初心者向けテントの選び方
それでは、初心者向けテントの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の7つ。
【1】初心者は設営方法が簡単な「自立型テント」を選ぼう
【2】組み立てが不安な人は「ワンタッチテント」がおすすめ
【3】テントの壁が二重になった「ダブルウォール」は雨の日に快適
【4】なるべく軽くて機能性が高いテントを選ぼう
【5】入り口が大きいテントを選ぼう
【6】メッシュ素材で夏のキャンプも快適に
【7】定員数を必ずチェック
上記の7つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】初心者は設営方法が簡単な「自立型テント」を選ぼう
テントには、ポール(フレーム)とインナーテント(テント本体)を組み合わせるだけで立体化するタイプ(自立型)、ポールとインナーテントを組み合わせたうえで、さらにペグ(地面に固定する杭)を何本もしっかりと打たないと立体的にならないタイプ(非自立型)があります。
後者はテント設営に手間がかかり、それなりの知識と技術も必要です。初心者は設営方法が難しくない「自立型」を選びましょう。
細かく説明すると、実際には自立型もペグを打たないと完全には安定しないのですが、非自立型に比べれば圧倒的に失敗が減ります。市販されているテントも大半が誰もが使いやすい自立型で、小さなドームのような形状をしています。
【2】組み立てが不安な人は「ワンタッチテント」がおすすめ
組み立てが簡単なテントとして、ワンタッチテントとポップアップテントがあります。
ワンタッチテントは、ポールとテント本体が一体化されているタイプ。ポップアップテントは、ポールというワイヤーを骨組みにしていて、ケースから取り出すと完成するタイプです。
ワンタッチは傘のように開き、ポップアップは自動でポンと立ち上がり、かんたんに設営できます。
【3】テントの壁が二重になった「ダブルウォール」は雨の日に快適
現代のテントの大半は、インナーテントの上に雨除けのフライシートをかけて、庇(ひさし)および屋根代わりにしています。インナーテントとフライシートでテント内外の壁が二重になり、これを「ダブルウォール」タイプといいます。
それに対し、インナーテント自体に防水性を持たせてフライシートを省略したものが「シングルウォール」タイプです。ただ、庇(ひさし)がないのでテント内に雨水が入りやすくなり、使用には相当な慣れが必要です。
したがって、初心者が選ぶべきは「ダブルウォール」タイプ。雨が多い日本では、少しくらい設営に時間がかかっても雨に強いダブルウォールが安心です。
【4】なるべく軽くて機能性が高いテントを選ぼう
例えば同じ2人用テントでも、数千円で買えるものから10万円近いものまで、テントの価格帯は幅広く設定されています。安価なものの特徴は、素材が粗末で壊れやすいか、非常に重いこと。耐久性の低いテントは初心者ですと壊しやすく、重いテントは持ち運ぶのに体力を使います。
その点、「登山向け」のテントは軽量性と耐久性のバランスがよく、しかも構造がシンプルなので誰でも設営しやすいと、いいことづくめです。価格は3~5万円程度が多くなりますが、持ち運びやすく、壊れにくいので長く使えます。
経験を積んだ後にほかのテントを買ったとしても、サブテントとして活躍してくれます。
【5】入り口が大きいテントを選ぼう
「自立型」「ダブルウォール」「登山用」といったキーワードに比べれば、「好み」の面が強くなるのが出入り口の向きです。
一般的な長方形型のテントの場合、出入り口は短い辺か長い辺のどちらかにありますが、初心者でも使いやすいのは「短辺」ではなく「長辺」に入口があるタイプ。長辺のほうが出入り口が大きく、テントの奥にもすぐ手が届きます。
一方、短辺にある出入り口は小さくなりがちで、テントの奥に入れたものが取り出しにくくなるのです。初心者は居住性が高い「入口が長辺」のテントを選ぶといいでしょう。
【6】メッシュ素材で夏のキャンプも快適に
初心者がテント泊に挑戦するのは、真冬ではなく、気候がいい春から秋、とくに夏が多いことでしょう。しかし日本は蒸し暑く、夏は太陽が出てくるとテント内が蒸し風呂のようになり、暑くて眠れなくなることは珍しくありません。
この問題を和らげるために、インナーテントのどこかにメッシュ素材が使われている、通気性がいいものを選びましょう。換気をうながすベンチレーターがついているタイプは、さらに外気を取り入れられ、高温による不快感を減らせます。
【7】定員数を必ずチェック
テントには「使用人数」や「定員数」、「占有率」、「〇~〇人用」というように必ず利用人数に関する記載があります。
この記載されている人数で寝ころんだ場合、想像以上に狭く感じることがほとんどです。もちろん商品によって多少の違いはありますが、例えば1人用の場合、大人1人が寝ころぶのにちょうどのサイズなので、ゆったりしたスペースを確保することができません。
そのため、利用人数を想定したうえで、1~2人分大き目のサイズを購入すると快適な居住空間を確保できます。
初心者向けテントおすすめ14選
上で紹介した初心者向けテントの選び方のポイントをふまえて、アウトドアライターの高橋庄太郎さんと編集部が選んだおすすめ商品を紹介します。

広い前室が便利なドーム型
インナーテントを真上から見ると、まるで2本の角を生やした鬼の頭に見えることから「オニドーム」と名付けられた、このテント。この角の間(インナーテントの出入り口の前)は「前室」といわれるスペースで、フライシートを閉めるとほぼ密閉され、雨の日でもブーツを濡らさずに保管できます。
風の影響を受けにくい、広い「前室」を求める方におすすめです。内部は台形のようなフロアで、背が低い方が出入り口側、背が高い方は奥側に寝ると、スペースを有効活用することが可能です。

大きな前室に荷物を出せば、内部は広々
インナーテントとフライシートの間のスペース「前室」が非常に広く、ブーツ以外にクッカーやバーナーなどを置くことができ、使い勝手のいいテント。2人用の設計ですが、荷物をできるだけ前室に出せば、3人でも寝られないことはありません。前室を有効活用したい方におすすめです。
全面的に布地で覆われたインナーテントは涼しい時期に使いやすいタイプですが、出入り口だけメッシュ地との二重構造で、暑い時期は風を取り入れることが可能なのもポイント。

キャンプ地でも目立つツートンカラー
長い2本のポールで全体を立体化しつつ、天井部の短いポールで内部空間を広げるという発想でできたテント。これらのポールはハブで一体になっており、設営時には延ばして固定するだけなので、戸惑うことなく設営できるでしょう。壁が立ち上がったインナーテントに対し、フライシートは末端が低く延び、風に強い形状になっているのも一つの特徴。
インナーテントはフルメッシュ、フライシートの出入り口以外オフホワイト仕様で、夏は日光を反射します。日中でも内部を涼しく保ちたい方におすすめです。

風がある日でも、冷気を感じにくい構造
テントを上から見ると頭付近が広く、足元は少し細長い台形状のフロアとなっています。インナーテントの素材はメッシュ地が主体で、サイドのベンチレーターとのコンビでテント全体に風を行き渡らせ、結露を防ぎ、熱気を逃します。
その反面、寝転んだときの頭部付近は風を通さない布地で守られており、顔には不快な冷気が直接当たらないので、心地よい眠りを重視する方におすすめです。
4〜6人用! ひとりでの設営もカンタン
アシストクリップにより、ひとりでもカンタンに設営可能。ストームガードで風対策もバッチリ。6人家族まで対応のファミリーテントです。
キャンプに虫はつきものとはいえ、できれば避けたいもの。この商品は、出入口が網戸になっているので、通気性の確保と虫の排除を両立してくれます。夜のキャンプも安心ですね。高さと広さを見事に兼ね備えているので、大人数でのキャンプにいかがでしょうか。
色分けされたテープを合わせればカンタン設営
あえて背の低い設計にすることにより、風の影響を緩和し、高い耐久性を実現することが可能に。キャンプの不安要素のひとつである雨も防水・撥水加工がなされていることから心配無用です。
インナーとフライシートを合わせるときは、色分けされたテープ同士を組み合わせればOK。初心者の方でも悩まず設営することができますよ。
ちょうどいいサイズ感をお探しの方へ!
大きすぎず小さすぎない、ちょうどいいサイズ感がポイントの4人用の2ルームテント。家族や仲間とのキャンプにはもちろん、カップルで広々使うのにもぴったりな大きさです。
テントと外の出入りは、前後以外に横からのアクセスが可能。仲間とはしゃいだり、時にはテント内にこもったり、と各々自由な時間が過ごせそうです。
ツールームテントではめずらしい2〜3人向け
通気性が高いデザイン設計で、前室3方向がメッシュ仕様の小川テント。2〜3人向けのコンパクトさでありながら、ツールーム仕様で汎用性の高さを保っています。
インナーテントは吊り下げ式となっており、設営も比較的カンタン。風にもしっかりと堪える耐久性を備えているのが強みです。夏でも快適なキャンプライフを提供してくれることでしょう。
空気を使って超大型空間をゲット!
空気を入れることにより、わずか8分程度で超大型な空間が設営できる次世代型テント。設営方法もカンタンで、付属の専用ポンプで空気を注入するだけ。面倒なフレームの組み立てをする必要がありません。
屋外とは思えないほどの贅沢な大型リビングルーム。大人数でのキャンプがより一層楽しく、思い出に残る時間になりそうです。
ラグジュアリーな空間を
ドーム型のインナーフルメッシュ構造のダブルウォールテント。夏キャンプやフィッシングベースとしてもおすすめです。テント内の結露を軽減し、効果的な通気をもたらす、ハイ・ローベンチレーションも採用しています。
2か所の出入り口があり、3人が就寝可能なゆとりのある室内空間です。
簡単組み立てのワンタッチテント
カンタン組み立てのワンタッチテント
こちらのテントは、自動傘骨組み装置を利用しているため、3秒で展開。誰でも数十秒~数分でラクラクに組み立てをすることができます。
耐水圧3000mmの撥水素材を採用しているので急に雨が降ってきても慌てず、小雨程度であればそのまま使用できる防水性能。UVカット加工もされているので、真夏でもしっかり紫外線対策ができます。
コンパクトに収納可◎通気性に優れたテント
ギアトップから販売されている1~2人向けのテント。フライシートには破れにくいリップストップ生地を使用し、裏面にはウレタン防水加工がしてあるので、何度使用しても撥水性が落ちにくく快適に使用することができる丈夫なテントです。
インナーテントには通気性の高いポリエステルと高密度微細ナイロンメッシュ使用で風通しがよく、結露もしにくい。コンパクトに収納もできるため、持ち運びにも便利です。
多機能なエントリーモデル
設営のしやすさとナチュラルなカラーリングが特徴。紫外線保護指数の最高値であるUPF50+対応とシルバーコーティングで暑い日でも快適に過ごせます。
フライシートには燃えにくい生地が使用されており、焚き火の火の粉などが飛んできたときなどの対策もばっちり。ハイスペックな機能満載で、エントリーモデルにぴったりです。
5人収容の軽量ワンタッチテント
ワンタッチでひらけるので、力に自信のない方や初心者の方にうれしいアイテム。設営にあたっての所要時間はわずか約15秒だからおどろき。
グラスファイバー製のポールで軽量化を実現し、6本ポール構造で大型テントに必要とされる強度もしっかり確保されています。専用のキャリーバッグもついているので持ち運びにも便利です。
「初心者向けテント」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする テントの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのテントの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
初心者がチェックしたいその他のアイテム
エキスパートからのアドバイス 初心者でも手軽に、長く使えるテントを選ぼう
今回、ご紹介したテントは初心者が使いやすいものですが、初心者専用というわけではありません。なぜならば、経験を積むごとにシンプルで手軽に使えるベーシックなテントに立ち戻るアウトドア愛好者も多いからです。
これらのテントは、購入者がベテランの域に達したときでも相棒として活躍してくれるかもしれません。初心者でも安価なもので済ませず、ある程度の予算をかけたほうが長い目で見てお得になるでしょう。
また、購入前にレンタルで試してみるのも一つの手です。今回はすべて2人用をピックアップしましたが、収容人数違いで展開するモデルも多いので、チェックしてみてください。
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1970年宮城県仙台市出身。高校山岳部で山歩きを始め、早稲田大学卒業後は出版社に勤務。 その後、フリーランスのライターに。著書に『山道具 選び方、使い方』(枻出版社)、『テント泊登山の基本』(山と渓谷社)などがあり、近年はテレビ番組やイベントへの出演も増えている。また、アウトドアメーカー各社とのコラボレーションを行なう自身のブランド「SCREES」を立ち上げ、製品開発にも取り組んでいる。