防災向けレインコートの選び方 備え・防災アドバイザーに聞いた!
備え・防災アドバイザーの高荷智也さんに、防災向けレインコートを選ぶときのポイントを4つ教えてもらいました。ポイントは下記の4つ。
【1】セパレートタイプが動きやすい
【2】耐水圧は10,000mm以上を目安に
【3】透湿度は12,000g以上が安心
【4】日常遣いも視野に入れる
上記のポイントを押えることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】セパレートタイプのウェアを選ぶ
防災用レインコートの目的は、とにかく身体を濡らさないことです。
たとえば、ポンチョタイプのウェアはリュックの上から手軽に羽織れるなどのメリットがありますが、強い雨の場合や足下が浸水している場合は、下半身を守ることができません。そのため、上着とズボンが別々になっているセパレートタイプのレインコートを準備するのが適しています。
きちんとしたフードがついたセパレートのウェアであれば、全身を水濡れから保護することができ、また風を防ぐウインドブレーカーとしての利用や、濡れた服を乾かす間の着替えとしても活用することができます。
【2】防水性能「耐水圧」10,000mm以上を選ぶ
レインコートに使われる防水素材はさまざまですが、防水性能は「耐水圧」という数字で比較できます。
傘やテントのように、ただ雨を受け止めるだけであれば、耐水圧500mmで小雨から、1,000mmで中程度の雨から、1,500mmで大雨から、3,000mmで台風などの打ちつける雨から水の浸入を防ぐことが可能です。
一方、レインコートの場合は、歩いたりしゃがんだり座ったりするため、場所により強い圧力がかかります。そのため、中程度の雨なら2,000mm、大雨なら10,000mm、台風クラスの雨を想定するなら20,000mm程度の耐水圧が必要です。商品を選ぶときは、耐水圧ができれば20,000mm以上、最低でも10,000mmを目安にしましょう。
【3】蒸れ防止性能「透湿度」12,000g以上が安心
耐水圧とあわせて重要な性能レベルが「透湿度」です。耐水圧は水をとおさない素材を使えば強化できますが、水の浸入を防ぐということは、逆に内側からの湿気も外に出せなくなります。
いわゆるビニール製のレインコートなどは、安価な割に防水性能が高いです。しかし、避難行動中にかいた汗がひたすら内側にたまるためサウナスーツ状態となり、雨ではなく自分の汗で身体が濡れてしまうことに。
そのため、レインウェア内の湿気を外に出す透湿性能を持った素材を選ぶことが重要です。徒歩避難による蒸れを防ぐ場合は「12,000g/m2・24h」、駆け足を含む激しい運動をともなう避難を想定する場合は「24,000g/m2・24h」以上の透湿度が求められます。
【4】できれば日常使いできるウェアを選ぶ
きちんとした性能を持つ防災向けレインコートは総じて高価ですし、また雨具は避難時に必ず利用するとも限りません。防災向けレインコートは、命を守るために重要な防災グッズですが、コストパフォーマンスで考えると準備が難しいアイテムでもあります。
雨具に限ったことではありませんが、グッズは「防災専用」に準備するのではなく、できるだけふだんから使える道具を「防災にも」使えるようにすることがポイント。アウトドアやスポーツ、通勤通学でレインコートを利用するのであれば、日常使いできるものを購入し、災害時にも利用できるようにするのがおすすめです。
防災向けレインコートおすすめ6選
防災向けレインコートの選び方のポイントをふまえて、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんに選んでもらった商品を紹介します。
高性能なものから、家族分準備するのにぴったりの標準的なタイプのものまで幅広くピックアップしてもらいました。ぜひ参考にしてみてくださいね!

ラージサイズも豊富な充分スペックのレインウェア
ワーキングウェアをはじめとする、各種ウェアを製造する日本のメーカー、アイトス社が製造するレインコートです。同性能で、デザインやカラーの異なるウェアが複数展開されています。
耐水圧30,000mm、透湿度16,000g/m2・24hと、全力で走り続けるような状況でなければ問題のない性能です。
比較的手ごろな価格ですので、「最高級品でなくてもいいけれど充分なスペックのウェアがほしい」という場合にぴったり。もちろん、ふだん使いと兼用でも問題ありません。
また、サイズがS~5Lの7段階で展開されており、しっかりとしたラージサイズのレインウェアがほしい方にもおすすめです。

ジャケット同様サイズ展開が豊富
3商品めのジャケットの対として販売されているレインパンツです。性能はジャケットと同じ耐水圧30,000mm、透湿度16,000g/m2・24hです。
パンツの場合、濡れた場所に座ったときに高い圧力がかかるため、耐水圧が低いと水が浸透してくるおそれがあります。そのため、ジャケットと同様の耐水圧性能が求められています。
このパンツもジャケット同様、サイズがS~5Lの7段階で展開されています。サイズが上がるにつれてウエストサイズも大きくなるため、よりフィットさせやすいというメリットがあります。

最低要件をクリアした手軽に準備できるレインウェア
日本のレインウェア総合メーカー、トオケミ社が製造する商品です。性能としては、耐水圧10,000mm、透湿度5,000g/m2・24hと決して高くはありませんが、台風の中を走って逃げるのでなければ充分といえるでしょう。
上下セットで販売されており、価格的にも家族全員分そろえやすいため、「それなりの性能・それなりの価格」のウェアを準備したい場合には、バランスのよいアイテムであるといえます。
また、色展開も豊富で、なかでもプラチナホワイトカラーは、ほかのメーカーの商品では見られない「かわいい」色合いになっています。ふだん使いもしやすいため、女性にもおすすめです。

販売実績が豊富で安心、コスパもよし
作業服や作業関連用品を販売する全国チェーンの日本企業、ワークマン社が製造販売する商品です。耐水圧10,000mm、透湿度5,000g/m2・24hというスペックであり、防災用のレインコートとして必要な性能を満たしています。
また、ストレッチ素材を使っており動きやすいのも特徴。必要な性能は満たしており、販売実績もすぐれているメーカーですので、デザインや色の好み、費用、手に入りやすさなどで比較して選ぶとよいでしょう。比較的手に入りやすく、コスパにすぐれた防災向けレインコートを探している方におすすめです。

濡れず・蒸れず・動きやすくて避難にぴったり
日本のアウトドア総合メーカー、モンベル社が製造しているアウトドア向けのレインコートです。特筆すべきはその性能で、耐水圧50,000mm、透湿度35,000g/m2・24hと充分なスペックを持っています。
私自身もこのウェアを愛用しており、雨天時、登山時、また冬は毎日着用するという使い方を4年間繰り返していますが、劣化する様子もなく、台風クラスの大雨の直撃を受けたり、登山でハードに使用したり、1日雨の中を歩き続けたりしても雨で濡れることはありません。
上下でそろえるとお値段が張りますが、そのぶん高性能で価値ある一品だいえます。防災専用ではなく、アウトドアやスポーツでも兼用したい方におすすめのアイテムです。

ジャケットとあわせて準備をしたいレインパンツ
1商品めのジャケットと対で販売されているレインパンツです。同じ素材で作られていますので、上下を着用することで台風クラスの大雨の直撃を受けても、体を濡らすことなく移動することが可能。
また、裾が大きく開くジッパーがついているため、靴を脱がなくても着脱ができるのも便利です。サイズとしては、ウエストサイズが同じで丈だけ短くしたショートタイプと、丈を長くしたロングタイプが展開されています。体型に合わせた選択が可能なところもおすすめポイントです。
「防災向けレインコート」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 防災向けレインコートの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの防災向けレインコートの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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レインコートは防寒着としても活用する 【最後に】エキスパートのアドバイス
防災向けレインコートは、雨や雪だけでなく風をさえぎることもできますので、屋外避難時のウインドブレーカーとしても活用できます。そのため、雨天時専用と考えず、屋外用の補助ウェア全般として使うとよいでしょう。
また、透湿度の高いレインコートは、蒸れない防寒着としても活用できます。ただし、体に密着すると透湿性能を充分に活かすことができないので注意しましょう。セーターやフリースなど、空気を溜めやすい服の外側にレインコートを着込めば、蒸れない防寒着として冬場の避難所や停電した自宅などで活用できます。
上下セットにするとさらに効果的ですので、あわせて購入するとよいでしょう。
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「自分と家族が死なないための防災対策」のポイントをロジックで解説するフリーの専門家。 地震対策や感染症パンデミック対策などの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災をやわらかく伝える分かりやすく実践的なアドバイスに定評があり、講演・執筆・コンサルティング・メディア出演など実績多数。1982年、静岡県生まれ。