風味豊かなスパイス「七味唐辛子」とは?
七味唐辛子は、江戸時代にの日本橋薬研堀町で生まれた日本古来のブレンドスパイスです。からしや徳右衛門が、漢方薬をベースに生薬としても使われていた素材を組み合わせてつくりあげました。当時は、スパイスというよりも一種の薬のような感覚で使われており、寺社仏閣の門前で売られることが多かったようです。
七味といってもブレンドするスパイスの種類や数に決まりはないため、メーカーごとに原料と調合の割合が異なります。唐辛子の辛さだけでなく、ゴマや紫蘇、陳皮、山椒などの豊かな香りも楽しめるのが七味唐辛子の魅力です。
七味唐辛子の選び方 麻の実がいらない方は原材料をチェック!
フードアナリストの平林玲美さんに、七味唐辛子を選ぶときのポイントを教えてもらいました。
七味唐辛子のタイプで選ぶ
七味唐辛子を選ぶときは、まず七味唐辛子のタイプを決めましょう。粉末タイプと生タイプがあるので、それぞれの特徴を紹介します。
汁ものに入れるなら粉末タイプを
丼に振りかけたり、汁物に加えたりしたいなら、粉末タイプの七味唐辛子がよいでしょう。食べながら味を変えたいときでも、あとから好きなだけ振りかけられます。完成した料理にアクセントを加えたいときや、素材にまんべんなく味をつけたいときにもぴったりです。
粉末タイプの七味唐辛子を選ぶときは、振りかけるまえに容器を数回振りましょう。なかで七味が混ざり合い、バランスよく出てきます。
おかずとしても使える生タイプ
食べるラー油のような感覚で、ごはんに乗せたり、冷ややっこに乗せたりして味わえるのが生タイプの魅力です。生の原材料を使用しているため、香りや辛さが強く感じられます。
液体にも溶けやすいので、鍋の味つけやドレッシングなどにも使いやすいのがポイント。
粉末の七味では刺激が物足りないと感じる人は、ぜひ一度味わってみてください。
料理に合わせて使いわけて
乾燥タイプの七味唐辛子。独自の製法・秘伝の調合により作られた、八幡屋礒五郎の定番商品です。
日本体質改善協会 代表、フードアナリスト
乾燥タイプが一般的な七味唐辛子ですが、最近では乾燥や加熱処理をしていない、生(練り) タイプの七味唐辛子もあります。生(練り) タイプはその名のとおり、生のまま配合されているので香りが強く、豊かな風味が特徴。しっとりとして粘り気があるので食材と絡みやすく、口の中でうまみが広がります。ただし加熱処理には向いていません。
素材の下味やソース、煮込み料理などのスパイスとして使用したいときは乾燥タイプを選びましょう。ご飯のお供やお酒のアテ、鍋料理の薬味にそのまま使用したい方や、コク深い味わいを求める場合には生(練り) タイプの七味唐辛子がおすすめです。
七味唐辛子に入っている原材料をチェックする
七味唐辛子を選ぶときは、どんなスパイスがブレンドされているのかをチェックしましょう。
辛いものが好きなら唐辛子にこだわったものを
辛いものが好きな人は、唐辛子が多く配合されているものや、唐辛子の種類にこだわったものを選ぶとよいでしょう。メーカーによっては辛さを強めた「大辛」のものや、アフリカ原産の辛みの強い唐辛子を使ったものもあるので、チェックしてみてください。
辛味の質にもこだわりたい人は、原材料にも注目しましょう。複数の唐辛子をブレンドして、深みのある辛さに仕上げているものもあります。
かんきつ類が多く入ったものはさわやかな風味
七味唐辛子に辛さだけでなくさわやかな香りも求めているのであれば、かんきつ類が多く入ったものを選ぶとよいでしょう。陳皮や柚子が多く入った「ゆず七味」などは口に入れるとふんわりと和かんきつの香りが広がります。素材の味を生かした湯豆腐や鍋料理のアクセントにぴったりです。
さっぱりとした風味なので、ドレッシングに入れるのもよいでしょう。
山椒や生姜入りのものはしびれる辛さ
山椒や生姜が多く入った七味唐辛子は、ピリッとした唐辛子の辛味としびれるような山椒や生姜の辛味が楽しめます。
とくに山椒が多く入った「山椒七味」は、さわやかな山椒の香りも楽しめるのが魅力です。麻婆豆腐に入れたり、鶏の唐揚げやてんぷらに掛けたりするとよいでしょう。オーソドックスな唐辛子の辛さに飽きてしまった人にも試してもらいたい七味唐辛子です。
メーカーによって配合はさまざま
日本体質改善協会 代表、フードアナリスト
七味唐辛子はその名のとおり、メインとなる唐辛子に加え、山椒(さんしょう) や紫蘇(しそ)、胡麻(ごま) や麻の実(あさのみ) など、7種類のスパイスが調合された薬味のことです。商品によってスパイスの種類や調合される量は異なり、風味や味わいもさまざま。原材料は、含まれる量が多いものから順に記載されています。好みのスパイスがある場合は原材料をチェックして、より多く含まれるものを選ぶといいでしょう。
また、使いみちに合わせて選ぶのもポイントのひとつ。蒲焼や濃いめの甘辛い料理には山椒が多いものを、鍋料理やうどん・そばなどにはさわやかな味わいになるゆず表皮やみかんの皮が調合されたものが相性抜群です。
よく知られたメーカーのものから選ぶ
七味唐辛子を選ぶときは、メーカーにも注目してみましょう。よく知られた七味唐辛子メーカーには、次の3つがあります。
東京・浅草の「やげん堀」
東京・浅草にある「やげん堀」は、寛永2年に創業したメーカーです。辛さにこだわった七味唐辛子を作っています。
オーソドックスな七味唐辛子に入っているのは、唐辛子・焼き唐辛子・黒ゴマ・けしの実・麻の実・粉山椒・陳皮の7つ。辛さは小辛・中辛・大辛の3タイプです。
濃口しょうゆとの相性がよく、しっかりとした辛味のある七味唐辛子を求めている人にぴったりでしょう。
京都・清水の「七味家本舗」
京都にある清水寺の参道に店を構える「七味家本舗」は、明暦年間に創業したお店です。
七味唐辛子に入っているのは、青のり・山椒・黒ゴマ・白ゴマ・唐辛子・青紫蘇・麻の実の7つです。香り豊かな素材を組み合わせた七味は、辛さよりも香りのよさが引き立ちます。
京料理の繊細な味わいを壊さない上品な風味が特徴です。
長野・善光寺の「八幡屋磯五郎」
長野にある善光寺の参道で元文元年に創業した「八幡屋磯五郎」の七味唐辛子は、バランスのよい味わいが特徴です。唐辛子・山椒・生姜・麻種・ゴマ・陳皮・紫蘇の7つをブレンドしています。近年は長野県産の原料を多く使って作られているのもポイントです。
「ガラムマサラ七味」や「バードアイ」といった変わり種の七味も販売しています。
ご当地色豊かなものを選ぶ
お土産やギフトとして七味唐辛子を選ぶときは、ご当地色豊かなものを選ぶのもよいでしょう。全国には、その土地の特産品などを使ったご当地七味がたくさんあります。遠くまで足を延ばしたときは、その土地でしか手に入らない七味を探してスーパーマーケットなどに立ち寄ってみてください。
七味唐辛子の味わいは、東と西で異なるのもポイント。東の七味は辛さに重点を置いてブレンドされており、西の七味は香りに重点を置いてブレンドされています。全国各地のご当地七味のなかから自分のお気に入りを探してみましょう。
パッケージと容量で選ぶ
七味唐辛子は、香りと辛さが命です。七味唐辛子を選ぶときは、辛さと香りが飛ばないうちに使いきれる容量・パッケージに入ったものを選びましょう。
使いきりサイズの小袋に入ったものなら、いつでもフレッシュな七味唐辛子が味わえます。携帯にも便利なので、お弁当に添えるのにもぴったりです。なかには、ストラップに七味唐辛子の缶がぶら下がっているアイテムも売られているので、七味唐辛子が手放せない人は購入してみましょう。
豊かな風味を逃さないパッケージのものを選んで
手になじむ木箱に入った黒七味は、6gと少量で使いやすいです。高級感のある木筒なので贈り物にもぴったり。
日本体質改善協会 代表、フードアナリスト
七味唐辛子は香りも大切なポイント。チャックつきではないなど、密閉しにくく空気に触れやすいパッケージは開封後から香りが飛びやすくなっています。購入の際は使用頻度を考えて、容量やパッケージにも注目しましょう。使用頻度の少ない方は小分けになっているものや、少量のものを選ぶと最後まで香りを楽しむことができます。
また、うま味調味料(グルタミン酸・グアニル酸などのうま味成分を、水に溶けやすく使いやすくしたもの)が多すぎるものは、七味本来の風味を感じにくくなってしまうので要注意です。原材料を確認し、あまりにも添加物が多いものは避けるようにしてください。
七味唐辛子おすすめ11選 京都や長野の人気商品も!
上で紹介した七味唐辛子の選び方のポイントをふまえて、フードアナリストの平林玲美さんに選んでもらったおすすめ商品をご紹介します。

根元 八幡屋礒五郎『七味唐辛子』






出典:楽天市場
内容量 | 14g |
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原材料 | 唐辛子、陳皮、胡麻、麻種、紫蘇、山椒、生姜(一部にごまを含む) |

京都森勝『ゆず七味』


















出典:Amazon
内容量 | 25g |
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原材料 | ゆず粉(大分県産/柚子表皮乾燥粉)、唐辛子、胡麻(白・黒)、陳皮(みかんの皮)、麻の実、青紫蘇、大分県産青海苔 |

やげん堀 七味唐辛子本舗『七味唐辛子 大辛』

出典:Amazon
内容量 | 27g |
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原材料 | 焼唐辛子、唐辛子、黒ごま、陳皮(みかんの皮)、 山椒、けしの実、麻の実 |

原了郭『黒七味 木筒』






出典:Amazon
内容量 | 6g |
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原材料 | 白ごま、唐辛子、山椒、青のり、けしの実、黒ごま、おの実 |

久原本家『茅乃舎 生七味』
内容量 | 60g |
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原材料 | 赤唐辛子、黄ゆず皮、海塩、山椒、黒ごま、生姜、青海苔 |
エヴァウェイ『和の七彩』












出典:Amazon
内容量 | 12g |
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原材料 | 青唐辛子(九州産)、赤唐辛子(九州産)、ごま(金・黒)、あおさ、きくらげ粉末、柚子、山椒 |
ユウキMC『京風七味』

出典:Amazon
内容量 | 250g |
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原材料 | ちんぴ、唐辛子、山椒、ごま、けしの実、麻の実、あおさ |
伍代長谷部『海乃七味唐辛子』


















出典:Amazon
内容量 | 13g |
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原材料 | 唐辛子、陳皮、生姜、山椒、あおさ、白胡麻、黒胡麻 |
八幡屋礒五郎『七味唐辛子(ゆず入り)』

出典:Amazon
内容量 | 38g |
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原材料 | 唐辛子、柚子、陳皮、胡麻、麻種、紫蘇、山椒、生姜 |
オーガニックファームHARA『キャロライナリーパー激辛七味唐辛子』










出典:Amazon
内容量 | 10g |
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原材料 | 唐辛子、赤山椒、黒胡麻、青のり、陳皮、紫蘇、生姜 |
うれし野ラボ『辻さん家のとける唐辛子』








出典:Amazon
内容量 | 8g |
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原材料 | 粉飴(国内製造)、麦芽糖、唐辛子エキス/レシチン(大豆由来)、パプリカ色素、酸化防止剤 |
「七味唐辛子」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 七味唐辛子の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの七味唐辛子の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
初心者は「麻の実抜き」か「柑橘表皮入り」を
日本体質改善協会 代表、フードアナリスト
七味唐辛子は商品によって風味や辛味が異なる、とても奥深さのあるスパイスです。お好みの味わいや使いみちに合わせて最適なものを購入しましょう。ふだんあまり七味唐辛子を使わない方や、独特の香りが苦手な方は「麻の実抜き」のものを選ぶのもおすすめです。麻の実特有のガリッとした食感がないぶん、小さなお子さまでも抵抗なくいただけます。
また、ゆずなど柑橘(かんきつ) 系の表皮が使用されているものを選ぶと、さわやかな香りでグッと使いやすくなるのでぜひお試しください。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(制作協力:kelly、掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/12/05 コンテンツの追加のため、記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 中村亜紀子)
個々の体質を根本から改善し、内側から美しくなれる食事法を普及すべく「日本体質改善協会(JPCIA)」を設立。 オンラインによる個別指導の他、パーソナルジムやエステサロンと提携し、体質改善を目的とする食事指導を行う。 また、各種メディアにて食にまつわる美容・健康情報や今日から取り入れられる簡単ダイエット・体質改善メソッドを発信している。 フードアナリスト協会主催・食の親善大使「第4回食のなでしこ」グランプリ受賞。