有機ELテレビとは
有機ELテレビは、「次世代のテレビ」として話題となり、画面の細かな発色により鮮明できれいな映像が楽しめるテレビです。有機ELパネルを開発したのは韓国の「LG」社です。
有機ELテレビは、「映像がきれい」「立体感のある映像が楽しめる」といった意見が多く、近年、かなり話題となり、今では徐々に普及し始めてきているテレビです。
有機ELテレビの特徴
ここでは、有機ELテレビの特徴をメリットとデメリットでご紹介していきます。
メリット1:色のムラがなく、映像のコントラストが鮮やか
有機ELテレビは、有機ELパネルによりパネル自体が発光することで、発色のいい映像を映し出すことができるテレビです。色のムラもなく、また、液晶テレビが苦手な黒色をきれいに映せるので、コントラストの鮮やかな映像になります。立体的な映像も魅力的で、特にスポーツの観戦や映画鑑賞をする際にとても相性がいいです。
メリット2:軽量で薄く、壁掛け・持ち運びがかんたん
映像を映す仕組みを単純化したことにより、軽量化・薄化を実現しました。液晶テレビよりも薄く、見た目がスタイリッシュなので、壁掛けテレビとして使うのにピッタリの機体です。
デメリット1:液晶テレビより本体価格や消費電力が高い
一般的な液晶テレビよりも普及していないため、高価格なのがデメリット。パナソニックやソニーなどの大手家電メーカーは、有機パネルのみLG社のものを仕入れ、自社製品に使用しているので、価格が高くなりやすいです。
また、映像をきれいにするために消費電力が高いので、電気代も液晶テレビよりも少々高くなります。
デメリット2:「焼き付き」の可能性がある
「焼き付き」とは画面上に映像の残像のような跡が残ること。パネル自体が発光し、素子に電気を流し続けることで、劣化してしまうのです。「焼き付き」が起こると二度と直せないので気を付けないといけません。現在はLG社が焼き付きの起こりにくいパネルも開発・宣伝していますが、不安は残ります。
有機ELテレビの選び方
ここからは、有機ELテレビの選び方のポイントについてご紹介していきます。ドヤ家電ライター・小口 覺さんに、ポイントにすべきところを教えていただきました。ポイントは下記の5つです。
【1】設置場所に合わせた画面サイズ
【2】画質
【3】録画機能
【4】サウンド性能
【5】その他の機能
ぜひ有機ELテレビ選びの参考にしてください。
【1】設置場所に合わせてサイズをチェック
有機ELテレビのサイズは基本的に大きいものが多く、小さいサイズでは48インチ、大きいもので70インチを超えるものもあります。部屋の設置場所に合わせてイメージすることも大切ですが、一番いいのは大きさだけでなく、実際の長さを測ってピッタリのサイズを選ぶことです。
例えば、テレビ台に乗せるなら大きすぎるサイズではないか、壁掛けならどのくらい壁を占有するのかなど、部屋のインテリアにもなりますので、ぜひ正確な測定をした上で、イメージを固めて購入しましょう。
なお、有機ELテレビの視聴距離は、「画面の高さ×1.5」が、ドットが見えずにきれいに画面が見える目安といわれています。画面サイズを選ぶ際には視聴距離も考慮して選んでください。
【2】画質をチェック
有機ELテレビはどれも画質がいいため、選ぶ必要ないと思いがちですが、もちろん好みに合わせて選ぶポイントもあります。画質が高い中でも、色合いが鮮やかなものか、全体的に明るいタイプなのか、コントラストがハッキリした色彩性なのか、製造するメーカーによって好みは分かれます。どんな画質なのか、できれば実店舗で確認してから購入しましょう。
各メーカーの「絵作り」に個性が出る
現在、有機ELテレビは、どのメーカーもLGディスプレイ製のパネル(もしくはセル)を採用しています。ベースは同じなのですが、実際に表示される映像は、メーカーにより異なります。各社が開発した映像エンジンやチューニングによって、「絵作り」がされているからです。
それにより、4Kといったもとから高画質なソースだけでなく、地デジ番組や動画配信サービスの映像も高いパネル性能に合わせた高画質化を実現しています。
【3】録画機能をチェック
テレビ番組を録画してよく観るという方は、ぜひ録画機能付きのなかでもこだわりましょう。同時録画できるかどうかはチューナーの数で決まり、基本的には2〜3つのチューナーを搭載しています。このチューナー数が少ないと同時録画できる番組は少なくなります。
また、録画機能にもメーカーごとに特徴があり、最大6番組を同時録画できるものや、自動で仮録画され、観忘れても遡って番組を再生できる機能までもあります。好みや生活リズムに合わせて、どんな録画機能がいいか確認し、選んでみましょう!
チューナー数に応じたダブル録画が一般的
チューナーは新4K衛星放送用のチューナーを2基内蔵した「ダブル搭載」がトレンドとなっています。2つあることで、4K放送を見ながら裏番組の4K放送を録画することができます。
地デジやBS、110度CSのチューナーは、各2〜3基の搭載が標準的ですが、東芝「REGZA」のように地デジチューナーを9基積んで、全番組を自動で録画するモデルもあります。まとめて録画して後から見たいテレビ好きの方は、チューナーの数と録画機能についてもチェックしてください。
【4】サウンド性能をチェック
有機ELテレビを選ぶ際はスピーカーの性能にこだわるのもひとつの手。一般的な有機ELテレビの場合、2種類のスピーカーが内蔵されています。これでも十分音質は楽しめますが、より高品質なハイエンドモデルの場合、5機、多い機種で10機ほどのスピーカーを内蔵しています。これにより、今までよりもはるかにダイナミックで立体的で、リアルな音体験ができます。
臨場感や迫力のあるサウンドは「ドルビーアトモス」
サウンド性能も、映像鑑賞には大きな影響を与えます。せっかく映像だけがきれいでも、音が弱いと物足りないものです。
立体音響技術「ドルビーアトモス」に対応していれば、サウンドにより臨場感や迫力が加わります。また、スピーカーの最大出力やサウンド機能もチェックしてみてください。
【5】その他の機能をチェック
有機ELテレビは製品によっていろいろな機能が搭載されています。視聴する番組や作品、テレビの楽しみ方に応じた機能があるかもチェックしておきましょう。
ネットワーク機能をチェック
ネットワーク機能があるかどうかもチェックしたいポイントです。
ネットワークにつなげるには有線LAN方式とワイヤレス接続ができる無線LAN(Wi-Fi)方式があります。
どちらの場合も、ネットワークにつながることで有料動画サイトをはじめ、さまざまな映像作品を楽しむことができるでしょう。
無線LAN方式のなかで「Wi-Fi Direct」に対応している機器同士なら、Wi-Fiルーターを介さずに直接接続できるメリットもあります。
ゲームやレコーダー接続のための「HDMI端子」
テレビ番組の視聴だけでなく、ブルーレイレコーダーやテレビゲームなどの接続ができるかどうか、入出力端子もしっかり確認しておきましょう。とくにHDMI端子に関しては、プレイステーション4などのゲーム機やレコーダー、Chromecastといったストリーミングデバイスまで接続できます。
ま、D端子やコンポーネント映像端子などは搭載されている製品が減少傾向にあります。さまざまな機種を楽しむ方は、しっかり接続端子の数も確認しておきましょう。
スポーツ観戦やアクションゲームを楽しめる「倍速駆動」機能
有機ELテレビの機能に、残像やチラつきを軽減してくれる機能があります。それが「倍速駆動」機能です。特に、スポーツ観戦中の選手の動きや、アクションゲームのキャラクターなど、スピード感のある映像の場合は、この「倍速駆動」機能を使用することで、映像内のキレイな動きを表現してくれます。
仕組みは、毎秒60コマで映像から、毎秒120コマの映像に切り替えることで、動きと動きの差異を少なくすることで、キレイな動きになります。用途に合わせて機能のON・OFFが切り替えられるので、スポーツやゲームを楽しむ方は確認してみましょう。
メーカー・ブランドごとの特徴
有機ELテレビ選びに迷ったら、メーカーごとの特徴で選ぶのもよいでしょう。それぞれのメーカーの有機ELテレビの特徴を解説します。
美しい画質が楽しめる「Panasonic(パナソニック)」
パナソニックの有機ELテレビは、国際認証も取得している独自の映像技術を取り入れた自社設計・組立の有機ELディスプレイを採用しているのが特徴です。圧倒的な映像の美しさを実現しています。
映像をダイナミックに映し出すほか、イネーブルドスピーカー搭載、ドルビーアトモス対応による音質の高さも魅力です。映画鑑賞やスポーツシーン観戦に向いています。
設置方法も豊富な「SONY(ソニー)」
ソニーの有機ELテレビは、次世代高画質プロセッサー「X1 Ultimate」を搭載しているのが特徴。従来のプロセッサーよりも画像のリアルタイム処理能力が2倍になっています。明るい部分と暗い部分の色が鮮明で、クオリティの高い映像体験を感じられます。
有機ガラス管を振動させ、奥行きと立体感のあるクリアな音が楽しめるスピーカーシステム「サウンティーナNSA-PF1」を搭載し、一体感のある映像と音を実現。傾斜がついていて設置しやすいモデルや、壁掛けできるものなどデザイン性の高い製品もそろっています。
機能と価格のバランスのよい「LGエレクトロニクス」
韓国の電化製品メーカーであるLGエレクトロニクスの有機ELテレビは、ネット動画との互換性がよいのが特徴です。
有機ELパネルを自社製造しているため、機能はシンプルながら全体的にコストパフォーマンスがいい製品がそろっています。設置方法のラインナップも多く、据え置き型のほか壁掛けデザインのものもあります。
録画機能が充実した「TOSHIBA(東芝)」
東芝の有機ELテレビは、映像の種類に合わせたノイズ抑制や、肌の質感をより美しく再現する高画質が特徴です。地デジ放送もきれいに映し出せます。
また、過去の番組もさかのぼれるタイムシフトマシンなどの録画機能が充実しているのも魅力です。映像応答速度も速く残像が残りにくいため、スポーツ観戦やゲームにも向いています。
手にしやすいものがそろう「Hisense(ハイセンス)」
ハイセンスは、中国の電化製品メーカーです。有機ELテレビは東芝映像ソリューションとの提携をはじめ、近年、日本人に向けた商品展開に力を入れています。
全体的にコストパフォーマンスが高い製品が充実しています。リビングでも映画館のような臨場感のある映像を楽しめる映画モード、遅延が少なく快適にプレイできるゲームモードplusなど、シーンに合った機能をはじめ、再生機能や動画配信サービスなどの機能がそろっています。
有機ELテレビおすすめ11選
ここまで紹介した有機ELテレビの選び方のポイントをふまえて、小口 覺さんと編集部が選んだおすすめ商品をご紹介します。
独自技術「NEOエンジンplus 2020」搭載
『55X8F』の売りは東芝映像ソリューションとの共同開発によるAIテクノロジー搭載の「NEOエンジン plus 2020」。これは何かというと、夜空の明るさとライトの明るさどちらも違いがわかるほど鮮やかに表現するというもの。液晶パネルと比較すると確かにその差は歴然のクオリティーです。
また、通販サイトの口コミによると、画質・音質ともに満足できると高評価の製品です。コスパで選ぶならLG製品がトップクラスではないでしょうか。

AI技術を活用したエンジンで高画質を追求
高画質を追求するAI技術のレグザエンジンを搭載。4Kダブルチューナー内蔵で、新4K衛星放送を楽しむことができます。Ultra HD Blu-rayや4K放送など、さまざまなコンテンツで自然の色彩豊かな高画質を実現しているのが魅力です。
別売の「壁寄せテレビローボード」を使用すれば壁寄せ設置もでき、省スペースにもなります。

Panasonic(パナソニック)『VIERA(ビエラ) 4K有機ELテレビ(TH-65GZ2000)』

映像配信サービスとの相性も高い
最上位グレードの次世代高画質プロセッサー「X1 Ultimate」を搭載したフラッグシップモデルです。ソニー独自のパネル制御技術「ピクセル コントラスト ブースター」により、あらゆるコンテンツを美しく再現。
サウンド面では、画面そのものから音が出る技術、「アコースティック サーフェス オーディオプラス」を搭載。新開発のアクチュエーターとサブウーファーにより、音声の明瞭感と音の広がりを向上させています。また、動画や音楽、ゲームなどのアプリを追加して楽しめる「Android TV」に対応しているのも特長。Netflixから画質や使い勝手のお墨付きをもらった「Netflix推奨テレビ」でもあります。
LG『OLED(48CXPJA)』
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 有機ELテレビの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での有機ELテレビの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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有機ELテレビの購入も視野に
上記で書いたように、有機ELテレビも価格的に手が届かない存在ではなくなってきました。とくに人気の55V型クラスでは、液晶テレビとの価格差が小さくなり、20万円台、30万円前後で手に入るモデルも多く存在します。
同じ画面サイズの液晶テレビに10万円ほど予算を上乗せすることで、ひとつ上の画質を手に入れるという考え方もアリではないでしょうか。
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ライター、コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。 現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。著書に「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)など。