エレキギターの弦の選び方
音楽ライターの田澤 仁さんに、エレキギター弦を選ぶときのポイントを3つ教えてもらいました。ギタリストなら、こだわりをもって弦を選んでいるという人も多いでしょう。その一方で、安ければなんでもよい、という人もいるようです。しかし、素材や太さ、形状など、弦の種類によって、音色や弾き心地は違ってきます。
【1】弦の太さをチェック
●太めの弦:迫力と重厚感がある音を出したいときにピッタリ
0.012~0.052インチの「ヘヴィゲージ」や0.011~0.049インチの「ミディアムゲージ」と呼ばれる太い弦は、メタル系のサウンドやパワーコードなどと相性がよいです。演奏するのに力が必要ですが、パワフルな音が出ます。
太い弦の場合、ギターの弦の素材によってはネックが反ってしまうことがあります。やわらかいネックのギターには向かないので、弦を張るギターの素材をチェックしてから購入しましょう。
●細めの弦:弾きやすく繊細な音を求めるときにピッタリ
0.009~0.042インチの「スーパーライトゲージ」や0.008~0.038インチの「エクストラライトゲージ」は、軽い力で引けるのが魅力です。押さえるのに力が要らないので、初心者や指先の力が弱い人に向いています。やわらかな感触で、繊細な音が出せるのもポイントです。
しかし、弾く人によっては弦が切れやすいと感じることもあるので、自分の演奏方法や力の入れ具合に合わせて選ぶとよいでしょう。
●ライトゲージ:バランスの取れた音を求めるときにピッタリ
0.010~0.046インチのライトゲージは、レスポールタイプなどに貼られていることが多い弦です。適度なテンションで弾きやすさと音のバランスがよく、演奏しやすいのがポイント。
どのタイプのギターに使用しても扱いやすいので、エレキギターの弦選びに迷ったときはライトゲージのものを選んでおくとよいでしょう。
●カスタムゲージ:弾きやすく低音もしっかり鳴らしたいときにピッタリ
カスタムゲージは、1~3弦にスーパーライトゲージを、4~6弦にライトゲージを採用した弦で、それぞれのタイプのいいところをあわせもっています。メーカーが独自なバランスで組み合わせた弦なので、好きなメーカーが見つかったら試してみるとよいでしょう。
弦にこだわる人のなかには、1弦ずつ自分好みの弦を購入して、自分だけのカスタムゲージを作る人もいます。
(★)最初はライトゲージを目安に、自分に合う弦を探そう
音楽/DTM/PCオーディオ 専門ライター
弦の太さを示すのがゲージ。これにはいくつかの種類があります。
標準的なのはライトゲージで、1弦が「.010」、6弦が「.046」という太さです。どのギターでも扱いやすくバランスもよいので、迷ったらライトゲージを選ぶとよいでしょう。
より太い、1弦が「.011」のミディアムや「.012」のヘヴィは低音が強く出て音も伸びるようになりますが、張りが強くなるので弦を押さえる力が必要になります。エクストラライトやスーパーライトと呼ばれる細目の弦は、張りが弱いため弾きやすく、チョーキングも楽に行なえますが、切れやすくなります。
最初はライトゲージを使ってみて、演奏するたびに指が痛くなるという人は、スーパーライトやエクストラライト、強い音でハードな演奏をしたい人、すぐに弦が切れる人は、ミディアムやヘヴィを選ぶとよいでしょう。
【2】弦の素材をチェック
●バランスがよい「ニッケル」
ニッケルはやわらかいため加工がしやすく、さびにくいのが特徴です。強い磁性体の金属であることから、ギターのピックアップの磁石とも相性がよく、エレキギターに適しています。
価格も抑えめで、品質とのバランスがよいことから、エレキギター出荷時に張られていることも多いです。ニッケル弦を弾くと、やわらかくおとなしめの音が出ます。
●サビに強い「ステンレス」
ニッケルよりかたく、手汗によるサビにも強いのがステンレス製の弦です。エッジのきいたシャープな音が特徴で、カッティングなどをする際のキレを重視したい人にぴったり。アンサンブルのなかでも音が埋もれにくく、エレキギターの存在感を主張したいときに適しています。
かたさがあるため弦が切れにくく、激しい演奏スタイルの人は一度試してみてください。
●耐久性がある「コーティング」
ニッケルやステンレスでできた弦を薄い皮膜でおおったのが、コーティング弦です。金属がむき出しになっていないので、手汗によるサビに強く、耐久性があります。ただし、加工を施している分価格は高いです。
また、コーティング加工を施すことでニッケルやステンレス弦の弾き心地は失われてしまいます。独特の弾き心地になるので、人によっては弾きにくいと感じることもあるでしょう。
(★)素材ごとに弾き心地の特徴があるので注意
音楽/DTM/PCオーディオ 専門ライター
エレキギター弦の素材はおもに2種類あります。もっともよく使われているのがニッケルです。適度にやわらかく弾きやすいため、とくに初心者におすすめです。ステンレス弦は少し高価ですが、ニッケルよりかたいため切れにくく、音もかたく、輪郭が明瞭(めいりょう)になります。歯切れのよい音を出したいなら、ステンレスがおすすめです。
このほか、ニッケルを被膜(ひまく)で覆(おお)って、錆(さ)びにくく加工したコーティング弦もあります。耐久性が高いのが特長ですが、独特の弾き心地になるものもあり、人によっては弾きにくく感じることがある点に注意してください。
【3】弦の巻き方をチェック
●明るい音の「ラウンドワウンド」
エレキギターの弦は、「芯線」というワイヤーを「巻線」と呼ばれるニッケルやステンレスの弦でぐるぐる巻きにして作られています。ラウンドワウンドは、この巻線の断面が丸く、ざらざらしているのが特徴です。
ラウンドワウンドの弦は音の伸びにすぐれ、明るい音で倍音もしっかり鳴ります。ほとんどのギターに張られているのタイプです。
●甘い音色の「フラットワウンド」
芯線に巻きついている巻線の断面が板状になっていて、ツルツルしているのがフラットワウンドです。音の伸びや倍音の出方はラウンドワウンドほどではありませんが、甘くあたたかみのある音色になります。
ジャズを演奏する人は、フラットワウンドの弦を好んで用いることが多いです。テンションが高いため、フラットワウンドの弦を張るときは、ふだん使っている弦よりも細いものを選ぶとよいでしょう。
●両方の特徴を併せもつ「ハーフラウンド」
巻線の断面が、ラウンドワウンドとフラットワウンドの中間のかたちをしているのがハーフラウンドです。ラウンドワウンドの弦がなめらかになるまで研磨してつくられており、どちらの特徴も合わせもったキラキラとしたしなやかな音が出ます。
フラットの弾き心地とラウンドの音色のどちらも捨てがたい! という人は、ぜひ一度使ってみましょう。
(★)巻き方によっても特徴があるので確認しよう
音楽/DTM/PCオーディオ 専門ライター
ベースと同じようにエレキギターの場合も、低音弦の巻き弦の形状によっていくつかの種類があります。
もっとも一般的なのはラウンドワウンドで、巻き弦に凹凸があります。ブライトな音色で伸びもよいのが特徴で、オールラウンドに使えます。巻き弦の凹凸がないフラットワウンドは、セミアコなどとの相性がよく、ジャズギターらしい甘いトーンになるので、ジャズギタリストにおすすめです。ハーフラウンドはこれらの中間的な存在で、フラットに近い手触りとラウンドに近い音色を持っています。明るい音色は出したいけれど、フラットならではの弾き心地も捨てがたい、という人は使ってみるとよいでしょう。
おすすめランキング16選
ここまで紹介したエレキギター弦の選び方のポイントをふまえて、音楽機材選びのプロ 田澤 仁さんと編集部が選んだおすすめのエレキギターの弦をランキング形式でご紹介します。
16位:R.Cocco 『リチャード・ココ エレキギター弦』

出典:Amazon
素材 | ニッケル |
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ゲージ | ライト |
形状 | ラウンドワウンド |
15位:SIT strngs 『PowerWound Light S1046TP』






出典:Amazon
素材 | ニッケル |
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ゲージ | ライト |
形状 | ラウンドワウンド |
14位:Elixir 『NANOWEB Coating Ligh』

出典:楽天市場
素材 | コーティング |
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ゲージ | ライト |
形状 | ラウンドワウンド |
13位:D'Addario 『NYXL1238PS ペダルスチールギター用弦』








出典:Amazon
素材 | ニッケル |
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ゲージ | ライト |
形状 | ワウンド |
12位:GIBSON 『SEG-LP10 エレキギター弦』






出典:Amazon
素材 | ニッケル |
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ゲージ | ライト |
形状 | ワウンド |

11位: ROTOSOUND(ロトサウンド)『ROT-RS200』

出典:Amazon
素材 | ステンレス |
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ゲージ | ヘビー |
形状 | フラットワウンド |

10位:D'Addario(ダダリオ)『EHR320』










出典:Amazon
素材 | ステンレス |
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ゲージ | スーパーライト |
形状 | ハーフラウンド |

9位:FENDER(フェンダー)『SUPER BULLETS 3250』






出典:Amazon
素材 | ニッケルプレーテッドスチール |
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ゲージ | スーパーライト |
形状 | - |

8位:DR ( ディーアール ) 『HI-BEAM LTR-9』

出典:Amazon
素材 | ニッケルプレーテッド |
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ゲージ | ライト |
形状 | ラウンドワウンド |

7位:AriaProII(アリアプロツー)『AGS-803HB』

出典:Amazon
素材 | ニッケル |
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ゲージ | ヘビーボトム |
形状 | ラウンドワウンド |

6位:ELIXIR(エリクサー)『NANOWEB Super Light 12002』












出典:Amazon
素材 | コーティング |
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ゲージ | スーパーライト |
形状 | ラウンドワウンド |

5位:D'Addario(ダダリオ)『XTE0942』








出典:Amazon
素材 | ニッケル |
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ゲージ | スーパーライト |
形状 | ラウンドワウンド |

4位:ELIXIR(エリクサー)『OPTIWEB Super Light 19002』

出典:楽天市場
素材 | コーティング |
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ゲージ | スーパーライト |
形状 | ラウンドワウンド |

3位:ERNIE BALL(アーニーボール)『COATED HYBRID SLINKY 3122』




出典:Amazon
素材 | ニッケル |
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ゲージ | スーパーライト(ヘヴィボトム) |
形状 | ラウンドワウンド |

2位:ERNIE BALL(アーニーボール)『SUPER SLINKY 2223』




出典:Amazon
素材 | ニッケル |
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ゲージ | スーパーライト |
形状 | ラウンドワウンド |

1位:D'Addario(ダダリオ)『EXL110』










出典:Amazon
素材 | ニッケル |
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ゲージ | ライト |
形状 | ラウンドワウンド |
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトのエレキギター弦ランキングを参考にする
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのエレキギター弦の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
最後に|音楽ライターのアドバイス
音楽/DTM/PCオーディオ 専門ライター
弦を交換する目安は?
ギター弦にももちろん寿命があります。いつもよい音で演奏するには、できるだけこまめに交換することをおすすめします。
コーティングではない普通の弦の場合、交換はおおむね1カ月~2カ月程度でするのがよいとされていますが、実際にどのくらいの期間使えるかは、演奏する頻度(ひんど)や演奏のしかた、保管する環境などによって違います。見た目には錆びていなくても、手触りがザラッとしてきたら錆びが発生しはじめていると考えてください。また、音が伸びなくなったり、音程が不安定になってきたりした場合も、寿命を迎えたサインですので、早めに交換しましょう。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2021/01/27 コンテンツ修正のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 加藤佑一)
90年代にプロドラマーとして活動、その後、音楽ライターとして書籍、雑誌などの執筆を行なっている。 DTM、PCオーディオ関連の著書、DTMソフト、シンセサイザーの日本語マニュアル制作など多数。 Webでは2007年~2009年までサイトAll Aboutで「ロック」のガイドを務めたほか、音楽情報サイトBARKSでは国内外の数多くの有名アーティストのインタビュー、ライブ取材などを行なっている。 得意分野はAOR、ハードロック、フュージョン、80年代。