マザーボードとは
マザーボードは、CPUやメモリ、グラフィックボードなど、PCに必要なパーツを取り付ける電子回路基板です。
メインボード、システムボードなどと呼ばれることもあります。マザーボードは製品によって対応するパーツの種類が異なることがあり、どんなマザーボードを選ぶかによってPCの大まかな性能が決まってきます。
とくに、搭載されているチップセットやCPUソケットのタイプによって、使えるCPUが異なる点には注意が必要です。また、一度PCを組み立てた後は、マザーボードを交換するためにはすべてのパーツを取り外す必要があるため、とても手間がかかります。そのため、あとから新たなパーツを追加したくなったときに対応できるよう、なるべく新しい製品で、拡張性の高いものを選ぶとよいでしょう。
マザーボードの選び方
それでは、マザーボードの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の7つ。
【1】搭載チップセット
【2】CPUソケットの種類
【3】オーバークロックの可否
【4】サイズ(フォームファクタ)の大きさ
【5】メモリスロット
【6】用途
【7】インターフェース
上記の7つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】搭載チップセットをチェック
マザーボードごとに搭載できるCPUが決まっています。インテル製とAMD製といったメーカーの違いもありますが、さらにCPUを取り付けるソケットの形状が複数あります。
とくに、インテル用の『LGA1151』ソケットは形状が同じでも、第7世代CPU用と第8世代CPU用に分かれており、互換性がありません。チップセットで見分けるしかないので、購入前によく確認しておきましょう。またCPU自体は使えても、安価な製品用のチップセットではメモリの帯域が限られているなど、機能が制限される場合もあります。
逆に、最上位チップセットはサーバー用などで、使わない機能満載ということもあります。チップセットはマザーボードの性格を決める大事な要素なので、使いたいCPUや機能も含めて、よく吟味しましょう。
【2】CPUソケットの種類をチェック
CPUを取り付けるためのCPUソケットにもいくつかの種類があり、それぞれ対応するCPUが異なります。
たとえばIntel製CPUなら、第6世代と第7世代(Core i5、Core i7などの6000番台と7000番台)のCPUに対応するのがLGA1151、第8世代と第9世代はLGA1151v2、2020年に登場した最新の第10世代ならLGA1200、というように、使用できるCPUが決まっています。
AMDの場合も現在主流のRyzenに対応するのがAM4、Ryzen ThreadripperはTR4となっています。使いたいCPUに対応するソケットが搭載されているかどうか、忘れずに確認しておきましょう。
【3】オーバークロックの可否をチェック
CPUは本来、動作するクロック周波数速度や電圧などが厳密に決まっていますが、ユーザーがカスタマイズして規定よりも高速に動作させること、すなわち「オーバークロック(オーバークロッキング)」が可能です。
ゲームなどで、少しでも速く動作させると有利な場合にオーバークロッキングを試みるユーザーがいますが、マザーボードによってはオーバークロックのためのインターフェースと設定があらかじめ用意されており、容易に電圧や動作倍率を変更することができます。性能を重視する人はこうした機能の有無を確認してみましょう。
【4】サイズ(フォームファクタ)の大きさをチェック
マザーボードにはフォームファクタという規格があり、サイズや構成が決められています。これによって、PC全体の大きさや拡張性が決まってきます。目的に合わせて選びましょう。
ATX
ATXは305×244mmのサイズで、ミドルタワーやフルタワーケースで使いたい場合におすすめです。接続端子の数が多く、拡張性が高いことがメリットです。
MicroATX
MicroATXは244×244mmとコンパクトで、ミニタワーケースに適しています。設置場所が限られるなどの理由で、コンパクトなPCを作りたい場合に最適ですが、ATXよりも接続端子が少なく、ゲーム用などハイエンドのPCには向いていないことは覚えておきましょう。
Mini-ITX
サブ用などで、端子の数や拡張性にはこだわらない、とにかく小型のPCを作りたい、という場合には、さらにコンパクトな170×170mmサイズのMini-ITXもあります。
【5】メモリスロットをチェック
メモリスロットに取り付けることができるメモリも、マザーボードによって違うことがあります。現在主流となっているDDR4規格のメモリに対応した製品がほとんどですが、少し前の規格のDDR3とは互換性がありません。以前のPCで使っていたメモリを使いたい場合は、この点をよく確認してください。
また、より高性能なメモリを使いたい場合は、メモリの動作クロックもチェックしておきましょう。動作クロックとは、メモリのデータ転送の速度を示すもので、2400MHz、3200MHzなどの数字で示されます。この数値が大きいほど高性能なメモリを使えます。
【6】用途をチェック
ネットサーフィンや動画を視聴するのがメインなのか、それともゲームや動画編集がメインなのかによってマザーボードのスペックが変わります。
ここでは、用途による選び方の違いについてご紹介します。
ゲーミングや動画編集なら
ゲームや動画編集など、PCに負荷のかかる重い処理を行なう場合は、ハイエンドマザーボードと呼ばれるハイスペックなものがおすすめです。
CPUをより高い周波数で動作させるオーバークロックや、2枚のグラフィックボードを使ってグラフィックの能力を向上させるマルチGPUなどの機能が搭載されていれば、通常のPCでは動作がもたつくような重い処理でも、快適に行なうことができます。
また、ゲーミングマザーと呼ばれるタイプは、マザーボード上のメモリやチップセットなどの冷却を考慮したものが多く、重い処理を長時間続ける場合にも安心です。
ネットサーフィンや動画視聴なら
ネットサーフィンや動画視聴、Webサイトの閲覧やメールの送受信、オフィスソフトの作業などがメインの用途である場合は、ミドルクラス、またはエントリークラスの「ミドルレンジマザーボード」や「ローエンドマザーボード」でも問題ありません。
ミドルレンジマザーボードには処理能力が高いチップセット、ローエンドマザーボードには廉価版チップセットが使用されています。パフォーマンスを重視するならミドルレンジを選びましょう。
【7】インターフェースをチェック
インターフェース周りなどは、拡張カードの増設でカバーできるものもありますが、CPUを刺さなくてもUSBメモリでファームウェアを更新できる機能や、グラフィックカードを2枚ペアで使うマルチGPU機能とそれに使うPCIe x16スロットの数などは後から拡張できないので、今後の拡張計画なども踏まえて選びましょう。
ここでは、PCI ExpressとSerial ATA(SATA)の特徴についてご紹介します。
PCI Express
PCI Expressは、データ伝送速度が非常に速いインターフェースで、グラフィックボードやSSDの接続に使われます。とくに、ゲームプレイ時や動画編集でパソコンのグラフィック性能を上げたい場合は、高性能グラフィックボードに対応している「PCI Express×16」がおすすめです。
Serial ATA(SATA)
Serial ATA(SATA)とは、マザーボードにHDDやSSD、光学ドライブなどを接続するためのインターフェースです。SATAに接続する機器の数が多いほど余裕をもってSATAポート数を選ぶ必要があります。また、なかには10GB/sなどの高速データ転送に対応したタイプもありますので、予算に余裕があればこうしたものもおすすめです。
マザーボードおすすめ15選
選び方のポイントをふまえ、マザーボードのおすすめ商品をご紹介します。それぞれ性能差があるので、しっかり性能比較して自分の用途にあったものを選びましょう。

冷却にも配慮したハイエンドゲーミングマザーボード
ATXより幅が大きい「E-ATX」規格を採用した、ASUS製ゲーミング用マザーボードの最上位モデルです。
「Z390」チップセットを搭載し、第9世代Coreプロセッサーに対応します。M.2 SSDを最大4台搭載できたり、LANポートもゲーム用に最適化されるなど、とにかくゲームを快適に遊ぶための装備が満載されています。
発熱量の多いパーツを搭載するため、冷却用ファンや水冷ポンプなどに電源を供給するためのコネクターも多数用意されており、GPUやCPU、SSDなどが発する熱を効率よく処理できます。価格もハイエンドですが、Intel製CPUで本気のゲーミングPCを組むなら外せない1枚です。


MSI(エムエスアイ)『H310M PRO-VDH』
とにかく安価にCore iシリーズで組みたい人に
第8世代Coreプロセッサーに対応する最も安価なチップセット「H310」を搭載したmicroATX規格のマザーボードです。
H310はバス速度が他のチップセットの半分で、PCI EXPRESSの世代も1つ前でレーン数も少なく、USBポートの数も少ないなど、機能面でも性能面でも制限が多いのですが、マザーボードは実勢価格で8,000円を切るケースが多く、CPUやメモリ類などをすべて足しても5万円程度で1台組めてしまうコストパフォーマンスが最大の特徴です。
とにかく安価にCoreプロセッサーやCeleron、Pentiumシリーズで1台組みたい、というケースにピッタリな製品です。

超小型PCでも性能に妥協なし
microATXよりもさらに小さい、Mini-ITX規格のマザーボードです。17×17cmの小さなマザーボードですが、Z390チップセットを搭載し、第8世代/第9世代Coreプロセッサーを内蔵可能です。
Wi-Fiの名のとおり、IEEE802.11ac規格の無線LANカードを内蔵しており、外部アンテナを繋げばすぐに無線LANを使った通信が可能です。
Mini-ITX規格のマザーボードはコンパクトさを生かせる代わりに性能がイマイチというケースが多いのですが、本機はCore i7などパワフルなCPUも搭載できます。このパワーを生かし、コンパクトでも性能面での妥協がない1台を組むことができます。
高耐久パーツ採用!低価格のゲーム用マザーボード
H370チップセット搭載、インテル製第8/第9世代CPUに対応する低価格のゲーミングマザーボードです。耐久性の高いパーツを採用した「TUF」シリーズの製品で、ミリタリーグレードのチョークコイルやコンデンサを使用するほか、PCIeスロットには独自の補強によりグラフィックボードを保護できるSAFESLOTを採用しています。
ゲーム向け機能としては、ゲーミングヘッドセットで音源の位置を再現できる「DTSカスタム」を搭載。MMORPGやアクション用、RTSやストラテジー用、ステルスプレイ用にそれぞれモードを切り替えることができ、各ジャンルに最適なサウンドでゲームを楽しめます。
MSI『MPG Z390 GAMING PRO CARBON』
オーディオ機能の充実したゲーミングマザー
スーパーカーの形状からインスパイアされたという、ユニークなデザインが特徴のゲーミングマザーボード。「Mystic Light」対応で、マザーボードやグラフィックボード上のLEDや、RGBピンに接続したLEDを、色やパターンを指定してカラフルに光らせることができます。PCIe Gen3 x4のTurbo M.2スロットを2つ搭載、SSDを冷却する大型のヒートシンク「M.2 Shield Frozr」も装備しています。
ゲームに欠かせないオーディオ機能も充実していて、オーディオ回路を独立させて電磁干渉を防いでいるほか、ヘッドホンのインピーダンスを自動認識する専用のヘッドホンアンプを内蔵、ボイスチャットの音声を明瞭にするVOICE BOOST機能も搭載されています。
高耐久の低価格MicroATXマザーボード
Intel H310チップセットを搭載するMicroATXのマザーボード。耐久性、信頼性を高める「5X Protection III」が採用されたモデルで、保持力の高い強化されたPCIeスロットや、従来の3倍の耐久性を持つステンレス製の背面I/Oパネルが使われているほか、ネットワークの過電圧防御機能や安定したデジタル電源制御機能などが搭載されています。
CPUファンとケースファンの回転速度を、温度に応じて細かく制御できる「Fan Xpert」も搭載しており、PCの静音化も簡単に設定できます。コストパフォーマンスを重視したミニタワーPCを構築したい人におすすめです。
「マザーボード」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする マザーボードの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのマザーボードの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
【関連記事】マザーボードに関するそのほかのおすすめ記事
最後に|エキスパートのアドバイス
ITライター
外部インターフェースの数と種類にも注目
マザーボードにはさまざまなインターフェースが付いていますが、製品によって数や種類には差があります。たとえば、もっともよく使われるUSBの規格はバージョン3.1 Gen.2が最新で、ポートの形状は従来のType-Aに加えてType-Cも普及してきています。
ところがマザーボードによっては、サポートするUSBポートがUSB 3.1 Gen.1までだったり、USB 2.1のポートがあったりします。高速なポートを期待して繋いでみたら全然速度が出なかった、ということもあり得るのです。これは他のインターフェースにも言えることなので、購入時はインターフェースの種類や数にも注目しておきましょう。
※記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
大学在学中よりパソコン総合誌、Windowsプログラミング誌、Mac専門誌の記者/編集者として活動し、その後輸入自動車やカーナビ等のマニュアル翻訳/制作などを経て、フリーランスとして現在に至る。 キャリアは25年目に突入。専門はアップル製品だが、WindowsもAndroidも周辺機器もソフトも等しく愛する何でも屋。