黒ビールとは
黒ビールとは、原料の一部に濃い色の麦芽(モルト)を使ったビールで、色が濃いビール全般を指します。黒ビールは、高温で焙煎・乾燥させた「スペシャルモルト」を使用するため、焦げた麦芽の香ばしさや苦みが感じられるのが特徴です。
黒ビールと呼ばれるビールには「スタウト」や「デュンケル」「シュバルツ」「ポーター」などがあり、ナッツのようなちょっとしたおつまみと一緒に、じっくり楽しむのにピッタリです。
どっしりとした味わいでどんな料理にも合います
唐揚げや枝豆にビール、といえばピルスナーのビールが思い浮かびますが、意外に料理との相性の幅が広いのが黒ビールです。
たとえば、ステーキや焼肉などのグリル料理の香ばしさ、ハンバーグのデミグラスソース、ビーフシチューなど焦がして作るソースと合うのはもちろん、ベシャメルソースやチーズを使った料理、生クリームやアイス、フルーツのスイーツなどとの相性もばつぐんです。
そんな黒ビールの魅力をぜひ試してみてください。
黒ビールの選び方
それでは、黒ビールの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記。
【1】ビールの製法
【2】ビールのスタイル
【3】アルコール度数
上記のポイントを押さえることで、より美味しく、料理にピッタリな黒ビールを見つけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】ビールの製法で選ぶ
ビールの製法は大きくふたつに分けられます。それぞれの特徴をふまえて、黒ビールを選んでみましょう。
●華やかな香りのエール系
エール系のビールは、やや高めの温度で発酵させることで酵母が麦汁の上に浮き上がってくることから「上面発酵」という製法で造られています。その歴史は古く、紀元前にはすでに上面発酵でビールが造られていました。
大量生産には不向きですが、豊かな香りと個性的な味わいが特徴で、飲みごたえがあります。クラフトビールのなかには、上面発酵で造られるエール系のものがたくさんあります。
●のど越しのよいラガー系
ラガー系のビールは、酵母が麦汁の下に沈んでいくことから「下面発酵」と呼ばれる製法で造られます。低温で発酵させることで雑菌が繁殖しにくく、品質が安定したビールをたくさんつくれるのが特徴です。
19世紀以降、世界的に行なわれている製法で、心地よい苦みとすっきりとしたのど越しが楽しめます。
【2】ビールのスタイルで選ぶ
ビールとひと口に言っても、そのスタイルはさまざまです。世界には100種類以上のスタイルがあるとされています。そのなかでも黒ビールは大きく4つのスタイルに分けられるので、黒ビールを選ぶときはビールのスタイルもチェックしてみましょう。
●ロースト香豊かな「ポーター」や「スタウト」
18世紀初頭のイギリスの港で、荷受人(ポーター)たちの間で大人気となったのがポーター。その影響で、隣国アイルランドでも同じようなビールを作ろうと試行錯誤してできあがったのがスタウトになります。
スタウトにはさらにスイート・スタウトやオートミール・スタウト、インペリアル・スタウトなどがありますが、これらのビアスタイルはいずれも上面発酵で作られていて、コクのあるロースト香を楽しめます。
グリル料理やブラウンソースを使った料理との相性ピッタリで、煮込み料理にこのビールを使えば、さらに風味と深みが加わります。
●すっきりとした味わいの「シュバルツ」
ドイツ語で「黒」の意味をもつシュバルツのビアスタイルは、ドイツ・バイエルン地方が発祥。
ピルスナーと同じ下面発酵酵母で発酵させるため、ビターチョコのようなほろ苦さとすっきりとした飲み口が特徴で、何杯でも飲みたくなるビールです。
たとえば、ノンシュガーのアイスコーヒーのような印象で「黒ビール」はちょっと苦手という人でも「これなら飲める!」と評判です。
そんなシュバルツと相性がいいスイーツは、シンプルなこしあんの酒種あんぱんや、薄いビターチョコなど。お互いのシンプルな魅力を引き立て合います。
●苦みがひかえめでスッキリとした「デュンケル」
苦みがおだやかで、濃厚な味わいのデュンケルは、黒というよりもカラメルのようなこげ茶色が特徴です。その色から「ダークビール」と呼ばれることもあります。
小麦の甘さや香ばしさを感じる後味も楽しめ、ビールの苦みが苦手な人でも飲みやすいでしょう。
デュンケルは大きくふたつのタイプに分けられるのもポイント。ラガー系の「ミュンヒナーデュンケル」とエール系の「デュンケルヴァイツェン」があるので、自分の好みに合わせて選んでみましょう。
●スイーツと相性がよい「コーヒー・フレーバード・ビール」
黒ビールとイメージが重なるのがコーヒーです。黒ビールのなかにはそのままでもコーヒーのような香りを感じるものもありますが、原料に実際にコーヒーを加えているビールもあります。
それらはおもにコーヒースタウトやコーヒーポーター、コーヒー・フレーバード・ビールと呼ばれるビアスタイルで、麦芽のロースト香にさらにコーヒーの香味が加わり、豊かな香りに包まれます。
もちろんスイーツとの相性もバッチリ。休日のティータイムや、読書のかたわらにゆっくりと。ビールの楽しみ方が広がる黒ビールです。
【3】アルコール度数で選ぶ
黒ビールは、ふつうのビールに比べるとアルコール度数が高めです。ふつうのビール感覚で黒ビールを飲むと、あっという間に酔いがまわってしまいます。
黒ビールを選ぶときは、アルコール度数にも注目しましょう。「インペリアルスタウト」や「ドッペルボック」と呼ばれる黒ビールは、とくにアルコール度数が高いです。アルコール度数が高い黒ビールを飲むときは、少しずつゆっくり味わってください。
黒ビールおすすめ14選
上記で紹介した黒ビールの選び方のポイントをふまえて、おすすめ商品を紹介します。
ドイツで伝統的に作られたものから、日本で作られた飲みやすいものまでさまざまな黒ビールを集めてみました。自分好みの黒ビールを見つけるためにぜひ参考にしてみてください。
第三のビールでも黒ビールのコクを再現
第三のビールとして誕生した黒ビールです。こだわりの素材として、深いコクが出る黒麦芽を採用。材料は協働契約の農家のものを使用して、黒麦芽をローストした深い香りと長期熟成で生まれる飲みごたえが楽しめます。
そのまま飲むのもよいですが、一つの楽しみ方として、通常の「麦とホップ」と1対1で割って飲む「ハーフアンドハーフ」もまた違った味わいでおすすめです。
日本では誰もが知るビール会社が作る黒ビール
キリンビールが手掛けた黒ビールです。キリンビールの代名詞となった一番搾り製法にダークラガーの製法である下面発酵の低温仕上げを掛け合わすことで、深く味わい深い苦みを作り出しました。
一番搾り麦汁のうま味と深くローストした気品漂う香りによって、通常の一番搾りとは違った味わいを楽しむことができるでしょう。
香ばしさとなめらかな甘みを気軽に楽しめるポーター
ネーミングはもちろん、おいしさや斬新なデザインなどで人気の「ヤッホーブルーイング」が定番で作り続けるポーターです。
厳密にいえばこのビールのビアスタイルは、ロブストポーター。ロブストとは「強い」という意味をもち、通常のポーターよりもロースト香が強く、麦芽の甘さや濃厚さが楽しめます。
パッケージには、力強い相撲取りの後ろ姿。日本で飲める本格的なロブストポーターをイメージするようなユニークなデザインのビールは、みんなとワイワイ楽しむBBQや、女子会のチョコレートケーキなどと合わせて楽しむのもおすすめです。
英国の代表的メーカーによる無添加のスタウト
サミュエルスミスは本場英国でも1758年創業の伝統的なメーカーです。有名ブランドながらも小規模な醸造所で丁寧に作られるスタウトは伝統の製法を受け継ぎつつ、甘味料や防腐剤などを一切使用しない無添加の作りとなっています。
麦芽の他にオーツ麦を原料とし、チョコ―レートのようなマイルドな味わいの中に、ほのかな苦みが感じられるのが特徴的です。
世界でもっとも飲まれているスタウトの王道
スタウトといえばギネスを思い浮かべる人も多い、世界でもっとも飲まれているスタウトのブランドです。ギネスビールの特徴の要は麦芽で、アイルランドで育った大麦を使用しこれを焙煎します。その焙煎温度にもこだわり、丁寧な焙煎から見た目も美しい綺麗な黒色のスタウトが出来上がります。
味わい、コクが深くは苦みの中にほのかな甘みが感じられ、その泡のクリーミーさが特徴的です。
中華料理定番のビールメーカーが手掛けるスタウト
中華料理屋に行くと必ず目にするのは青島ビールではないでしょうか。ビールの本場ドイツ造像技術は受け継ぎ、中国一のビールメーカーとなりました。日本向けに作られている青島ビールは、世界の名水であるラオ山の水を使用し、青島で醸造されています。
焙煎された麦芽のスモーキーな香りが際立ち、ホップも程よい苦さがあります。全体的にバランスの取れた味わいで、癖が無く初心者にも飲みやすい味わいです。
大阪の手作り作られる本格的なスタウト
大量生産で作られるビールではなく、一本一本人の手で作られこだわりの感じられる個性あふれるビールです。箕面ビールが作られるのは大阪北部の箕面国定自然公園で、豊かな緑と綺麗な川がビールづくりに最適です。
そこで生まれたこのスタウトは、本格的な味わいと共に焙煎された麦芽の味わいとホップの多さが特徴的。少し甘さが強く、苦みを抑えた味わいは食後にも最適です。
ドイツの文豪ゲーテが愛し続けたシュバルツ
1543年に創業した醸造所が、今も作り続けている歴史あるシュバルツ。伝統的な黒ビールをお探しの方におすすめです。
適度な甘みとほんのりとした苦味のバランスが素晴らしく、かの文豪ゲーテが友人への手紙に「召使いには、いつもケストリッツ村一番の黒ビールか、茶褐色のビールを注文するだけだ」と書いていたという逸話が残っているほど、心から愛していたということでも有名です。以前のラベルにはゲーテの肖像画も描かれていました。
シュバルツらしいすっきりとした味わいに加え、アルコール度数は4.8%と軽めなので、1杯目から飲みたい黒ビールです。
ほの暗い琥珀色に上品さを感じるビール
エールビールの作り方である上面発酵でまろやかでほどよい苦みを味わえるのが、このビールです。黒ビールは味の濃さが特徴ですが、このビールはライトな味わいで白ビールが好みな人でも飲みやすいでしょう。
ドゥンケルという言葉はドイツ語で暗いという意味で、このビールのほの暗い琥珀色は深い味わいと上品さを表しています。
国内の老舗メーカーの本格的なアイリッシュスタウト
醸造元のエチゴビールは1994年に日本初の国内製造クラフトビールブルワリーとなったメーカーです。このスタウトは本場のアイルランドのスタイルを受け継いだ本格派です。
味わいは焙煎麦芽が醸し出す香ばしさの中にポップの爽やかさも感じられます。エールの酵母も芳醇な香りを放ち、甘すぎずコクのある美味しさとなっています。
ドイツのミュンヘンで作り出された低温発酵の味わい
バイエルン州立ホフブロイ・ミュンヘン醸造所、通称ホフブロイハウスにて製造されているのがこの製品です。ドイツにあるビール純粋令という法律のもと作られた伝統的なダークビールになっています。
作り方は酵母を低温で長い時間をかけて発酵させる下面発酵を採用していて、ラガービールの製法でビールらしい苦味を楽しめます。
※楽天市場、Amazonは6本セット、Yahoo!ショッピングは24本セットです。
チェコの黒ビールに感動して作ったシュバルツ
千葉県・舞浜の「舞浜地ビール工房ハーヴェスト・ムーン」は、2020年に創業20周年を迎えるブルワリー。ヘッドブルワーの園田智子さんは、開業前に訪れたチェコの居酒屋「ウフレク」で飲んだ黒ビールに感動したそうです。
それは例えるなら「何杯でも飲みたくなる黒ビール」。そんなビールを自分たちも作りたいと生み出したのがこのシュバルツです。「黒ビールは好きじゃないけど、ここのシュバルツはおいしい」という声も多数あり、黒ビールを飲みなれない方にこそお試しいただきたいシュバルツです。
意外な楽しみ方として園田さんがおすすめするのが、シュバルツをトマトジュースで割る黒ビール版ビアカクテル「レッドアイ」。こちらもぜひお試しください!
ビールのスペシャリストが最高得点をつけたスタウト
ベルギービールの魅力を世界に広めたことで知られる、世界的なビール評論家マイケル・ジャクソン。全部のビールを試飲して★で評価をつけた彼の著書『世界ビール大全』で、最高得点をつけたのが、このビールです。
このビールは昭和10年に発売となりましたが、その後第二次世界大戦などで一時は生産を中断。その後、昭和27年に復活製造を果たし、現在はアサヒビール吹田工場で醸造、小瓶のみで出荷されています。
イギリスの伝統的な手法で作り続けられるこのビールのアルコール度数は8%。冷やしすぎず、歴史を想いながらゆっくりと味わいたい方におすすめする日本が誇るスタウトです。
深煎りのエスプレッソを飲むように味わえるスタウト
このビールは、18世紀にロシアの皇族が好んで飲んだといわれるインペリアルスタウトというビアスタイルをベースに、深煎りしたコーヒー豆を副原料に加えています。
原料のホップ由来のかすかなグレープフルーツのような香りなども複雑に絡み合い、芳醇で深いコーヒーのニュアンスと麦芽の甘さや酸味も楽しめます。
アルコール度数は7%なので、まさにエスプレッソを楽しむようにゆっくりと味わうのがおすすめです。コーヒー好きならきっと満足していただける黒ビール。
アレンジの楽しみ方として、イタリアのスイーツ「アフォガート」のようにバニラアイスにかけて、大人スイーツとしてもぜひ。
「黒ビール」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの人気ランキング 黒ビールの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での黒ビールの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
そのほかのビールのおすすめはこちら 【関連記事】
製法、スタイル、アルコール度数が自分に合うものを
本記事では、黒ビールの選び方やおすすめ商品をご紹介しましたが、いかがでしたか?
黒ビールは、ビールの製法、ビールのスタイル、アルコール度数という3つの切り口があります。それぞれの切り口から、自分にもっとも合うビールを選ぶことで、より美味しく満足のいく商品を選ぶことができます。
黒ビールはゆっくり飲むのに最適でありつつ、料理にもとても合うお酒です。夜の晩酌だけでなく、ディナーと一緒に楽しむなど、幅広い楽しみ方があります。本記事を参考に、ぜひピッタリの黒ビールを選び、お酒を楽しんでくださいね。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。