グラッパとは?
ワインをつくると、大量のブドウの搾りかすが出ます。その搾りかすを発酵、蒸留させたものがグラッパです。ただし、EU(欧州連合)の法律で、グラッパと名乗ることができるのはイタリア産のもののみと定められています。なお、ほかの国や地域でも同じようなお酒がつくられていますが、フランスでは「マール」など、グラッパとは別の名称で呼ばれます。
かつてのイタリアでは、ワインは上流階級の人々しか手に入らなかったため、庶民はその搾りかすからつくったグラッパを楽しんでいたのだとか。現在でもグラッパはイタリアで大変人気の高いお酒で、おもに食後酒として親しまれています。
グラッパの選び方 ワインエキスパートが教える
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの石関華子さんに、グラッパを選ぶときのポイントを3つ教えてもらいました。
香りや味わいから選ぶ
グラッパにはさまざまな香りや味わいのものが存在します。とくにグラッパの風味を大きく決定づけるのは、熟成期間の長さ。また、熟成を木樽でするか、ステンレスタンクでするかでも、その風味が変わってきます。
ほかにも、グラッパの原料はブドウであるため、ワインと同様、原料となるブドウの産地や品種なども、グラッパの香りや味わいに影響を与えます。ここでおすすめするグラッパには、それぞれの香りや味わいなどについても言及していきますので、ぜひ参考にしてください。
飲み方から選ぶ
グラッパのスタンダードな飲み方はストレート。もしストレートで飲むのであれば、熟成期間が長いものを選ぶとよいでしょう。熟成期間が長くなるほど、口当たりがまろやかになるからです。
それでもアルコール度数は高いので、強いアルコールが苦手な方は、ちょっとためらってしまいますよね。そのような方は、甘いエスプレッソにグラッパを大さじ1杯ほど入れたカクテルを試してみてください。本場・イタリアでは、「カフェ・コレット」と呼ばれる定番カクテルです。カクテルで飲む場合は、熟成年数の短いグラッパでもじゅうぶんに楽しめるでしょう。
ボトルのデザインから選ぶ
個性的なデザインのボトルが多いことも、グラッパの大きな特色のひとつ。スタイリッシュだったり、可愛らしいデザインのボトルは、飲み終わった後もインテリアとしてお部屋に飾っておいてもいいでしょう。
そのため、香りや味わいなどに強いこだわりがなければ、ボトルのデザインから選ぶというのもありだと思います。鼻や舌だけでなく、目も楽しませてくれるでしょう。また、デザイン性のあるボトルのグラッパは、お酒が好きな方へのギフトにも最適です。
グラッパのおすすめ11選 ワインエキスパートと編集部が厳選!
上記で紹介したグラッパの選び方のポイントをふまえて、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの石関華子さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。

ピエモンテ州最古の蒸留所の個性派グラッパピエモン
シボーナはイタリアの北西部、ピエモンテ州で最古の蒸留ライセンスを持つ蒸留所で、そのグラッパづくりの歴史は数百年にもおよんでいます。原料となるブドウの搾りかすはフレッシュなものだけを使用し、高品質なグラッパを生み出しています。
そのなかでも、グラッパの中・上級者の方にイチオシなのがこちらの1本。ネッヴィオーロ種のしぼりかすを蒸留し、3年以上熟成し、その後、ペイン産のシェリー樽でさらに数カ月間熟成させています。
そのため、シェリー樽由来の芳香とやわらかさが感じられる、個性的かつ上品な味わいに仕上がっているのです。ぜひストレートで飲んで、その風味を楽しんでくださいね。

ワイン愛好家必見のサッシカイアのグラッパ
ワイン愛好家がどうしても味わいたいと思うグラッパの垂涎の的、それがトスカーナ州で生産される自由なスタイルの高品質ワイン「スーパータスカン」を代表するサッシカイアです。このグラッパは、サッシカイアのワインに使用したブドウの搾りかすを新鮮なうちに蒸留し、その後木樽で4年間熟成、さらにそのワインの熟成に使用した木樽で約1年間熟成させています。
バニラやチョコレートのような甘い香りに、コーヒーのような香りも加わり、しっかりと深みのある味わい。グラッパ愛好家はもちろん、ワイン愛好家の方も見逃せません。
また、長期間の熟成により口当たりもまろやかになっているので、初心者の方にもおすすめです。ワイン好きな方へのギフトにしても喜ばれるでしょう。
日本が誇る本格焼酎の技術をグラッパに応用
甲州ブドウの搾りかすから生まれた、純国産のグラッパです。一般的にグラッパ製造に使われる「常圧蒸留方式」ではなく、本格焼酎で用いられる「減圧蒸留方式」でつくられています。そのため、強い味やくせを抑えた、雑味のないやわらかな口当たりとなっています。
日本の技術がはぐくんだ和製グラッパは、無色透明でボトルも愛らしい丸型です。本場イタリアのグラッパと比較すると、角がなく、香りも控えめ。それでいて、ブランデーにはない独特の風味が感じられるのも特徴です。
名門ボッテガ社が自ら高評価したグラッパ
白ブドウのプロセッコから作り出された、華やかなアロマのグラッパは、味と香りのバランスがよいことで定評があります。
38度とアルコールとしては充分な度数ですが、飲み口が軽いため、それほど強さは感じません。テキーラにも似たさわやかさがありますが、刺激が少なく、飲んだ後にふわりとブドウが香ります。
にごりのない味わいと咲きはじめた花のような新鮮な香りに、ワインとはまったく違う魅力が感じられます。食後にゆっくりと味わいたいお酒です。
グラッパ通をうならせる上質な味わい
ベルタ社はバチカン市国御用達、世界でも最高クラスのグラッパを製造する企業です。
すっきりとしたボトルと淡麗な琥珀色が印象的な『ジュリアグラッパ・ディ・シャルドネ』は、グラッパ通の人たちをもうならせる味わいです。
スラボニア産のオーク樽で10~12カ月という月日をかけて、ていねいに熟成させており、グラッパにありがちなクセを感じさせません。通好みでありながら、初心者にも親しめるお酒です。「間違いのない」グラッパを知りたいのならば、ぜひ試してみたい逸品といえるでしょう。
樽熟なしで高アルコール度数でも口当たり軽やか
1779年創業の老舗メーカーが作るアクアヴィーテ・ビアンカは、樽熟成はせずにステンレスタンクやガラスタンクを使った製法による、無色透明のグラッパです。高アルコール度数ながら、ほのかな甘さとやわらかなブドウの香りは、まさに「生命の水」(アクアヴィーテ)という名前どうりです。
ただ、アルコール度数が高いので、そのまま飲むのではなくエスプレッソに入れたり、カクテルとして楽しむ飲み方も人気があります。慣れてきたら、食前食後にそのままストレートで味わってみるのもいいですね。
100年以上の歴史のなかで培った伝統の味わい
世界中から高い評価を獲得し続けているシボーナ社は、イタリアを代表する歴史あるグラッパメーカーです。ピエモンテ州では最古の証として、「No.1」の蒸留ライセンスを保有しています。
美しい金色の澄みわたった液体は、口に含むとカリンのフルーティーな香りが広がります。きりりとした辛口は食後酒としても、リフレッシュのための1杯としても最適です。オーク樽の風味がクセを和らげ、独特の味わいを添えています。

原料にこだわるつくり手の洗練されたグラッパ
1977年に、現オーナーであるパオロ・マローロ氏がピエモンテ州ムソット・ダルバ村に興した小さな蒸留所。田舎っぽい印象がもたれていたグラッパを洗練させたいという想いから、グラッパづくりを始めたのだそう。とくにこだわるのは、原料となるブドウの搾りかすの品質と鮮度。
そんなマローロのグラッパのなかでもおすすめなのが、こちらの1本。すぐれたワインを生み出すバローロという地区のネッビオーロ種の搾りかすを新鮮な内に蒸留し、オークの小樽で12年間熟成させています。
フルーツやスパイスなどの香りに、まろやかで洗練された味わいに仕上がっているため、初心者の方でも飲みやすいでしょう。飲み方はストレートがおすすめです。

ロッシ・ダシアーゴ『グラッパ ピッコロ』
ボトルがかわいくてギフトにもピッタリ
1867年にイタリアのヴェネト州で創業したロッシ・ダシアーゴ。グラッパの生産者としては、イタリアトップクラスの老舗です。特筆すべきは、このかわいらしいボトル。同州の州都・ベネチアの伝統工芸品であるベネチアングラスでダックスフントを形どったものです。
現在は職人の数が減少しているため、ベネチアングラスのグラッパは大変貴重なものとなっています。なかに入っているグラッパは、やや甘味が感じられる滑らかな味わい。
コレクションやギフトにもピッタリですね。なお、同社のグラッパには、クリスマスツリーや地球儀、アザラシなどを形どったボトルもあるので、気になる方はチェックしてみてください。
3年のときを経て生み出される琥珀色の幸せ
ピノ、トカイ、カベルネといった種類の搾りかすをメインに、伝統的な蒸気釜で蒸留し、さらに樽熟成を3年。ようやく姿を現した琥珀色のグラッパは、とても複雑なフレーバーが特徴的です。
なめらかで力強い味わいとデリケートな香りのハーモニーが、このグラッパの個性となって、飲む人を魅了します。18世紀から続く老舗メーカーの誇りと技術が、忙しい現代人にも安らぎをあたえます。スモーキーな樽の香りが、きっと心を落ち着かせてくれるでしょう。
手吹き硝子瓶に閉じ込められたバラの芳香
印象的な首の長い美しい手吹き硝子のグラッパは、バラのアロマをはじめとする複雑な香りが特徴的です。ワインの生産者から直接しぼりかすを集め、じっくりと蒸気加熱式で蒸留し、その後アルコール度数70度の原酒を翌年まで専用ステンレスタンクで寝かせます。
清涼な地下水で仕上げた、繊細で上品な味わいのお酒が、『グラッパ・ディ・モスカート・ローザ』となります。透き通った透明なグラッパを引き立てるのは、優雅なボトル。華やかな香りとともに、お祝いの席などを盛り上げます。大切な時間を迎えるときには、上質な味わいのひと瓶を手にしていたいものです。
「グラッパ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする グラッパの売れ筋をチェック
楽天市場、Yahoo!ショッピングでのグラッパの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
初心者の方はまろやかなタイプを! ワインエキスパートからのアドバイス
ネットショップでグラッパを購入しようと思うと、その種類の多さから、どれを選んだらいいか迷ってしまうこともありますよね。初心者の方は、少しお値段が張ってしまいますが、熟成年数が長く、口当たりがまろやかなタイプのグラッパから試してみてください。その方が飲みやすく感じられるでしょう。
また中級以上の方は、いろいろなグラッパに挑戦し、ぜひグラッパの世界を広げていってください。もしもグラッパが苦手だと感じたり、好みではないグラッパを買ってしまったりしたときは、ストレートで飲むのではなく、冒頭で紹介したように、エスプレッソに入れるなどしてカクテルとして味わう飲み方がおすすめです。
そのほかのブランデーのおすすめはこちら 【関連記事】
グラッパが広げる新しい世界
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート・石関華子さんへの取材をもとに、グラッパの選び方とおすすめ商品をご紹介してきました。イタリアではごく日常的に、食後酒として愛飲されてきたグラッパ。日本でもイタリア通の人たちから少しずつ広まってきているようです。そのため、国内でも手に入るグラッパの種類はかなり増えてきました。今回ご紹介した内容を参考に、まずは気になったグラッパから試してみるのも悪くありません。同じグラッパでもその味わいは多彩です。ぜひお気に入りの一本と出会ってみてください。
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埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。 現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。