ボール盤よりフライス盤のほうがいいってホント?

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いろいろな素材を加工してくれる卓上フライス盤。商品を選ぶにはどんな点に注意すればいいのでしょうか。
ボール盤とフライス盤は見た目も似ていてなにが違うのかと思う人もいるかもしれません。まずはその違いについてかんたんに説明します。
ボール盤は木材や金属に穴を開ける機械です。一方、フライス盤は木材や金属を削る機械ですが、ドリルチャックをつければボール盤と同様に穴を開けることもできます。ボール盤のほうが安価ではありますが、穴開け作業だけでなく木材や金属素材を使った創作を楽しみたい人には、切削加工も穴開けもできるフライス盤のほうが使い勝手がいいといえます。
また、家庭用の卓上フライス盤はほぼすべて、切削するためのエンドミルを取りつける主軸が下向きについている「立型」タイプです。
卓上フライス盤を使うときは安全対策を抜かりなく
卓上フライス盤を使用する際は、こまかい切りクズが飛び散り思わぬケガをすることがありますので、安全メガネを必ず着用しましょう。また、手袋や袖の長すぎる服の着用は、フライス盤の回転に巻き込まれて大事故になる危険性がありますので避けてください。
髪の毛が長い人は束ねておくのがいいですね。フライス盤の使用後は金属バリや鋭い木片が残っているため、素手で触らずに掃除をしましょう。
卓上フライス盤の選び方 DIYクリエイターに聞く
卓上フライス盤は家庭用でも2万〜10万円台と種類が豊富にあり、どれを選べばいいか迷ってしまいますよね。購入して失敗しないためには、どんな点に注意をして選んでいけばいいのでしょうか。操作タイプや機械のサイズ、重さ、回転数や静音性など、チェックしたいポイントについて詳しく説明します。
操作タイプで選ぶ
卓上フライス盤には手動で操作する手動式のものと、コンピューターで制御し自動操作する自動式のものがあります。
手動式は切削技術を磨くことが必要とされます。自動式はCADやCAMなどのソフトウェアの操作知識が必要になります。
手動式
ホーザン『卓上フライス盤(K-280)』。卓上型小型フライス盤兼ボール盤 金属、プラスチック、木材のフライス、穴開け加工が可能。
切削したいものをテーブルに乗せてTスロットやバイスなどで固定し、3種類のハンドルを手で回して操作し、フライスを動かし切削していきます。
操作に慣れないうちはうまく削れないことも多いですが、回数を重ねていくことで技術が上がり、うまく切削できるようになります。
自動式(CNCフライス盤)
『CNCミニフライス盤 (CNC2417)』
コンピューターで製図をしたデータを専用ソフトで読み込ませ、自動で動かします。CNCフライス盤とも呼ばれています。
CADやCAMを使い、作ったデータをUSBメモリなどをに入れ、専用の制御用ソフトウェアに読み込ませて切削をします。器用でなくても切削作業ができますが、CADでの製図の技術が必要です。
サイズと重さで選ぶ
卓上フライス盤についているテーブルの寸法や前後、左右のスライド寸法、フライスからテーブルまでの距離がどれくらいかによって、加工できるものの大きさや加工可能な範囲が変わります。
また、本体寸法や重量が自宅の机における寸法なのかについても、いま一度確認しておきましょう。
まずはテーブルまわりのサイズを確認
まず確認しておきたいのが、テーブルまわりのサイズです。テーブルまわりのサイズによって切削加工できるものの大きさや範囲が変わります。
テーブルまわりのサイズとは、加工したいものを置くためのテーブルの寸法と、前後左右にどれだけ動くかを知ることができるスライド寸法、フライスの主軸からテーブルまでの距離のことです。
テーブルの寸法が大きいほど幅のあるものを置けますし、スライド寸法が大きければ広範囲で切削加工が可能です。また、フライスの主軸からテーブルまでの距離が大きければ厚みのあるものを置くことができます。
自分のテーブルに置ける重さか
RATTMMOTOR CNC1610 3轴 GRBL Control DIY ミニフライス盤。160x100x45mm + ER11コレット USB卓上CNC彫刻機。
見落としがちなのが、卓上フライス盤の重さです。卓上フライス盤は重さが製品によって大きく異なり、10kgに満たない軽量のものから、50kgほどある重たいものまであります。
軽いぶんには購入した後に自分で移動や設置ができるのでいいのですが、50kgほどの重さのものですとさすがにひとりで持ち運びをするのは危険。誰かに手伝ってもらう必要があります。
チャック径のサイズも忘れず確認しよう!
卓上フライス盤を使うときには、エンドミルを取りつけるためのコレットチャックと、ドリルを取りつけるためのドリルチャックのどちらかを用途に合わせて取りつけるのですが、どちらのチャックも対応可能なチャック径(把握径)があります。
エンドミルのチャック径は3〜16mm、ドリルのチャック径は10mmほどのものが多いです。自分が使いたいエンドミルやドリルのサイズに対応しているかを確認しておきましょう。
主軸の回転数で選ぶ
SIEG『X1 Micro Mill Drill』
フライス盤の主軸の回転数はrpmという単位であらわされており、1分間の回転数が記載されています。回転数が速ければ速いほど、早く切削することが可能です。木材やプラスチックなどやわらかめの素材の切削をする場合は、回転数が速いほうが切削作業を早く終えることができます。
一方、金属などかたい素材の切削をする場合は、低めの回転数で切削できる製品を選んだほうがいいでしょう。なぜなら、回転数が速いとドリルやエンドミルの摩耗が早くなるのと、破片や刃物が折れて勢いよく飛んでくる危険性があるからです。
騒音対策ができるかどうか
卓上フライス盤は、基本的にどの製品も作業する際の音がうるさいです。とくに金属を切削する場合はどうしても音が大きくなりますので、近隣の方々に配慮して夜間の使用は控えましょう。
海外では騒音対策が施されたフライス盤が販売されていますが、残念ながら日本ではまだ販売されていません。音が気になる場合は、自作の騒音ボックスを作ったり、製品の下にインシュレーターを設置したりするなどして対策をすることになります。そのような対策ができる製品であるかどうかも、事前に確認しておきましょう。
配置する場所や機器の大きさも考えて DIYクリエイターからのアドバイス
空間デザイン・DIYクリエイター
フライス盤とは、回転する主軸にフライスという刃物を取りつけ、金属を削ったり加工したりする工業機器です。知識がない人が使用する機会はなかなかないのではないでしょうか。私も工業高校時代に使用して以来で、最近は目にすることも少なくなりました。
そんなフライス盤を購入するのであれば、機器の大きさ、配置する場所にスペースはどれほどあるか、なども視野に入れて検討しなければいけません。
【手動式】卓上フライス盤おすすめ5選 職人肌の方に!
なんでも自分で手作りしたい! 自分の手でキレイに加工をしたい、という人は、手動式の卓上フライス盤の導入を検討してみてはいかがでしょうか。通販サイトで販売されている手動式の卓上フライス盤のなかから、厳選して5製品をご紹介します。
空間デザイン・DIYクリエイター
キソパワーツール『PROXXON マイクロ・フライステーブル MF70(27120)』は、家庭でDIYなどで使用する程度なら充分ではないでしょうか。はじめてフライス盤を使用する、家庭で使用、DIYなどのかんたんな造作物をお考えなら、こちらをおすすめいたします。
金属から木材、プラスチックなどありとあらゆる素材を加工したい、本格的な加工を目的としているなら、東洋アソシエイツ『ミニフライス盤 LittleMilling1(66400)』がおすすめです。回転数を下げ、じっくりと正確な数値で製作をしたい方におすすめの商品です。

キソパワーツール『PROXXON マイクロ・フライステーブル MF70(27120)』










出典:Amazon
タイプ | 手動式 |
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テーブル寸法 | 幅210×奥行70mm |
スライド寸法 | X軸:66mm、Y軸:23mm |
主軸テーブル間距離 | - |
重量 | 約7kg |
チャック径 | エンドミル:1.0/2.0/3.0mm |
回転数 | 3500~1万7000rpm |

東洋アソシエイツ『ミニフライス盤 LittleMilling1(66400)』




出典:楽天市場
タイプ | 手動式 |
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テーブル寸法 | 幅240×奥行145mm |
スライド寸法 | - |
主軸テーブル間距離 | - |
重量 | 約40kg |
チャック径 | エンドミル:3.0/6.0mm、ドリル:1.0~10.0mm |
回転数 | 高速:100~2000rpm、低速:100~1000rpm |
ホーザン『卓上フライス盤(K-280)』

出典:楽天市場
タイプ | 手動式 |
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テーブル寸法 | 幅200×奥行200mm |
スライド寸法 | X軸:140mm、Y軸:110mm |
主軸テーブル間距離 | 最大220mm |
重量 | 約14kg |
チャック径 | エンドミル:6mm、ドリル:1.0~10.0mm |
回転数 | 1200~6000rpm |
SIEG『X1 Micro Mill Drill』












出典:Amazon
タイプ | 手動式 |
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テーブル寸法 | 幅240×奥行145mm |
スライド寸法 | X軸:200mm、Y軸:105mm |
主軸テーブル間距離 | 最大260mm |
重量 | 約32kg |
チャック径 | エンドミル:10mm、ドリル:10mm |
回転数 | 高速:100~2000rpm、低速:100~1000rpm |
キソパワーツール『PROXXON フライスマシン(27000)』






出典:楽天市場
タイプ | 手動式 |
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テーブル寸法 | 幅200×奥行200mm |
スライド寸法 | X軸:70mm、Y軸:40mm |
主軸テーブル間距離 | 最大220mm |
重量 | 約13.9kg |
チャック径 | エンドミル:6.0mm |
回転数 | 1200~6000rpmなど |
【自動式】電動卓上フライス盤おすすめ7選 精密加工もお手のもの!
CNCフライス盤を使えば、木材やプラスチック、アルミ素材であれば、自分でCADで製図したとおりの加工が全自動でできます。かたい金属の加工には不向きですが、CNCフライス盤を使いこなせば手ではおこないにくい作業をあっという間に終わらせることができます。
空間デザイン・DIYクリエイター
RATTM MORTER『CNCルータキット(CNC1208)』は、自動のCNC旋盤で、フライス盤の醍醐味である手動ではないのですが、難しくこまかな加工をスムーズに自動で行なってくれます。手動が苦手な人、自動で生産性を上げたい人におすすめの商品です。

RATTM MORTER『CNCルータキット(CNC1208)』


















出典:Amazon
タイプ | 自動式 |
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テーブル寸法 | 幅126×奥行88mm |
スライド寸法 | - |
主軸テーブル間距離 | - |
重量 | - |
チャック径 | - |
回転数 | - |
SainSmart『Genmitsu CNCルーター(3018-PRO)』












出典:Amazon
タイプ | 自動式 |
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テーブル寸法 | 幅300×奥行180mm |
スライド寸法 | - |
主軸テーブル間距離 | - |
重量 | 約7kg |
チャック径 | - |
回転数 | 12V:3000rpm、24V:7000rpm、36V:9000rpm |
RATTM MOTOR『Laser GRBL(CNC1610)』














出典:Amazon
タイプ | 自動式 |
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テーブル寸法 | 160×100mm |
スライド寸法 | - |
主軸テーブル間距離 | - |
重量 | 約5kg |
チャック径 | - |
回転数 | 12V:- rpm、24V:7000rpm、36V:9000rpm |
VEVOR『CNCルーター(CNC3020)』






出典:楽天市場
タイプ | 自動式 |
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テーブル寸法 | - |
スライド寸法 | - |
主軸テーブル間距離 | - |
重量 | 約21kg |
チャック径 | - |
回転数 | 0~4000rpm |
RATTM MOTOR『CNC router milling machine(CNC3040)』
















出典:Amazon
タイプ | 自動式 |
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テーブル寸法 | 幅390×奥行285mm |
スライド寸法 | - |
主軸テーブル間距離 | - |
重量 | 約33kg |
チャック径 | - |
回転数 | 0~9000rpm |
DIY CNC『CNCミニフライス盤 (CNC2417)』














出典:Amazon
タイプ | 自動式 |
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テーブル寸法 | 幅240×奥行170mm |
スライド寸法 | - |
主軸テーブル間距離 | - |
重量 | 約7.5kg |
チャック径 | ドリル:3.175mm |
回転数 | - |
DIY CNC『ルーターキット+2500mWレーザー(CNC2418)』


















出典:Amazon
タイプ | 自動式 |
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テーブル寸法 | 幅240×奥行240mm |
スライド寸法 | - |
主軸テーブル間距離 | - |
重量 | 8kg |
チャック径 | - |
回転数 | - |
「卓上フライス盤」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 卓上フライス盤の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの卓上フライス盤の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
そのほかDIYに便利なツールはこちら
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卓上フライス盤でDIYライフをもっと楽しく快適に!
卓上フライス盤があれば、自力では加工しづらい作業もあっという間に終わらせることができ、作れるものの幅がぐっと広がります。
CADで製図ができれば、CNCフライスを利用して、自分がイメージしたとおりのものをかんたんに作ることができます。
このページを参考に、あなたに合った卓上フライス盤を見つけて、ものづくりをより楽しいものにしてみてくださいね!
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/12/07 コンテンツ修正のため記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 名原広雄)
「インテリア空間デザイン」「スタイリング」「写真」「テレビ撮影」「監修」「執筆」などフリースタイルにて幅広く活動中。 予算100万円で自身が住む自宅をフルリノベーション、古材、流木などを使った家具作りが話題となり、様々なメディアにて取り上げられている。 幼少期から物作りが好きで、何でもまず作ってみる、やってみる精神、そんな好きが高じて、趣味から現在のお仕事に発展。