オーディオインターフェイスとは
オーディオインターフェイスとは、楽器などの音をパソコンに取り込んだり、パソコンの音をスピーカーに送るなどするためにパソコンとオーディオとをつなぎ、入出力させるための機材です。オーディオインターフェイスと接続できる機器はキーボードやギター、マイクのほか、音楽ミキサー・外部エフェクターなど、多岐にわたっており、アンプ代わりに使用することもできます。
オーディオインターフェイスを使って録音・再生時の音質向上が期待できるため、楽曲制作や録音の際に欠かせない音楽機材です。なお、その便利さから、ゲーム実況などに使用されたりもします。
オーディオインターフェイスの選び方
それでは、オーディオインターフェイスの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の6つ。
【1】パソコンとの接続端子
【2】端子の種類(形状)
【3】端子数
【4】音質(性能)
【5】機能面
【6】機能性
上記の6つのポイントを押さえることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】パソコンとの接続端子をチェック
パソコンとオーディオインターフェイスとをつなぐ接続端子を確認しましょう。
これまでは、「USB」「Firewire」「Thunderbolt」の3タイプがありましたが、最近ではFirewireがほぼ使われなくなりましたので、USBとThunderboltの2タイプで選ぶと間違いはありません。それぞれについて解説していきます。
USB
ほとんどのパソコンにUSB端子が備わっているはずです。ただ、使用しているパソコンがUSB3.0なら、オーディオインターフェイス側もUSB3.0に対応している必要がありますので、事前に確認してください。
Thunderbolt
AppleとIntelが共同開発で進めている規格のため、Mac製品に多く採用されています。お使いのパソコンがMac製品であれば、ThunderboltもMac用オーディオインターフェイスの候補のひとつになります。
Thunderboltには、「Thunderbolt」「Thunderbolt 2」「Thunderbolt 3」の3つの規格が存在しますので、お使いのMacがどれに対応しているかを事前に確認しましょう。
【2】端子の種類(形状)をチェック
オーディオインターフェイスの端子には次の3種類があります。
・「標準ジャック」(標準フォン端子)
・「マイクジャック」(キャノン端子)
・「コンボジャック」
これらの端子がいくつ搭載されているかが選ぶときのポイントです。他にも端子の種類は、「MIDI端子」や「デジタル端子」(S/PDIF、adat、AES/EBU など)が存在しますが、最近のMIDIキーボードはUSBで接続するため、オーディオインターフェイスにMIDI端子が装備されていなくても問題なしです。
【3】端子数をチェック
端子がいくつ必要かは用途によっても変わってきますが、自宅で使うのであればコンボジャックが2つ搭載してあるモデルがおすすめです。これなら、マイク(USBマイク)とギターを同時に接続しておくこともできますし、ステレオレコーディングも可能です。
【4】音質(性能)をチェック
音質、すなわちオーディオインターフェイスの性能を表す単位(数値)はkHz(サンプリングレート)とbit(量子化ビット数)で表されるもので、音質比較の指標となります。これらの数値が高いほど、録音または再生のクオリティを重視した高音質オーディオインターフェイスということになります。
・サンプリングレート……1秒間に何回の音をサンプリング(記録)できるかを表す数値。
・量子化ビット……サンプリングした音をどの程度の精度で読み込めるかを表す数値。
ほとんどの場合「24bit/48kHz」または「96kHz」で扱うことが多いため、音質重視モデルでは最低でも24bit/96kHz以上に対応しているものを選ぶようにしましょう。
「192kHz」や「384kHz」に対応しているモデルなども存在しますが、よほどの理由がないといらないものといえます。そもそも値段が高かったり、録音するときのデータ容量が大きくなってしまったりというデメリットがあるのです。
【5】機能面をチェック
最低限必要な機能は、「ファンタム電源」と「ハイインピーダンス(Hi-z)」モードです。ファンタム電源はコンデンサーマイクを使用するときに必要な「+48V」の電源を供給するもので、これがないとレコーディングなどでよく使われる繊細な音を拾うためのマイクが使えません。
またハイインピーダンス(Hi-z)モードはギターやベースを直接接続するときに必要で、これがないと本来の音を録音できません。
といっても、これらの機能は最近のオーディオインターフェイスであればほぼ搭載してあります。ですが、一応確認しておくようにしましょう。
【6】機能性をチェック
オーディオインターフェイスの中には個性的な機能を装備したモデルが存在します。
たとえば、ギターをレコーディングするときに最適なインピーダンスを設定できる『IK Multimeda AXE I/O』や内部に「DSP」(オーディオの弱点を克服すべくデジタル技術で補正する機器)を有し、パソコンに負担をかけず高品質なエフェクトを使用できる『Apollo』シリーズや『Arrow』。そして、「384kHz/32bitINTEGER」対応の『AXR4T』。圧倒的低「レイテシー」(データ処理に伴 う発音の遅延)を実現した『ZOOM UAC-2』、Rupert Neve Designsとヤマハ(Steinberg)が共同開発した『UR-RT』シリーズ。
こういった個性的な機能を自分の音楽スタイルに合わせて選ぶのも手です。
(★)ポイント:付属している「DAW」ソフトも確認しよう
付属しているDAW(Digital Audio Workstation)からオーディオインターフェイスを選ぶという方法もあります。
DAWとは、打ち込みやレコーディング、ミックス、マスタリングなどといったことができる音楽制作ソフトです。そのDAWがオーディオインターフェイスに付属している機種もあるので、まだDAWを持っていない人はDAW付属のものを選択するといいでしょう。
エキスパートのアドバイス
人気機種や知人が使っているものを選ぶのも手
様々なメーカーから販売されているオーディオインターフェイスですが、1万前後の製品にはほとんど差はないので、友人や知人が使っている機材と同じものを選ぶ、付属しているDAWが同じものを選ぶといった基準で選ぶのもひとつの手です。
DAWが一緒であれば、データの受け渡しが楽というメリットもあります。あとは人気のオーディオインターフェイスであれば、ネットに情報がたくさんあるので、困ったときにすぐ解決できたり、そもそも使い方がわからないときでも、すぐ調べられたりします。
オーディオインターフェイスおすすめ10選
ここまで紹介したオーディオインターフェイスの選び方のポイントをふまえて、おすすめ商品を紹介します。エントリーモデルからややマニアックなモデルまで紹介されているので、楽しみながら目を通してみてください。
高コスパ! シリーズ中最小・最軽量モデル
iPad ProおよびUSB Type Cモデルに公式対応しているScarlettシリーズ中最小・最軽量モデル。持ち運ぶことも可能なサイズなので、iPadと一緒にどこでも楽曲制作をすることができます。
また、シンプルなボリュームダイヤル調整や出力ソースの切り替えがかんたんなため、DJプレイ時でも大活躍してくれます。同価格帯のモデルとくらべてもトップクラスの性能といえます。iPadオーディオインターフェイスのおすすめモデルです。

アコースティックサウンドにこだわりたいなら!
『UR-RT2』はRupert Neve Designs(以下、RND)とヤマハ(Steinberg)が共同開発したオーディオインターフェイスです。
このモデルのフロントパネルにはスイッチがあり、それをオンにすることでRND社製の「トランスフォーマー」(変圧器)を通したサウンドとなります。このトランスフォーマーというのが、RNDの音の決め手となっており、独特のサウンドへと変わるのです。
従来、非常に高価だった「Neveサウンド」が、手頃な価格で手に入るので、一段上を行くサウンドを求める方におすすめです。

DTMだけでなく、DJや動画配信にも活躍
『UAC-2』は圧倒的な低レイテンシーを実現するUSB3.0のオーディオインターフェイスです。
レイテンシーとは日本語で遅延を意味し、MIDIキーボードを弾いてからソフトシンセが鳴るまでの遅延時間やオーディオインターフェイスに接続したエレキギターを弾いてから、パソコンを通じてモニターにかえってくるまでの遅延時間を指します。
そのレイテンシーが一般的なオーディオインターフェイスの半分程度の値となっており、またUSB3.0接続というのも特徴のオーディオインターフェイスです。
マイクプリ目的だけでも購入価値あり!
『UMC22』はオーディオインターフェイスでも、もっともシンプルで安い価格帯です。
この下のグレードにさらに安い価格の「UM2」が存在しますが、出力がRCAしかなく、「MIDAS(マイダス)」というイギリスの老舗オーディオコンソールメーカーブランドのマイクプリが未搭載なので、ボーカル録音や楽器を録音するのであれば『UMC22』以上のモデルがおすすめです。
また、このオーディオインターフェイスにはDAWが付属していないので、別途用意する必要があります。そのため最初は『Studio One 4 Prime』『Cakewalk by BandLab』など、無料で入手可能なDAWを使うといいでしょう。

付属ソフトだけでもお得なオールインワンセット
『AudioBox 96 STUDIO Ultimate Bundle』は、「AudioBox USB 96オーディオインターフェイス」「Eris E3.5モニタースピーカー」「コンデンサーマイク」「ヘッドホン」「各種ケーブル」が入った、全部入りセットです。
まだ何も機材を持っていないけれど、これからDTMを始めたいと思っている人におすすめです。
またAudioBox USB 96には、付属プラグインとして『Studio Magicプラグインスイート』がついてきます。この付属プラグインは7つあり、トータル5万円以上の価値のあるソフトたちでもあるので、買っても損はないと思います。

ギターサウンドの録音にこだわるなら必携!
『AXE I/O』は入力インピーダンスを自由に変えられるオーディオインターフェイスです。
ギターのレコーディングにとって重要になってくるHi-z(ハイ・インピーダンス)、インピーダンス・マッチングに最適化した作りになっており、ギターサウンドを最大限に引き出せるオーディオインターフェイスとなっています。
また「リアンプ」という、とりあえずギターは生のまま録音しておいて、後で録ったギターを再生して外部のアンプを鳴らし、録音しなおすという手法が可能であるなど、ギタリストであればDTMに限らず幅広く使用できる機材です。
低価格そしてコンパクトなサイズ感
オーディオインターフェイスとして必要な機能は全て備えつつ、MASCHINE Essentials、MONARK、NI製エフェクトなど、音楽制作に必要なソフトウェアが付属されています。
また、DAWの決定版『Ableton Live 10 Lite』も付属しており、今すぐこれ一台で音楽制作が可能なミュージシャンにとってはとても使い勝手のよいインターフェイス。
インプットの音質に特化したすぐれもの
レコーディング用ミキサー最大手、SOLID STATE LOGIC社のオーディオインターフェイス。エンジニア憧れのSSL社製コスパ重視モデルです。
最大の特徴は、音の輪郭を強調する4KスイッチというSSL社ならではの機能が装備されていること。サイズもコンパクトで、遅延問題をカバーしたモニターミックスコントロールも搭載しています。

初心者におすすめ、付属DAWはCUBASE AI
『UR22mkII』は価格、機能ともにもっともスタンダードなオーディオインターフェイスと言えるでしょう。
エントリーモデルでいうとPreSonus、Focusrite、Roland、TASCAMなどからも同価格帯の製品が販売されていますが、機能や音質に大きな差は感じられません。
選ぶ基準としては、バンドルされているDAWやプラグインが多少異なるので、そういったところから判断するといいでしょう。

Universal Audio『Arrow』
録音マニア心をくすぐる期待の逸品
『Arrow』はUniversal Audioが誇るDSP機能搭載のオーディオインターフェイスです。
「UADプラグイン」に加え、「Unison プリアンプ・テクノロジー」が搭載されているので、ビンテージ機材のインピーダンス、回路動作、ゲインの変わり方を忠実に再現してくれる機能も装備しています。
また、プロのレコーディング現場で使われているビンテージアナログ機材をシミュレートしたプラグインが14種類付属しています。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする オーディオインターフェイスの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのオーディオインターフェイスの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
そのほかの関連アイテムをチェック
まとめ
楽器などの音をパソコンに取り込んだり、パソコンの音をスピーカーに送るなどするために、パソコンとオーディオとをつないで入出力させるオーディオインターフェイス。その選び方とおすすめ商品を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
オーディオインターフェイスを通すと音質の向上が期待できるため、楽曲制作や録音の際に欠かせない音楽機材です。とはいえ、他の機材との相性が良くなければ意味がありません。
この記事で紹介した選び方のポイントを参考にして、自分に合ったものを見つけてくださいね。
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DTM、デジタルレコーディング、デジタルオーディオを中心に執筆するライター。 自身のブログサイトDTMステーションを運営するほか、インプレスのAV WatchでもDigital Audio Laboratoryを2001年より連載中。 「Cubase徹底操作ガイド」(リットーミュージック)、「ボーカロイド技術論」(ヤマハミュージックメディア)などの著書も多数ある。 趣味は太陽光発電、2004年より自宅の電気を太陽光発電で賄うほか、現在3つの発電所を運用する発電所長でもある。