IPAとは? 苦味と華やかな香りの高度数アルコールビール
IPAとは、「インディア・ペールエール」のことです。イギリスの伝統的なビールであるペールエールを、当時のイギリスの植民地であったインドでも飲めるようにするため、長期の輸送をしてもおいしく飲める加工がされました。アルコール度数を高めて、防腐剤としてホップをたくさん入れています。
この工夫によって、新しいジャンルのビールが誕生しました。ホップの増量によって、パンチのある苦みと華やかな香りをたのしむことができます。高いアルコール度数の重めの味わいも魅力です。
IPAの選び方 たくさんの種類のIPAから好みのテイストを見つけよう!
まずは、IPAを選ぶポイントをご紹介します。ポイントは下記。
【1】IPAのおもな種類で選ぶ
【2】香りで選ぶ
【3】苦味で選ぶ
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】IPAのおもな種類で選ぶ
IPAのなかでも、味わいや風味のバリエーションがたくさんあります。主な種類を紹介します。
スタンダードIPA
名前のとおり、定番のIPAです。一般的なビールより少し黄色やオレンジ色が強いカラーのビールで、ホップを強く感じられ、豊かで華やかな香りをたのしめます。5%から7.5%ぐらいのアルコール度数のものが主流。
スタンダードIPAのなかでも、いくつかジャンルがあるほどバリエーションが豊富。軽やかに飲めるものからどっしりと重厚なタイプまで、さまざまなビールから選べます。
インペリアルIPA(ダブルIPA)
インペリアルIPAは、通常のIPAよりさらに強度の高いホップ感、アルコール度数になっており、味も香りもより強く感じられるタイプのIPAです。琥珀色や濃いオレンジ色のきれいな色もたのしめます。
W-IPAと呼ばれることがありますが、IIPA(インペリアルIPA)の「I」がふたつ並んでいるところがダブルの「W」と表現されるようになっていった経緯でそうなっています。さらにアルコールとホップが強くなったタイプをトリプルIPAともいいます。
セッションIPA
セッションIPAは、アルコール度数を4%未満に抑えたもの。IPA独特の苦みがありながらも、飲みやすいと感じられる味わいです。
IPAのガツンと強く感じるホップがあまり得意でない人や、IPA初心者の人にぴったりのタイプです。芳醇な香りとマイルドなホップの味わいをたのしめます。
アメリカンIPA
アメリカンIPAは、スタンダードなイギリスのホップではなく、アメリカのカスケードホップが使用されているIPA。おもにアメリカの西海岸地域で醸造されています。ホップが大量に投入されるIPAは、ホップの種類が異なるだけでテイストや風味が大きく変化します。
ホップから感じられる苦みや、アロマの香りがより強調されているのが特徴です。
ベルジャンIPA
名前のとおり、ベルギーのイーストを使用したIPAです。ベルギー系のイーストはフルーツやスパイスの香りがするのが大きな特徴。
甘い酵母のテイストがIPAのホップの苦みよりも勝って、通常のIPAとは異なるフルーティーな味わいをたのしめるのが醍醐味です。
ニューイングランドIPA(NEIPA)
ドライホッピングという製造過程を経たIPAです。通常は、煮沸段階でホップがビールに投入されますが、ほぼビールの完成が近いというタイミングでホップが投入されるのが特徴。これによって、ホップに熱が加わらず、フレッシュな香りがそのままビールの味わいにプラスされます。
日本では、ごく最近ドライホッピング製法のビールが生産されるようになり、新しいジャンルのIPAとして人気があります。
ホワイトIPA
ベルギーのエールビールであるベルジャンホワイトと、IPAを混ぜ合わせてつくったビールです。ベルジャンホワイトはベルギーのイーストを使用した、フルーティー度の高いビール。ビターなIPAを、よりマイルドで飲みやすくしてくれます。
IPAをよりすっきりとした飲み口でたのしみたいなら、ホワイトIPAがおすすめです。
ブラックIPA
名前のとおり、黒いビールです。スタウトやポーターなどの黒ビールとIPAを混ぜてつくられたタイプです。
黒ビールのマイルドなコクのある苦みと、黒砂糖のような香りの甘さが、IPAをより香ばしくしてくれています。IPAの苦みと黒ビールの苦みと掛け合わされて、より色濃く苦みが特徴としてあらわれているビール。苦みをたのしみたいときにぴったりの味わいです。
フルーツIPA
フルーツを使ったカクテルのようなビールで、明るい色合いが特徴です。IPAのしっかりとしたホップの苦みに、フルーツのフレッシュな香りがプラスされていて、苦みがマイルドになり、フルーツの余韻を色濃く感じることができます。
苦みが得意でない、IPAビギナーの方が最初に挑戦するのにちょうどよいでしょう。
【2】香りで選ぶ
IPAビールは、ホップをたくさん使うので、ホップのタイプでビールの香りが決まります。香り重視のビールにはアロマホップが使われています。
「カスケード」といわれるアロマホップは、フローラルで華やかな香りが特徴。「シトラ」というアロマホップは、柑橘系の香りを持っています。それぞれのメーカーによってもホップの使いかたが異なるので注目です。
【3】苦みで選ぶ
IPAの苦みをあらわす基準に、「IBU(International Bitterness Units)」という単位が用いられます。IBUの値が大きいほど、より苦みを色濃く感じられるビールです。ホップに含まれる苦みの成分やホップの使用量やホップを煮込む時間などが、IPAの苦さを形づくります。
ビールの苦みの方向性にはタイプがありますが、IBUは苦みの強さだけを表現しているので、いろいろなビールを試してみて、苦みを体験してみるのも大切です。
IPAのおすすめ9選 グランドキリン・青鬼・グースアイランドも!
IPAのいろいろなタイプのビールを、詳しいスペックと特徴とともに紹介します。
IPAの苦みをたのしむためにこだわったビール
グループフルーツの香りのような華やかさがありながら、強い苦みを感じられるホップでつくられたIPAです。IPAの特徴である、苦みが好きな人が大いにたのしめるテイストに仕上がっています。
苦みと深いコク、さらにホップの華やかさを一度に味わえます。エールビールの発祥の地の水質にこだわり、硬水を使って醸造されたこだわりの味をたのしみましょう。

しっかりとした苦みと香りが味わえるビール
埼玉県にある協同商事のビールブランド「COEDO BREWERY (コエドブルワリー)」の「Session(セッション) IPA」。アルコール度数は4.5%と低く設定されているのが特徴のひとつです。
鼻を近づけるとシトラスやグレープフルーツを思わせる香りが強く香り、苦味はIPAらしくしっかりと味わえます。
料理は、グレープフルーツやオレンジといった柑橘類を使ったサラダとの相性がいいと思います。軽い飲み口で爽快(そうかい)感も感じられるため、蒸し暑い時期でもIPAを楽しみたい方におすすめです。
全国第一号地醸造所として知られるエチゴのIPA
「FLYING IPA」は、ポップな龍が目を引くデザイン缶にも注目です。通常製品と比べて2倍量の希少ホップを使ったIPAで、強い苦みとホップの香りが特徴的です。
個性的なシトラスの香りも特徴となっています。アルコール度数もそんなに高くないことから初心者でも飲みやすいと評判のIPAとなっています。全国第一号ビールの貯蔵地と知られているエチゴのIPAをお楽しみください。
東京がイメージのIPA
Far Yeast Brewing株式会社が「東京」をイメージして作ったクラフトビールシリーズです。華やかな香りを感じられるのが特徴です。 柑橘系を感じるホップの香りと苦味、ほのかな焙煎モルトのフレーバーを楽しむことができます。
ビールの多様性と豊かさをもう一度取り戻す」というコンセプトの元に作られた一品で、International Beer Cupでも二度賞を受賞したこともあります。

ビールファンなら誰もが知っている人気IPA
スコットランドにあるブルワリー「BREW DOG(ブリュードッグ)」のアメリカンIPA。IPAらしく、アメリカンホップの代表格である「カスケード」をはじめとした6種類のホップを大量に使っています。
香りはグレープフルーツやライチのような強烈なアロマ。IPAとしては40IBUと苦味が少なめで、モルトの甘味とのバランスがとれた心地いい苦味です。
苦味が後に残らずスパイシーな風味もあるため、飽きがこない飲み口のビール。アメリカのビール評価サイト「RateBeer」でも高い評価を得ています。ビール愛飲家の間で「代表的なIPAは?」と聞けば必ず名前が挙がる人気のIPAです。強烈な苦みが苦手で、香りを楽しみたい方におすすめです。

IPA初心者にも飲みやすいバランスのよい味わい
長野県にある玉村本店のビールブランド「志賀高原ビール」のアメリカンIPA。ビールファンの多くから支持を得ている人気商品です。
華やかなグレープフルーツ、オレンジの香りと、ほのかなキャラメルのような香ばしいアロマが特徴。飲むと若草のようなフレーバーが鼻から抜けていき、さわやかさもあります。
モルト由来の甘味がしっかりと苦味を受け止めてくれており、苦々しい味わいではありませんので、IPAを飲みなれていない方にもおすすめ。苦味と甘味のバランスがよく、お互いを引き立てることで飲み応えもあり、もうひと口飲みたくなる飽きのこないIPAです。
3種類の南国フルーツを混ぜ込んだIPA
IPAらしいホップ感もありながら、甘さも感じつつ、フルーティーな味わいを楽しめます。IPAの濃い風味も味わいたいけど、もっとさらっと飲みたいという方におすすめな一本です。
パッションフルーツ、オレンジ、グアバがホップのバランスを取っており、まるでハワイにいるような南国気分で飲めるIPAです。フルーティーで度数も高くはないので飲みやすいです。

華やかな香りと重厚な飲みごたえのW-IPA
こちらは、大阪府にある箕面(みのお)ビールの「W-IPA(インペリアルIPA)」。
通常のビールと比較して倍以上のモルトとホップで仕込まれており、アルコール度数が9%もあるビールです。色合いは銅色で、オレンジのような柑橘系の香りが華やか。アルコール度数の高さと麦芽(ばくが)由来のしっかりした甘味により、重厚感のある飲み応えです。喉に通すとアルコールの強さをはっきりと感じ、苦味は後からじわりと強く感じます。
柑橘系ソースが合うサラダや、旨味(うまみ)や甘味を引き立ててくれるお肉料理と合わせるのがおすすめ。じっくりと飲めるIPAを探している方にぴったりです。
日本人のためのビールとして選ばれたIPA
シカゴで誕生して、その後に日本上陸を果たしたアメリカ中西部最大のクラフトビールブランド「グースアイランド」のビールです。ホップ好きにとっては夢のようなフルーティーな香り、ドライモルトの味と、そしてしっかりしたホップの後味がたまりません。
苦味がしっかりしているので、肉料理などがっつりした食事との相性が抜群です。
「IPA」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする IPAの売れ筋をチェック
Yahoo!ショッピングでのIPAの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
IPAの美味しい飲み方
IPAをよりおいしくたのしむには、いくつかのコツがあります。
温度は少しぬるめの10~12℃がおすすめ
日本ではビールをキンキンに冷やして飲むのが一般的ですが、IPAは、キンキンに冷やして飲むよりも、10度から12度程度がおいしく飲める温度といわれています。
香りをよりたのしみたいなら、ぬるいくらいの温度がおすすめ! ホップのアロマをより強く感じられ、香りを含めてIPAを堪能できるのがポイントです。
グラスにもこだわってみよう
IPAに向いているのは、「パイントグラス」と「IPAグラス」です。
パイントグラスは、飲み口が大きくなっており、ホップの香りをしっかりとたのしみながら飲めるのがポイントです。
IPAグラスには、グラスの底がデコボコになっている仕掛けがあります。これによって、ビールがより泡をつくり出すようになり、IPAの香りが逃げてしまわないように閉じ込めてくれます。
注ぎ方にもコツあり
IPAは、3度注ぎという方法で注ぐとよいでしょう。時間をかけて3回に分けてじっくり注ぐので、炭酸を逃がしながらビールの泡を壁をつくれます。これによってより深みのある香りとコクをたのしめるようになります。
最初に、高い位置から勢いをつけてドボドボ注ぎます。次に、泡が半分ぐらいまで減るのを待って、やさしくグラスの縁に沿って、グラスより盛り上がる程度まで注ぎましょう。最後に、残りのビールをゆっくり注ぎます。
IPAに合うおつまみや料理を紹介!
IPAは、スパイス料理や香草を使用した料理と相性がよいです。ブラックペッパーがアクセントの粗びきソーセージやビーフジャーキー、スパイスカレーなどがおすすめ。
また、パクチーを使ったサラダや生春巻きなどもおいしくいただけます。苦味が得意でない人には、パプリカやトマトを使用したものがおすすめ。野菜の甘みが感じられるラタトゥイユのような料理は、IPAの独特な苦味を抑えてくれます。
お気に入りのIPAに出会うためには ビアジャーナリストからのアドバイス
華やかなホップの香りと苦味が特徴のIPAは、ビールをあまり好まない人たちをも虜(とりこ)にしてしまうビールです。その人気の高さからさまざまな派生スタイルがここ数年世界で生まれています。
IPAといってもいろいろなタイプがありますので、最初は自分に合うIPAを見つけることが難しいかもしれません。そのため、まずは気分やシチュエーションによって、IPAのスタイルを変えて飲んでみることがおすすめです。
ご紹介したIPAを参考に「自分がどんなIPAが好きなのか」を探し求めてみると、よりその魅力に触れやすくなると思います。ぜひ一度お試しください。
そのほかのビールのおすすめはこちら 【関連記事】
IPAの香りと苦味を楽しもう
IPAの選び方とおすすめ商品をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
パンチのある苦味と華やかな香りを楽しめるIPA。アルコール度数が高いことから、重めの味わいも魅力的です。この記事を参考にして、自分の舌に合ったIPAを探してみてくださいね!
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『日本にも美味しいビールがたくさんある!』をモットーに応援活動を行っている。 実際に現地へ足を運び、ビールの味だけではなく、ブルワーのビールへの想いを聴き、伝えている。 飲んだ日本のビールは4000種類以上。また、ビールイベントにてブルワリーのサポート活動にも積極的に参加し、ジャーナリストの立場以外からもビール業界を応援している。ここでは日本に限らず、美味しいビールを紹介していきます。