トルクレンチとは?
トルクレンチは、ボルトやナットといったネジ類を締める際、仕上げとして「正確な力で締める」ことを専門としたレンチのこと。自動車やバイク、ロードバイクなどの整備をはじめ、工事や建設現場でも非常に便利な工具です。力の入れ具合がわかる目盛りや計測器がついている商品など幅広く販売されています。
自動車やバイク、ロードバイクの整備ではネジ締めはとくに繊細で、強く締めすぎるとネジが割れる・潰れる、緩すぎても部品が外れるなどのトラブルが起きるため、正確な力加減で締めなければなりません。整備をおこなう際は、事故防止のためにも正しいトルクレンチを使用することが大切です。本記事を参考に、正しい選び方でトルクレンチを選びましょう。
正しいトルクレンチの選び方
空間デザイン・DIYクリエイター・網田 真希さんに取材をして、トルクレンチの選び方のポイントを教えていただきました。タイプやトルク値をよくチェックすることが大切です。ぜひトルクレンチ選びの参考にしてください。
【1】トルクレンチの種類をチェック
●プレセット型:トルク値を自分で設定するタイプ
プレセット型のトルクレンチは、トルク値を自分で設定するタイプ。使い方は、作業前にトルク値を設定し、あとはネジを締めていくと、設定したトルク値で「カチッ」と音が鳴り、振動するので、そこまでナットを締め続けます。逆回転させると空まわりするラチェット機構が採用されているため、作業を繰り返し、効率よくおこなえます。
言うなれば、単能型とプレセット型のいいところを掛け合わせたようなタイプで、初心者からプロの整備に至るまで、幅広く使用されています。作業ごとにトルク値の設定を変更する手間はあるものの、ホイールナットやフレアナットなど、幅広い整備ができます。
●デジタル型:デジタルでトルク値を測るタイプ
デジタル型のトルクレンチは、持ち手部分などに液晶パネルが設置してあり、現在のトルク値がデジタルでわかるタイプ。使い方は、通常どおりレンチを回すと、手元のパネルでトルク値を示され、指定のトルク値を確認しながら締め続けていきます。
デジタルなので確認しやすく、さまざまな整備作業で活躍します。コンパクトなサイズのものも多く、せまい場所やエンジンルームなどの整備にも使いやすいです。
また、デジタルのため商品によっては測定データを記録したり、スマホやタブレット、PCと連動して確認するタイプもあります。工具というより精密機器としてメンテナンスなどをおこなう必要があるのと、値段が高価になりますが、初心者から上級者まで幅広く使用することができます。
●モンキー型・スパナ型:幅広いボルトに対応できる
トルクレンチの先端がモンキーレンチの形になっているのはモンキー型、スパナの形のものはスパナ型です。いずれも先端口径サイズが調整できるので、口径範囲内ならいろいろなサイズのレンチに対応できます。
横から添える形でボルトを回すため、配管の連結部分などソケットを差し込めない場所での作業に向いています。なお、モンキー型、スパナ型ともにトルク計測ができない点に注意しましょう。
●ダイヤル型:現在進行形でトルク値を測るタイプ
ダイヤル型のトルクレンチは、持ち手部分などに現在のトルク値が分かるダイヤルが付いているタイプ。使い方は、通常通りレンチを回すと、手元のダイヤルがトルク値を示し、指定のトルク値になるまで締め続けます。
現在のトルク値を表示してくれるため、どちらかというと、締め付け過ぎていないか、緩過ぎないかを確認するといった検査で使用されることが多いです。初心者には不向きで、複数本のトルクレンチを組み合わせて整備を行う、中級者や上級者、プロの方に向いている工具です。
●単能型:あらかじめトルク値が設定されたタイプ
単能型のトルクレンチは、あらかじめトルク値が設定されているタイプ。使い方は、適切なトルク値「カチッ」と音が鳴り、振動するので、そこまでナットを締め続けます。
トルクレンチごとに、トルク値が設定されているため、例えば、自動車のホイールナット専用、フレアナット専用といったように、トルク値ごとの特定の整備でしか使用できません。トルクレンチをあまり使わない、もしくは、タイヤ交換のみで使用するといった方におすすめです。
●プレート型:トルク値を測る目盛りが付いたタイプ
プレート型のトルクレンチは、トルク値を測る目盛りが付いているタイプ。使い方は、ネジを締めているときのレンチのしなりと、針が示す目盛りの差でトルク値を測ります。
目盛りがついているため、トルク値の調整範囲の中であれば、様々な作業・整備で使用でき、使い勝手がいいです。しかし、トルク値の読み取り方に慣れが必要なのと、逐一トルク値を確認しなければいけないため、手間が掛かります。初心者というより、中級〜上級者向けの工具です。
(※)ポイント:シチュエーション別に種類を選ぼう
空間デザイン・DIYクリエイター
トルクレンチは、プレセット形、デジタル形、ダイヤル形、プレート形、単能形と大きく分けて5つのタイプに分かれています。決まったトルク(ねじりの強さと考えてください)でボルトやナットなどを締めつける際に使う道具なので、精密機器の分類となります。
それぞれに最適な作業をいくつか挙げると、車両整備にはプレセット形、狭い場所での作業ならサイズの小さいデジタル形、単能形などがそれぞれ向いています。また、単能形は特定のトルク値設定がされているので、さまざまな用途に汎用的に用いることはできないなどの条件もあります。トルクレンチはあくまで用途にあったものを選ぶことが大事です。
もちろん、ご自身が見やすい、扱いやすいものを選ぶのがいいのは言うまでもありません。
【2】トルク値の目安をチェック
トルク値とは、レンチをねじる強さのことをいいます。トルクレンチは自転車・ロードバイクの整備、自動車・機械整備、タイヤ交換などさまざまなシチュエーションで活躍しますが、いずれの場合も特に重要なのがトルク値です。大切なのは、トルク値をシチュエーション別にピッタリのものにすること。下記の一覧表と詳細説明を確認し、自分の目的に合ったトルク値を確認しておきましょう。

Photo by マイナビおすすめナビ
空間デザイン・DIYクリエイター
作業しようとしているトルク値(ねじる強さ)が、いくつなのかを把握しておく必要があります。
トルクレンチによってトルク値の範囲はさまざまで、値の低いものですと、一定の強さが必要な車のタイヤ交換作業などができなかったり、逆に値が高いものだと締めつけすぎてしまったりと不都合が生じます。作業内容を確認して選びましょう。
●自転車整備:目安は15~20N.m程度
自転車やロードバイクの整備においては、比較的低めのトルクで締め付けるシーンが多いといえます。カーボンフレームのロードバイクなどはデリケートなパーツが多いのはもちろん、ステムやシートポストをはじめとしたポジション調整のためのパーツは、規定トルクも低く設定されています。そこでトルクレンチを購入する際も、最低トルクが低めのものを選ぶと良いでしょう。目安としては、15~20N.m程度です。
また、ツーリング先での調整やトラブル対応を行うことを考慮すると、締め付けトルクがある程度調整でき、なおかつコンパクトなタイプがオススメです。
●自動車・機械整備:目安は10~60N.m程度
自動車・機械整備では、エンジンとフレームの固定からちょっとした小物の取り付けまで、実に幅広い締め付けトルクが求められます。そこで、締め付けトルクが調整できるプレセット型のトルクレンチを、必要な規定トルクに応じて複数本用意しておくと良いでしょう。目安としては、10~60N.m程度です。
また、各種機械で「使う前にここだけは毎回チェックしておきたい」という部分があれば、直読式やシグナル式・単能型のトルクレンチを用意しておくと便利です。
●タイヤ交換:目安は普通車で90~110N・m程度、軽自動車で70~90N・m程度
自動車整備の中でも、タイヤをとめているホイールナットの締め付けトルクは非常に高く、普通車で90~110N・m、軽自動車では70~90N・mが一般的な目安となります。
各メーカーからタイヤ交換専用のトルクレンチも発売されていますが、規定トルクさえカバーしていれば専用製品でなくとも大丈夫。車両の取扱説明書を見て、適正なトルクレンチを選んでください。
【3】トルクレンチの差込角をチェック
ソケット式のトルクレンチには「差込角」という規格があります。これはトルクレンチとソケットをつなぐ接合部の規格で、6.3/9.5/12.7/19.0/25.4sq.のように表記されています。
単位のsq.は「square」の略で、たとえば6.3sq.の場合、四角の二面幅が6.3mm(1/4インチ)になります。差込角の数値が大きいほど剛性が高まるため、より高い締め付けトルクに対応可能です。差込角が異なるソケットをつなげられる変換アダプタも販売されていますが、その際の限界値は低い差込角のものとなるので注意してください。
【4】用途やシーンにあったサイズや重さをチェック
トルクレンチは、製品によって重さやサイズが異なります。例えば、エンジンルームなど、狭い、こまかい場所で作業するさいにはコンパクトなサイズのものが、タイヤ交換などはテコの原理で力が伝わりやすい柄の長いものが、長時間作業するときには手への負担を考えて軽量タイプのものが向いています。
作業するシーンや用途なども想像しながら、それに応じた重さやサイズのものを選びましょう。
人気の有名メーカー・ブランド
京都機械工具(KTC)
京都機械工具(KTC)は、車載用工具、自動車整備用ツール、配管ツールや収納具まで幅広い商品を展開する有名メーカー。トルクレンチも主力商品として売り出しており、初心者から上級者まで多数のユーザーがいます。初心者向けの商品も数多く存在するため、初めて整備ツールを購入するといった方にもピッタリの商品があります。
アストロプロダクツ(Astro products)
アストロプロダクツ(Astro products)は、1995年創業の工具専門メーカー。日本全国でチェーン展開をしており、ユーザーも販売数もかなりの数の有名メーカーです。トルクレンチに限らず、幅広い商品の質がよく、そしてリーズナブルなため、とてもコスパの高い商品が揃っています。また、品揃えも豊富で、店舗展開もしているため、用途にピッタリの商品を探せるだけでなく、店頭で疑問を解消することも可能です。
東日製作所(TOHNICHI)
東日製作所(TOHNICHI)は、トルクレンチのパイオニアとして業界で有名なメーカーです。トルク機器を専門に行っており、長年のノウハウがあるため、デジタル・アナログ関わらず、ユーザーが使いやすいと感じる商品を豊富に取り扱っているのが特徴です。プロが整備で使用するアイテムから、DIYの便利アイテムまで、「トルクレンチといえば東日製作所」と言われるほどユーザーが多いメーカーです。
トルクレンチおすすめ6選|自転車の整備
それでは早速、おすすめのトルクレンチをご紹介いたします。まずは、自転車やロードバイクの整備にピッタリのトルクレンチです。ぜひ参考にしてください。

TONE(トネ)『スパナ形単能トルクレンチ(TSP16-17)』

出典:Amazon
タイプ | 単能形 |
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測定範囲(N・m) | 16 |
目盛単位(N・m) | - |
寸法 | 幅36.5×長さ220×奥行7.6mm |
重量 | 370g |
TOHNICHI(東日製作所)『QL25N-MH』

出典:Amazon
タイプ | プレセット型 |
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測定範囲(N・m) | 5~25 |
目盛単位(N・m) | 0.25 |
寸法 | 幅26.5×長さ230×奥行26.5mm |
重量 | 約250g |
PeroTools(ぺロツールズ)『ロードバイク用トルクレンチ(2~24N・m)』






出典:楽天市場
タイプ | プレセット型 |
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測定範囲(N・m) | 2~24 |
目盛単位(N・m) | 2 |
寸法 | 長さ200mm |
重量 | 350g |
Samuriding(サムライ・ディング)『トルクレンチ 自転車 ロードバイク クロスバイク』














出典:Amazon
タイプ | プレセット型 |
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測定範囲(N・m) | 3~10 |
目盛単位(N・m) | 1 |
寸法 | 幅5×長さ15×奥行2.6mm |
重量 | 80g |
TOPEAK(トピーク)『コンボトルク レンチ&ビット セット』

出典:Amazon
タイプ | プレート型 |
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測定範囲(N・m) | 3~12 |
目盛単位(N・m) | 1 |
寸法 | 幅42×長さ122×奥行167mm |
重量 | 133g |
TOPEAK(トピーク)『ナノ トルクバー 5Nm』












出典:Amazon
タイプ | 単能型 |
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測定範囲(N・m) | 5 |
目盛単位(N・m) | -- |
寸法 | 幅16×長さ120×奥行16mm |
重量 | 62g(本体+トルクビット1個+ツールビット2個) |
美しいデザインの本体に2種類のビットを収納可能
ロードバイクのサドルバッグにも収まる軽量・コンパクトな単能型のトルクレンチです。本体のほかに、規定トルクで締めるためのトルクビットおよび、3mm/4mm/5mmのHEXビット、T20/T25のトルクスビットが付属しています。各種ビットはキャリングケースにも収納できますが、本体に使用頻度が高い2個のビットを収納可能なのも嬉しいところです。
なお、別売で4/5/6N・mのトルクビットが用意されているほか、3種類のトルクビットが付属する「 ナノ トルクバー DX」や、2~6Nmまでのトルクに対応するプレセット型トルクビット付きの「ナノ トルクバー X」もラインアップされています。
トルクレンチおすすめ7選|自動車・バイクの整備
続いては、自動車・バイクの整備に使用するのにピッタリのおすすめトルクレンチです。こちらもぜひ参考にしてください。

藤原産業『SK11 デジタルトルクレンチ(SDT3-060)』

出典:Amazon
タイプ | デジタル形 |
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測定範囲(N・m) | 3~60 |
目盛単位(N・m) | - |
寸法 | 幅48×長さ225×奥行40mm |
重量 | 480g |

KYOTO TOOL(京都機械工具)『9.5sq.ダイヤル型トルクレンチ(CMD072)』

出典:Amazon
タイプ | ダイヤル形 |
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測定範囲(N・m) | 14~70 |
目盛単位(N・m) | 2 |
寸法 | 幅36×長さ375×奥行27mm |
重量 | 760g |

アストロプロダクツ『AP 3/8DR プレート型トルクレンチ(0-90N・m)』

出典:Yahoo!ショッピング
タイプ | プレート形 |
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測定範囲(N・m) | 5~90 |
目盛単位(N・m) | 5 |
寸法 | 長さ410mm |
重量 | 370g |
ASAHI TOOLS(旭金属工業)『LCS スパナヘッドセット トルクレンチ付 45N・mセット(LCS2000)』

出典:Amazon
タイプ | プレセット型 |
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測定範囲(N・m) | 10~45 |
目盛単位(N・m) | 0.1 |
寸法 | 幅135×長さ335×奥行42mm(メタルケース入り) |
重量 | 2350g(メタルケース入り) |
Pro-Auto(スエカゲツール)『差替式デジタルトルクレンチ WPC-085BN』

出典:Amazon
タイプ | デジタル型 |
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測定範囲(N・m) | 4.2~85 |
目盛単位(N・m) | 0.1 |
寸法 | 長さ234mm |
重量 | 440g |
TOHNICHI(東日製作所)『プレート式トルクレンチ SF/Fシリーズ F92N』








出典:Amazon
タイプ | プレート型 |
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測定範囲(N・m) | 10~92 |
目盛単位(N・m) | 2 |
寸法 | 幅110×長さ400×奥行76mm |
重量 | 950g |
あらゆるトルク値に対応する幅広いラインアップ
締め付けや測定に幅広く使える標準タイプのプレート型トルクレンチです。左右に刻まれた目盛によって、増締めと戻しトルクの両方に対応。手が滑りにくい波型デザインのグリップもポイントです。
本製品のトルク測定範囲は10~92N・mですが、SF/Fシリーズとして0.2~1.5/0.5~3/0.6~6/2~12/3~23/5~46/20~130/30~190/50~280/70~420/100~560/100~700/100~850/100~1000N・mまで幅広くカバー。より低い締め付けトルクに対応した8~40/10~70cN・mのモデルもラインアップされています。
KYOTO TOOL(京都機械工具)『デジタルトルクレンチ TORQULE(トルクル)GNA080-03』








出典:Amazon
タイプ | デジタル型 |
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測定範囲(N・m) | 8~80 |
目盛単位(N・m) | 0.1 |
寸法 | 幅42×長さ75×奥行42mm |
重量 | 160g |
トルクレンチおすすめ4選|タイヤ交換
最後は、タイヤ交換の際にピッタリのトルクレンチです。こちらもぜひ参考にしてください。

TONE(トネ)『プレセット形トルクレンチ(ダイレクトセットタイプ) (T4MN200)』














出典:Amazon
タイプ | プレセット形 |
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測定範囲(N・m) | 40~200 |
目盛単位(N・m) | 2 |
寸法 | 幅34.0×長さ526×奥行17.8mm |
重量 | 1400g |
BAL(大橋産業)『No.2059 トルクレンチ6pcセット』






出典:Amazon
タイプ | プレセット型 |
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測定範囲(N・m) | 30~180 |
目盛単位(N・m) | 1 |
寸法 | 幅46×長さ450×奥行38mm |
重量 | 1320g |
スーパーツール『デジタルトルクレンチ(ケーブル式)モンキタイプ DTMW30085』

出典:Amazon
タイプ | デジタル型 |
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測定範囲(N・m) | 20.6~103 |
目盛単位(N・m) | 0.1 |
寸法 | 全長314mm |
重量 | 600g |
TONE(トネ)『ハンディデジトルク H3DT135』










出典:Amazon
タイプ | デジタル型 |
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測定範囲(N・m) | 10~135 |
目盛単位(N・m) | 1 |
寸法 | 幅45×長さ75×奥行45mm |
重量 | 194g |
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする トルクレンチの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのトルクレンチの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
トルクレンチの注意点まとめ
(a)正しい持ち方と締め方で使用する
トルクレンチを使用する際は、必ず指示された持ち手を握って使用するようにしましょう。トルク値は、正しい持ち方と正しい締め方で計測されます。そのため、正しく持ち手を握らないと、意図せず不十分な締め方になってしまいます。正しく使用することを心がけましょう。
(b)2回以上「カチッ」と鳴らさないようにする
単能型やプレセット型のトルクレンチは、締め付け完了の際、「カチッ」という音が鳴り、振動が伝わっています。これは現状の締め付けがトルク値であることを示します。そのため、2回以上、「カチッ」という音を鳴らしてしまうと、過剰な締め付けになってしまいます。必ず、締め過ぎないようにしましょう。
(c)ネジやボルトの締め付けのみで使用する
トルクレンチは、締め付け専門の工具になり、ネジを緩める想定で製造されていません。もし、緩めることに使用すると、トルク値の設定機能が狂ってしまう可能性があります。必ず、締めることのみに使用しましょう。
(d)設定範囲のトルク値は余裕を持たせる
プレセット型やダイヤル型、デジタル型などのトルクレンチには、トルク値の設定範囲が設けられています。この設定範囲の最大で使い続けると、トルクレンチ自体に負荷をかけ続けることになるため、できるだけ避けるようにしましょう。理想的なのは、6〜8割ほどのトルク値で設定すること。トルク値とトルクレンチのスペックも確認することが大切です。
(e)トルクレンチをレンチとして使用しない
トルクレンチはレンチではあるものの、基本的にネジなどの締め付けの仕上げに使用するものです。そのため、ネジの締め作業を最初から行ってしまうと、負荷をかけ続けることになり、トルク値を正確に計測できなくなる可能性があります。できるだけトルクレンチは仕上げで使用するようにしましょう。
(f)使用後はトルク値を最小に戻す
プレセット型のトルクレンチになりますが、使用後は必ずトルク値を最小に戻すことを心がけましょう。プレセット型の場合、トルク値の設定は、内部のスプリングなどを張ることで設定します。そのため、トルク値をそのままにしておくと、スプリングが痛んでしまい、正確にトルク値を計れなくなる恐れがあります。
(g)湿気のある場所では保管しない
デジタル・アナログに限らず、全てのトルクレンチは湿気のない場所で保管しましょう。トルクレンチが外部・内部でサビてしまうと、トルク値を正確に測れません。また、デジタル式だと故障の原因になります。乾燥した場所や湿気の少ない場所に保管するようにしましょう。
【最後に】エキスパートからのアドバイス
空間デザイン・DIYクリエイター
精度と価格、用途とのバランスをチェック
一般的に、家庭でトルクレンチを使用する場面では、そこまでの高精度を必要とすることがないので、ご自身の用途のレベル感にあった、精度のレンチを見つけましょう。
高精度で高価なトルクレンチを購入しても、使いこなせなければ宝の持ち腐れです。どれほどの精度が必要なのかをよく検討し、価格とのバランスを見て選んでみるといいでしょう。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/11/18 コンテンツ追加・製品情報更新のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 加藤佑一)
「インテリア空間デザイン」「スタイリング」「写真」「テレビ撮影」「監修」「執筆」などフリースタイルにて幅広く活動中。 予算100万円で自身が住む自宅をフルリノベーション、古材、流木などを使った家具作りが話題となり、様々なメディアにて取り上げられている。 幼少期から物作りが好きで、何でもまず作ってみる、やってみる精神、そんな好きが高じて、趣味から現在のお仕事に発展。