デジタルシンセサイザーとは
シンセサイザーとは「synthesize(シンセサイズ):合成する」という英語が語源となっており、電子回路を使ってさまざまな音をつくり出す楽器のことをいいます。また、「アナログ」と「デジタル」の2種類に分けられ、使い勝手の観点からも人気なのはデジタルシンセサイザーになります。
ピアノやギターなどのメロディ楽器だけでなく、ドラムやベースなどのサウンドもボタンひとつで再現でき、不思議な音色もつくり出せるのがデジタルシンセサイザーです。多数のプリセットの音色があらかあじめ用意され、どのモデルを選んでもたいていは楽しく音楽づくりを楽しむことができるでしょう。アナログシンセサイザーについては以下の記事も参考にしてみてください。
デジタルシンセサイザーの選び方
それでは、デジタルシンセサイザーの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の5つ。
【1】PCMやプリセットの音色を聴き比べて選ぶ
【2】シーケンサーやアルペジエーターなど内蔵する機能で選ぶ
【3】よく持ち出して使う場合は重量や可搬性もチェック
【4】サスティンペダルを使う際は極性に注意
【5】編集のために連携する外部入力や接続端子も要確認
上記の5つのポイントをおさえることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】PCMやプリセットの音色を聴き比べて選ぶ
デジタルシンセサイザーには音を鳴らす仕組み(音源方式といいます)がいくつかあり、その違いによって演奏ジャンルや用途に向き不向きがあります。幅広く使用できるのは、サンプリング技術を活用したPCM音源のモデル。
PCM音源のシンセサイザーの多くは、リアルな楽器音色から不可思議な効果音まで多くのプリセットの音色が用意されており、おおむねどのメーカーのモデルでも同じような音色で演奏することができます。ただ、同じピアノの音色でも、実際に聴き比べてみるとメーカーごとにその質感が異なるので、気になるモデルの音色を実際に弾いてみて、その違いをチェックし、好みに合う音色のモデルを選ぶとよいでしょう。
【2】シーケンサーやアルペジエーターなど内蔵する機能で選ぶ
デジタルシンセサイザーに内蔵されている機能には、曲作りや曲データの再生に活用できるシーケンサー(自動再生機能)、押さえた鍵盤の設定にしたがってアルペジオやフレーズなどが自動演奏できるアルペジエーター、マイクや楽器を接続してオーディオのサンプリングやハードディスク録音などができる機能、MP3やCDなどの音楽プレーヤーなどが接続できる機能があります。
ただし、すべての機能をすべてのモデルが装備しているわけではありません。自分にとって必要な機能が内蔵されているかどうか、内蔵されている場合はその性能が自分の望むレベルかどうかなど、充分チェックしましょう。
【3】よく持ち出して使う場合は重量や可搬性もチェック
ライブで使用する場合には、楽器本体の可搬性も非常に重要。楽器の性質上、広い音域を演奏できる76鍵や88鍵モデルだと、本体の大きさだけでなく、重量も重くなりますから、徒歩や電車などでの移動が多い場合には、持ち運びだけでもたいへんです。
個人差はあると思いますが、本体の重さが10kgを超えてくると、長距離移動などの場合には楽器の運搬自体が負担となります。持ち出す機会が多い人にとって、重量はデジタルシンセサイザーを選ぶ際の最重要ポイントといっても過言ではないでしょう。
【4】サスティンペダルを使う際は極性に注意
デジタルシンセサイザーの用途として、ピアノの音色を使用して演奏することは多いと思います。音の余韻を調整したい場合には、サスティンペダルを別途購入する必要があります。ほとんどの場合、デジタルシンセサイザーにはサスティンペダルが接続できる端子が装備されていますが、ペダル自体はオプションで別売りになっていることが多く、使用できる品番も決まっている場合があり、注意が必要です。
別のメーカーのペダルなどを流用した場合、極性が逆になっていると、踏んだときに音が切れて、離すと音が伸びるという逆の動作になることがあります。設定で変更できる場合もありますが、デジタルシンセサイザーを購入する際に、ペダルの仕様についても気にかけておきましょう。
【5】編集のために連携する外部入力や接続端子も要確認
MIDIのデータ編集が行なえるシーケンス機能を持ったモデルであれば、本体だけでも曲作りを行なうことができます。最近のデジタルシンセサイザーにはUSB端子を装備しているものも多く、パソコンを使用した曲作りにも活用できる場合があります。
もし、USB端子を装備している場合には、パソコンと接続したときにどのように曲作りができるのかもチェックしておくと、用途の幅を広げられるでしょう。
エキスパートのアドバイス
購入前に用途や目的を明確にすることが大切
実際にデジタルシンセサイザーを試奏してみると、各モデルともに内蔵の音色や機能などがよくできていますので、どれを選んでもそれなりに楽しむことはできるでしょう。それだけに個別に各モデルを試奏しただけでは、どれを選ぶか悩むことも多いと思います。
どのモデルにするか迷ったら、用途や目的を今一度振り返ってみることをおすすめします。優先すべきポイントを比較検討することで、より用途に適したモデルを絞り込むことができるでしょう。
デジタルシンセサイザーおすすめ10選
上記で紹介したデジタルシンセサイザーの選び方のポイントをふまえて、おすすめのデジタルシンセサイザーを紹介します。

初心者におすすめの電池駆動デジタルシンセサイザー
エントリーモデルながら、オールインワンのシンセサイザーとしての基本の機能は網羅しているので、これからシンセサイザーを始めようという方におすすめ。本体は61鍵盤モデルで、重さが3.8kgと非常に軽量なだけでなく、単3の乾電池6本で長時間使えますので、外に持ち出して使用する場合にも適しています。
また、スペシャル・エディションではグリーン、オレンジ、レッド、ブルー4色のカラーバリエーションを用意。 ステージ映えを意識して、好きなカラーのモデルを選ぶのもよいでしょう。
豊かな表現を可能にする88鍵のフルスケール
ヤマハのフラッグシップモデルとしてプロの定評も高いMOTIF XFのサウンドエンジンを継承し、高い音質と豊富なエフェクトが内蔵されています。音色を拡張できるフラッシュメモリーの拡張モジュールにも対応していますので、音色はさらに充実させられます。
GHS(グレードハンマースタンダード)鍵盤で弾き心地にもこだわり、フルスケールの88鍵で幅広い演奏表現に応えます。A/D InputやUSB端子も備え、オーディオインターフェースとしても利用できます。
DJ気分も味わえるLOOP MIXなど遊び心満載
あまり楽器は使ったことがないけれど何か始めたい、という方にベストチョイスです。プロクオリティの500種類以上の音色を搭載していますので、どんなジャンルの音楽にもぴったりの音色が選べます。Bluetooth機能がついていて、スマホやミュージックプレーヤーの音を再生できますので、スピーカーとしても楽しめますし、憧れのミュージシャンとのセッションも思いのままです。
鍵盤をパッドに見立てて、指1本でさまざまなフレーズをミックスするLOOP MIX機能で、初心者でもかっこいい音楽を楽しめます。

PCMとFMのハイブリッド音源を装備
PCMに加え、唯一無二のエレピの音色が売りのFM音源も装備したハイブリッド音源のため、FM音源が好きな人ならすぐに本製品のサウンドに魅了されるでしょう。各種コントローラーも豊富に装備されており、さまざまな演奏表現によるパフォーマンスを行なうことができます。
とくに、ディスプレイ横のノブ「Super Knob」を使うことで、より複雑かつ多彩なサウンドコントロールも含めた演奏ができる点がよいですね。

機能充実のオールインワン・シンセサイザー
PCM音源の音色だけでなく、オルガンやエレピ専用音源、モデリング音源など、全9種類のシンセエンジンが搭載されています。また、サンプリング機能をはじめシーケンサー、レコーダー機能なども装備。まさにすべてがそろった真のオールインワンのシンセサイザーです。
さらに、内蔵プリセット音色には著名なミュージシャンが手掛けたプログラムも収録されているため、サウンドクオリティが高いだけでなく、ライブや制作を問わず実践で活用できる音色が多いのもおすすめしたい理由です。

老舗メーカーがシンプルな操作性を追求
内蔵された音源が老舗シンセメーカーならではの本格的なサウンドです。さらにプリセットを選んだり、鍵盤の音域を分けて異なる音色を演奏したりする際には、シンプルかつ容易な操作が可能です。
一般的にシンセサイザーは多機能で、操作も複雑になりがちですが、『JUNO-DS』は操作ボタンなどの機能が必要最小限に留められているため、シンセサイザーを始める方にも使いやすいでしょう。また、内蔵のパターンシーケンサーは、とっさに思いついたフレーズなどを形にしていくための作曲ツールとして、メモ帳感覚で使うことができます。
本物のピアノを弾いているかのようなタッチが魅力
ラバー塗装によるスーパーマットブラックのボディカラーは、重厚感がありグランドピアノを思わせます。88鍵のフルスケールの鍵盤は、NH(ナチュラル・ウェイテッド・ハンマー・アクション)鍵盤を使用し、低音で重く、高音部では軽やかなピアノタッチを再現しています。
拡張PCMモジュールを内蔵していますので、1000を超えるリアルな内蔵音源に加えて、さらに音色が追加可能です。ACアダプター以外に、電池でも駆動できますので、演奏のフィールドもぐんと広がります。
ボコーダーも内蔵したクリエイティブな1台
Novation社のフラッグシップモデルUltraNovaと同じサウンドエンジンを搭載し、ミニ鍵盤37鍵のコンパクトなボディサイズからは想像もできない豊かな音色が得られます。プリセットされた音色は、コントロールノブやアニメイトボタンを駆使してリアルタイムにエディットが可能です。
エフェクトは音色ごとに5つまで同時使用できますので、まさに無限の音色が表現できます。クールなアイテム、ボコーダーも装備し、VocalTuneというエフェクトを使えば、ジャンルに応じたサウンドが作り出せます。
アナログ音源の良さも取り入れたデジタルシンセ
Roland社のINTEGRA-7を継承するSuperNATURALシンセ音源を採用したプリセット音色はもちろん、自分で音作りを楽しむアナログ音源のよさも取り入れました。オッシレーターはのこぎり波、三角波、矩形波から選べ、サブオッシレーターやローパスフィルターも備え本格的な音作りができます。
付属のグースネックマイクを使えば、オートピッチやボコーダーなどのボーカル表現も楽しめます。高音質のPCM音源のドラムキットも内蔵していますので、これ1台でバンド演奏の楽しみを満喫できます。

『MONTAGE』と同じサウンドエンジンで軽い
上で紹介した『MONTAGE』と同じサウンドエンジンが採用された、兄弟モデル的製品です。大きな特徴は、可搬性を考慮して本体重量の軽量化が図られていること。『MODX7』は、76鍵タイプながら、7.4kgと従来の製品よりかなり軽量です。
「『MONTAGE』をライブで使いたいけど、持ち運びのたいへんさを考えると……」と迷っている人は、可搬性を優先してこちらのモデルを選択してもよいでしょう。
「デジタルシンセサイザー」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする デジタルシンセサイザーの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのデジタルシンセサイザーの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
まとめ
本記事では、デジタルシンセサイザーの選び方、おすすめ商品をご紹介しましたが、いかがでしたか?商品を選ぶ際は、下記の5つのポイントをおさえておきましょう。
【1】PCMやプリセットの音色を聴き比べて選ぶ
【2】シーケンサーやアルペジエーターなど内蔵する機能で選ぶ
【3】よく持ち出して使う場合は重量や可搬性もチェック
【4】サスティンペダルを使う際は極性に注意
【5】編集のために連携する外部入力や接続端子も要確認
ピアノやギター、ドラムやベースなど、様々なサウンドを再現できるデジタルシンセサイザー。1台あることで、きっと選曲や演奏のギミックの幅などが大きく広がるはず。ぜひ本記事を参考に、自分にピッタリの商品を見つけてくださいね。
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キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。 S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIプロジェクトでのレコーディング、ライブなどから、イベント、キャンペーンソング、放送メディアのテーマ曲、BGM製作等、その活動の幅は多岐に渡る。 また、DTM黎明期より音楽制作系ライターとしても広く知られ、近著は「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ音作り大全」(技術評論社刊)など。 数多くの音楽専門学校、ミュージック・スクールなどでおよそ30年以上に渡り講師を務め、数多くの人材を輩出する実績を持つ。 有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会委員。