ストラトキャスターの選び方 元プロミュージシャンに聞く
元プロミュージシャンの田澤 仁さんと編集部が、ストラトキャスターを選ぶときのポイントを解説します。ストラトキャスターは、エレキギターを代表する機種のひとつ。もともとはフェンダーが開発・販売してきたギターですが、現在では「ストラトタイプ」としてさまざまなメーカーからこのタイプのギターが出ています。
フェンダーのストラトから選ぶ
ストラトキャスターといえば、やはり本家本元のフェンダー製。ストラトならではの音を知りつくしているメーカーですし、ラインナップも幅広く、比較的低価格なモデルもありますから、まずはフェンダーから探してみるのがよいでしょう。
フェンダーのストラトには生産国によって3種類があります。一般的にもっとも高価なのが米国製、次いで日本製、そして幅広い価格帯の製品があり、低価格のものも多いのがメキシコ製です。
価格を重視するなら、プレイヤーシリーズなどメキシコ製がおすすめです。また、作りのよさを重視するなら、細部まで精密に組み上げられている日本製を選びましょう。米国製は、木工品に塗る速乾性の塗料を何度も吹き付け、硬化させていくラッカー塗装や厳選された木材を使うなど、高級感のある仕上がりになっています。この点に魅力を感じるなら、高価ですが米国製を選ぶとよいでしょう。
フェンダー以外のブランドのストラトもチェック
フェンダーのオリジナルモデルをベースに、コストパフォーマンスを追求したビギナー向けのモデルです。鮮やかなカラーバリエーションが用意されているので、好みに合わせて選びましょう。
より低価格なモデルが欲しい人や、もっと変わった仕様のストラトがほしい人は、フェンダー以外のブランドを探してみましょう。低価格モデルでおすすめなのは「スクワイア」です。フェンダー傘下のブランドなので作りは間違いなく、本物のストラトの血を引いていながら初心者にも手軽に入手ですることができます。
また、国産でも高品質なストラトを出しているブランドはいくつかあります。たとえば低価格でも品質のよいものをさがしているなら、堅実な作りの「ヤマハ」や「フジゲン」、また、「アイバニーズ」や「ESP」などメタル系ギタリストに人気のブランドもあります。とがった仕様のものが多いので、少し過激なサウンドを出したい人はこちらを選ぶのも良いでしょう。
ピックアップの構成で選ぶ
ストラトキャスターを選ぶときは、ピックアップの構成にも注目してみましょう。オーソドックスなストラトキャスターの音を求めるのであれば、パッシブタイプでシングルコイルピックアップが3つついたものが適しています。音のバリエーションを多くしたい場合は、それ以外のピックアップ構成のものを選びます。
さまざまな構成のストラトキャスターがあるので、自分の求める音質に合わせて選んでください。
ピックアップ(楽器を弾いたときの弦の振動を電気信号に変換するパーツ)については、単一コイルの「パッシブタイプ」とノイズに強い「ハムバッカー」があり、「シングルコイルピックアップ3つ」というのがストラトの基本です。
しかし、2つのハムバッカーを搭載したものや、3つのピックアップ部分の一番後ろだけにハムバッカーを搭載したものなど、さまざまなバリエーションがあります。とくに一番後ろだけにハムバッカーを搭載する、いわゆる「SSH」の構成を採用する製品は数多くあります。ノイズに強いため、ソロやコードをパワフルに弾けますし、フロントのシングルピックアップでは、カッティングなどをストラトらしいメロウな音で弾けるので、ロック系を中心にさまざまなジャンルで便利に使えます。
ただし、ピックアップの構成が変わると、音はもちろん見た目の印象も大きく変わってしまいます。ルックスも音もストラトらしさを大事にしたいなら、基本構成のものがよいでしょう。
ロック式トレモロユニットつきのものを選ぶ
ストラトの数少ない弱点のひとつが、トレモロアーム(弦横のレバーアーム)を装備しているためにチューニングが狂いやすいということです。これを解決するために、弦をがっちりとロックする機構もあります。
フロイドローズに代表されるロック式のトレモロユニットがそのひとつです。ナットとブリッジで弦をロックして、弦のすべりやペグのゆるみを防いでくれます。大きく音程を変化させるなど大胆なアーミングもできるようになるので、メタル系などで激しいアーミングをしたいなら、ロック式トレモロのついたものを選ぶとよいでしょう。
ただし、演奏中に弦が1本だけ切れても全体のチューニングが狂ってしまうし、弦の交換時にいちいちロックを解除しなければならないのはかなり面倒です。また、音色がフロイドローズ特有のものになってしまうのを嫌うギタリストもいます。あとから加工してロック式に交換することもできるので、アームにそれほどこだわりがないなら、とくに初めの1本はロック式でないもののほうが無難でしょう。
かたちにこだわるならボルトオンジョイントのものを
ストラトキャスターを選ぶ際は、音質に影響が出るネックとボディのジョイント部にも注目しましょう。ストラトは、ボルトオンジョイントのものが一般的となっています。ボルトオンジョイントとは、ネックとボディをボルトを使って固定する構造を指し、量産しやすいため価格も低めに設定されています。
演奏性やサスティーンの伸びを重視するのであれば、セットネックやスルーネックなどもおすすめ。プレート1枚でも音に変化が見られます。
ストラトキャスターおすすめランキング11選 元プロミュージシャンが選ぶ
ここまで紹介したストラトキャスターの選び方のポイントをふまえて、元プロミュージシャンの田澤 仁さんに選んでもらったストラトキャスターベスト11をご紹介します。ストラトといってもその内容はバラティに富んでいて、ピックアップの構成やトレモロアームの種類など、多彩な仕様のギターがあります。
ジミヘンのフィーリングを味わえる右利き用モデル
伝説のギタリスト、ジミ・ヘンドリクスは、右利き用のギターの弦を逆順に張り、ひっくり返して使っていたことで有名ですが、その独特のフィーリングを右利きのギタリストでも体験できるユニークなモデルです。
豊富なカラーが魅力のエントリーモデル
バスウッドのボディにメイプルネック、シングルコイルピックアップ3基に1ボリューム、2トーン、5ウェイピックアップセレクター、そしてシンクロナイズドトレモロと、スタンダードなストラトの構成。さらに、レフトハンドモデルやショートスケールのLST-MINI、ブラックボディにブラックピックガードを採用したLST-Bなどもラインナップされています。
ハードに弾けるヘヴィなサウンドの日本製
テクニカルなプレイをしたいギタリストにおすすめのモデル。ピックアップには高出力の「Modern Modified Humbucking Pickup」を搭載していて、パワフルで迫力があり、抜けのよい音を鳴らせます。指板の側面には蓄光パーツを使ったサイドポジションマークがあるので、暗いステージでも見やすくなっていて、ライブ派のギタリストにもおすすめの1本です。
杢目が美しい日本製ハイグレードモデル
グレードの高いハードウェアを装備したシャーベルの日本製モデル。杢目の美しいキルテッド・メイプルのトップ、カリブ海の波をイメージしたカリビアン・バースト・カラーが美しいギターです。
アームはないけれどコスパ抜群、信頼の日本製
Boundaryシリーズはコストパフォーマンスを追求した、フジゲン製品の中でも比較的低価格なシリーズですが、フレットを円弧状に打って弦と直角に交差させるサークル・フレッティング・システムは上級機種と共通で、鋭い立ち上がりとよく伸びる音を実現しています。
メタルギタリストに人気の技巧派向けストラト
高速フレーズやタッピングなど、テクニカルなプレイをしたい人におすすめのギターです。ネックはかなり薄く、指板のカーブも400mmRとかなり平坦なので、力を入れずに素早い運指をしたい人に向いています。
多彩な音作りができる国産低価格モデル
歴史ある楽器メーカーのヤマハらしい工夫が随所に見られる製品です。ピックアップはSSHの構成で、上級機種にも使われるアルニコVマグネットが使われているので、輪郭の明瞭な抜けのよい音でプレイできます。
本家USA製の最新ストラトキャスター
歴史あるストラトキャスターの中でも、最新モデルがほしい人におすすめ。アメリカ製の上位機種、American Ultraシリーズの製品です。フェンダー製としては珍しく、大きくえぐれたボディのコンター加工やヒールカットが施され、さらに新設計のモダンDシェイプのネックによって、ハイポジションがとても弾きやすくなっています。
3位:スクワイア(Squier by Fender)『Affinity Series Stratocaster』
フェンダー直系の低価格ストラトキャスター
ピックアップの切り替えスイッチも5ポジションになっていて、リアとセンター、センターとフロントの組み合わせのハーフトーンも使えるので、幅広い音作りができます。初心者の最初の1本としてもおすすめのモデルです。
60年代のモデルを再現した作りのよい日本製
この製品は60年代のストラトキャスターをもとにしたモデルで、4点留めのネックプレート、ローズウッドの指板、丸みのあるUシェイプのネックなど、当時の仕様が細部まで再現されています。ピックガードやつまみなどの部品についても、使い込んだような風合いのエイジド・パーツを使うことで、ビンテージに近いルックスに仕上がっています。
初心者にもおすすめのフェンダー製低価格モデル
本物のフェンダーの音を低価格で手に入れられる、メキシコ製のプレイヤーシリーズのストラトキャスターは、とくに初心者におすすめのモデルです。伝統的なストラトを基本にしていますが、ピックアップは少しだけエッジを加えて抜けがよく、シャキッとした現代的な音のものを装備しています。
ストラトキャスターおすすめ8選 ほかにもおすすめをご紹介
スタンダードなボディサイズとネックの太さで入門者
ストラトキャスター好きならば、誰もが目にしたことのある定番ストラトキャスタータイプです。スタンダードなボディサイズとネックの太さな初心者にもオススメです。付属品を最小限にしているので初心者にも安心のエレキギターです。
Fender(フェンダー)『エレキギター American Ultra Stratocaster, Rosewood Fingerboard, Ultra Burst』
体にフィット!フェンダーのストラトキャスター
上位モデルであるUltraシリーズのストラトキャスターです。新開発のウルトラ・ノイズレス・ビンテージ・ストラト・シングルコイル・ピックアップを3基搭載されています。 ネックの表面には、コンパウンドラジアス指板が採用されています。質の良い音で透明感のある、音を出すことができます。
ハイレベルモデル制作オリジナルストラトキャスター
ローステッド・アルダーをボディに採用したストラトキャスターです。ロースト処理されているのでり含水率が適度に調整。そのため、乾いたワイルドな音色を響渡せること間違いありません。丁寧に手巻きされたコイルをピックアップに使用しました。トーン・コントロールも存分にでき、オリジナルに調整することができます。迫力のある演奏をすることが可能です。
初心者で迷ったらこれ!
初心者も安心して始められる14点セットになったストラトキャスターです。ミニアンプも付いており、これ1つで必要なものが揃います。これだけ揃って約20,000円と破格。これまで長年ギターやベースを制作してきたブランドなので、安くても確実な技術であると言えるでしょう。
Heritageシリーズならではの音
全体のどこを見ても細かいところまでフェンダーの特徴が表れているのでファンにはたまらないはず。ピックアップもこのシリーズのために選定されたものが使われています。ヴィンテージ楽器ならではの、深く重みのある音を楽しめますよ。
価格も品質も譲れない方に
約14,000円という驚きの価格が印象的な1本です。安さだけでなく、材料や音質にもこだわって作られており、妥協のない仕上がりになっています。また、5色展開とカラーバリエーションも豊富なので、友達やメンバーと色違いで揃えるのも良いでしょう。
高級感のある光沢ボディ
黒い光沢を身にまとった上品な印象のストラトキャスターです。タキシードが似合うことをコンセプトとして作られたギブソン・レスポール・カスタムに倣って作られています。高級感のある1本を探している方はぜひ試してみてくださいね。
入門セットといえばコレ!
品質の良さはもちろん、本体のカラー展開も多く、とても20,000円台とは思えない商品です。どんなジャンルにもマッチする音を奏でられるので、どんな曲を弾くか決まっていない方にもぴったりでしょう。
「ストラトキャスター」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ストラトキャスターの売れ筋をチェック
楽天市場、Yahoo!ショッピングでのストラトキャスターの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ストラトキャスターに関するQ&A よくある質問
ストラトキャスターとレスポールの違いは?

ストラトキャスターはロックギターの代表的なタイプです。歯切れのよいサウンドで、ハイフレットが弾きやすく、平均的なエレキギターの重さが特徴です。対して、レスポールは、もともとのロックギターのスタンダード的タイプ。低音の力強さにネックがストラトよりも短いため、チョーキングしやすいなどが特徴です。また、レスポールのほうが重量があります。
トレモロアームとは?

ビブラート・アーム(レバー)とも呼ばれ、弦のテンションを変えてピッチを変える役割をします。
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ボルトオンジョイント以外の選択肢でサスティンも考えよう 元プロミュージシャンからアドバイス
ストラトキャスターでは、ネックとボディは基本的にボルトオンジョイント、つまりねじ止めで接合されています。
フェンダー以外の多くのブランドのストラトタイプのギターも、ほとんどの場合ボルトオンジョイントですが、数は少ないものの、レスポールのように両者を接着したセットネックのものもあります。
たとえばフェンダー製でも、リッチー・ブラックモアのシグネチャーモデルはセットネックです。セットネックのメリットは、サスティン(弾いたときの音の伸びや残響)が伸びるようになることですが、そのかわり、ネックやボディを簡単に交換できるというメリットは失われてしまいます。
ボディやネックを好きなものに交換できるのも、ストラトタイプの楽しみ方のひとつですが、それよりもサスティンが伸びることのほうが重要だという人は、セットネックのストラトを探してみるとよいでしょう。
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90年代にプロドラマーとして活動、その後、音楽ライターとして書籍、雑誌などの執筆を行なっている。 DTM、PCオーディオ関連の著書、DTMソフト、シンセサイザーの日本語マニュアル制作など多数。 Webでは2007年~2009年までサイトAll Aboutで「ロック」のガイドを務めたほか、音楽情報サイトBARKSでは国内外の数多くの有名アーティストのインタビュー、ライブ取材などを行なっている。 得意分野はAOR、ハードロック、フュージョン、80年代。