グラフィックボードの選び方 動画編集や3Dゲームをスムーズに
ITライター・海老原 昭さんに、グラフィックボードを選ぶときのポイントを5つ教えてもらいました。
グラフィック性能で選ぶ 3Dの表示能力
グラフィックボードには、上はウルトラハイエンドから下はローエンドまで、価格も性能も大きく異なる製品があります。ここでいう「性能」はおもに3Dグラフィックの表示能力のことです。
今回ご紹介する2〜3万円前後の製品は主にミドルレンジと呼ばれる層ですが、このなかにも何段階かの性能差があり、価格も異なります。
いまどきの重いゲームを動かしたいなら、予算内でできるだけ最高性能なものを選ぶのがベストですが、ゲームにこだわりがなく、動画編集での利用がメインという人であれば、性能が低めのカードでも構いません。
カードのサイズで選ぶ ハーフレングス・ロープロファイル
ミドルタワーやフルタワー型ケースであればフルサイズのカードが収納できますが、奥行きに余裕がないケースの場合、「ハーフレングス」(6.6インチ)のカードでなければ利用できないことがあります。また同様に、スリムタイプのケースでは利用できるカードの高さに制限があり、「ロープロファイル」のカードでなければ利用できません。
こうした短い・低いカードは部品配置の余裕などの点から、性能が低い場合もあるので注意しましょう。またフルサイズケースでも、カード側の空冷ファンに強力なものを採用している場合、2スロット以上のスペースを占有することもあるので、購入時はサイズをよく確認しましょう。
インターフェースの種類と数で選ぶ Display Port・HDMI・DVI-Dなど
最近のグラフィックボードは出力インターフェースに「Display Port」や「HDMI」といったインターフェースを搭載しています。これらは4K出力に必須のインターフェースで、最近のディスプレイは大体どちらかを搭載していますが、古いディスプレイには「DVI」や「VGA」といったインターフェースにしか対応していないものもあります。もしセカンドディスプレイとして古めのディスプレイをつなぎたい場合は、DVI-Dを搭載した製品を選ぶと便利です。
また、インターフェースの数が多ければ、接続するディスプレイも増やせます。中には1枚で4画面まで対応するものもあるので、マルチディスプレイ環境にしたい場合はおすすめです。
消費電力の少なさで選ぶ 補助電力を要するかどうか
グラフィックボードは性能によって消費電力が違います。ハイエンドな製品は消費電力がCPUよりも高く、PCIeスロット(PCI Express:コンピューターの拡張ボードを挿入するためのスロット)からの電力では足りないため、電源ユニットから直接補助電力を引く必要があります。
ミドルレンジ以下の製品は消費電力が低めなので、こうした補助電力が不要なものが多く、とくにローエンド製品は電源容量の小さなスリムタイプのPCで利用したい場合に便利です。ただしミドルレンジでも、オーバークロックしたものや独自の空冷ファンを搭載している場合、補助電力を要求することがあるので要注意です。
使用するソフトで選ぶ GPGPU対応の有無
最近は動画エンコードなど一部の重い処理をGPUが受け持つ「GPGPU」という考え方が普及してきていますが、ソフト側の対応が必要になります。また、対応していても、NVIDIAの『GeForce』系の「CUDA」にしか対応していないケースもあり、中にはCPU内蔵GPUの機能しか使わない、といったケースまであります。
事前にどのカードをサポートしているのか、よく確認しましょう。また、ローエンドのカードはGPGPUに対応していないケースもあるので要注意です。逆にゲームの場合、カードの種類に関わらずサポートしている機能の多くは共通なので、種類の違いや対応機能を気にする必要はほとんどありません。
おすすめグラフィックボード10選 【人気のメーカー】ゲーム向けや補助電源不要な商品も
うえで紹介したグラフィックボードの選び方のポイントをふまえて、ITライター・海老原 昭さんがおすすめする商品と編集部で選んだ商品を紹介します。

玄人志向『GF-GTX1650-E4GB/OC/DF』
















出典:Amazon
GPU | NVIDIA GeForce GTX 1650 |
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コアクロック/メモリクロ | Boost:1,680MHz/8,000MHz |
メモリサイズ/メモリ規格 | 4GB/GDDR5 |
出力 | DisplayPort×1、HDMI×1、DVI-D×1 |
バス | PCI-Express 3.0(×16) |
冷却/スロット | 空冷ファン/2スロット占有 |
本体サイズ | 幅33×高さ97×奥行181mm |
ハイコストパフォーマンスで万能の1枚
低価格なPCパーツを提供する「玄人志向」ブランドから発売中の『GeForce GTX』シリーズの最新モデル(2019年6月現在)で、『GTX 1050』シリーズの後継となる『GTX 1650』を搭載したカードです。
新しいハイエンドなGPUなので価格帯はやや高くなりますが、『GTX 1050Ti』と比べて20%以上の性能アップを果たしており、さらにオーバークロックも施されているため、ゲーミング用途としては重めの最新タイトルでなければフルHDでもかなり快適に動作します。
補助電源を使用しないため、電源容量が300W程度のPCでも動作する点は魅力です。もちろん動画編集にはじゅうぶんな性能を持っています。ライトゲーマー向けの製品としては最強グラボと言えるでしょう

GIGABYTE『GTX 1050 Ti Windforce OC 4G (GV-N105TWF2OC-4GD)』










出典:Amazon
GPU | NVIDIA GeForce GTX 1050 Ti |
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コアクロック/メモリクロ | OC Mode(Base):1354MHz、Gaming(Base):1328MHz/7008MHz |
メモリサイズ/メモリ規格 | 4GB/GDDR5 |
出力 | Dual-link DVI-D×1、HDMI2.0b×3、DisplayPort-1.4×1 |
バス | PCI-Express 3.0(×16) |
冷却/スロット | 空冷ファン/2スロット占有 |
本体サイズ | 幅40×高さ118×奥行229mm |
マルチディスプレイ&パフォーマンスを両立
グラフィックボードの定番メーカー、GIGABYTE社からリリースされている、『GeForce GTX 1050Ti』を約3%オーバークロックさせたモデルです。
オーバークロックにともない拡張スロットを2スロット占有する巨大なツインファンも搭載するため、補助電源が必要になった点は残念ですが、ゲーム向けにも使えるパフォーマンスを発揮します。
最大の特徴は、インターフェースがDisplay Port、HDMIx3、DVI-D(Dual Link対応)の5ポートもあり、最大で4台のディスプレイに表示できる点。ハイコストパフォーマンスとマルチディスプレイ環境を両立させたい人におすすめです。

GIGABYTE『GV-N1050OC-3GL GTX1050』

出典:Yahoo!ショッピング
GPU | NVIDIA GeForce GTX 1050 |
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コアクロック/メモリクロ | OC Mode(Base):1430MHz、Gaming(Base):1404MHz/7008MHz |
メモリサイズ/メモリ規格 | 3GB/GDDR5 |
出力 | Dual-link DVI-D×1、HDMI2.0b×2、DisplayPort-1.4×1 |
バス | PCI-Express 3.0(×16) |
冷却/スロット | 冷却ファン/2スロット占有 |
本体サイズ | 幅37×高さ68.9×奥行167mm |

PowerColor『AXRX 570 8GBD5-3DHD/OC』

出典:Amazon
GPU | AMD Radeon RX 570 |
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コアクロック/メモリクロ | 1250MHz/7000MHz |
メモリサイズ/メモリ規格 | 8GB/GDDR5 |
出力 | Dual-link DVI-D×1、HDMI×1、DisplayPort×3 |
バス | PCI-Express 3.0(×16) |
冷却/スロット | 冷却ファン/2.5スロット占有 |
本体サイズ | 幅47×高さ137×奥行255mm |
コスパの良いRADEON搭載カードの大定番
RADEON系グラフィックボードをメインに扱うPowerColorのRADEON RX570登載カード。ビデオメモリーを8GB登載している上にオーバークロックも施されており、ライバルとなるGTXシリーズの『GeForce GTX 1650』に匹敵する性能を実現します。また、DisplayPortx3、HDMI、DVI-Dと5つのインターフェースを備えており、同時に4画面表示可能という点も魅力的です。
もちろん、RADEON系の特徴である「Fluid Motion」などの機能も利用可能。補助電源が必要な点は残念ですが、RADEON系でハイコストパフォーマンスとマルチディスプレイ環境を両立したいなら評価が高いこのカードで決まりでしょう。

MSI『GeForce GT 1030 2G LP OC』














出典:Amazon
GPU | NVIDIA GeForce GT 1030 |
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コアクロック/メモリクロ | ブーストクロック:1518MHz、ベースクロック:1265MHz/6008MHz |
メモリサイズ/メモリ規格 | 2GB/GDDR5 |
出力 | HDMI2.0×1、DisplayPort1.4×1 |
バス | PCI-Express 3.0(×16) |
冷却/スロット | 冷却ファン/1スロット占有 |
本体サイズ | 幅19×高さ69×奥行159mm |
4Kマルチディスが可能
世界有数のグラフィックボードやマザーボードメーカーであるMSI社の『GeForce GT 1030』登載ロープロファイルカード。
2017年発売の『GeForce GT 1030』は『GeForce GT 1000』シリーズではローエンドの入門モデルですが、本カードはオーバークロックでやや性能がアップしているのに加え、インターフェースがDisplay Port 1.4とHDMI 2.0で、どちらも4K出力に対応しています(Display Portは8K対応)。安価に4Kデュアルディスプレイ環境を揃えて、4K動画再生などをしたい場合にはもってこいの1枚といえるでしょう。
PCゲーム用としてはいささか頼りない性能ですが、3D処理が比較的ライトなMMORPG系タイトルなどは、設定を低めにすればじゅうぶん遊べます。なお、『GT 1030』を搭載した製品のうち、メモリが「DDR4」のものは、速度がかなり遅いので要注意です。「DDR5」を使っている製品を選びましょう。型番の最後に「D4」とある場合はDDR4を搭載しているものなので、購入時にはよく確認しましょう。
ZOTAC『GAMING GeForce GTX 1650 OC』














出典:Amazon
GPU | GeForce GTX 1650 |
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コアクロック/メモリクロ | Boost: 1695 MHz |
メモリサイズ/メモリ規格 | 4GB/GDDR6 |
出力 | DisplayPort 1.4 HDMI 2.0b Dual Link DVI-D |
バス | PCI Express 3.0 |
冷却/スロット | 空冷ファン/2スロット占有 |
本体サイズ | 151mm x 111.15mm x 38.8mm |
ASUS『Phoenix GeForce GTX 1650 OC(PH-GTX1650-O4G)』






出典:Amazon
GPU | GeForce GTX 1650 |
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コアクロック/メモリクロ | Boost Clock : 1680 MHZ , Base Clock : 1485 MHz/8002 MHz |
メモリサイズ/メモリ規格 | 4GB/GDDR5 |
出力 | DisplayPort×1 (DisplayPort 1.4) HDMI×1 (HDMI 2.0b) DVI(DVI-D×1) |
バス | PCI Express 3.0 |
冷却/スロット | 空冷ファン/2スロット占有 |
本体サイズ | 約190 mm×110 mm×38 mm |
MSI『RADEON RX 570 ARMOR 8G J』




















出典:Amazon
GPU | AMD Radeon RX 570 |
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コアクロック/メモリクロ | 1,244MHz/7,000MHz |
メモリサイズ/メモリ規格 | 8GB/GDDR5 |
出力 | DisplayPort(1.4a)×3、HDMI(2.0b)×1、DVI-D×1 |
バス | PCI-Express Gen3(×16) |
冷却/スロット | - |
本体サイズ | 幅130×高さ39×奥行246mm |
GIGABYTE『NVIDIA GeForce RTX2060(GV-N206SWF2OC-8GD)』










出典:Amazon
GPU | NVIDIA GeForce RTX 2060 Super |
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コアクロック/メモリクロ | Boost clock 1,680MHz/14Gbps |
メモリサイズ/メモリ規格 | 8GB/GDDR6 |
出力 | HDMI×1、DisplayPort×3 |
バス | PCI Express 3.0(×16) |
冷却/スロット | WINDFORCE STACK 3X/- |
本体サイズ | 幅121×高さ40×奥行265mm |
SAPPHIRE『NITRO+ RADEON RX 5700 XT 8G(11293-03-40G VD7077)』












出典:Amazon
GPU | Radeon RX 5700 Graphics |
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コアクロック/メモリクロ | 1,770MHz/14,000MHz |
メモリサイズ/メモリ規格 | 8GB/GDDR6 |
出力 | HDMI×2、DisplayPort×2 |
バス | PCI-Express 4.0 |
冷却/スロット | -/2スロット占有 |
本体サイズ | 幅135×高さ49×奥行306mm |
「グラフィックボード」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする グラフィックボードの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのグラフィックボードの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
GPUの種類の違いはあまり気にしないでOK! 「GeForce」か「Radeon」か
ITライター
グラフィックボードが搭載するGPUは、NVIDIA製の「GeForce」シリーズとAMD製の「Radeon」シリーズの2系統あります。両者の違いは、ゲームならGeForceが最適化されていて有利、Radeonは発色が鮮やかで動画再生時に有利という特徴がありますが、実質的なスペックの差は、同じ価格帯ならほぼないと考えていいでしょう。
両者の最新GPUも性能に大きな差はないので、どちらを選ぶかは純粋に好みで選んで構いません。
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※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(制作協力:tsuge-line、掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/11/11 コンテンツ追加のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 福本航大)
大学在学中よりパソコン総合誌、Windowsプログラミング誌、Mac専門誌の記者/編集者として活動し、その後輸入自動車やカーナビ等のマニュアル翻訳/制作などを経て、フリーランスとして現在に至る。 キャリアは25年目に突入。専門はアップル製品だが、WindowsもAndoridも周辺機器もソフトも等しく愛する何でも屋。