「カルヴァドス」と「アップルブランデー」の違いとは?
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
カルヴァドスとは、フランスのノルマンディー地方でつくられる、リンゴを原料とした蒸留酒のこと。リンゴを原料とした蒸留酒の製造は各地で行われていますが、これらは厳密にはカルヴァドスと区別して、「アップルブランデー」と呼ばれます。
さまざまあるアップルブランデーの中でも、AOC(原産地呼称統制)の定める基準をクリアしたもののみが、「カルヴァドス」と名乗ることができるのです。また、一般的にブランデーといえばブドウを原料とした蒸留酒のことを指しますが、果物を原料とした蒸留酒という広義においては、カルヴァドスもブランデーの一種と言うことができます。
カルヴァドスの選び方
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの石関華子さんに取材をして、カルヴァドスを選ぶときのポイントをご紹介します。産地や熟成期間をよくチェックすることが大切です。
3種類ある産地の特徴から選ぶ
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
カルヴァドスは、ノルマンディー地方の中でも産地によって3種類に分類されます。それぞれの特徴を把握しておくと良いでしょう。
本格派も納得の「カルヴァドス・ペイ・ドージュ」
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
■「カルヴァドス・ペイ・ドージュ」
リンゴの栽培に最適とされるペイ・ドージュ地区でつくられるカルヴァドスのことで、カルヴァドスの王様とも呼ばれています。
ペイドージュ地区で製造されることに加えて、蒸留時の洋ナシの混合割合は30%以下、単式蒸留器で2回蒸留、最低2年間オーク樽で熟成、アルコール度数最低40度の条件を満たしたものが、カルヴァドス・ペイ・ドージュを表示できます。
リンゴの割合が高く、本格的な味わいが楽しめる高級カルヴァドスです。コニャックやアルマニャックが好きな人にも向いています。
気軽に試せる「カルヴァドスAC」
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■「カルヴァドスAC」
ノルマンディー地方全域でつくられるカルヴァドスのこと。流通量も多く、比較的安い価格で手に入ります。
最低2年間オーク樽で熟成させること、アルコール度数最低40度が、カルヴァドスを名乗れる条件です。また、ノルマンディー地区全域で製造されたカルヴァドスを「カルヴァドスAC」と表示するのに対し、ドンフロンテ地区などほかの地区で製造されたもの、さらにノルマンディー地区のものとドンフロンテ地区のものをブレンドしたものを含めると全体で「カルヴァドス」の表記になります。
安い価格で試してみたい方におすすめです。
洋ナシとの複雑な味わいが魅力の「カルヴァドス・ドンフロンテ」
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
■「カルヴァドス・ドンフロンテ」
洋なしの生産量の多いカルヴァドス・ドンフロンテ地区でつくられるカルヴァドスです。原料には洋なしが多くブレンドされ、複雑な味わいを醸し出しています。
カルヴァドス ドンフロンテの地域で製造することに加えて、蒸留時の洋ナシの混合割合が30%以上、、半連続式蒸留機で蒸留する、最低3年間オーク樽で熟成させる、アルコール度数最低40度である条件を満たしたものが「カルヴァドス・ドンフロンテ」を表記できます。
果樹園全体の25%が洋ナシ園で成り立っているドンフロンテ地区だからこそのカルヴァドスです。
ストレートで飲むなら熟成期間が長いものを
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カルヴァドスは他の蒸留酒と同様に、熟成期間によっても味わいが大きく左右されます。長期熟成によりコクや複雑味も増すため、ストレートで飲む場合におすすめです。口当たりが優しくなり、初心者の方でも比較的飲みやすいでしょう。
ただし、基本的には熟成期間が長いカルヴァドスほど高価になります。
アレンジして楽しむなら熟成期間が短いものでも
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
一般的に、熟成期間が5年以内の若いカルヴァドスは、リンゴのフレッシュな香りが楽しめますが、アルコールの刺激が強く感じられる傾向にあります。
カルヴァドスの飲み方としてはストレートがスタンダードではありますが、強いお酒が苦手な方は、水割りや炭酸割りで飲んだり、カクテルに使用するといった楽しみ方もあります。
また、料理やお菓子づくりなどに使用する場合も、熟成期間の短いもので充分その風味を楽しめるでしょう。
カルヴァドスおすすめ16選
ここまで紹介したカルヴァドスの選び方のポイントをふまえて、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの石関華子さんと編集部がそれぞれ選んだおすすめ商品を紹介します。
ロジェ・グルー『ロジェグルー 8年』

出典:Amazon
生産地域 | ペイ・ドージュ |
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アルコール度数(%) | 41% |
熟成年数 | 8年 |
容量 | 700ml |
ペール・マグロワール『フィーヌ・カルヴァドス』

出典:Amazon
生産地域 | カルヴァドスAC |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | 2年 |
容量 | 700ml |
あらゆる飲み方が楽しめるお値打ち品
1821年創業というカルヴァドスの老舗、ペール・マグロワール。ペイ・ドージュ地区の中心部、ポン・レヴェックに醸造所を構える同社のカルヴァドスは、フランス国内でもトップクラスの知名度と販売数量を誇っています。
カルヴァドスACに分類されるこのフィーヌ・カルヴァドスは、同社の中では熟成期間が最も短いもの。そのため、リンゴの中に閉じ込められていた本来のフレッシュかつフルーティー果実の独特な香りが特徴的です。
ストレートはもちろん、炭酸割りや水割りなどの飲み方でも楽しめるだけでなく、カクテルの材料や料理の風味付けにも大活躍。お値段がお手頃なのも魅力的ですね。
アドリアン・カミュ『アドリアン・カミュ 12年』

出典:Amazon
生産地域 | ペイ・ドージュ |
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アルコール度数(%) | 41% |
熟成年数 | 12年 |
容量 | 700ml |
クリスチャン・ドルーアン『クール・ド・リヨン ポム・プリゾニエール』

出典:Amazon
生産地域 | ペイ・ドージュ |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | 5年 |
容量 | 1000ml |
贈り物にもピッタリな見た目も楽しい1本
見た目も楽しいカルヴァドスといえば、こちらの1本。瓶の中にはリンゴがまるごと1個入っています。このような形態になるのは、リンゴの実が小さいうちに瓶を被せて固定し、実が成長したら枝をカットするからです。そこへ5年熟成させたカルヴァドスが注ぎ込まれています。
クリスチャン・ド・ルーアン社はペイ・ドージュのリンゴの優良産地にリンゴ園を所有し、これまでに数多くの賞を受賞してきました。その中でも「カルヴァドス・ペイ・ドージュ」に分類されるこのカルヴァドスは、リンゴのふくよかな香りと豊かなコクが感じられ、味わいも申し分なく、インパクトも充分なので贈り物にもピッタリだと言えるでしょう。
パコリ『カルヴァドス・ドンフロンテ 12年』

出典:Amazon
生産地域 | ドンフロンテ |
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アルコール度数(%) | 41% |
熟成年数 | 12年 |
容量 | 700ml |
シアー・ド・グベルヴィル『カルヴァドス ヴィエイユレゼルヴ 4年』


















出典:Amazon
生産地域 | カルヴァドスAC |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | 4年 |
容量 | 500ml |
クリスチャン・ドルーアン『クール・ド・リヨン クッキングカルヴァドス』














出典:Amazon
生産地域 | ペイ・ドージュ |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | 2年 |
容量 | 200ml |
サントリー『カルヴァドス ブラー X.O.』

出典:Amazon
生産地域 | ペイ・ドージュ |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | 8~15年 |
容量 | 700ml |
シャトー・ド・ブルイユ『シャトー・ド・ブルイユ フィーヌ・カルヴァドス』

出典:Amazon
生産地域 | ペイ・ドージュ |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | 2年 |
容量 | 700ml |
ドメーヌ・ド・コックレル『カルヴァドス ポム・ド・イブ』

出典:Amazon
生産地域 | カルヴァドスAC |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | 2年 |
容量 | 600ml |
サントリー『ブラー グラン・ソラージュ』

出典:Amazon
生産地域 | ペイ・ドージュ |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | 2~5年 |
容量 | 700ml |
アンジュ・ジアール『カルヴァドス アップル100%』

出典:Amazon
生産地域 | ノルマンディー地方 |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | - |
容量 | 700ml |
デュポン『フィーヌ カルヴァドス ペイ・ドージュ』

出典:Amazon
生産地域 | ペイ・ドージュ |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | 2年 |
容量 | 700ml |
ペール・レーゼ『カルヴァドス VSOP』














出典:Amazon
生産地域 | ノルマンディー地方 |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | 4〜5年 |
容量 | 700ml |
グヨ『カルヴァドス』

出典:Amazon
生産地域 | ノルマンディー地方 |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | - |
容量 | 700ml |
ブラー『カルヴァドス VSOP』
![カルヴァドスブラーVSOP[ブランデー700ml]](https://m.media-amazon.com/images/I/41XTw5yGDbL.jpg)
![カルヴァドスブラーVSOP[ブランデー700ml]](https://m.media-amazon.com/images/I/41+OFWXaZ7L.jpg)
![カルヴァドスブラーVSOP[ブランデー700ml]](https://m.media-amazon.com/images/I/31dFH7cKtmL.jpg)
![カルヴァドスブラーVSOP[ブランデー700ml]](https://m.media-amazon.com/images/I/51g412VA9oL.jpg)
![カルヴァドスブラーVSOP[ブランデー700ml]](https://m.media-amazon.com/images/I/31wjN8GfGCL.jpg)
![カルヴァドスブラーVSOP[ブランデー700ml]](https://m.media-amazon.com/images/I/41XTw5yGDbL.jpg)
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![カルヴァドスブラーVSOP[ブランデー700ml]](https://m.media-amazon.com/images/I/51g412VA9oL.jpg)
![カルヴァドスブラーVSOP[ブランデー700ml]](https://m.media-amazon.com/images/I/31wjN8GfGCL.jpg)
出典:Amazon
生産地域 | ペイ・ドージュ |
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アルコール度数(%) | 40% |
熟成年数 | 4〜10年 |
容量 | 700ml |
「カルヴァドス」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする カルヴァドスの売れ筋をチェック
楽天市場、Yahoo!ショッピングでのカルヴァドスの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
カルヴァドスのおすすめの飲み方
カルヴァドスはアルコール度数40%以上と高めですが、りんごの甘みがある分、ウイスキーやブランデーよりも飲みやすいです。食後酒としてストレートで飲むのはもちろん、お酒が強くない方はカクテルにするといいですよ。
ここでは、カルヴァドスを使ったカクテルをご紹介します。
おすすめのカクテル|ブラートニック

Photo by Sidral Mundet on Unsplash
「ブラートニック」は、カルヴァドスをトニックウォーターで割ったもの。本場フランスのノルマンディー地方でも人気の飲み方です。お好みでスライスしたレモンやライムを乗せれば、簡単に本格的なカクテルが作れます。
おすすめのカクテル|ブラーバック

Photo by Dollar Gill on Unsplash
カルヴァドスを使ったカクテルのなかでも定番なのが「ブラーバック」。こちらはジンジャエールで割ったものです。りんごの芳醇な香りと甘みがさわやかに広がっていきます。ジンジャエールで割ることで、お酒特有の味わいが苦手な方もチャレンジしやすいでしょう。
おすすめのカクテル|ジャックローズ
「ジャックローズ」はカルヴァドスに、ライムジュースとグレナデンシロップ(ザクロのシロップ)を入れてシェイクしたショートカクテルです。アメリカではカルヴァドスのことを「アップル・ジャック」と呼び、「アップルジャックで作ったバラのような色合いのカクテル」というのが名前の由来だそうです。
ワインエキスパートからのアドバイス
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
理解を深めながら楽しくカルヴァドス選びを!
産地ごとに種類も異なり、熟成年数によってその味わいもがらりと変化するカルヴァドス。
好みや飲み方なども人それぞれかと思いますが、ぜひここで紹介したカルヴァドスの選び方やおすすめ商品などを参考にしながら、カルヴァドスについての理解を深めてみてください。
自分に合ったカルヴァドス選びを楽しみ、最高の1本に出会ってくださいね!
【関連記事】そのほかのブランデーのおすすめはこちら
ブランデーの楽しみ方やウイスキーとのちがいなどを中心に、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの石関華子さんへの取材のもと、お好みのブランデーを選ぶポイントやおすすめ商品についてご紹介します。
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・石関華子さんへの取材をもとに、ブドウの甘い香りが魅力のグラッパの選び方とおすすめ商品をご紹介します。
リンゴの芳醇な香りを楽しめるカルヴァドス
カルヴァドスは日本ではあまり馴染みがありませんが、リンゴの芳醇な香りとフルーティーな味わいがクセになるお酒です。リンゴベースのスイーツが好きな方や、フルーツブランデーが好きな方なら、ぜひ試して欲しいお酒です。
まだカルヴァドスを飲んだことがない方も、カルヴァドスを飲んでみたいけれどどれを選べばわからない方も、自分好みのカルヴァドスをお選びいただけるのではないでしょうか。一口飲めば、きっと今まで知らなかった世界が目の前に広がりますよ。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2021/01/28 コンテンツ追加・本文修正のため記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 下田結賀子)
埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。 現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。