内蔵HDDとは? データ保存を快適に!
動画や写真が増えてくると、パソコンの容量がすぐいっぱいになってしまうことも多いです。容量を増やしたいときや、経年劣化が気になるときは、内蔵HDDの増設・交換を検討しましょう。
内蔵HDDを新たに導入すれば、手軽に容量が確保できるうえ、データ整理の手間が省けます。また、内蔵HDDは消耗する製品とされているため、データ損失を防ぐためにも役立つでしょう。
内蔵HDDの選び方
ITサポートエンジニアの古賀竜一さんへの取材のもと、内蔵HDDの選び方を紹介します。ポイントは以下です。
【1】適したサイズ
【2】ストレージ容量
【3】転送速度・キャッシュ
【4】インターフェイス
【5】新しい技術
【6】信頼できるメーカー
それぞれ詳しくみていきましょう。
【1】利用する機器に適したサイズをチェック
●タワー型デスクトップパソコンなら3.5インチ
デスクトップパソコンの内蔵HDDを交換したり容量を増設するときは、3.5インチサイズが適しています。タワー型デスクトップなら、ケースに3.5インチ増設用のベイが設けられていることも多いため、かんたんに設置できるでしょう。
3.5インチは、商品バリエーションも豊富でリーズナブルに手に入ります。特段のこだわりがない場合は、3.5インチサイズを選ぶと無難です。
●ノートパソコンや一体型パソコンなら2.5インチ
2.5インチサイズの内蔵HDDは、ノートパソコンや、省スペースタイプの一体型パソコンに使用するのが一般的です。パソコンの仕様によっては、内蔵HDD厚みも制限されるため、厚みもあわせて確認しましょう。
また、PS4の内蔵HDDを交換する場合、2.5インチかつ厚さ9.5mm以下のものしか使用できません。大容量の3.5インチサイズを使いたいときは、ケースも購入すれば外づけのHDDとして利用できます。
【2】用途に十分な容量をチェック
●画像・動画の保存は500GB~4TB
ホームビデオなどの動画・画像データを保存する場合、基本的には1TBの容量があればじゅうぶんです。高画質データを大量に保存したい場合は、もう少し余裕をみて容量を選ぶといいでしょう。
また広く普及している容量の製品ほど、コスパがよくなる傾向があるので、費用面も考えると、容量と価格のバランスがとれたものを選びたいところ。3.5インチは1~4TB、2.5インチは500GB~1TBあたりが、容量・価格ともに、ちょうど利用しやすいでしょう。
●PS4に使うなら容量160GB以上
PS4用として使える内蔵HDDは限られており、容量は160GB以上であることが条件です。システムデータだけで約100GBが利用され、残った容量分が、ゲームのダウンロード・録画に使えます。
クリアしたゲームを消していく場合は500GBでもかまいませんが、ゲームの容量は増加傾向にあるため、ダウンロードコンテンツやオンラインゲームなどの容量が多いものを楽しむのであれば、1TB以上がいいでしょう。
【3】読み書きに関わる転送速度・キャッシュをチェック
●用途や目的に適した「回転数」
「rpm」は、データを読み書きするときの、ディスクの回転数を表す数字です。数値が高いほど高速になるため、重たいソフト・OSのインストールや動画編集、大きいデータを動かすといったことが多い場合は、7,200rpmの高回転型がぴったり。
また、低回転型は、省エネで熱が抑えやすいことや、耐久性が高いことがメリットです。耐久性を重視して選びたいときや、データの保管用に使いたい場合は、5,400rpmが使いやすいでしょう。
●作業がスムーズになる「キャッシュ容量」
キャッシュ容量も転送速度にかかわるスペックで、数値が大きくなるほど速度もあがります。ただ、内蔵HDDの容量が大きいものほど、キャッシュ容量も増えることが多いので、同じ保存容量同士で見比べるようにしましょう。
HDD容量と回転数が同じ商品であれな、よりキャッシュ容量が多いほうが、作業がスムーズになります。
(※)ポイント:高回転数・大容量の方が作業がスムーズ!
九州インターワークス代表者/IT環境保守リペアラー
いまどきのHDDは、普通に使っているとその差がわからないほど高速安定化しています。しかし、大容量のデータ転送時などでは、やはり性能によってパフォーマンスに差が出てしまうことも。頻繁に大容量のデータを扱う機会が多い場合は、スペック値が高いHDDのほうが快適になるのは言うまでもありません。
ですから、そのような用途には7,200rpmのような高回転型で64~256MBの大容量キャッシュを搭載した転送速度が速いものを選ぶようにしましょう。
【4】インターフェイスをチェック
インターフェイスは、パソコン・ゲーム機とHDDをつなぐ端子で、こちらもデータ転送の速度に関係します。「SATA3.0」であれば転送速度が速いため、スムーズな動作を求める場合に適しているでしょう。
商品のスペックに、インターフェイスの種類が記載されていることもあるので、気になる人はチェックしてください。
【5】新しい技術などHDDのメリットで選ぶ
九州インターワークス代表者/IT環境保守リペアラー
HDDは依然として進化が止まらず、プラッタの単位面積あたりの記録密度は伸びつづけています。
そんななか、注目を集めているのがヘリウム封入HDD。HDDは大気開放されているのが普通ですが、そのデメリットをヘリウムを封入することで解消しようというのが、ヘリウム封入HDDです。HDD内の気圧を一定に保つことで、ヘッドクリアランスの安定と発熱の抑制を可能にし、また、大気にさらされていないためトラブル誘引成分の侵入などを防ぐことができます。
ほかにもハイブリッドHDDなどもありますが、やはりなんと言っても技術革新による大容量化は、HDD最大の利点。10TB以上のものもすでに登場し、ますます目が離せないでしょう。
【6】人気メーカーの信頼性もチェック
どれを選ぶか迷ってしまったときは、内蔵HDDで人気のメーカーから選ぶのもいいでしょう。メーカーによっては、システム用・NAS用と、目的別で選びやすいようなラインナップになっていることもあります。
また、大容量タイプを豊富に取り扱っているメーカーや、保証のついた商品を扱っているメーカーもあるため、自分の用途に合った製品を見つけてください。
(※)ポイント:信頼メーカーの方が安心して使える
九州インターワークス代表者/IT環境保守リペアラー
HDDの用途によっては、転送速度よりも信頼性を重視したい場合があると思います。そのような場合は、連続稼動などを想定しているようなものを選んでください。
最近では、HDD自体の性能よりも、運用状況や使用環境などにより製品の信頼性が失われている場合もあります。ですから、使用する環境や使い方に応じ、信頼性があるものを選ぶことがおすすめ。各メーカーでは、メディア用やNAS用など利用シーンによってモデルを種類分けしていますので、それぞれのシーンに応じたものを選ぶといいでしょう。
内蔵HDDおすすめ12選|デスクトップPC向け

Western Digital『WD Red NAS用ハードディスクドライブ(WD30EFRX)』














出典:Amazon

東芝デバイス&ストレージ『Desktop HDD(DT01ACA300)』












出典:Amazon

Western Digital『WD30EURX』










出典:Amazon
省エネで高性能なマルチメディア専用HDD
パソコンやAV関連デバイスでのマルチメディアの利用は、ほかの作業と比べてHDDに対する負荷が非常に高くなります。最近のコンテンツはストリーミングや高画質動画編集、マルチ番組録画、時間差録再などHDDに対する負荷が大きいものばかり。
このHDDはそのような用途に合わせて特化した機能を搭載し、マルチメディアを快適に利用できるように設計されています。とくにInteliPowerという機能は負荷にあわせてHDDの回転数を制御するというもので、連続使用の際に省エネ制御したり、負荷に応じた回転数制御で無駄な発熱を抑えるなどの対処をしています。マルチメディアの利用が多い方におすすめのHDDです。

Seagate『IronWolf NASハードディスク・ドライブ(ST3000VN007)』




















出典:Amazon
Seagate『BarraCuda 3.5" 2TB 内蔵ハードディスク(ST2000DM008)』
















出典:Amazon
東芝『内蔵HDD 3.5インチ 12TB NASモデル(MN07ACA12T-3YW)』


















出典:Amazon
Western Digital『WD Red Plus 4TB 3.5インチ(LHD-WD40EFRX)』












出典:Amazon

Seagate『BarraCuda Pro ハードディスク・ドライブ 10TB(ST10000DM0004)』

出典:Amazon
過酷な環境にも強い大容量ヘリウム充填HDD
最新技術である、「ヘリウム充填(じゅうてん)」のHDDです。ヘリウム充填HDDのメリットは、気圧の変化が大きい場所でも使用可能で、塵や埃、有害な気体などにさらされるような苛酷(かれつ)な環境への耐性が高いこと。そのような環境で使用する場合におすすめのHDDです。
同モデルは、容量10~14TBまでラインナップされ、大容量で256MBの超大容量キャッシュ、7,200rpmの高速回転で高速データ転送も実現しています。5年保証とデータ復旧サービスがついていてサポートも充実。多少高価ですが安心して購入できるHDDとしておすすめです。
Western Digital『WD Blue(WD60EZAZ-RT)』

出典:楽天市場
Toshiba(東芝)『3.5インチ 4TB 内蔵ハードディスク(DT02ABA400)』










出典:Amazon
Seagate『BarraCuda 3.5" 8TB 内蔵ハードディスク(ST8000DM004)』














出典:Amazon
Western Digital『WD Purple(WD40PURZ)』














出典:Amazon
内蔵HDDおすすめ3選|ノートPC向け
Seagate『Barracuda 2.5" 1TB 内蔵ハードディスク(ST1000LM049)』








出典:Amazon
Western Digital『HDD 2TB WD Blue PC 2.5インチ 内蔵HDD(WD20SPZX)』












出典:Amazon
東芝『内蔵HDD 2.5インチ 1TB 薄型モデル(MQ04ABF100)』
![東芝MQ04ABF100[1TB/2.5インチHDD][7mm厚][5400rpm]/SATA6Gb/s接続/1TBプラッタ/バルク品(安心の10ヶ月間保証)](/assets/loading-gif-ef97edf4d1acb90bd8ecfb171d4687ca923b13d386173426bfcb961097a710fe.gif)
出典:楽天市場
「内臓HDD」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 内蔵HDDの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの内蔵HDDの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
HDDは消耗品であることを忘れずに! 【最後に】エキスパートのアドバイス
九州インターワークス代表者/IT環境保守リペアラー
最近のHDDは、高容量化する一方で、かなり安価になって入手しやすくなりました。そういう意味でも、HDDはすでに消耗品として扱われるようになっているということを認識したほうがいいでしょう。ですから、一般ユーザーでもHDDの交換は早めにおこなうことが、データや環境の保全のためにも最善策だと言えます。
また、日ごろからSMART値などでHDDの状態を監視し、異常がないかチェックをおこたらないようにして、少しでも異常が認められれば妙に修復したりせず、すぐに交換という選択が一番です。
最後に注意点ですが、NASはそもそも常時稼動や高負荷な環境で使用されるもの。そのため、各メーカーがその環境下でも信頼性のある設計がされたNAS用HDDをラインナップにしています。
NAS用はその分、高価ですが万が一のデータ喪失がもたらす損失と比べると、価格よりメリットのほうが、はるかに凌駕(りょうが)します。使用するのに価格の問題だけで普通のデスクトップ用HDDを選択するようなことは賢明とは言えません。
データ保存を快適にしよう!
内臓HDDのおすすめ記事はいかがでしたか? 大量のデータ保存をするためにも、最適な内臓HDDを準備する必要があります。利用する機器や、データ容量、転送速度など、選ぶポイントはいくつかありましたね。これらを参考に、ご自身のデバイスにはどんなHDDが必要なのか検討してみましょう。
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※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
令和3年度 中小企業庁 「中小企業119」登録専門家。 ITサポートエンジニアとして2002年に創業しこれまでに数多くのサポート実績があります。 オーダーPCの製作をはじめ、コンピューター端末・周辺機器などのハードウェア、IT環境保守が専門です。 個人、事業所問わず提案型技術アドバイザーとしてIT環境のリプレース、リペアを数多く成功させています。 メディアへの記事監修協力、IT記事寄稿なども行っています。