小型PCケースの選び方
家電ライターの秋葉けんたさんへの取材のもと、小型PCケースを選ぶときのポイントをご紹介いたします。商品選びに失敗しないよう、注意点としておさえておきましょう。
まずは重要なマザーボードの規格をチェック
IT&家電ライター
PCを自作するとき、置く場所の余裕があまりないならば、小型PCケースを使ってコンパクトに仕上げるのがおすすめです。
まずもっとも重要なCPUを決定したら、CPUを設置するマザーボードを選択します。主流はATX(305×244mm)ですが、小型PCではよりサイズが小さいMicro-ATXかMini-ITXを選びましょう。
Micro-ATXは、ATXよりやや小さい244×244mmの正方形で、メモリースロットは2~4つ、拡張スロットは最大4つまで搭載できます。Mini-ITXは、Micro-ATXよりさらに小型で、拡張スロット1本。小さいPCができますが、それだけ作業も難しくなります。
スタイルに合わせてケースのタイプを決めよう
ミニタワー型……王道タイプで初心者向け
小型PCケースの定番タイプで、初心者にもおすすめなのが「ミニタワー型」です。デスクにコンパクトに収まり、また、比較的安価に購入できます。デザインもクリアタイプやアルミタイプなど種類が豊富です。
拡張スロットが少なく、メモリの増設が難しいなど、できることも限られます。そのためオリジナリティのあるカスタムをしたい方には不向きですが、オーソドックスな機能が揃っているので初級編としてはピッタリです。
スリムタワー型……デスクスペースを省略したい方向け
ミニタワー型よりも、さらに細く、スペースを省略できるのが「スリムタワー型」です。置き方は縦・横どちらにも対応でき、また、ミニタワー型と同じように組み立てられます。
しかし、スリムな分、装填できるパーツも限られてくるので、どのPC性能が欲しくて、そのためにどのパーツを選ぶかなどの取捨選択が必要になるので注意しましょう。
キューブ型……オリジナルで機能を拡張したい方向け
正方形に近い形をしているのが「キューブ型」です。コンパクトなPCケースの中でも一番大きく、パーツ装填ができるスペースがあるため、欲しい機能を好きなようにカスタマイズできます。もちろん、後からの拡張も行いやすいです。
しかし、比較的高価になりやすく、また、設置スペースも大きめなため、デスクのスペースに十分余裕を持った状態の方がよいでしょう。
ケースのタイプでおしゃれさが変わる!
IT&家電ライター
小型PCケースの素材として、スチールは価格が手頃で丈夫ですが、重量があります。アルミは軽いものの、歪みや振動が起きやすくなります。
また、形にもタイプがあります。定番のミニタワー型は価格が安く、内部スペースに余裕があるため、初心者におすすめです。細長いスリム型は狭い場所に置けますが、パーツにサイズの制限が出てきます。拡張性も高くないため、ハイスペックは必要としない人向きです。一方、サイコロのような形をしたキューブ型は、横幅や奥行きがあるので作業がしやすく拡張性もあります。ただし、パーツの厚さに注意が必要です。できれば、PCの顔となる前面パネルのデザインやカラーなどにも気を配ってみましょう。
ケース内部の各パーツスペースを考えよう
必要なドライブベイをしっかり確認
ドライブベイとは、周辺機器を取り付けるためのコンピューター内のスペースのこと。PCケースのサイズが小さくなればなるほど、このドライブベイは小さくなります。
基本的なサイズでは、起動ディスクの2.5インチSSD、データ保存用の3.5インチHDDを設置できるスペースは確保されていますが、それ以外を装填し、拡張していくことができないものもあります。そのため、光学ドライブやその他の機器など、搭載したいパーツ、及び今後拡張していくためのスペースも考え、ドライブベイの大きさを選びましょう。
ケースに冷却ファンは搭載できるか
PCを起動、そして負荷がかかると、やはりPCケース内は発熱します。そのため、冷却ファンが設置できるスペースは必ず確保しましょう。もちろん、ファンの音の大きさや設置可能数なども考慮しましょう。
特に、冷却ファンの設置位置を自由に変えられるタイプなどもありますので、機器の発熱を予想し、どこに設置するべきかも考え、小型PCケースを選びましょう。
理想の端子・スイッチの位置を考えよう
PCを起動する際や、光学ドライブを使用する際など、端子やスイッチを押す必要があります。そのため、デスクのPCケースの置き場所、それに対応する端子・スイッチの押しやすさも、自分の理想となるような製品を選びましょう。端子・スイッチは、PCを操作する際の根源となる部分です。使いやすさにも関わるので、デスクのイメージもしておきましょう。
ケース内部はパーツを厳選することが大事
IT&家電ライター
小型PCケースは内部空間が限られているぶん、制限も多くなります。大前提はマザーボードをはじめ必要なパーツが全部収められることですが、無理やり詰め込んで配線すれば、不具合や故障の原因になります。
まずは光学ドライブや、グラフィックカードなどの拡張カードがどのくらい搭載できるか、ドライブベイ(コンピュータ筐体内に設けられた専用の空間)の数と大きさをチェック。電源の場所、ファンなどの排熱方法、さらにUSBポートの数や音声入出力端子が付いている位置も使いやすさに関わります。
小型PCでは拡張性の余裕を求めるよりも、必要最小限のパーツを厳選することが大切。どのようなPCがほしいのか、最初にイメージをしっかり固めておきましょう。
小型PCケースおすすめ4選
ここまで紹介した小型PCケースの選び方のポイントをふまえて、家電ライターの秋葉けんたさんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。裏配線をすっきりとまとめられるものや、縦置き、横置き可能なものなど、さまざまな小型PCがあるので、ぜひ参考にしてください。

Fractal Design(フラクタルデザイン)『CS5267 FD-CA-CORE-500』








出典:Amazon
タイプ | キューブ型 |
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素材(本体重量) | アルミ(4.4kg) |
本体サイズ | 250×213×380mm |
対応マザーボード | Mini-ITX |
ベイ(拡張スロット) | 2基 |
端子(搭載位置) | USB 3.0×2、マイク×1、ヘッドホン×1(上部) |
冷却性 | 140mmファン×1/最大3基 |
コンパクトかつ充実装備のキューブ型PCケース
スウェーデンのFractal Design社のCoreシリーズで初となるCube型PCケース。前面パネルはなめらかな手触りの艶消しアルミニウムを採用しています。デザイン性が高いので、部屋のインテリアともマッチします。
対応マザーボードはMini-ITX。5.25インチ×1、3.5インチ×3、2.5インチ×3と充実したドライブベイ。最大310mmの拡張カードが設置でき、ケース上部にUSB 3.0ポート×2、ヘッドフォン出力、マイク入力を装備。
長寿命で低騒音のSilent Series R3ファンを標準搭載し、ケース上部にファンや水冷ラジエータが追加できるなど冷却対策も万全です。サイズは250(W)×213(H)×380(D)mm、重量4.4kgです。

ANTEC(アンテック)『ISK-110 VESA-U3』

出典:Amazon
タイプ | スリムタワー型 |
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素材(本体重量) | 亜鉛メッキ鋼板(1.3kg) |
本体サイズ | 78.6×212×222mm |
対応マザーボード | Mini-ITX |
ベイ(拡張スロット) | 2基 |
端子(搭載位置) | USB3.0×2、USB2.0×2、オーディオ入出力(前面) |
冷却性 | - |
メッシュのパネルやエアースリットで通気性抜群
米国のPCケース/アクセサリーメーカーであるAntec社のスリムなPCケース。0.8mm亜鉛メッキ鋼板(SECC)を採用したフレームは実に堅牢です。
対応マザーボードはMini-ITX。ドライブは2.5インチ×2で、90WパワーACアダプタも付属。日常的に使う電源スイッチ、USB 3.0×2、USB 2.0×2、Audio in/outはケース前面に配置されています。
左のサイドパネルはメッシュタイプで、本体上下や右側面パネルにエアースリットを採用するなど、優れた通気性と冷却性能を実現しています。サイズは78.6(W)×212(D)×222(H)mm、重量約1.3kgです。

IN WIN Development(インウィン)『IW-BK623/300H』














出典:Amazon
タイプ | ミニタワー型 |
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素材(本体重量) | -(4.85kg) |
本体サイズ | 400×408×193mm |
対応マザーボード | Micro-ATX / Mini-ITX |
ベイ(拡張スロット) | 3.5 x 1または2.5 x 1 |
端子(搭載位置) | USB3.0×2、USB2.0×2、HD Audio(前面) |
冷却性 | - |
拡張性が自慢のロングセラー・ミニタワーケース
台湾のIn Win社によるミニタワーケース。縦置き・横置きの両用が可能なロングセラー人気モデルです。とりあえず、小型PCを作りたいという場合には、このケースを選択するといいでしょう。
対応マザーボードはMicro-ATX。5インチベイ×1、3.5インチベイ×1(内蔵ベイ最大2)、フルハイトの拡張PCIスロット×4と、高い拡張性が魅力です。I/OポートはフロントにUSB3.0×2、USB2.0×2、HD Audioを配置。
80PLUS BRONZEを取得して安全かつ高効率な300W電源を搭載。CPU取り付け部のパーテーションプレートによってエアフロー効率を高めており、セカンドファンは必要ありません。サイズは323(W)×140(D)×322(H)mm、重量4.85Kgです。

Thermaltake(サーマルテイク)『Versa H17(CA-1J1-00S1NN-00)』

出典:Amazon
タイプ | ミニタワー型 |
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素材(本体重量) | アルミ(4.5Kg) |
本体サイズ | 38×20.5×39cm |
対応マザーボード | Micro ATX |
ベイ(拡張スロット) | 最大2基(2.5インチおよび3.5インチ) |
端子(搭載位置) | USB 3.0×2、USB 2.0、マイク・ヘッドセットジャック(上部) |
冷却性 | 120mmファン1基・最大3基 |
メンテがやりやすくコスパも高い人気PCケース
台湾のメーカー、Thermaltake社のミニタワー型PCケース。フロントパネルはブラッシュアルミニウム仕上げでとてもシンプル。
対応マザーボードはMicro-ATX、Mini-ITX。最大350mmの拡張カードが搭載でき、ドライブ搭載スペースはすべてマザーボードベース部の裏側に配置。側面パネルが大きく取り外しできるなど、メンテもやりやすくなっています。独自の電源カバーによって、ケース内のケーブル類がまとめられるのが便利です。パーツをよく入れ替える、という人は、このケースがおすすめです。
冷却ファンを最大5つまで搭載可能で、最大280mmの水冷ラジエータも取り付けできます。サイズは205(W)×390(H)×380(D)mm、重量約4.5kgです。
Thermaltake(サーマルテイク)『LEVEL 20 VT (CA-1L2-00S1WN-00)』
































出典:Amazon
タイプ | キューブ型 |
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素材(本体重量) | 強化ガラス(1kg) |
本体サイズ | 100x100x100mm |
対応マザーボード | Micro ATX |
ベイ(拡張スロット) | 5スロット |
端子(搭載位置) | - |
冷却性 | 前面に200mmファンを1基 |
CORSAIR(コルセア)『280X CS7302 (CC-9011136-WW)』


















出典:Amazon
タイプ | ミニタワー型 |
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素材(本体重量) | -(7.1kg) |
本体サイズ | 276×398×351mm |
対応マザーボード | Micro ATX / Mini ITX |
ベイ(拡張スロット) | 4スロット |
端子(搭載位置) | - |
冷却性 | フロント:1×120mmファン、トップ:1×120mmファン |
Cooler Master(クーラーマスター)『MasterBox Q300L (MCB-Q300L-KANN-S00)』


























出典:Amazon
タイプ | ミニタワー型 |
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素材(本体重量) | スチール製(-) |
本体サイズ | 230×378×387mm |
対応マザーボード | microATX、Mini-ITX |
ベイ(拡張スロット) | 4スロット |
端子(搭載位置) | - |
冷却性 | 背面/120mmファン×1 |
ANTEC(アンテック)『Value Solution Series VSK2000-U3』












出典:Amazon
タイプ | スリムタワー型 |
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素材(本体重量) | -(2.4kg) |
本体サイズ | 472x404x178mm |
対応マザーボード | microATX、Mini-ITX |
ベイ(拡張スロット) | 4スロット |
端子(搭載位置) | - |
冷却性 | フロント 1×90mmファン |

KEIAN(ケイアン)『KX-M01』










出典:Amazon
タイプ | スリムタワー型 |
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素材(本体重量) | -(3.7kg) |
本体サイズ | 116×300×415mm |
対応マザーボード | microATX、Mini-ITX |
ベイ(拡張スロット) | 4スロット |
端子(搭載位置) | - |
冷却性 |
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 小型PCケースの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの小型PCケースの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
家電ライターからアドバイス
IT&家電ライター
パーツをいかに効率的に設置できるかがポイント
小型PCケースは内部が狭いので、パーツをいかに効率的にレイアウトできるか、いかに作業しやすいかがポイントになります。とくに端子やスイッチの位置が決められている場合が多いので、自分が使いやすいかどうか確認しておきましょう。
また、内部が狭いぶん、熱もこもりやすくなります。静音性を多少犠牲にしても冷却ファンをできるだけ増やしたり、高性能なCPUクーラーが搭載できる製品を選びたいところです。さらに、空気や熱の効率がいい流れを考えてレイアウトや配線をおこなうことが重要です。最近はパネルをメッシュ仕様にしたり、エアースリットを多く取り入れた製品も増えており、デザイン性も高いのでおすすめです。
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※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/12/02 コンテンツ修正のため記事を更新しました。(協力:マグスター 掲載:マイナビおすすめナビ編集部 名原広雄)
編集プロダクション「マイカ」所属のIT&家電専門ライター。 スマホやパソコン、ストレージ、ネットワークなどIT全般のみならず、家電についての執筆実績が多い。書籍、雑誌、新聞、業界誌やWebコンテンツなど、様々な媒体に記事を提供している。 また、広告やカタログ、導入事例といったB2Bの営業支援ツール制作にも携わる。IT系、家電を中心にコンセントにささるいいモノをおすすめしていきます。 略歴 1973年生まれ。 高等学校の教職員勤務経験を経て、マイカに勤務。雑誌や専門誌のライターとして活躍する。 その後、IT流通の専門誌の記事制作を担当し、B2BからB2Cまで幅広い専門知識を獲得。 最近では、Webメディアやオウンドメディアのの編集企画制作も担当。 著書歴 ・iCloud&iTunes超使いこなしガイド 2019最新版 (三才ムック) ・今すぐ使えるかんたん はじめる&使える MacBook入門(技術評論社) ・スマホの困ったを解決する本 (三才ムック) ・iPhone超活用ガイド (三才ムックvol.988) ・今すぐ使えるかんたんEx iPhone プロ技BESTセレクション(技術評論社)