サンプラーとは? DJ(ライブ)・サンプリング(作曲活動)に必須の機材
サンプラーとは、サンプリング(録音)した楽器や音声を加工し、ライブやレコーディングなどの現場で再生する電子機器です。
レコードなどの音源の一部を抽出(サンプリング)し、PC機材などで再編集することで新しい曲として再構築します。
おもに、ヒップホップやテクノ、ハウスのトラックメイキング、そしてライブや演劇などイベントの効果音やポン出しに用いられます。
サンプラーの選び方 使用目的・機種の種類・プリセット音源が多い機種など
ここからは、サンプラーの選び方のポイントについてご紹介していきます。
使用目的で選ぶ レコーディング? ライブ?
ひと口にサンプラーといっても、各社から色々な機種が出ており、それぞれに得意な分野があります。それを知った上で選択しないと機能に物足りなさを感じたり、逆に多機能を持て余したりすることになりかねません。
とくに使用目的が、楽器としてのレコーディングがメインなのか、またはDJなどのライブパフォーマンスが中心なのかで大きく変わってきますので、そのあたりは明確にしたほうが後悔しないで済むと思います。
下記で紹介するサンプラーを参考に、楽器演奏向けなのか、DJ&ライブパフォーマンス向けなのかを見極めてみましょう。メーカーの特色でサンプラーは変わります。
パッドの数で選ぶ
搭載されているパッドの数は、サンプラーによって異なります。用途に合わせて使いやすいものを選ぶとよいでしょう。
初心者におすすめは6~8パッド
サンプラーをはじめて購入する方や、あまり音源は必要ないという方は、パッドが6~8個のものがおすすめです。
比較的シンプルで扱いやすいので、まずは少なめのパッドで操作に慣れていくのもよいでしょう。
10パッド以上は表現の幅が広がる
より多くの音源を扱いたい方や、演劇などの効果音に使用したいという方は、パッド数が16個のものを選ぶとよいでしょう。
パッド数が多いと、表現の幅も広がるので、ライブパフォーマンスを盛り上げたいときにもおすすめです。
機種のタイプを確認 スタンドアローンかPC使用か
あらゆるサンプル波形を取り込み、ビート・メイクすることが可能。イメージを素早く形にするハイクオリティなプリセット・サンプル音源を多数内蔵したKORG『electribe sampler electribe2s』。
サンプラーには単体で使える機種(スタンドアローン)と、PCと同時に使うことを念頭に置いた機種があります。それぞれの特徴をチェックしてみましょう。
スタンドアローン:本体に録音・編集が可能
スタンドアローンは、PCがなくても本体に録音・編集ができるタイプのサンプラーです。PC接続が不要なので、場所を選ばず、すぐに作業が進められるので便利です。
コンパクトなデザインのものは、持ち運んで使用する機会が多い方におすすめです。
PC使用タイプ:音楽の拡張性が増す、視認性がよくなる
PCと一緒に使うことで音源の拡張性が増したり、エディットの視認性が良くなったりする場合があります。
ただし、PCとの連携が必要な機種だと、ライブパフォーマンスをする際は、当然ノートPCが必要。
一から機材を揃えようという方は注意しましょう。
プリセット音源が多い機種を オーディオ入力の有無もチェック
KORG『electribe sampler electribe2S』は、300を超える楽器系プリセットとサンプル、全237種類のサウンド、フレーズ、シーケンスを含んだボーナス・パターンをメーカーサイトからダウンロード可能。
本来サンプラーは音源、つまりサンプルネタがなければ何もできません。ただ最近の機種は、ブレイクビーツやループネタが大量に用意されているものがほとんどですので、これから始める方はなるべくプリセットなどが多い機種を選択すると良いと思います。
また、自分でターンテーブルからサンプリングしたい場合、オーディオ入力がある機種を選ぶ必要があります。ほとんどの機種には何らかの入力端子がありますが、ごく一部の機種は、別途オーディオインターフェイスが必要になります。
機能性で選ぶ
サンプラーには、さまざまな機能が搭載されている製品があります。ビートを作るときの入力方法の違いについてもチェックしてみましょう。
「リアルタイム入力」
リアルタイム入力とは、その名の通り、リアルタイムにパッドを叩いて入力する方法です。
メトロノームのリズムに合わせて、タイミングよくパッドを叩く必要があるので、上手に入力するには慣れや技術が必要です。
「ステップ入力」
ステップ入力は、ボタンを押すだけでビートを作り出すことができる方法です。リズムが崩れることもなく、初心者の方でもかんたんに操作できるところもポイントです。
EDMやテクノ、ダンスミュージックのビートメイキングに用いられることが多い方法です。
「ベロシティ」対応かどうか
ベロシティとは、音の強さを数値化したものです。ベロシティ対応のサンプラーは、パッドを叩く強さによって、音の大きさを調整することができます。
機種によっては、ベロシティの切り替えが可能な製品もあるので、シーンに合わせて便利に使い分けることもできます。
「エフェクター」や「パラアウト」
エフェクターとは、音に歪みや響きを持たせたり、遅らせたりなど、あらゆる変化を与える機能のことです。エフェクターを使用すると、同じ音楽でもイメージを大きく変えることができます。
サンプラーにはこのエフェクト機能が搭載されている製品があります。どのような種類のエフェクターが内蔵されているか、事前にチェックしておきましょう。
また、パラアウトという出力方法が可能な機材は、音を個別にオーディオ出力することができるます。特に、ドラム音源を使用するときに便利な機能です。
サンプラーのおすすめメーカー 厳選して紹介
サンプラーの人気メーカーをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
「AKAI Professional(アカイプロフェッショナル)」
サンプラーといえばアカイというほど名の知れたメーカー。中でも人気があるのは『MPCシリーズ』です。手頃な値段のものから、機能性に優れた本格的なものまで、幅広い製品を取りそろえています。
スタンドアローンで多機能なサンプラーは、音楽制作やパフォーマンスどちらの場面でも活躍することができそうです。
「Roland(ローランド)」
Roland(ローランド)は、電子ピアノやDJ関連製品を取り扱う電子楽器で有名なブランドです。
人気のサンプラーは小型でコンパクトなデザインですが、機能性も兼ね備えており、あらゆるシーンで
使い勝手よく活躍できる製品です。
サンプラーおすすめ4選【トラックメイキング】 ハウス・トランス・テクノなど
ここまで紹介したサンプラーの選び方をもとに、レコーディングエンジニア・小野寺孝樹さんと編集部がおすすめするサンプラーをご紹介します。
ほかのデバイスにつなぐことなく単体で使用できるスタンドアローンの機種や、PCなどに接続してエディットができる多機能なモデル、割り当てたサウンドをシーンにあわせてサッと音出しする「ポン出し」に向いた機種、付属音源が豊富な機種など、各メーカーこだわりのマシーンがずらり。
まずは、ハウスやトランス、テクノなどのトラックメイキングに適したサンプラーからご紹介します。
小さなボディに機能を凝縮
コンパクトなボディながらも、スピーカーや部屋を震わせるような力強さを備えたサンプラーです。クラシックサウンドはもちろん、トレンドを意識したサウンドも備えているため、壮大なトラックが生み出せるでしょう。
また、膨大なプリセットサンプルライブラリを持つので、これからはじめる人にもぴったり。ACB・サンプル・FMサウンドを合わせた、ハイブリッドなサウンドを実現します。

ライブで活躍するシンセサイザーベースのサンプラー
『SP-404』の対抗馬的な位置づけとなるシンセサイザーベースのサンプラーです。エフェクト、フィルター、リサンプリングなど編集機能も豊富。メーカーが電子楽器で知られているKORG(コルグ)ですし、どちらかというと楽器寄りのサンプラーですので、即興でビートを演奏するのに適した1台だと思います。サンプリング周波数が48kHzということで、音質もなかなかのもの。
また、ドラムス、ループ、楽器系などのプリセット・サンプルは300を超え、全237種類のサウンド、フレーズ、シーケンスを含んだボーナス・パターンをメーカーサイトからダウンロード可能ですので、導入後、すぐにでもストレスなくトラックメイクできるでしょう。パッドなどのリアルタイムコントローラーが充実しているので、ライブパフォーマンスでもとても見映えします。
軽量で持ち運びやすい
6トラックのグルーブボックスです。見た目は小さく軽量ですが、大きいサウンドを生み出す力を持っています。Spliceの300種類のプリセットと、豊富な独自サウンド用スペースが用意されているため、使い勝手もばっちりです。
プリセットサウンドには、ベーシックなキックやハイハットのほか、エキゾチックなものや珍しいものまで幅広くあり、微調整するだけで手軽にカスタマイズできます。

パフォーマンスで活躍! プロ愛用のマシーン
DJブースでよく見かける、愛用しているプロの方も多い機種です。CDJプレイヤーとセットで使うのにこれほど適した機種はないと思います。その理由はMIDIクロック以外に、同社のPRO DJ LINK機能に対応したDJシステムとの同期もできて、小節単位でのシンクロがかんたんだから。
さらに、外部USBストレージが使えるのもポイント。PCなしでもデータのバックアップや拡張が可能で、スタンドアローンで安心して使えます。正直、価格も筐体(きょうたい)もコンパクトとは言いがたいですが、大型な分、ディスプレイも見やすく、ベロシティ付きのパフォーマンスパッドとステップシーケンサー用パッドが別に用意されていることはポイントが高いです。DJ&ライブパフォーマンスを中心にされている方は、積極的に検討してみることをおすすめします。
サンプラーおすすめ4選【ビートメイキング】 ヒップホップ・レゲエなど
続いて、ヒップホップやR&B、レゲエなどブラックミュージックのビートメイキングに適したサンプラーをご紹介します。
場所を選ばずビートメイキングができる
ローランドのSPシリーズの優れた点は、何といっても場所を選ばずビートメイキングできること。SP-404MKIIは、軽量でありながら電源はUSB-AC(Type-C)や乾電池、モバイルバッテリーに対応。USB経由でモバイル・デバイスからオーディオをキャプチャすることも可能です。また、デュアル・ヘッドフォン出力とマイク、ギター入力を利用することで、仲間とセッションすることもできます。
16GBの内部メモリーを搭載しているため、プリセットのサンプルで即座にビートメイキングを開始することができます。
機能性にすぐれたスタンドアローンタイプ
PCをつながず、本体だけで動作するスタンドアローンタイプのサンプラーです。
複雑なタスク処理ができるマルチコア・プロセッサを搭載しており、プログラミングやエディット、ミキシング用FXなどを使いながら、スピーディかつ上質な音楽制作ができます。
また、タッチスクリーン搭載で、タッチ操作でサンプルのエディット&チョップが可能なのも便利です。

直感的に演奏できる操作性の高さが自慢
国産サンプラーの元祖AKAI(アカイ)の、名シリーズ『MPC』。『MPC TOUCH』ではPCとの連携が必要でしたが、この『MPC LIVE2』はスタンドアローンでの動作が可能で、MPC初のスピーカー搭載。ユーザー待望のWi-FiやBluetoothにも対応。それでいてとても『MPC』らしい機種です。
大きく見やすいカラータッチパネルで音源の編集も感覚的に行なえますし、パッドを叩いた感覚も快適で楽器としての完成度も高いです。もちろん『MPC TOUCH』と同様にPCと接続して使えますから、プラグインを駆使して、自宅での編集作業も問題なく行なえます。

豊富な付属音源とサウンドライブラリーが大きな魅力
『MASCHINE MK3』は(Macや)PCと接続して、『MASCHINE』ソフトウェアやその他のバンドルソフトをコントロールするためのオーディオ&フィジカルインターフェイスです。ソフトウェアシンセサイザーやプラグインの傑作を数多くリリースしているNative Instruments(ネイティブ・インストゥルメンツ)社製だけあって、付属音源やサウンドライブラリーの豊富さは群を抜いています。これらを入手して使用できるだけでも、非常にお得です。
ハードのクオリティも素晴らしく、96kHz/24-bitのオーディオインターフェイスでサンプリング、オーディオの取り込みもかんたんに高音質でできます。豊富な付属ソフトウエアはPCだけでも操作可能ですが、『MACHINE MK3』を使うと格段に使いやすくなります。正直これ1台あれば、しばらくは何もいらないとさえ思ってしまいます。PCとの組み合わせで1台で完結したいという方におすすめです。
サンプラーおすすめ3選【BGM・効果音のポン出し】 演劇・舞台など
最後に、演劇や舞台などの効果音やポン出しに適したサンプラーをご紹介します。
パッド操作でかんたんに音出しできる
ずらっと並んだ16個のパッドが印象的な、サンプラーです。SDカードに手持ちの素材をサンプリングし、好きなパッドに割り当てておけば、かんたんにプレイバックできます。
音楽制作やパフォーマンスのほか、イベント・演劇シーンでの効果音出しにも活躍するでしょう。サンプリングした素材は、トリミングやフィルタなど、こまかい編集が可能です。
便利なサンプルキットエディタが付属
バックライトつきパットを8つ備えた、コンパクトなサンプラーです。SDカードに保存された音声サンプルをロードして振り分ければ、パッドをたたいて再生が可能。
また、付属のサンプルキットエディタを使うと、音声サンプルのロード前に、チューニングやトリガのパラメータの設定を、コンピュータから手軽に行えて便利です。

ポン出しや即興演奏に適したコンパクトなマシーン
スタンドアローン・サンプラーの定番機種『SP404』の後継機種です。なにより、コンパクトで長時間電池駆動できるのが魅力。サンプルを録音して鳴らすという作業がかんたんかつすばやくできるので、即興でビート演奏をするのに向いています。
また事前にパッドにSEをアサインしてタイミングに合わせて手動で音出しをする、いわゆる「ポン出し」マシーンとして、演劇やイベント、放送の現場などでよく使われています。反面、1曲をこれ1台だけで組み上げることはできなくはないですが、そこそこたいへんなので、PCのDAWソフトなどと組み合わせて使うことをおすすめします。
「サンプラー」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする サンプラーの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場でのサンプラーの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
サンプラーに関するQ&A よくある質問
パッド・トラックの音をオーディオ化することは可能ですか?

可能です。パソコン側のDAWを使ってリアルタイムで録音する方法と、WAV形式でエクスポートし、SDカード内に保存する方法とがあります。いずれの場合もオーディオ化するにはPCとDAWが必要です。
シーケンサーとは何ですか?

シーケンサーとは、パッドを叩いたり、つまみをいじったりといったアクションを記録・再生する装置です。シーケンサー単体でも販売されていますが、ほとんどのサンプラーはシーケンサーと一体型です。
サンプラーに関するそのほかのおすすめ 【関連記事】
サイズと操作性は一長一短 レコーディングエンジニアからのアドバイス
使いやすさと持ち運びやすさは相反しやすいので注意
ライブパフォーマンス中心であるならば、サンプラー選択のポイントとしては、筐体の大きさも重視するべきだと思います。コンパクトな機種は可搬性に優れる反面、視認性や操作性が犠牲になっています。
逆に大きい機種、特に『Pioneer DJ DJS-1000』などは、圧倒的に使いやすいですが、サイズも大きく重さも5kg以上あるため気軽にヒョイヒョイと徒歩で運ぶ、という訳わけにはいかないと思います。また『MASCHINE MK3』のように、PCとセットで使う機種はノートPCの用意も必要となり、可搬性が劣る点も考慮に入れるべきです。
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