登山用テントの選び方 山岳写真家に聞く
山岳写真家の荒井裕介さんに、登山用テントを選ぶポイントを教えてもらいました。登山をする人数やシーンに合わせた、正しい選び方を覚えれば、はじめての登山テント選びも迷いません。
パーティー登山に必要なテントサイズで選ぶ
初心者は登山用テントのサイズを人数プラスひとりで選ぶとよい。
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
登山と言ってもそのスタイルはさまざまで、ソロでの登山から山岳部のような大人数でのパーティー登山まであります。
テントを選ぶ際の基準として、登山に不慣れな場合は参加人数よりもひとり分余裕がある大きなテントをチョイスするのも大事なポイントです。テント内で荷物の整理整頓ができるならジャストサイズを選んでも問題はありませんが、悪天候時などで濡れたものが多い場合には、結露で荷物やシュラフを濡らさない工夫も必要になるからです。
実際にテントを見て感じをつかんでみるのもおすすめです。
機能性で選ぶ
大型のメッシュで通気性をもたせたインナーに、前室が確保できるフライシートつきのテント。
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
テントは出入り口の形状や場所、雨風を防ぐためのフライシートのあるなしによるダブルウォールかシングルウォールかなど機能による選択肢はたくさんあります。出入口前のスペースである、前室があるもののほうが複数人では使いやすいでしょう。したがってダブルウォールが基本になります。
一方で、本格登山のアタックテント的な役割を求める場合は、シングルテントも選択肢となります。また、テントを複数人で使用する際はベンチレーション(通気性)の大きさにも注意を払いたいものです。酸欠と結露防止には重要なポイントになります。
滞在を楽しむか、移動を快適にするかで選ぶ
軽量で、かつある程度の居住空間を確保したい方にはこちらがおすすめ。
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
登山スタイルによって選ぶテントが変わるのは、ソロでもパーティーでも同じです。
ゆったり登山で滞在を楽しむハイカータイプは機能をそろえた快適性を重視、本格的登山で目的地を目指すアタッカータイプはスピード登山が可能な重量を重視して登山テントを選びましょう。
このようにスタイルによって選ぶテントは変わります。ただ、最近では素材の進歩もあり、どちらのスタイルでも使える快適なテントも増えてきました。
軽さを追求するアタッカーの方におすすめな軽量登山用テントを紹介
山岳写真家の荒井裕介さんに、軽量登山用テント選びのポイントを解説していただきました。実践を積んだ経験者にしかわからないポイントや、つい見逃しがちな重要ポイントなど、おすすめ商品とともに紹介していきます。
国産山岳テントメーカー3選 世界でも最強の呼び声が高い日本製・登山(山岳)テント
国産の登山用テントは世界でもクオリティの高さに定評があります。ここでは、ミシンでつくる職人技や高い剛性をもったフレームなどこだわりの製品を扱う3大メーカーをご紹介します。
アライテント
ARAI TENT(アライテント)『エアライズ1』
1965年に東京の中野で誕生したアライテント。創業当時からツェルトを作り続け、ミシンで作る丁寧な職人の仕事が特徴です。
モンベル
mont‐bell(モンベル)『クロノスドーム 2型』
ビバーク中に粗悪品の手袋により、凍傷を負ったという創業者のエピソードがきっかけで誕生したブランド。創業者自身の経験が製品にも生かされています。
ヘリテイジ
ヘリテイジ『エスパース・ソロ アルティメイト』
世界最軽量クラスの「ダブルウォール山岳テント」で知られるメーカー。設営のしやすさ・居住性・携行性・耐久性などに強みをもつラインナップが特徴です。
山岳テントは必要最低限のスペースがあればよい 山岳写真家からアドバイス
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
山岳テントは広々と使うのではなく、必要最低限のスペースがあればいいものです。人数分の就寝スペースがあれば、食事や着替えなど悪天候時でも可能になります。
テント泊になれているベテランハイカーであれば、シングルウォールのテントでも大丈夫ですが、前室があるとより快適に過ごせます。人数によって使い分けるのがベスト。もし、足りない分はソロテントなどと組み合わせれば、じゅうぶん対応できます。
【軽量】登山用テント9選 1人用~4人用まで!
上で紹介した登山用テントの選び方のポイントをふまえて、実際に山岳写真家の荒井裕介さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。
登山が初心者という方でも手が出しやすく、コストパフォーマンスにすぐれた登山用テントや軽い軽量モデルのテント、そして春・夏・秋・冬のオールシーズンに対応した登山用テントなど11商品をご紹介します。

MSR(エムエスアール)『エリクサー3』

出典:Amazon
収容人数 | 3 |
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設営サイズ | 213 x172x104cm |
収納サイズ | 51x20cm |
重量 | 最小重量(フライ/本体/ポール):2.66g 総重量:3.19g |
耐水圧 | フライ:1,500mm/フロア:3,000mm |

KELTY(ケルティ)『SALIDA2』

出典:Amazon
収容人数 | 2 |
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設営サイズ | 224x139/114x109cm |
収納サイズ | 約33x38cm |
重量 | 収納時重量:2.07kg ミニマム重量:1.76kg |
耐水圧 | - |
収納が魅力の軽量2パーソンテント
大型のメッシュで通気性をもたせたインナーに前室が確保できるフライシートつきテントです。これだけだと普通のテントですが、最小重量がわずか1.76kgと軽く、ひとり分で換算すると800gと少しになり、ソロ登山用テントとしては驚きの軽さになります。
室内を台形にすることで、居住スペースを無駄なく使い切れる工夫がほどこされています。
なお、このテントの最大の魅力はパッキングにあります。通常テントはパッキング時、筒型に収納されるものが多くありますが、これは四角形で平たくパッキングが可能。収納時にザック内に生まれる無駄なスペースを消すことができて、荷物が多くなりやすい登山のパッキングもストレスなくできます。

NEMO(ニーモ・イクイップメント)『 アトム2P キャニオン』

出典:Amazon
収容人数 | 2 |
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設営サイズ | 213x112x130cm |
収納サイズ | - |
重量 | 最小重量:1.58kg |
耐水圧 | - |

mont-bell(モンベル)『ステラリッジ4』

出典:Yahoo!ショッピング
収容人数 | 4 |
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設営サイズ | 230x200x120cm |
収納サイズ | 本体:約36x16.5cm、ポール:約45x6cm |
重量 | 1.78kg(設営用具込み:2.0kg) |
耐水圧 | - |
コスパと軽量を両立した優等生モデル
おすすめ製品として紹介しているなかでは、一番大型の4人用テントです。本体とフライシートは別売りですが、フライシートを含めた重量のひとり分はなんと700g以下と軽量です。サイズと価格のバランスの良い優秀な製品といえます。
さらに、モンベルならではのアフターサービスも、全国の店舗で受けられるため安心です。何より考えられているポイントはフライシートが別売りということ。フライシートかインナーのどちらかが使えなくなってしまってもすぐに買い直せます。
製品の価格設定もリーズナブルで修理対応も可能と、製品を使い倒せる、まさにアウトドアマンシップといえる取り組みが、アウトドアブランドとしてのモンベルの魅力といえます。

TERRA NOVA(テラノバ)『レーサーコンペティション2』

出典:Amazon
収容人数 | 2 |
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設営サイズ | 105x95x230cm |
収納サイズ | 42×16cm |
重量 | 総重量:1.23kg 最小重量:1.08kg |
耐水圧 | フライ:3,000mm/フロア:5,000mm |
軽さを追求するアタッカー向けの最軽量テント
ふたり用ですが、ひとりあたりの重量に換算すると500g台とおどろきの軽さ。重量1.08kgはもはやソロテントでも軽い部類にはいります。
ドーム型テントではないので自立こそしないため手間がかかるものの、それでもこの軽さではじゅうぶんすぎるくらいの機能といえるでしょう。
室内は必要最低限でミニマムといった感じですが、前室もあり荷物も置けます。軽快なハイキングやトレッキングにも気軽に持っていける登山用テントです。
体力の差があるバディ(仲間)と一緒に登山をする場合やカップル、夫婦などにおすすめの超軽量テントです。普段はソロだけどときどき2人といった登山スタイルのハイカーにもおすすめです。
SIX MOON DESIGNS(シックスムーンデザインズ)『LUNAR SOLO2018』






出典:Amazon
収容人数 | 1 |
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設営サイズ | 229×122×122cm |
収納サイズ | - |
重量 | 0.71kg |
耐水圧 | - |
NEMO(ニーモ・イクイップメント)ホーネットストーム 2P』

出典:Amazon
収容人数 | 2 |
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設営サイズ | 130×215×98cm |
収納サイズ | - |
重量 | 0.94kg |
耐水圧 | - |
BUNDOK(バンドック)『ソロドーム 1』


















出典:Amazon
収容人数 | 1 |
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設営サイズ | (約)200×150×110cm |
収納サイズ | 41×16×16cm |
重量 | 1.88kg |
耐水圧 | フライ:約3,000mm |
Naturehike(ネイチャーハイク)『CloudUp1 One Man Tent』












出典:Amazon
収容人数 | 1 |
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設営サイズ | - |
収納サイズ | 45×12×12cm |
重量 | 1.62kg |
耐水圧 | フライ:4,000mm/フロア:3,000mm |
【4シーズン対応】登山用テント3選 夏も冬も快適に過ごせる!
GeerTop(TSM)『GEERTOP テント 2人用』

出典:Yahoo!ショッピング
収容人数 | 2 |
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設営サイズ | 260×210×115cm |
収納サイズ | 16×16×46cm |
重量 | 3kg |
耐水圧 | フライ:3,000mm/フロア5,000mm |
PuroMonte(プロモンテ)『超軽量山岳テント 2人用』

出典:Amazon
収容人数 | 2 |
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設営サイズ | 205×120×100cm |
収納サイズ | 25×15cm |
重量 | 1.55kg |
耐水圧 | - |
Black Diamond(ブラックダイヤモンド)『ファーストライト2P』








出典:Amazon
収容人数 | 2 |
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設営サイズ | 208×122×106cm |
収納サイズ | 15×23cm |
重量 | 約1.2kg |
耐水圧 | キャノピー/ナノシールドファブリック(耐水圧800mm) |
「山岳テント」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 登山用テントの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの登山用テントの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
登山用(山岳)に関するQ&A よくある質問
テントはレンタルすることもできるの?

レンタルすることもできます。「hinataレンタル」「そらのした」「CAMPDAYS」といったネット上のサービスがあり、キャンプ地まで送り届けてもらうことも可能です。
テントを安く買う方法は?

Amazonや楽天といったネット通販サイトでは、毎月のようにセールを開催されています。お買い得の目安は30%オフ以上の値引き率。また、スポーツ用品店「ヒマラヤ」も有名ブランドが20%オフなどの価格で販売されることで知られています。
【関連記事】登山用テント関連のおすすめ商品はこちら
登山用テントについて5つのポイントをおさらい
1)参加人数プラスひとりぶん余裕のあるサイズを選ぶ
2)前室があるダブルウォールタイプが基本
3)本格登山のアタックテントとしてはシングルウォールも選択肢に
4)複数人で使うならベンチレーション(通気性)の大きさにも注意
5)ゆったり登山なら快適性を、スピード登山なら軽量性を重視する
何人で、どのようなスタイルの登山をするかによって選択肢は変わってくるでしょう。サイズはもちろん、持ち運びのしやすさや通気性なども考慮しながら用途に合ったテントをチョイスしてください。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2021/01/18 コンテンツ修正のため記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 名原広雄)
ブッシュクラフト、狩猟、ULスタイル、沢登りなど様々なアウトドアに取り組む。海外生活の経験もあり銃器やトイガンにも造詣が深い。 アウトドア料理やビンテージアウトドアアイテムのレストア、道具作りにも造詣が深く自作アイテムのみでの山行も行う。 フェールラーベンのアンバサダーとしても活動している。