イギリスビールの特徴とは? 上面発酵で香りとコクに違いが生まれやすい
日本のビールは下面発酵で造られているラガービールが多いですが、イギリスビールの発酵方法は上面発酵という方法を採用しています。発酵温度は下面発酵よりも温度が高く、香りとコクに違いが生まれやすいのが特徴です。
イギリスではエールビールが代表的で、飲み方も日本のようにキンキンに冷やして飲むのではなく7~13度を適温としています。日本人からするとぬるいビールだと感じてしまう常温に近いような温度で小さなグラスで楽しむという特徴があります。
エールビールが発展したのは、イギリスの気温が夏でもあまり上がらないためです。そのため、常温でビールを飲むことが浸透してきた歴史があるのです。
イギリスビールの歴史
イギリスビールに関する歴史は古く、紀元前1世紀ごろから製造されています。キリスト教が布教するのとともにビールも紹介され、9世紀ごろには大衆が楽しむアルコール飲料の地位を獲得しました。
当初はエールだけで作ったビールでしたがホップを使うことによって、腐りにくいビールになることがわかると、17世紀にはホップを原材料としたペールエールが多く醸造されるようになりました。そして現在にいたります。
イギリスビールの代表的な種類を紹介 有名な銘柄や種類がたくさん!
イギリスビールの種類としては代表的なものとして3種類あります。赤みを帯び、基本となるビールであるペールエール、よりコクなどがつよいインディア・ペールエール、味わい深いスコッチエールです。
それぞれにキャラクターも違い、飲みやすさなどでお気に入りのものが決まるでしょう。この記事を参考にチャレンジして、お好きなものを選んでみてください。
炭酸が少なめのペールエール
代表的なイギリスビールとして名があがるのはペールエールです。上面発酵を採用しているビールで、特徴としては赤みのかかった色合いがあります。ホップも多く使ってつくることも特徴に挙げられます。やや茶色がかった色合いで、紅茶や花を思わせる香りが特徴です。
通常のビールよりも炭酸が少なめで、ビールの味を感じやすい製品です。フィッシュアンドチップスなどと合わせながら、じっくりと時間をかけて飲むのがおすすめです。
ペールエールのなかでも、もっとも有名なのが、英国王室御用達の「バスペールエール」です。エール特有の芳醇な香りと、甘味、苦味もほどよく備えており、すっきりした飲みやすさが魅力です。
強い苦味と香りがよいインディア・ペールエール(IPA)
ペールエールよりも香りや苦みを強めて作られたのがインディア・ペールエールになります。作り方は上面発酵なのですが、海外への輸出用につくられているため、腐らせないようペールエール以上にホップを使っています。製法としては現在も昔と変わらずにつくっているため香り高く、ビールの醍醐味である苦みをより感じられる製品です。
IPA(インディアペールエール)と呼ばれるスタイルは、もともとイギリスが発祥ですが、世界中で人気を誇っているIPAは、アメリカンスタイルのものです。柑橘系のフレーバーが特徴的なアメリカのホップを使い、苦味もかなり強めな仕上がりに。イギリスでもアメリカンスタイルIPAは人気のため、多くの醸造所で製造されています。
フルーティーなスコッチエール
スコットランドで作られるようになったビールの種類がスコッチエールです。特徴としてはほかのビールよりもアルコール度数が高めになっています。そのための飲みごたえはあるでしょう。
フルーティーな甘さも味のなかに感じられて、女性でも飲みやすくなっているのがポイントです。ほかの2種類とは違った風味を味わえるでしょう。
イギリスビールおすすめ5選 代表的なペールエール、世界的人気のIPAなど
ここまで紹介した選び方のポイントをふまえ、ビアライターの富江弘幸さんにおすすめのイギリスビールを選んでいただきました。

イギリスの代表的なペールエール
1845年にロンドン西部のチズウィックで設立された醸造所「フラーズ」。同醸造所のフラッグシップである「ロンドンプライド」は、イギリスの代表的なペールエールとして、飲んでおきたい1本です。
味わいはイギリスのペールエールらしく、落ち着いた印象。モルトの甘味が軽く感じられながらも、ホップ由来のダージリンを思わせる香りも広がります。それでいてじんわりとした苦味もあり、いつまでも飲んでいられるような、スムーズな口当たりが魅力です。

ホップを大量に使用した世界中で人気のIPA
2007年にスコットランドで設立したクラフトビール醸造所「ブリュードッグ」がつくるIPA。ブリュードッグが手掛ける独創的なビールは世界中で多くの人に飲まれており、今ではアメリカにも醸造所があるほどです。
パンクIPAは、大量のホップを使うことによって生まれる、グレープフルーツなどを思わせるフルーティーな香りとしっかりした苦味が特徴。アルコール度数は5.6%ながらも、しっかりとした飲みごたえがあります。IPA好きであれば、繰り返し飲みたくなるビールです。
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柑橘系の香りが鼻を抜ける
クセになるような飲み口が特徴のビールが『クロックワーク タンジェリン IPA シトラスセッション』です。 マンダリンオレンジの一種であるタンジェリンを使って、柑橘系の香りを加えています。
飲んだときにビール特有の苦みやコクに合わせて鼻からオレンジの風味が抜け、爽快感のある味わいを感じられるでしょう。さわやかに飲めるビールです。
長き歴史をもったスコッチエール
160シリングの名前の由来は1800年代に使用されていたビールの濃さをあらわす単位からきています。数値が高いほど濃厚な味わいとされていて、160シリングは当時から評価を受けていました。
2種類のモルトを使って、麦芽とあわせることによってプルーンやナツメによく似た風味を感じられます。9.5%というアルコール度数でのど越しに重みを感じる飲み口が特徴です。
王家と関係する由緒あるビール
このビールの名前であるジャコバイトというのは、スコットランドをおさめた王家の守護者から与えられたものです。王家の長い歴史をたたえるために作られたビールになります。
アルコール度数は高めに設定されているので飲みごたえがあります。あわせてコリアンダーをブレンドしており、ほかのビールとは違う風味を味わえます。
「イギリスビール」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする イギリスビールの売れ筋をチェック
楽天市場でのイギリスビールの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ギネスビールとは
世界でもっとも有名といわれるギネスビール。イギリス発祥と思われている人も多いですが、実はイギリスのビールではありません。当時イギリスで人気だったエールビールをアイルランドでつくりはじめたのが、ギネスの創始者「アーサー・ギネス」。
アイルランドでつくられたのがはじまりで、いまではイギリスのどこのパブでもギネスビールは人気のあるお酒になっています。
ビアライターからアドバイス 美味しく飲むならグラスに注ごう
イギリスのビールは香りの特徴的なエールが多くを占めています。その香りを楽しむためには、缶やボトルから直接飲むのではなく、グラスに注いで飲むのがおすすめ。
缶やボトルから直接飲むと、香りが広がらないため、その魅力を十分に味わうことができません。グラスに注いで、その香りとともにビールの味わいを楽しんでみましょう。
イギリス以外のビールを飲んでみたいならこちら 【関連記事】
歴史を感じながらイギリスビールを楽しもう
イギリスビールの特徴や歴史について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
香りとコクに違いが生まれやすいのが特徴のイギリスビール。種類ごとに風味が異なるため、いろいろ飲み比べて自分に合った1本を探してみましょう。
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「地域とビール」をテーマに活動しているビアライター。 出版社・編集プロダクション・英字新聞社などで編集者・ライターとしてコンテンツ制作に携わり、現在はWeb、紙を問わずさまざまな媒体で記事を執筆。 日本ビアジャーナリスト協会のビアジャーナリストアカデミーなど、執筆以外にビール関連の講師も務める。 著書に『教養としてのビール』(SBクリエイティブ)など。