グラフィックボードの選び方 動画編集や3Dゲームをスムーズに
ITライター・海老原 昭さんに、グラフィックボードを選ぶときのポイントを教えてもらいました。
ポイントは下記。
【1】グラフィック性能で選ぶ
【2】ケースの大きさに合ったサイズを選ぶ
【3】インターフェースの種類と数で選ぶ
【4】消費電力の少なさで選ぶ
【5】使用するソフトで選ぶ
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】グラフィック性能で選ぶ 3Dの表示能力
グラフィックボードには、上はウルトラハイエンドから下はローエンドまで、価格も性能も大きく異なる製品があります。ここでいう「性能」はおもに3Dグラフィックの表示能力のことです。
今回ご紹介する製品は主にミドルレンジと呼ばれる層ですが、このなかにも何段階かの性能差があり、価格も異なります。
いまどきの重いゲームを動かしたいなら、予算内でできるだけ最高性能なものを選ぶのがベストですが、ゲームにこだわりがなく、動画編集での利用がメインという人であれば、性能が低めのボードでも構いません。
なお、グラフィックボードを長く使いたいという場合は、推奨スペックよりひとつ上のものを選ぶのがおすすめ。必要スペックが上がったとしても、手持ちのグラフィックボードで対応できます。
【2】ケースの大きさに合ったサイズを選ぶ ハーフレングス・ロープロファイル
ミドルタワーやフルタワー型ケースであればフルサイズのグラフィックボードが収納できますが、奥行きに余裕がないケースの場合、「ハーフレングス」(6.6インチ)でなければ利用できないことがあります。
また同様に、スリムタイプのケースでは利用できるボードの高さに制限があり、「ロープロファイル」でなければ利用できません。
短い・低いグラフィックボードは部品配置の余裕などの点から、性能が低い場合もあるので注意が必要。フルサイズケースでも、ボード側の空冷ファンに強力なものを採用している場合、2スロット以上のスペースを占有することもあるので、購入時はサイズをよく確認しましょう。
【3】インターフェースの種類と数で選ぶ Display Port・HDMI・DVI-Dなど
最近のグラフィックボードは出力インターフェースに「Display Port」や「HDMI」といったインターフェースを搭載しています。これらは4K出力に必須のインターフェースで、最近のディスプレイは大体どちらかを搭載しています。
古いディスプレイには「DVI」や「VGA」といったインターフェースにしか対応していないものもあります。
もしセカンドディスプレイとして古めのディスプレイをつなぎたい場合は、DVI-Dを搭載した製品を選ぶと便利です。
また、インターフェースの数が多ければ、接続するディスプレイも増やせます。中には1枚で4画面まで対応するものもあるので、マルチディスプレイ環境にしたい場合はおすすめです。
【4】消費電力の少なさで選ぶ 補助電力を要するかどうか
グラフィックボードは性能によって消費電力が違います。ハイエンドな製品は消費電力がCPUよりも高く、PCIeスロット(PCI Express:コンピューターの拡張ボードを挿入するためのスロット)からの電力では足りないため、電源ユニットから直接補助電力を引く必要があります。
ミドルレンジ以下の製品は消費電力が低めなので、こうした補助電力が不要なものが多く、とくにローエンド製品は電源容量の小さなスリムタイプのPCで利用したい場合に便利です。
ただしミドルレンジでも、オーバークロックしたものや独自の空冷ファンを搭載している場合、補助電力を要求することがあるので要注意です。
【5】使用するソフトで選ぶ GPGPU対応の有無
最近は動画エンコードなど一部の重い処理をGPUが受け持つ「GPGPU」という考え方が普及してきていますが、ソフト側の対応が必要になります。また、対応していても、NVIDIAの『GeForce』系の「CUDA」にしか対応していないケースもあり、中にはCPU内蔵GPUの機能しか使わないといったケースまであります。
事前にどのカードをサポートしているのか、よく確認しましょう。また、ローエンドのカードはGPGPUに対応していないケースもあるので要注意です。逆にゲームの場合、カードの種類に関わらずサポートしている機能の多くは共通なので、種類の違いや対応機能を気にする必要はほとんどありません。
おすすめグラフィックボード5選 【人気のメーカー】ゲーム向けや補助電源不要な商品も
上記で紹介したグラフィックボードの選び方のポイントをふまえて、ITライター・海老原 昭さんがおすすめする商品と編集部で選んだ商品を紹介します。

マルチディスプレイ&パフォーマンスを両立
グラフィックボードの定番メーカー、GIGABYTE社からリリースされている、『GeForce GTX 1050Ti』を約3%オーバークロックさせたモデル。
オーバークロックにともない拡張スロットを2スロット占有する巨大なツインファンを搭載。補助電源が必要になった点は残念ですが、ゲーム向けにも使えるパフォーマンスを発揮します。
最大の特徴は、インターフェースがDisplay Port、HDMIx3、DVI-D(Dual Link対応)の5ポートもあり、最大で4台のディスプレイに表示できる点。
ハイコストパフォーマンスとマルチディスプレイ環境を両立させたい人におすすめです。

4Kマルチディスが可能
世界有数のグラフィックボードやマザーボードメーカーであるMSI社の『GeForce GT 1030』登載ロープロファイルカード。
2017年発売の『GeForce GT 1030』は『GeForce GT 1000』シリーズではローエンドの入門モデルですが、本ボードはオーバークロックでやや性能がアップ。
インターフェースがDisplay Port 1.4とHDMI 2.0で、どちらも4K出力に対応(Display Portは8K対応)。安価に4Kデュアルディスプレイ環境を揃えて、4K動画再生などをしたい場合にはもってこいの1枚といえます。
PCゲーム用としてはいささか頼りない性能ですが、3D処理が比較的ライトなMMORPG系タイトルなどは、設定を低めにすればじゅうぶん遊べます。
なお、『GT 1030』を搭載した製品のうち、メモリが「DDR4」のものは、速度がかなり遅いので要注意です。
「DDR5」を使っている製品を選びましょう。型番の最後に「D4」とある場合はDDR4を搭載しているものなので、購入時にはよく確認しましょう。
小型でPCのゲームなど幅広いシステムに柔軟に対応
ゲーミングPC「MEK」や、ミニPC「ZBOX」を展開するZOTAC社のグラフィックボード。
全長151mmという非常にコンパクトなサイズの中に、『GeForce GTX 1650』を搭載。さらに、冷却ファンはシングルで、補助電源が不要なタイプなので小型のPCケースでも組み込みやすいモデルとなっています。

コスパの良いRADEON搭載ボードの大定番
RADEON系グラフィックボードをメインに扱うPowerColorのRADEON RX570登載ボード。
ビデオメモリーを8GB登載している上にオーバークロックも施されており、ライバルとなるGTXシリーズの『GeForce GTX 1650』に匹敵する性能を実現します。
また、DisplayPortx3、HDMI、DVI-Dと5つのインターフェースを備えており、同時に4画面表示可能という点も魅力的です。
もちろん、RADEON系の特徴である「Fluid Motion」などの機能も利用可能。補助電源が必要な点は残念ですが、RADEON系でコスパとマルチディスプレイ環境を両立したいなら高評価のこのボードで決まりでしょう。
初めてPCを作成する人におすすめ!
マザーボードやノートパソコンなどでおなじみのASUS社のグラフィックボード。グラフィックボードの性能も十分で、初めてPCを組み立てる方やPCゲームを始める方にも導入しやすいモデルです。
耐久性にすぐれたデュアルボールベアリング設計のファンが搭載され、ほこりの侵入を防ぐIP5Xの防塵性能が認定されています。
「グラフィックボード」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの人気ランキング グラフィックボードの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場でのグラフィックボードの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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GPUの種類の違いはあまり気にしないでOK! 「GeForce」か「Radeon」か
グラフィックボードが搭載するGPUは、NVIDIA製の「GeForce」シリーズとAMD製の「Radeon」シリーズの2系統あります。両者の違いは、ゲームならGeForceが最適化されていて有利、Radeonは発色が鮮やかで動画再生時に有利という特徴がありますが、実質的なスペックの差は、同じ価格帯ならほぼないと考えていいでしょう。
両者の最新GPUも性能に大きな差はないので、どちらを選ぶかは純粋に好みで選んで構いません。
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