキャスター付き、リュック型、蛇口付きのものを選ぶと便利です。
懐中電灯と防災ラジオ
懐中電灯は、停電時の自宅避難にはもちろん、夜間に避難所へ移動するときなどにも必要です。
最近の主流は、消費電力が低くて明るいLED懐中電灯です。購入時には明るさや光の広がり具合も確認してください。豪雨時の避難に備えて、防水性のあるもののほうが安心です。
災害の状況や情報は必ずしもスマホが使えるとは限らないため、防災ラジオが必要です。充電器や懐中電灯を兼ねたものもありますが、同時に使う可能性を考えるとラジオ単体を選ぶほうが賢明です。
給電方式には、乾電池のほかに手回し式やソーラー式のものもあります。乾電池の寿命は未使用状態で5年程度。ローリングストックで用意するようにしましょう。
レインコート、レインウェア
豪雨時には想像以上の暴風雨や豪雨になることがあるので、避難や移動時に使う雨具を100均の雨がっぱや、通勤・通学時に使うレインコートで兼用することはできません。傘は片手がふさがり、視界も悪くなってしまうので危険です。
防災袋には、防災用・アウトドア用のレインウェアを用意しましょう。防水性が高く、汗をかいても蒸れなくて、なるべく軽量でコンパクトになるもの、上半身・下半身をしっかり守るセパレートタイプがおすすめです。また、避難や移動中に目立ちやすいよう、なるべく派手な色を選びましょう。いざというときにあわてないように、一回取り出して着てみるのも大切です。
衛生用品
防災袋には清潔を保つために必要な衛生用品も入れておきましょう。たとえば、食事前に手を清潔にしたり、体を拭いたりするのにウエットティッシュやタオルが必要です。
体を拭くのには、介護用タオルや赤ちゃんのおしり拭きでも代用できるほか、比較的長く置いておいても乾燥しにくい防災用のウエットタオルもあります。使いきりサイズの洗口液や口腔ケア用ウエットティッシュ、歯磨きシートも必要でしょう。
ほかにも、除菌衛生スプレーや長尺のトイレットペーパー、使い捨て手袋などを用意しておくといろいろな用途に使えて便利です。家族構成に合わせて、おむつ、生理用品、入れ歯洗浄剤なども用意する必要があります。
日頃から防災に備えよう
備え・防災アドバイザーである高荷智也さんへの取材をもとに、簡易トイレの上手な選び方とおすすめ商品をご紹介しました。
災害はいつ起きるかわからないだけに、事前に備えをしておくことが大切です。
また、簡易トイレは、登山やキャンプ、ドライブ中に渋滞にはまった時など、災害時以外のいろいろな場面でも活躍してくれます。高荷智也さんのアドバイスをもとに、用途に合わせて安心できる簡易トイレを選びましょう。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
「自分と家族が死なないための防災対策」のポイントをロジックで解説するフリーの専門家。 地震対策や感染症パンデミック対策などの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災をやわらかく伝える分かりやすく実践的なアドバイスに定評があり、講演・執筆・コンサルティング・メディア出演など実績多数。1982年、静岡県生まれ。