カルヴァドスとはどんなお酒? 「アップルブランデー」との違いは?
カルヴァドスとは、リンゴを原料として作られる蒸留酒です。リンゴの発泡酒である「シードル」を蒸留し、2年以上樽で熟成させて作られます。
リンゴの蒸留酒のなかでも、フランスのノルマンディー地方で作られたもので、AOC(原産地呼称統制)の定める基準をクリアしなければ、カルヴァドスを名乗れません。
カルヴァドス以外のリンゴを原料とした蒸留酒は「アップルブランデー」と呼びます。なお、ブランデーとは一般的にブドウを原料とした蒸留酒を指します。果物を原料とした蒸留酒というくくりでは、カルヴァドスもブランデーの一種になります。
カルヴァドスの選び方
ここからは、カルヴァドスを選ぶときのポイントをご紹介します。産地や熟成期間などに注目して選びましょう。ポイントは下記。
【1】産地
【2】熟成年数
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】3つの産地から選ぶ
カルヴァドスの産地は、ノルマンディー地方のなかで3つにわかれています。産地の特徴を踏まえておきましょう。
カルヴァドス・ペイ・ドージュ|本格的な味わい
ペイドージュ地区で製造されることに加えて、蒸留時の洋ナシの混合割合は30%以下、単式蒸留器で2回蒸留、最低2年間オーク樽で熟成、アルコール度数最低40度の条件を満たしたものが、カルヴァドス・ペイ・ドージュを表示できます。
リンゴの割合が高く、本格的な味わいが楽しめる高級カルヴァドスです。コニャックやアルマニャックが好きな人にも向いています。
カルヴァドスAC|安い価格で気軽に試せる
最低2年間オーク樽で熟成させること、アルコール度数最低40度が、カルヴァドスを名乗れる条件です。また、ノルマンディー地区全域で製造されたカルヴァドスを「カルヴァドスAC」と表示するのに対し、ドンフロンテ地区などほかの地区で製造されたもの、さらにノルマンディー地区のものとドンフロンテ地区のものをブレンドしたものを含めると全体で「カルヴァドス」の表記になります。
安い価格で試してみたい方におすすめです。
カルヴァドス・ドンフロンテ|洋ナシをブレンド
カルヴァドス ドンフロンテの地域で製造することに加えて、蒸留時の洋ナシの混合割合が30%以上、半連続式蒸留機で蒸留する、最低3年間オーク樽で熟成させる、アルコール度数最低40度である条件を満たしたものが「カルヴァドス・ドンフロンテ」を表記できます。
果樹園全体の25%が洋ナシ園で成り立っているドンフロンテ地区だからこそのカルヴァドスです。
【2】熟成年数で選ぶ
カルヴァドスの最低熟成期間は2年です。熟成年数によってカルヴァドスの味わいや価格が異なってきます。
熟成を経た年数によって以下のようにランクづけされていますので、参考にしてみてください。
・フィーヌ(2年)
・ヴィユー・レゼルヴ(最低3年)
・ヴィエイユ・レゼルヴ(最低4年)
・VSOP(最低4年)
・オルタージュ(最低6年)
・ナポレオン(最低6年)
ストレートで飲むなら熟成期間が長いものを
ほかの蒸留酒と同じく、カルヴァドスも熟成期間が長いとコクや複雑味も増します。口当たりが優しいため、ストレートで楽しみたいときには熟成期間の長いカルヴァドスを選びましょう。飲みやすいため、はじめてカルヴァドスを試してみたい人にも向いています。
熟成期間が長いカルヴァドスにはオルタージュ、ナポレオンがあり、熟成期間が長くなるほど価格も高くなります。
アレンジして楽しむなら熟成期間が短いものでも
熟成期間が短いカルヴァドスには、フィーヌ、ヴィユー・レゼルヴ、ヴィエイユ・レゼルヴ、VSOPの熟成期間が5年以内のものが該当します。リンゴのフレッシュな香りとともに、強いアルコールの刺激が特徴です。ストレートでも飲めますが、強いお酒が苦手な人は水割りや炭酸割り、カクテルなどで楽しむのがよいでしょう。
熟成期間が短いものは、手にしやすい価格のものもそろっています。風味や香りづけの用途には十分使えるため、料理やお菓子づくりなどにカルヴァドスを使用したいときには、熟成期間の短いものが向いています。
カルヴァドスのおすすめ13選 ブランデー初心者おすすめ品も!
ここからは、ワインエキスパートの石関華子さんと編集部おすすめのカルヴァドスを紹介します。
あらゆる飲み方が楽しめるお値打ち品
1821年創業というカルヴァドスの老舗、ペール・マグロワール。ペイ・ドージュ地区の中心部、ポン・レヴェックに醸造所を構える同社のカルヴァドスは、フランス国内でもトップクラスの知名度と販売数量を誇っています。
カルヴァドスACに分類されるこのフィーヌ・カルヴァドスは、同社の中では熟成期間が最も短いもの。そのため、リンゴの中に閉じ込められていた本来のフレッシュかつフルーティーな果実の独特な香りが特徴的です。
ストレートはもちろん、炭酸割りや水割りなどの飲み方でも楽しめるだけでなく、カクテルの材料や料理の風味付けにも大活躍。お値段がお手頃なのも魅力的ですね。
モンサンミシェルが描かれたボトルが魅力的な1本
リンゴをかたどった瓶、琥珀色の向こうに見えるモンサンミシェル、インテリア性も抜群なこちらのお酒は、デザインだけでなく味も高評価のカルヴァドスです。
4年間熟成され、焼きリンゴのような香りとシナモンのようなスパイシーな後味が特徴です。モンサンミシェル近郊海岸沿いの果樹園で採れたリンゴのみを使用しており、2018年パリ農業コンクール500ml VSOP部門で銀賞を受賞したことでも話題となっています。
リンゴが丸々1個入ったインパクトある1本
ノルマンディー地方で育てられたリンゴをそのまま瓶の中に詰め込んだ、個性的なカルヴァドス。神秘のお酒と言われており、日本語訳は「イヴのリンゴ」。ボトルに閉じ込められたリンゴの香りと芳醇な味わいで、世界中のファンから根強い人気を獲得し続けている1本です。
多くの手間と技術が必要となる製法を守り続けているため、年々生産量が減少している一方で、ファンが増え続けていることから、入手が難しくなる可能性のあるお酒としても知られています。
料理に使うカルヴァドスをお探しならこちら
お菓子やパン、料理に大活躍するカルヴァドス。リンゴが原料のカルヴァドスだからこその甘く食欲をそそるフルーティーな香り。ワンランク上の料理を目指すなら、ぜひ試してもらいたい料理酒です。
これまで300以上の受賞歴を誇るメーカーのカルヴァドスを手軽に。数多くの洋菓子店やレストランで採用されているのも納得の味わいを、ご家庭でもお楽しみください。
樽由来のウッディな香りが楽しめる
フランス、ノルマンディー地方のペイ・ドージュで醸造されたブラー社によるカルヴァドスです。4〜10年程度熟成した原酒をブレンドし、樽由来のウッディな香りが楽しめるのが特徴。こだわりの製造方法で、リンゴの果実そのままのフレッシュなおいしさが凝縮された、さわやかな飲み口です。
よく冷やしたグラスにレモンかライムをしぼり、カルヴァドス1、トニックウォーター3の割合で入れて静かにステアして飲むのがおすすめですよ。
さまざまなカクテルベースに使える
世界的に有名なブラー社がつくるカルヴァドスの中でも、カクテルベースとして頻繁に使われている1本。フレッシュなリンゴの味わいと、ほのかに感じる熟成香が癖になリます。
食後酒として、あるいはカクテルベースとして使われることが多く、アップルブランデーをベースにつくる「ジャック・ローズ」に使われるのはもちろん、コーヒーやホットカクテルに入れても楽しめます。家庭で本格的な味を手軽に楽しめる、大変優秀なカルヴァドスです。
歴史を味わえる奥深いカルヴァドス
シャトー・ド・ブルイユはノルマンディー・ペイ・ドージュの歴史あるシャトーです。由緒あるシャトーで数種類のリンゴを使って手間暇をかけてつくられた1本は、カルヴァドスの素晴らしい歴史を余すことなく感じさせてくれます。昔ながらの製法を貫き、変わらない魅力で人々を虜にし続ける味をぜひ味わってみてください。
その味わいを存分に堪能できるストレートだけでなく、カクテルベースとしても優秀な1本です。
伝統的な製法で豊かな果実味を味わえる
フランスのノルマンディー地方で家族経営している、デュポン社によるカルヴァドスです。デュポン社はペイ・ドージュ地区で6000本のリンゴの木を栽培。伝統を守りながらも、革新的な醸造方法で作られたカルヴァドスは、オーク樽のほのかな香りが特徴。2年以上熟成された「フィーヌ カルヴァドス ペイ・ドージュ」は、豊かな果実味が楽しめる1本です。
代々受け継がれた伝統製法が生み出した深みのある味は、カルヴァドスを初めて試す方にもおすすめです。
世界的に有名な王道のカルヴァドス
数多く存在しているカルヴァドスメーカーの中でも、ブラー社は「ペイ・ドージュ」でのカルヴァドスづくりにこだわっているメーカーとして世界中に知られています。その味は華やかなフルーティさの中に、ナッティーな香ばしさが絶妙なバランスで配合されている芸術のような味わい。絹のように滑らかで繊細な口当たりに驚いてしまう人も多いです。
カルヴァドス入門にピッタリな1本
カルヴァドスの最上級品を生み出すペイ・ドージュ地区に設立されたロジェ・グルー社。自社農園で栽培されたリンゴを使い、昔ながらの製法にこだわり続けています。そのカルヴァドスのラインナップの中で、特にコストパフォーマンスにも優れているのがこちらの1本。
カルヴァドス・ペイ・ドージュに分類され、丸みを帯びたさわやかな飲み口に、できたてのリンゴの焼き菓子のような香りとしっかりとした重厚感が特徴。カルヴァドスの王道を行くその味わいは、カルヴァドス入門用にもピッタリで、中・上級者の方の舌をも満足させられるはずです。
「カルヴァドス」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする カルヴァドスの売れ筋をチェック
楽天市場、Yahoo!ショッピングでのカルヴァドスの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
カルヴァドスのおすすめの飲み方
カルヴァドスはアルコール度数40%以上と高めですが、りんごの甘みがある分、ウイスキーやブランデーよりも飲みやすいです。食後酒としてストレートで飲むのはもちろん、お酒が強くない方はカクテルにするといいですよ。
ここでは、カルヴァドスを使ったカクテルをご紹介します。
おすすめのカクテル|ブラートニック
「ブラートニック」は、カルヴァドスをトニックウォーターで割ったもの。本場フランスのノルマンディー地方でも人気の飲み方です。お好みでスライスしたレモンやライムを乗せれば、簡単に本格的なカクテルが作れます。
おすすめのカクテル|ブラーバック
カルヴァドスを使ったカクテルのなかでも定番なのが「ブラーバック」。こちらはジンジャエールで割ったものです。りんごの芳醇な香りと甘みがさわやかに広がっていきます。ジンジャエールで割ることで、お酒特有の味わいが苦手な方もチャレンジしやすいでしょう。
おすすめのカクテル|ジャックローズ
「ジャックローズ」はカルヴァドスに、ライムジュースとグレナデンシロップ(ザクロのシロップ)を入れてシェイクしたショートカクテルです。アメリカではカルヴァドスのことを「アップル・ジャック」と呼び、「アップルジャックで作ったバラのような色合いのカクテル」というのが名前の由来だそうです。
理解を深めながら楽しくカルヴァドス選びを! ワインエキスパートからのアドバイス
産地ごとに種類も異なり、熟成年数によってその味わいもがらりと変化するカルヴァドス。
好みや飲み方なども人それぞれかと思いますが、ぜひここで紹介したカルヴァドスの選び方やおすすめ商品などを参考にしながら、カルヴァドスについての理解を深めてみてください。
自分に合ったカルヴァドス選びを楽しみ、最高の1本に出会ってくださいね!
【関連記事】そのほかのブランデーのおすすめはこちら
リンゴの芳醇な香りを楽しめるカルヴァドス
カルヴァドスは日本ではあまり馴染みがありませんが、リンゴの芳醇な香りとフルーティーな味わいがクセになるお酒です。リンゴベースのスイーツが好きな方や、フルーツブランデーが好きな方なら、ぜひ試して欲しいお酒です。
まだカルヴァドスを飲んだことがない方も、カルヴァドスを飲んでみたいけれどどれを選べばわからない方も、自分好みのカルヴァドスをお選びいただけるのではないでしょうか。一口飲めば、きっと今まで知らなかった世界が目の前に広がりますよ。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。 現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。