オーディオインターフェースとは
オーディオインターフェースとは、楽器などの音をパソコンに取り込んだり、パソコンの音をスピーカーに送るなどするためにパソコンとオーディオとをつなぎ、入出力させるための機材です。オーディオインターフェースと接続できる機器はキーボードやギター、マイクのほか、音楽ミキサー・外部エフェクターなど、多岐にわたっており、アンプ代わりに使用することもできます。
オーディオインターフェースを使って録音・再生時の音質向上が期待できるため、楽曲制作や録音の際に欠かせない音楽機材です。なお、その便利さから、ゲーム実況などに使用されたりもします。
オーディオインターフェースの機能紹介 ZOOM『UAC-2』で解説!
この動画では、記事の中でも紹介されているZOOM『UAC-2』を使用して、オーディオインターフェースの接続・操作方法を説明しています。
「GAIN」「HI-Z」「+48V」「OUTPUT」「PHONE」など、文字ではよくわからないオーディオインターフェースの各機能の使い方がわかります。
オーディオインターフェースの選び方 オーディオライター・藤本 健に聞く
ライター藤本 健さんに、オーディオインターフェースを選ぶときのポイントを教えてもらいました。DTMに興味はあっても、機材関連が難しく踏み出せずにいた方にはぜひ読んでいただきたいポイントばかりです。
パソコンとの接続端子で選ぶ
パソコンとオーディオインターフェースとをつなぐ接続端子を確認しましょう。これまでは、「USB」「Firewire」「Thunderbolt」の3タイプがありましたが、最近ではFirewireがほぼ使われなくなりましたので、USBとThunderboltの2タイプで選ぶとよいでしょう。また、最近ではUSB Type-Cに対応した製品もでてきました。今後はType-Cも増えてくるはずなので、こちらに対応している製品もチェックしておくとよいでしょう。
USB
ほとんどのパソコンでUSB端子が備わっているはずです。ただ、使用しているパソコンがUSB3.0なら、オーディオインターフェース側もUSB3.0に対応している必要がありますので、事前に確認してください。
Thunderbolt
AppleとIntelが共同開発で進めている規格のため、Mac製品に多く採用されています。お使いのパソコンがMac製品であれば、ThunderboltもMac用オーディオインターフェースの候補のひとつになります。
また、Thunderboltにも「Thunderbolt」「Thunderbolt 2」「Thunderbolt 3」の3つの規格が存在しますので、お使いのMacがどれに対応しているかを事前に確認しましょう。
USBが主流のWindowsと、USB Type-Cと互換性のあるThunderboltが主流になってきつつあるMac。今後はUSBに対応したWindows用オーディオインターフェース・Mac用オーディオインターフェースが主流となっていくでしょう。
端子の種類(形状)で選ぶ
コンボジャック搭載。高感度マイクや大出力のライン機器など幅広い入力ソースに対応したYAMAHA(ヤマハ)『Steinberg UR22mkII』。
オーディオインターフェースの端子には次の3種類があります。
・「標準ジャック」(標準フォン端子)
・「マイクジャック」(キャノン端子)
・「コンボジャック」
これらの端子がいくつ搭載されているかが選ぶときのポイントです。他にも端子の種類は、「MIDI端子」や「デジタル端子」(S/PDIF、adat、AES/EBU など)が存在しますが、最近のMIDIキーボードはUSBで接続するため、オーディオインターフェースにMIDI端子が装備されていなくても問題なしです。
端子数で選ぶ
2IN/5OUT(AMP OUTを含む)、2つの超低ノイズ・マイク/標準バランス入力、3種のトポロジーを備えたZ-TONEギター入力など、ギタリストのためにつくられたオーディオインターフェース。
端子がいくつ必要かは用途によっても変わってきますが、自宅で使うのであればコンボジャックが2つ搭載してあるモデルがおすすめです。これなら、マイク(USBマイク)とギターを同時に接続しておくこともできますし、ステレオレコーディングも可能です。
音質(性能)で選ぶ
音質、すなわちオーディオインターフェースの性能を表す単位(数値)はkHz(サンプリングレート)とbit(量子化ビット数)で表されるもので、音質比較の指標となります。これらの数値が高いほど、録音または再生のクオリティを重視した高音質オーディオインターフェースということになります。
・サンプリングレート……1秒間に何回の音をサンプリング(記録)できるかを表す数値。
・量子化ビット……サンプリングした音をどの程度の精度で読み込めるかを表す数値。
ほとんどの場合「24bit/48kHz」または「96kHz」で扱うことが多いため、音質重視モデルでは最低でも24bit/96kHz以上に対応しているものを選ぶようにしましょう。
「192kHz」や「384kHz」に対応しているモデルなども存在しますが、よほどの理由がないといらないものといえます。そもそも値段が高かったり、録音するときのデータ容量が大きくなってしまったりというデメリットがあるのです。
機能面で選ぶ
最低限必要な機能は、「ファンタム電源」と「ハイインピーダンス(Hi-z)」モードです。ファンタム電源はコンデンサーマイクを使用するときに必要な「+48V」の電源を供給するもので、これがないとレコーディングなどでよく使われる繊細な音を拾うためのマイクが使えません。
またハイインピーダンス(Hi-z)モードはギターやベースを直接接続するときに必要で、これがないと本来の音を録音できません。
といっても、これらの機能は最近のオーディオインターフェースであればほぼ搭載してあります。ですが、一応確認しておくようにしましょう。
個性的な機能で選ぶ
オーディオインターフェースの中には個性的な機能を装備したモデルが存在します。
たとえば、ギターをレコーディングするときに最適なインピーダンスを設定できる『IK Multimeda AXE I/O』や内部に「DSP」(オーディオの弱点を克服すべくデジタル技術で補正する機器)を有し、パソコンに負担をかけず高品質なエフェクトを使用できる『Apollo』シリーズや『Arrow』。そして、「384kHz/32bitINTEGER」対応の『AXR4T』。圧倒的低「レイテシー」(データ処理に伴 う発音の遅延)を実現した『ZOOM UAC-2』、Rupert Neve Designsとヤマハ(Steinberg)が共同開発した『UR-RT』シリーズ。
こういった個性的な機能を自分の音楽スタイルに合わせて選ぶのも手です。
付属している「DAW」ソフトで選ぶ
付属しているDAW(Digital Audio Workstation)からオーディオインターフェースを選ぶという方法もあります。
DAWとは、打ち込みやレコーディング、ミックス、マスタリングなどといったことができる音楽制作ソフトです。そのDAWがオーディオインターフェースに付属している機種もあるので、まだDAWを持っていない人はDAW付属のものを選択するといいでしょう。
またソフトシンセやプラグインが付属している製品もあるので、そういったこともチェックしてみましょう。
オーディオインターフェースおすすめ12選 接続・入力端子・音質・ファンタム電源対応・ハイインピーダンス・付属DAWもチェック!
ここまで紹介したオーディオインターフェースの選び方のポイントをふまえて、オーディオライターの藤本 健さんと編集部で選んだおすすめ商品を紹介します。エントリーモデルからややマニアックなモデルまで紹介されているので、楽しみながら目を通してみてください。

YAMAHA(ヤマハ)『Steinberg UR22mkII』








出典:Amazon
パソコンとの接続端子 | USB Type-C(変換ケーブル付属) |
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音声の入力端子 | MIC/LINE 1/2 端子 (XLR/TRS コンボ) x 2 |
音質 | 24bit/192kHz対応 |
ファンタム電源 | 対応 |
ハイインピーダンス | INPUT2を切り替えで対応 |
DAW付属 | Cubase AI ダウンロード版バンドル、iPad用の「Cubasis LE」ダウンロードバンドル |

YAMAHA(ヤマハ)『Steinberg UR-RT2』


















出典:Amazon
パソコンとの接続端子 | USB2.0 |
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音声の入力端子 | MIC/LINE 1/2 端子 (XLR/TRS コンボ) x 2 |
音質 | 24bit/192kHz |
ファンタム電源 | 対応 |
ハイインピーダンス | INPUT1を切り替えで対応 |
DAW付属 | Cubase AI/Cubasis LE (for iPad) ダウンロード版 |

ZOOM『UAC-2』










出典:Amazon
パソコンとの接続端子 | USB3.0/USB2.0 |
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音声の入力端子 | XLRインプット x 2 |
音質 | 24bit/192kHz |
ファンタム電源 | 対応 |
ハイインピーダンス | INPUT1、2ともに切り替えで対応 |
DAW付属 | Cubase LE9/ミキサーアプリケーション「UAC-2 MixEfx」がダウンロード可能 |

M-Audio『M-Track 2X2』

出典:Amazon
パソコンとの接続端子 | USB Type-C(変換ケーブル付属) |
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音声の入力端子 | XLR+1/4"バランス・コンボ入力端子 |
音質 | 24bit/192kH |
ファンタム電源 | 対応 |
ハイインピーダンス | 対応 |
DAW付属 | DAW : Pro Tools|First M-AUDIO EDITION/Ableton Live Liteなど |
BEHRINGER『UMC22 U-PHORIA』








出典:Amazon
パソコンとの接続端子 | Thunderbolt 3 (USB Type-Cポート経由) |
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音声の入力端子 | XLR x 2、1/4フォーン x 1(ギター用) |
音質 | 16bit、32/44.1/48kHz |
ファンタム電源 | 1系統の高品位MIDAS設計マイクプリアンプを搭載、ファンタム電源を提供 |
ハイインピーダンス | 対応 |
DAW付属 | behringer.comにて、プラグインなどダウンロード可能 |
マイクプリ目的だけでも購入価値あり!
『UMC22』はオーディオインターフェースでも、もっともシンプルで安い価格帯です。
この下のグレードにさらに安い価格の「UM2」が存在しますが、出力がRCAしかなく、「MIDAS(マイダス)」というイギリスの老舗オーディオコンソールメーカーブランドのマイクプリが未搭載なので、ボーカル録音や楽器を録音するのであれば『UMC22』以上のモデルがおすすめです。
また、このオーディオインターフェースにはDAWが付属していないので、別途用意する必要があります。そのため最初は『Studio One 4 Prime』『Cakewalk by BandLab』など、無料で入手可能なDAWを使うといいでしょう。

PreSonus『AudioBox 96 STUDIO Ultimate Bundle』

出典:Amazon
パソコンとの接続端子 | USB2.0 |
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音声の入力端子 | XLR x 2 |
音質 | 24bit/96kHz |
ファンタム電源 | 対応 |
ハイインピーダンス | 対応 |
DAW付属 | Studio One Artistのライセンスバンドル、ほかプラグイン多数 |
付属ソフトだけでもお得なオールインワンセット
『AudioBox 96 STUDIO Ultimate Bundle』は、「AudioBox USB 96オーディオインターフェイス」「Eris E3.5モニタースピーカー」「コンデンサーマイク」「ヘッドホン」「各種ケーブル」が入った、全部入りセットです。
まだ何も機材を持っていないけれど、これからDTMを始めたいと思っている人におすすめです。
またAudioBox USB 96には、付属プラグインとして『Studio Magicプラグインスイート』がついてきます。この付属プラグインは7つあり、トータル5万円以上の価値のあるソフトたちでもあるので、買っても損はないと思います。

IK Multimedia『AXE I/O』












出典:Amazon
パソコンとの接続端子 | USB2.0 |
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音声の入力端子 | 1/4インチ端子 x 2(ギター、ベース用)、XLRマイク&標準ライン・コンボ端子 x 2 |
音質 | 24bit/192kHz |
ファンタム電源 | XLR側のみ対応 |
ハイインピーダンス | 1/4インチ端子のみ対応 |
DAW付属 | DAW : Ableton Live 10 Lite、ギター関連のプラグイン多数バンドル |

Universal Audio『Arrow』














出典:Amazon
パソコンとの接続端子 | Thunderbolt 3 (USB Type-Cポート経由) |
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音声の入力端子 | XLR x 2、1/4フォーン x 1(ギター用) |
音質 | 24bit/192kHz |
ファンタム電源 | 対応 |
ハイインピーダンス | 対応 |
DAW付属 | なし |
Universal Audio『Apollo Twin X DUO/QUAD』












出典:Amazon
パソコンとの接続端子 | Thunderbolt 3 (USB Type-Cポート経由) |
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音声の入力端子 | XLR x 2 |
音質 | 24bit/192kHz |
ファンタム電源 | - |
ハイインピーダンス | 対応 |
DAW付属 | - |
多種多様なエフェクトを備えたプロ絶賛のモデル
最新モデル『Apollo Twin X』では、起動エフェクト数の異なる「DUO」「QUAD」の2製品がラインナップ。QUADのほうがエフェクト数がより多いモデルです。今回紹介している『AROOW』同様、DSPプロセッサ内蔵で 海外有名エンジニアも絶賛のマイクプリアンプエミュレーション搭載。使用マシンの CPU を気にせず、ミックスからマスタリングまでおこなえる数々のエフェクトが魅力です。
また、『AROOW』との主な違いはインプット数が最大10チャンネルも使用できること(8ch分は別途IFが必要)。モニターコントローラーとして必須のDIMやトークバック機能もあり、レコーディングにおいてとても心強い存在です。
Native instruments『KOMPLETE AUDIO 2』












出典:Amazon
パソコンとの接続端子 | USB 2.0 |
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音声の入力端子 | XLR x 2、1/4フォーン x 1 |
音質 | 24bit/192kHz |
ファンタム電源 | 対応 |
ハイインピーダンス | - |
DAW付属 | DAW:Ableton Live 10 Lite 、KOMPLETEインストゥルメント&エフェクトのコレクション ほか |
SOLID STATE LOGIC『SSL2』






出典:Amazon
パソコンとの接続端子 | USB 2.0 |
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音声の入力端子 | XLR x 2 |
音質 | 24bit/192kHz |
ファンタム電源 | - |
ハイインピーダンス | - |
DAW付属 | SSL Native Vocalstrip 2、Drumstrip DAW プラグイン |
Focusrite『Scarlett Solo』
























出典:Amazon
パソコンとの接続端子 | USB2.0、Type-C |
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音声の入力端子 | キャノン端子×1 |
音質 | 24bit/192kHz |
ファンタム電源 | - |
ハイインピーダンス | - |
DAW付属 | Ableton Live簡易版 |
「オーディオインターフェース」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする オーディオインターフェースの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのオーディオインターフェースの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
オーディオインターフェースに関するそのほかの商品 【関連記事】
人気機種や知人が使っているものを選ぶのも手 オーディオライター・藤本 健のアドバイス
ライター
様々なメーカーから販売されているオーディオインターフェースですが、1万前後の製品にはほとんど差はないので、友人や知人が使っている機材と同じものを選ぶ、付属しているDAWが同じものを選ぶといった基準で選ぶのもひとつの手です。
DAWが一緒であれば、データの受け渡しが楽というメリットもあります。あとは人気のオーディオインターフェースであれば、ネットに情報がたくさんあるので、困ったときにすぐ解決できたり、そもそも使い方がわからないときでも、すぐ調べられたりします。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(制作協力:拝島 祐子、掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/11/13 コンテンツ修正のため記事を更新しました。(制作協力:NOIZ'n GIRL 掲載:マイナビおすすめナビ編集部 名原広雄)
DTM、デジタルレコーディング、デジタルオーディオを中心に執筆するライター。 自身のブログサイトDTMステーションを運営するほか、インプレスのAV WatchでもDigital Audio Laboratoryを2001年より連載中。 「Cubase徹底操作ガイド」(リットーミュージック)、「ボーカロイド技術論」(ヤマハミュージックメディア)などの著書も多数ある。 趣味は太陽光発電、2004年より自宅の電気を太陽光発電で賄うほか、現在3つの発電所を運用する発電所長でもある。