キャンプ用焚き火台の選び方 サイズ、重さ、折りたたみ式か、BBQ用途
アウトドアカフェBASE CAMP代表、A-sukeさんに焚き火台を選ぶときの大事なポイントを教えてもらいました。
【1】使用人数に合ったサイズと収納サイズのバランス 4人前後か、それ以上か、ソロキャンプか
まずは大きさが重要です。どんなキャンプシーンで使うのかをしっかり見極めて購入するようにしましょう。キャンプは大きくわけて、3つのパターンに分類されます。ファミリーなどの4人前後のキャンプ、それ以上の人数のグループキャンプ、そしてソロキャンプ。このどれかで選択肢は大きく変わってきます。
また、使用時のサイズだけではなく収納サイズも気にするべきポイントです。家での収納時はもちろん、移動時の車のサイズにも影響します。バイクや徒歩の場合は、あるいは収納サイズの方が重要かもしれません。
【2】重量タイプで剛性重視か、軽量タイプを使い倒すか 素材の厚さが重要
意外なほど違いがあるのが重さ。これは使っている素材の厚みによるところが大きいです。素材の厚さが増えると重くはなりますが、剛性が増してガッシリとした造りになるので焚き火台に不安定感がなくなります。また、熱による変形が少ないので、いつまでも買ったときと同じ形で使い続けられるということも大きな利点です。
一方、軽いものは場合によっては華奢でデリケートに扱う必要もあるかもしれません。熱による変形も大きいので、使用には問題ないもののベコベコになっていくこともあります。
【3】折りたたみ式の構造は頑丈さに影響あり 組み立てがシンプルなものか複雑なものか
一般的に焚き火台は折りたたみ式ですが、組み立て方がシンプルなものはすぐ使えて頑丈な傾向があり、逆に複雑なものは組み立ての手間はかかるものの、収納サイズが小さくなるものが多いです。
個人的にはデリケートなモノよりも、ガシガシと使っても壊れないシンプルな構造のものが好きですが、これも一長一短あるので自分のスタイルを見極めましょう。また、剛性や形にも影響するので、「使い方」も変わってきます。
【4】焚き火以外に使いたい用途を考えよう BBQグリルとして使えるか、オプションや耐荷重も
焚き火台は薪を燃やして焚き火だけをするものではありません。BBQグリルとして炭に火をつけて網をのせて肉を焼いたり、ダッチオーブンなど重い鍋などを載せて調理したりすることもできます。
焚き火台と網だけでBBQができるのか、オプションでどんなものが販売されているのか、ダッチオーブンを直で載せられる耐荷重かどうかなど、それぞれの用途にあわせて選ぶことをおすすめします。
【5】その他のポイントもチェック 調理、充電対応、暖炉として
A-sukeさんが教えてくれたポイント以外にも、注目したいポイントはいくつもあります。ぜひ頭に入れておきましょう。
▼1台で多彩な調理が楽しめる
焚き火台でできる調理法は、焼く、煮る、蒸すなど多彩。上記であげたBBQグリルにダッチオーブンはもはや定番で、ほかにもピザが焼けちゃうかまどタイプや、蓋をして全体を蒸し焼きにできるものも登場しています。多機能な1台で思う存分料理を楽しんでみては。
▼充電ができる焚き火台もある
焚き火台の機能性は年々高まっています。炎の燃焼を電力に変換し、スマホの充電ができる製品も登場して話題を呼びました。停電時の防災道具としても注目です。
▼燃焼効果が高いと暖を取るのが快適に
急に肌寒くなることもあるのが屋外キャンプ。夏でも夜は暖を取るのに焚き火台は不可欠です。燃焼効果を上げる工夫がされている焚き火台なら、炎がしっかり燃え上がり、体を温める力も高くなります。
覚えておきたい日本の老舗ブランド3選 焚き火台初心者向け
新ジャンルを切り開いたスノーピーク(snow peak)
地表へのダメージを防ぐための焚き火台を提案した元祖のメーカー。1980年代からキャンプ事業をスタートし、現在も熱心なファンを持つ。機能的で頑丈なものづくりがポリシー。アフターケアや修理サービスも充実しています。
炎を名前に冠したユニフレーム(UNIFLAME)
1985年に生まれた新潟の企業。日本の風土を考えた製品づくりが特徴です。元はガスを使用した商品を作っていたため、火を扱う製品づくりには一日の長ありです。
キャンプ文化を多角的に展開するロゴス(LOGOS)
1928年に船舶用品店としてスタートし、1980年代からキャンプ事業に参入。テントからアウトドアファッションまで製品展開しています。2018年にはキャンプをコンセプトにしたテーマパーク「LOGOS LAND」も開設しました。
【エキスパート厳選】焚き火台のおすすめ
ここからはA-sukeさんに、おすすめの焚き火台を紹介します。それぞれ特徴がありますので、自分にあったものを選んでください。

スノーピーク(snow peak)『焚火台 M(ST-033R)』
迷ったらコレで間違いない
この商品が「焚き火台」というジャンルを世に打ち出した初めての商品であり、そして今も同じデザインのまま売られているという事実。これを聞けば、いかに完成度の高い商品なのかわかるのではないでしょうか。シンプルで剛性も高く、ガンガン使っても10年も20年も同じ姿のまま使い続けられます。
サイズもオプションも充実していてBBQにも対応。サイズは、Sはソロ、Mはファミリー、Lはグループと思えばいいでしょう。個人的にSとLを両方持っていますが、Mをおすすめしますね。しかし、厚みのある材を使っているぶん、かなり重いというのも特徴。特にBBQ用オプションの炭床と焼網を一緒にすると想像よりも重いので覚悟が必要です。

バランスに優れた優等生
複雑すぎない構造で比較的軽い重量、大きな面積、十分な耐荷重と使いやすさを実現した非の打ち所がない優等生。オプションも充実していて比較的買い求めやすい価格なのも、この商品の良さです。材が薄いので、熱変形でロストル(火がよく燃えるようにするための、炭の下にひく「火格子」)はベコベコになりますが、使用するのには問題ないでしょう。むしろ、その使いこんだ感じを楽しめる人向けかもしれませんね。
大きさは2種あり、普通のサイズはファミリーに、グループにはラージをおすすめします。もしくは、普通のサイズを2個買うのもおすすめできます。2つを重ねて収納できるから収納サイズはほとんど変わらないというのは、この商品だけが持つ特徴かもしれません。ひとつの大きな焚き火を囲みたいなら、もちろんラージがおすすめです。

極限シンプルを使いこなせ
シンプルなラウンドしたディスクに、折り畳み式の脚が3本付いただけの商品です。脚を引き出すだけで使えるシンプル構造が、十分な収納性と剛性を作り出しています。穴も空いてない緩やかなラウンドが必要最低限の空気を焚き火に送り込む仕組みで、至れり尽くせりとは対照的なワイルドさが魅力的な商品となっています。
ほかの焚き火台は隅々まで洗って使い続けるのは至難の業ですが、この商品はサイズ的に大きいもののとにかく洗うのが楽。収納サイズは厚みがありますが、意外と重量も軽めです。サイズ展開は通常サイズとプラスの2種。ファミリー4人用が通常サイズと思えばいいでしょう。

どこにでも連れていける超軽量焚き火台
バックパッキングなどでも焚き火をしたい人におすすめなのがこのニンジャ ファイアスタンド。構造はシンプルで超小型&超軽量です。それでいて、鍋やケトルを置くことのできる構造は、ほかにはなかなかない商品です。
しかし、ほかの焚き火台と比べると、軽量化と引き換えに剛性をスポイルしています。必要最低限の剛性なのでラフに扱う気にはなりませんし、五徳の上に鍋を置くときも気を遣います。軽量化を優先してこのデリケートさを楽しめる人にこそ使っていただきたい焚き火台です。

かゆいところに手が届くギミック満載焚き火台
ほかの焚き火台と違い、格子状のワクがあるおかげで薪を立てかけて燃やすことができたり、直接ダッチオーブンを載せられたり、串焼きの肉や魚を立てることのできる穴が付いていたり、BBQ網が半分にたためたりとギミックが満載されています。
パーツは少し多いですが、ギミックの割には構造も難しくなく、収納サイズも薄くてなかなかコンパクトです。サイズ展開はM、L、XLと3種類で、Lがファミリー4人用と思えばいいでしょう。オプションも豊富で使いこなす楽しみにあふれている焚き火台です。

元祖! 連れて歩く焚き火台
この焚き火台が出たときの衝撃を未だに覚えています。フルサイズの焚き火台なのに、1Lのペットボトルくらいのサイズに折りたためるなんて、ほかにありませんでした。なにより焚き火をする面が布です。もちろん燃えない特殊な耐熱クロスなのですが、見た目のインパクトも大きかったです。同じような焚き火台はほかになく、オリジナリティにあふれています。
特殊クロスがいつまでも持つわけではないので、ある程度定期的に交換する必要がありますが、ステンレスメッシュに変えることもでますし、五徳を付ければ調理もばっちりできます。五徳は付かないものの、少し小型なワイヤフレームライトも出ています。

中庸なことは素晴らしい
比較的新しくて少しマイナーですが素晴らしい焚き火台です。主にソロの方におすすめですが、ファミリーでもいいかもしれません。フルサイズの薪が載せられるのに「ある程度」軽量でかなり薄く折りたためます。
さらには、ほとんどのパーツが連結されているので、パッと広げるだけで簡単に組み立てられるのも嬉しいところ。小型化しすぎるとパーツが多くなり組み立てが面倒なのですが、この商品はそこを見事に解決しています。
また、ノートPC大に「薄く」収納することで、大きさの割に持ち運びやすいです。車の荷室でもバックパックでも、隙間にスッとしまえます。ソロにしか使わないのであれば、さらに小型なミニもおすすめですね。

小粒でもピリリと辛い超絶変形焚き火台
なんといっても収納サイズが小さいのが特徴です。ポケットに入ってしまうほどのサイズですが耐荷重が1kgなので、ダッチオーブンだって載せられます。持ってみるとサイズが小さいので重く感じますが、500g程度なので十分すぎるほど軽量です。
組み上げても結構小型なので、薪を小割にしたり小さめの枝をたくさん燃やしたり少し忙しくはなるものの、変形ロボをいじるようなガジェット感は、ほかの焚き火台にはない楽しさがあります。少し大きめのサイズなら、「B-GO」もいいでしょう。
「エキスパート厳選」のおすすめ商品の比較一覧表
大事なのは焚き火を楽しむこと! 迷ったら4人用を エキスパートからのアドバイス
まずは自分のスタイルを見極めましょう。まだ自分のスタイルがわからないという方は、まずは4人用の焚き火台を買ってみると良いと思います。たくさん焚き火をしていれば、そのうち自分のスタイルが見えてくることでしょうし、たとえ違うスタイルで焚き火をしていたとしても、長い時間のなかでまた4人用の焚き火台を使う日も来るはずです。
一番重要なことは、焚き火台を買うことではなく、焚き火をするということです。みなさん、良い焚き火を!
【コンパクトタイプ】焚き火台のおすすめ ソロキャンプにもぴったり!
収納時にも幅をとらない便利なコンパクトタイプをご紹介していきます。
「コンパクトタイプ」のおすすめ商品の比較一覧表
【調理台タイプ】焚き火台のおすすめ 料理もできる焼き網つき!
焚き火台としても調理台としてもつかえる商品をご紹介していきます。
【テーブルタイプ】焚き火台のおすすめ 焚き火を囲んで語りあおう!
焚き火を囲みながらみんなで語り合うのもアウトドアの醍醐味。ここでは設置がカンタンかつ収納しやすい焚き火台テーブルをご紹介してます。
「調理台・テーブルタイプ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 焚き火台の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの焚き火台の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
焚き火台を楽しむために覚えておきたいチェックポイント キャンプ初心者の方向け
火起こしが楽になるアイテムを活用しよう
着火剤やバーナーなどを使って火起こしをしますが、ここは初心者がつまずくポイント。着火材とはいえ、初心者にとってはそう簡単に火をつけられるものではありません。そんなときに役立つのが火起こし器です。火起こし器を使うことで「煙突効果」により効率的に火を起こすことができます。薪が湿っていたり、炭がなかなか燃えなかったりするときにも役立ちます。火起こしでつまずかないことが、焚き火をストレスなく楽しむことにもつながります。
アルミホイルを使って、後片付けも効率的に
焚き火の際に焚き火台の内側にアルミホイルを敷いておくことにより、終わったあとにアルミホイルで炭を包めばススなどを落とすこともなく、安全に炭を処理する事ができます。また、アルミホイルが焚き火台の内側を保護してくれることにもなるので、焚き火台の寿命の伸びにつながります。
環境マナーへの意識を忘れずに
焚き火台を使うときは、まわりに燃えやすいものがないかどうか注意すること。焚き火台を使い終わった後の片付けの際、水消火では炭の中の芯まで消火できないことがありますし、焚き火台の内側もススと水でドロドロになってしまいます。そのため、炭は水消火をするよりも火消し壷に入れ、空気を遮断して消すのがベター。水消火よりも周囲を汚さず、まだ使えそうな炭は再利用することもできてエコです。
焚き火台について8つのポイントをおさらい
1)使用人数に合ったサイズを選ぶ
2)迷ったら4人用を購入すると良い
3)オフシーズン時の収納サイズも考慮する
4)素材が厚いと重くなるが、安定感がでて熱による変形も少ない
5)軽いものは熱による変形も大きいので注意
6)組み立て方が簡単なものはすぐ使えて頑丈
7)組み立て方が複雑なものは小さく収納できる
8)焚き火以外に使いたい用途を考えて購入する
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アウトドアをコンセプトにしたカフェ&バー「BASE CAMP」の店主。 雑誌などのアウトドア系メディアで活躍中。幅広いアウトドア経験と知識を持ち、元プロダクトデザイナーという経歴を生かしてコトやモノをプロデュースしている。調理人でもあるので燻製やダッチオーブン料理などにも造詣が深い。