【富士フイルム】望遠レンズの選び方 写真家、カメラ評論家に聞く
写真家、カメラ評論家でもある田中希美男さんに、富士フイルムの望遠レンズを選ぶときのポイントを教えてもらいました。
Xマウントレンズ「XFシリーズ」「XCシリーズ」を比較
写真家、カメラ評論家
富士フイルムのカメラはすべてAPS-C判センサーを使用しており、レンズ交換式ミラーレスカメラ本体の「Xシリーズ」、カメラボディ、交換レンズのマウントは「Xマウント」です。
そのXマウントレンズには「XFシリーズ」と「XCシリーズ」があります。富士フイルムのレンズ入門のおすすめとして、この記事ではX主にFレンズの中からおすすめを選びました。
XFシリーズ
高性能な商品が多いXFレンズ!こちらの商品は美しいぼけ味を楽しむことができます。
「XFシリーズ」のレンズには、開放F値が明るくて高性能なレンズが多くそろっています。すべてのレンズマウントは金属製。なかには防塵、防滴、耐低温の構造を備えたレンズもあります。ほんの一部のレンズを除いて、絞り値を手動で設定できる絞りリングがあります。XFレンズは高級タイプのシリーズで、価格は少し高めです。
XCシリーズ
「XCシリーズ」のレンズの特徴は、小型で軽量なレンズであることです。軽量化と低コストを優先してレンズマウントはプラスチック製です。絞りリングは備わっておらず、絞り値設定はカメラ側から行ないます。XFレンズに比べて低価格です。現在はラインナップされているレンズ本数も少なく、ボディキット用として使われているレンズもあります。
XFレンズには絞りリングが備わっているのが特徴
写真家、カメラ評論家
XFシリーズのレンズの多くには、絞り値を設定するための絞りリングが備わっていています。XシリーズのカメラやXFレンズでは当初から電子(電気)制御式を採用しているのですが、コンセプトとしてカメラもレンズも操作はできるだけアナログ式(メカ制御式)を採用することを優先する設計です。そこがXシステムの大きな特長でもあります。
絞りリングには絞り値が1段ずつ印字されていて(開放F値変化の一部のズームレンズを除く)、リング回転は1/3段づつクリックがあるので、絞り値1/3段の設定ができます。絞りリングのあるレンズは、いわばアナログ式でレンズ外観をひと目見ただけで、現在の絞り値が瞬時に判別できる利点があります。XFレンズの魅力は絞りリングがあることですので、できるだけ絞りリングのあるレンズを選ぶことをおすすめします。
ピントの合わせ方に注目する
描写の合わせ方は写真の質を大きく左右します。こちらの商品は低価格ながら描写性能に関しては優れています。
写真家、カメラ評論家
AFレンズのピントの合わせ方は、光学系の一部(レンズ・反射鏡・プリズムなど)または全部をレンズ内部で前後に移動させています。前後移動する光学系が小さくて軽ければ、小さくて非力なモーターでもスピーディーに動作できます。
前群移動フォーカス方式や全群移動フォーカス方式と呼ばれており、この方式の欠点はAFスピードが遅くなることですが、逆に美しいぼけ味を得られること、撮影距離にかかわらず安定して優れた描写性能があること、とくに近距離で目立ってくる収差の影響を受けにくいといった利点があります。
XFレンズ、とくに大口径単焦点レンズには、前群移動式や全群移動式を採用して敢えてAFスピードを犠牲にして描写性能を最優先したレンズがあり、描写性能に特化したレンズを選びたいときはピントの合わせる方式に着目しましょう。
【富士フイルム】望遠レンズのおすすめ商品10選 最小絞り値・最大撮影倍率・手振れ補正の有無もチェック!
上で紹介した選び方のポイントをふまえて、写真家/カメラ評論家の田中希美男さんと編集部が厳選した富士フイルム望遠レンズのおすすめ商品を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

富士フイルム『フジノンレンズ XF56mmF1.2 R APD』














出典:Amazon
レンズ構成、絞り羽根枚数 | 8群11枚 |
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最小絞り | F16 |
最短撮影距離 | 0.7m |
最大撮影倍率 | 0.09倍 |
フィルター径 | 62mm |
最大径×長さ、重さ | 73.2mm×69.7mm、405g |
手ぶれ補正 | - |
美しいぼけ味と描写を可能にした高級レンズ
フルサイズ換算で84mm相当の、開放値がF1.2の中望遠レンズです。F1.2やF1.4などの明るいF値で撮影する場合、ぼけのカタチや描写の具合がとても重要になってきます。
ピントが合ったシャープな部分から、なだらかに自然なカタチでぼけていくこと、が理想的なぼけ味。それを生み出すためにアポダイゼーション(APD)という特殊フィルターをレンズ光学系の中に埋め込んでいるのが、この『XF56mmF1.2 R APD』レンズです。
ポートレート撮影だけでなく花や風景、静物など、美しいぼけ味の写真を望むなら最適なレンズだと言えます。素晴らしいレンズで、その写りに感動して購入してしまいました。

富士フイルム『フジノンレンズ XF60mmF2.4 R Macro』














出典:Amazon
レンズ構成、絞り羽根枚数 | 8群10枚、9枚(円形絞り) |
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最小絞り | F22 |
最短撮影距離 | 26.7cm |
最大撮影倍率 | 0.5倍 |
フィルター径 | 39mm |
最大径×長さ、重さ | 64.1mm×63.6mm、215g |
手ぶれ補正 | - |
低価格ながら描写は一級品の中望遠マクロ
フルサイズ換算で90mm相当の、マクロレンズとしてもっとも使いやすい画角のレンズです。XFレンズにはもう1本「XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro」というマクロレンズもあります。そちらは手ぶれ補正、防滴・防塵・耐低温を内蔵するなど高スペックなレンズですが、実用上の画角を考えると80mmよりも60mmのほうが使い勝手は数段上だと思います。
80mmだとクローズアップ撮影時はフレーミングやピント合わせに相当神経質にならなくてはいけませんが、60mmならだいぶ気軽にクローズアップ撮影ができるうえ、購入価格も手頃です。このような理由からXF60mmマクロのほうをおすすめレンズとしました。

富士フイルム『フジノンレンズ XF90mmF2 R LM WR』
















出典:Amazon
レンズ構成、絞り羽根枚数 | 8群11枚、7枚(円形絞り) |
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最小絞り | F16 |
最短撮影距離 | 0.6m |
最大撮影倍率 | 0.2倍 |
フィルター径 | 62mm |
最大径×長さ、重さ | 75.0mm x 105mm、540g |
手ぶれ補正 | - |
高速AFに防塵防滴を備えた大口径レンズ
フルサイズ換算で137mm相当のレンズ。開放F値はF2と明るく、ぼけを生かした撮影が楽しめます。
LMとはAF駆動用のリニアモーター(Linear Motor)のこと。じつはこの90mmはクワッドリニアモーター式と言い、LMを4つも使っています。AFでピントを合わせるためハイパワーな4つのLMを効率が良いよう円周状に配置して、高速移動させているのです。
WRは防塵防滴耐低温の構造を備えたレンズのこと(Weather Resistant)。最短撮影距離は60cmですから、ちょっとした望遠マクロ撮影レンズとしても使用できます。描写性能は高く、非の打ち所がないほどのすぐれた写りをします。

富士フイルム『フジノンレンズ XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR』






















出典:Amazon
レンズ構成、絞り羽根枚数 | 16群23枚、7枚(円形絞り) |
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最小絞り | F22 |
最短撮影距離 | 1m |
最大撮影倍率 | 0.12倍 |
フィルター径 | 72mm |
最大径×長さ、重さ | 82.9mm×175.9mm、995g |
手ぶれ補正 | 5.0段 |
コンパクトだが実用性のあるレンズ
他社フルサイズの定番望遠ズームレンズ、70mm~200mmF2.8に相当するレンズです。しかしそうした一般的な望遠ズームレンズに比べるとこのレンズはとても小型で軽量に仕上げられています。最短撮影距離は1mで、トリプルリニアモーター方式で遠距離から至近まで高速AFでピントが合わせられます。
レンズ内蔵の手ぶれ補正も強力で、シャッタースピード換算で最大5段ぶんの補正効果があります。さらに、富士フイルム独自開発の多層コーティング(HT-EBC)と、最新型のナノGIコートを採用することで、フレア/ゴーストの発生を抑え、ヌケのよいクリアーな画像を得られるようにしています。花の写真などをを鮮明に写したいのであればこちらのレンズをおすすめします。

富士フイルム『フジノンレンズ XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR』
















出典:Amazon
レンズ構成、絞り羽根枚数 | 14群21枚 、9枚(円形絞り) |
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最小絞り | F22 |
最短撮影距離 | 1.75m |
最大撮影倍率 | 0.19倍 |
フィルター径 | 77mm |
最大径×長さ、重さ | ø94.8mm×210.5mm(ワイド端)/270mm(テレ端)、1,375g |
手ぶれ補正 | 5.0段分 |
ズーム全域で優れた描写性能を誇るレンズ
フルサイズ換算で約150mmから約610mm相当の画角をカバーできます。EDレンズ5枚、スーパーEDガラスレンズを1枚を含む14群21枚構成という贅沢な光学設計で、望遠レンズで目立ちやすい軸上色収差を補正可能。それでいて、レンズ全長は20cmそこそこ、重さも1.3kgに抑えているのには注目してもいいでしょう。防塵・防滴・耐低温仕様になっていますから厳しい条件での撮影もできます。
レンズ内蔵の手ぶれ補正(OIS)の補正効果はシャッタースピード換算で5.0段。補正なしでは1/250秒でやっとぶらさないで撮れるシーンが、OISをONにするだけで1/8秒で手持ち撮影も不可能ではないということです。自然豊かな場所に出向いて一瞬を切り取るのにおすすめできるレンズと言えます。
FUJIFILM フジフイルム 『標準ズームレンズ XF 16-55mm F2.8 (R LM WR)』
















出典:Amazon
レンズ構成、絞り羽根枚数 | 12群17枚 |
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最小絞り | ー |
最短撮影距離 | ー |
最大撮影倍率 | ー |
フィルター径 | 77mm |
最大径×長さ、重さ | ー |
手ぶれ補正 | なし |
FUJIFILM 『超広角ズームレンズ XF10-24mmF4 (R OIS)』














出典:Amazon
レンズ構成、絞り羽根枚数 | 10群14枚 |
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最小絞り | ー |
最短撮影距離 | ー |
最大撮影倍率 | ー |
フィルター径 | 72mm |
最大径×長さ、重さ | ー |
手ぶれ補正 | あり |
FUJIFILM 『単焦点広角レンズ XF23mmF2 (R WR B ブラック)』
















出典:Amazon
レンズ構成、絞り羽根枚数 | 6群10枚 |
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最小絞り | ー |
最短撮影距離 | ー |
最大撮影倍率 | ー |
フィルター径 | 43mm |
最大径×長さ、重さ | ー |
手ぶれ補正 | あり |
FUJIFILM 『交換レンズ XF8-16mm F2.8 (R LM)』






出典:Amazon
レンズ構成、絞り羽根枚数 | 13群20枚 |
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最小絞り | 22f |
最短撮影距離 | 0.25m |
最大撮影倍率 | - |
フィルター径 | 88mm |
最大径×長さ、重さ | - |
手ぶれ補正 | なし |
FUJIFILM 『交換レンズ80mm XF80MMF2.8 (R LM OIS WR)』

出典:Yahoo!ショッピング
レンズ構成、絞り羽根枚数 | 12群16枚 |
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最小絞り | ー |
最短撮影距離 | ー |
最大撮影倍率 | ー |
フィルター径 | 62mm |
最大径×長さ、重さ | ー |
手ぶれ補正 | 5段階 |
「富士フイルム・望遠レンズ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 富士フイルム・望遠レンズの売れ筋をチェック
Yahoo!ショッピングでの富士フイルム・望遠レンズの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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レンズを選ぶときに覚えておきたい記号の意味 写真家/カメラ評論家からのアドバイス
写真家、カメラ評論家
XF/XCレンズはすべてAF対応レンズですが、AF駆動するためのモーターにはいくつか種類があります。「LM」はリニアモーター(超音波モーターの一種)の略で静かで高速なAF駆動をするので、とくに動画撮影などに適しています。その他のモーター(DCモーターなど)については特別に記号は付けてません。「PZ」はパワーズームの略でズーミングを内蔵モーターでおこなうレンズです。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
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※2020/12/05 コンテンツ追加・修正のため記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 名原広雄)
多摩美術大学付属多摩芸術学園・写真科卒業。撮影分野は、おもにクルマを中心に人、モノ、料理、風景、スナップ、ファッション、ドキュメントなど被写体を問わない。 ほかに、カメラ雑誌などに新型カメラやレンズのテストのレポート、撮影技法などの解説をする。