柳刃包丁とは? 刺身包丁との違いって?
柳刃包丁(やなぎばぼうちょう)とは、切り身を薄く切るなどお刺身を調理するときに使うものです。万能な三徳包丁や魚をさばくときに使う出刃包丁に比べて刃渡りが長いのが特徴。お刺身を切ると、なめらかで舌触りのよいお刺身に仕上がります。 お刺身の調理には刺身包丁も使われますが、柳刃包丁は刺身包丁の一種ともいわれ、先端が鋭くとがっているのが特徴です。
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柳刃包丁の選び方 包丁や柄の素材や重さ、利き手に合うかをチェック!
では、自分にとって使い勝手のよい柳刃包丁はどのように選べばよいのでしょうか? 選び方のポイントをおさえておきましょう!
【1】刃の素材
【2】柄の材質
【3】刃渡り
【4】刃の形状
【5】重さ
これらを抑えて、自分が使いやすい柳刃包丁を手に入れましょう。一つずつ解説していきます。
【1】柳刃包丁の素材で選ぶ
刃に使われる素材は、おもに「鋼」「ステンレス」「セラミック」の3つあります。それぞれメリット・デメリットが異なるので、以下で特徴をおさえておきましょう!
切れ味がよい柳刃包丁の定番素材の「鋼」
鋼製の柳刃包丁は、耐久性にすぐれ切れ味が鋭いという特徴があります。しかし、錆びやすいので切れ味を維持するためには、定期的なメンテナンスが必要です。
なかには、ダマスカス鋼と呼ばれるモリブデン鋼を何層にも重ねた素材で作られている柳刃包丁があります。ダマスカス鋼製の柳刃包丁の特徴は、切れ味鋭く錆びにくいため、機能性と耐久性ともに優れていることです。
お手入れ簡単で初心者向けの「ステンレス」
ステンレス製の柳刃包丁は錆びにくくお手入れが簡単なため、柳刃包丁の扱いに慣れていない初心者にも使いやすい包丁です。しかし、切れ味は鋼製には劣ってしまうため、切れ味重視の方は鋼製をおすすめします。
一般家庭で使う場合は、お手入れがらくで種類が多く好みの商品が見つけやすいステンレス製を選ぶとよいでしょう。
サビにくく調理しやすい「セラミック」
セラミック製の柳刃包丁は、錆びにくいという特徴があります。また、金属ではないためセラミック製の包丁で切った食品には、金属特有の臭いがうつりません。そのため、お刺身など繊細な食材を切るときに向いています。
金属製よりも耐久性が低いため、負荷をかけすぎた使い方をすると使用期間が短くなってしまう可能性があります。セラミック製の柳刃包丁を使うときは、使用法とお手入れに注意しましょう。
【2】柄の材質で選ぶ
柳刃包丁の柄に使われる材質は、主に木製とステンレス製があります。それぞれ特徴が異なるので、持ちやすさと、機能性を考えて選びましょう。
「木製」は手になじみやすい
温かみがある木製の柄。木製柄は、滑りにくく手になじみやすいため、包丁の扱いに慣れていない初心者にも使いやすいでしょう。
木製の柄は金属製よりも耐久性が低く、水に濡れて乾燥させないまま使用してしまうと、水分を吸収し腐敗や雑菌繁殖の原因となります。木製の柄の包丁を洗うときは、できるだけ刃物だけを洗うようにして、柄についてしまった水分はしっかり拭き取り乾燥させましょう。
「ステンレス製」は清潔に使え、耐久性がある
ステンレスなどの金属製の柄は、錆びにくく丈夫で耐久性に優れていることが大きなメリットです。刃と柄につなぎ目がなく一体となっているタイプは、洗いやすく清潔な状態で使用しやすいでしょう。
滑りやすい素材のため、柄に溝や凹凸などの滑り止め加工がしてある商品が多いことも使いやすい点といえます。溝や凹凸に汚れが溜まってしまわないように、お手入れをして清潔な状態に保ちましょう。
【3】刃渡りは18~27cmのものがおすすめ
柳刃包丁の刃渡りの長さ商品によって異なりますが、一般家庭用に購入するなら「18~27cm」のものがおすすめです。使い勝手がよいサイズなので、大抵の魚に対応することができます。
なかには40cmもあるプロ仕様のものや、特定の魚に対応した30~33cmほどのものも。用途や実際に使う際のスペースに合わせて選ぶとよいでしょう。
【4】刃の形状で選ぶ
柳刃包丁のスタンダードは片刃タイプですが、両刃タイプもあります。それぞれの特徴を抑えて使いやすい方を選びましょう。
「片刃タイプ」は魚をきれいに切りやすい
片面のみに刃がついており、食材を切ったときに刃が付いていない側に包丁が動くのが特徴。扱うのに慣れが必要ですが、刺身をきれいにカットすることができますよ。
魚を三枚おろしにするときも、刃が骨に当たっても逃げるように切るので、ギザギザせずきれいに切れるのもポイント!
なお、片刃タイプの場合、左利きの方は左利き用の包丁を選ぶようにしましょう。
「両刃タイプ」はいろんな食材を切りやすい!
刃先の断面の両側に刃が備わっており、魚や野菜などをまっすぐ切ることが得意。一般的に家庭で使われているタイプになります。刃がついている面を気にせず、食材を切ったり、刻んだりできますよ。
初めて柳刃包丁を使う方にもおすすめです。
【5】重さもチェック
柳刃包丁の重さは、基本的には好みで選ぶのがよいでしょう。ある程度重さがあったほうが使いやすい方や、軽いほうが疲れにくくてよいという方もいて、個人差があります。
自分が使いやすい重さかどうかは、実際に持ってみるのが1番よいですが、難しい場合は口コミやレビューなどを参考にするのがよいでしょう。
おすすめのメーカーを紹介! 迷ったらチェック!
柳刃包丁をはじめて使う人にとっては、刃や柄の材質などで選ぶのが難しい方もいます。そのような方は、多くの人に使われている実績があるメーカー・ブランド名を参考にするのも選び方のひとつです。
貝印:初心者にも愛用者が多い!
初心者をはじめ多くの方に使用されているのが貝印の「関孫六」シリーズです。切れ味やメンテナンスのしやすさなどバランスがとれている商品が多く、柳刃包丁選びで迷っている方は選ぶといいでしょう。
「関孫六」は鎌倉時代に刀剣作りに起源があります。切れ味、芸術性に優れ「折れず曲がらず、よく切れる」と称賛された多くの刀剣が作り出させました。明治時代になると一般家庭向けの刃物が製造されるようになり、その技が現代に継承されています。
下村工業:オールステンレスタイプは洗いやすい
使いやすさと切れ味の両方を重視したい方は、下村工業の「ヴェルダン」を選択肢にいれてください。柄の流れるフォルムが手になじみやすくステンレス製で錆びにくいため、初心者でも扱いやすくなっています。
刃と柄の継ぎ目がない一体となっているタイプのためお手入れがしやすく、清潔な状態で使用したい方にピッタリの商品です。
藤次郎:プロも信頼を寄せるメーカー
藤次郎は、プロの料理人から一般人まで広く使われている包丁メーカーです。プロ向けの商品は「PRO」の名が付けられていますが、一般向けの商品も販売されています。
4つの富士山が合わさっている藤次郎のシンボルマークは、「誠意」「真心」「感謝」「創造」という意味が込められています。その志のもと作られた包丁は、日本国内だけではなく、海外の方にも広く使用されています。
柳刃包丁のおすすめ16選 使いやすいアイテムをチェック!
それではここまででご紹介した選び方のポイントをふまえて、料理研究家・指宿さゆりさんと編集部が厳選した柳刃包丁のおすすめ商品をご紹介します。
研ぎやすく鋭い切れ味を有した片刃タイプ
日本伝統の刃物技術を継承する藤次郎の柳刃包丁。芯材に白紙鋼、側材に軟鉄を使用することで、研ぎやすく鋭い切れ味を有した包丁となっています。
木製の柄は、耐水性に優れ温かい手触りの材木が利用されており、滑りにくく初心者にも扱いやすいでしょう。プロの料理人にも使用されている藤次郎の包丁の切れ味を一度試してみてください。
白鋼製の切れ味がいい柳刃包丁
堺打刃物の伝統を受け継いだ堺孝行の霞研柳刃片刃包丁。材質には安来白三鋼が使用されていて、切れ味が鋭くプロの料理人から家庭用まで使用されています。自分で使うために購入するだけでなく、ギフト用に購入しても喜ばれます。
鋼は錆びやすいため切れ味鋭いまま維持するには、使用後出来るだけ早く刃部を洗い水分を拭き取るなどのケアが大切です。
家庭での魚さばきにぴったりな刃渡り24cmの包丁
刀身と柄の間に隙間がないステンレス製でお手入れがしやすいため、衛生的な柳刃包丁です。柄には凹凸があり滑りにくく、少し細めで手の小さな女性でも握り込みやすくなっています。
刃付けは新開発された「エキストラエッジ」が採用されています。エキストラエッジは、切ったときに食材の余分な水分が出にくい、正確に薄く切りやすいなどの特徴がある刃付けです。そのため、刺身の引き切り・そぎ切り・皮引きがしやすいでしょう。
刃渡りははじめて魚をさばく方にも使いやすい24cmが採用されているので、初めて柳刃包丁を購入する方にぴったりの商品です。

モリブデンバナジウム使用のステンレス柳刃包丁
ステンレス鋼にモリブデンバナジウムを配合することで、サビに強く丈夫な刀身を実現させています。ハンドルは左右非対称で片面にトルネード模様があり、水で濡れた手や、魚の油がついた手で握っても滑りにくいのが特徴です。
オールステンレスなので、丸洗いも可能。衛生面でも優秀なので、家庭で快適に扱える一本と言えます。
富士カトラリーオリジナルのステンレス製柳刃和包丁
富士カトラリーの成平は切れ味にすぐれており、家庭に限らずプロにも使われているシリーズです。刀身はステンレスで作られているためサビに強く、基本的には水洗いするだけでメンテナンスに手間がかかりません。
耐久性にすぐれているのも特徴で、握りやすい木製の持ち手も魅力的です。比較的リーズナブルながらプロ仕様なので、コスパにすぐれた1本と言えるでしょう。
切れ味が持続する青鋼製の両刃包丁
青鋼製の両刃柳刃包丁。両刃の包丁は片刃より切れ味は落ちますが、刃が長持ちして切れ味が持続するという特徴があります。材質として使われている青鋼は、白鋼にクロムとタングステンを加えて硬度と粘りを強化した高級鋼です。
黒打ちは、金属部分をすべて削らずに刃の部分だけ削った状態のことです。黒打ちされた包丁は、無骨な見た目と錆びにくいという特徴があります。
海外でも人気!トップメーカーの柳刃和包丁
刀鍛冶の技術を織り込んだ正広の包丁は、国内で職人が一本ずつ丹精込めた手仕事で製造しているため、すべてがメイドインジャパン。この柳刃包丁は「特殊ステンレス鋼」を使用しており、すぐれた耐久性と抜群の切れ味が期待できます。
持ち手はまっすぐではなく、柄尻にいくほど太くなる形状で握りやすさを考慮。プロの料理人でなくても扱いやすいよう設計されています。


「柳刃包丁」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 柳刃包丁の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの柳刃包丁の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
柳刃包丁の使い方 長さがあるからこそ使いやすい
使い方は、マグロやサーモンなどに、一方向に刀をスッと動かして切っていきます。刃渡りが長いので、前後に動かして切らなくてもかんたんにキレイにスライスすることができます。イカやタコなどの魚介類を切るのにもおすすめで、プロや上級者の方は、肉などを切る際に使う方も多いです。
柳刃包丁の基本的な研ぎ方 長く使うためにチェック!
どんなに切れ味が鋭い柳刃包丁であっても、お手入れをせずに使用していると徐々に切れ味が鈍くなってきます。また、包丁の使用期間を長くするためにも、定期的にお手入れが必要です。切れ味が鋭いまま長期間使用するために、シャープナーではなく砥石を使って柳刃包丁を研ぐ基本的な方法をご紹介します。
研ぐ前に砥石を準備し包丁の持ち方を確認する
包丁を研ぐ前に、4種類の砥石を用意しましょう。荒砥石、中砥石、仕上げ砥石、面直し用砥石です。砥石を用意したら、研ぐ前に10~30分間、砥石から気泡が出なくなるまで水に浸けておくと、研いているときに水をあまりかけずに済みます。
包丁を研ぐときは柄を持つだけではなく、峰の部分に人差し指をかけて固定するように持ってください。
包丁の刃と砥石の角度が45度になるように研ぐ
刃と砥石の長辺となす角が45度になる位置に包丁と砥石を調整して、砥石全体を使うように研ぎます。左手は、人差し指と中指をしのぎのライン付近に添えて、刃を砥石に押し付けるように研ぎましょう。このとき、右手は包丁を握るだけにして、刃先と砥石が当たる角度は左手で調整してください。
適切な研ぎ方で研ぎはじめたとしても、砥石が不安定で動いてしまっては意味がなくなってしまうため、水平な場所に置いて下に雑巾やタオルなどを敷いて動かないようにしましょう。
4種類の砥石を使って包丁を研ぐ
最初は、荒砥石を使って切っ先、中間部、刃元の順に研ぎましょう。中間部は切っ先と刃元を研いでいるときにも研げているため、中間部を研ぐ回数は切っ先と刃元の半分程度でよいです。刃先と砥石が当てっているか確認しながら丁寧に研いでください。
研ぎができたかは、刃先の裏側に親指を当てゆっくりと刃先方向に水平にスライドさせ、かえりができているかどうかで確認できます。親指にかえりを感じたら、中砥石、仕上げ砥石を使って同様に研ぎましょう。
裏押しと小刃引きをする
表面が研げたら面直しをした仕上げ砥石を使って、表面を研いだときにできたかえりを裏押しで取り除かなくてはいけません。裏面を研ぐので、それまでと刃の向きを逆にするか、包丁を持っている手を逆にして2~3回研いでいきます。
最後に少し包丁を立てて、力を抜き包丁の重みだけで、仕上げ用砥石を使って2~3回研いで小刃をつけましょう。小刃は、包丁の切れ味を長く持たせる役目があります。
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職人技が光る柳刃包丁を! 料理研究家のアドバイス
料理研究家/料理講師/ケータリングプランナー
魚の柵を買ってきて刺身にするという方や、釣ってきた魚を自分でおろしているという方であれば、いずれは一級品の柳刃包丁を購入するのもよいですね。
長く愛用するのであれば、職人さんがひとつひとつていねいに作り上げた商品がおすすめです。今までの包丁とは違った切れ味を実感できるでしょう。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
神戸出身。アメリカなどでパーティ料理やオーガニックを学び、2002年に「菜々食CookingClass」を主宰。卒業生による教室開設やカフェ開業実績も多数。 企業向けのオリジナルレシピ開発を行う「レシピ制作専門スタジオ」では料理部門の代表として、料理動画のメニュー監修、タイアップ企画レシピ、連載レシピコンテンツ、飲食店のメニュー開発などに従事。また、大の蕎麦好きでもあり、蕎麦に関するグループも運営中。