登山用テントの選び方 山岳写真家に聞く
山岳写真家の荒井裕介さんに、登山用テントを選ぶポイントを教えてもらいました。登山をする人数やシーンに合わせた、正しい選び方を覚えれば、はじめての登山テント選びも迷いません。
ポイントは下記の3つ。
【1】サイズ
【2】機能性
【3】滞在を楽しむか、移動を快適にするか
上記のポイントを押えることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】パーティー登山に必要なテントサイズで選ぶ
登山と言ってもそのスタイルはさまざまで、ソロでの登山から山岳部のような大人数でのパーティー登山まであります。
テントを選ぶ際の基準として、登山に不慣れな場合は参加人数よりもひとり分余裕がある大きなテントをチョイスするのも大事なポイントです。テント内で荷物の整理整頓ができるならジャストサイズを選んでも問題はありませんが、悪天候時などで濡れたものが多い場合には、結露で荷物やシュラフを濡らさない工夫も必要になるからです。
実際にテントを見て感じをつかんでみるのもおすすめです。
【2】機能性で選ぶ
テントは出入り口の形状や場所、雨風を防ぐためのフライシートのあるなしによるダブルウォールかシングルウォールかなど機能による選択肢はたくさんあります。出入口前のスペースである、前室があるもののほうが複数人では使いやすいでしょう。したがってダブルウォールが基本になります。
一方で、本格登山のアタックテント的な役割を求める場合は、シングルテントも選択肢となります。また、テントを複数人で使用する際はベンチレーション(通気性)の大きさにも注意を払いたいものです。酸欠と結露防止には重要なポイントになります。
【3】滞在を楽しむか、移動を快適にするかで選ぶ
登山スタイルによって選ぶテントが変わるのは、ソロでもパーティーでも同じです。
ゆったり登山で滞在を楽しむハイカータイプは機能をそろえた快適性を重視、本格的登山で目的地を目指すアタッカータイプはスピード登山が可能な重量を重視して登山テントを選びましょう。
このようにスタイルによって選ぶテントは変わります。ただ、最近では素材の進歩もあり、どちらのスタイルでも使える快適なテントも増えてきました。
登山用テントの人気メーカー・ブランド
国産の登山用テントは世界でもクオリティの高さに定評があります。ここでは、ミシンでつくる職人技や高い剛性をもったフレームなどこだわりの製品を扱う3大メーカーをご紹介します。
アライテント
1965年に東京の中野で誕生したアライテント。創業当時からツェルトを作り続け、ミシンで作る丁寧な職人の仕事が特徴です。
モンベル
ビバーク中に粗悪品の手袋により、凍傷を負ったという創業者のエピソードがきっかけで誕生したブランド。創業者自身の経験が製品にも生かされています。
MSR
MSR(マウンテン・セーフティー・リサーチ)は、アメリカを本社に置く登山用具メーカー。1969年の創業当時は雪山向けの登山製品の開発からスタートしたMSRですが、現在では登山を中心により広範囲のアウトドア活動で使える、快適で信頼性の高い製品を生み出し続けています。
登山用テントのおすすめ20選 超軽量・オールシーズンも
登山用テントの選び方のポイントをふまえて、実際に山岳写真家の荒井裕介さんと編集部が選んだおすすめ商品を紹介します。
登山が初心者という方でも手が出しやすく、コストパフォーマンスにすぐれた登山用テントや軽い軽量モデルのテント、そして春・夏・秋・冬のオールシーズンに対応した登山用テントなどをご紹介します。

外張りだけでも使えるマルチパーパステント
インナーに大型のメッシュを配し、大きなエントランスも両側に設けた開放的なテントです。インナーを外しフライシートのみでの設営も可能なマルチパーパス。
大きく張り出したフライシートは広い前室を提供してくれます。荷物や靴もじゅうぶん置け、悪天候時でも快適に過ごせること間違いなしです。
両側エントランスは設置する際に向きを選ばず、夜間トイレに行く際も出入りに気を使わなくてすむのもポイント。メインスペースも男性3人がじゅうぶん寝られる空間が確保できます。
軽さと過ごしやすさを重視するならコレ!
天井部で交差するポールによりまっすぐ立ち上がるので、十分な空間を素早く作ることができるバックバッキングテントの人気商品です。十分な耐水圧の1,200mmで仕上げられています。
従来よりもメッシュ使用量を減らしたことで、より幅広いシーンにも使えるように改良されており、前室・大きめの出入口など、より快適に過ごせるワンランク上の商品です。
どこまでも使う人のことを考えた良品
言わずと知れたテントメーカー「アライテント」が手掛けるシンプルな一品です。フリースタンディングタイプなので、初心者の方でも設置は簡単!重さは1.5kg程度と軽量な点も魅力です。
メッシュ付きの大きな入口があるため通気性も良く、居住スペースも十分にあるので快適に過ごせます。「余計なものは要らない。シンプルに長く安心して使えるものが欲しい」という方はぜひ。

mont-bell(モンベル)『ステラリッジ4 4人用』
コスパと軽量を両立した優等生モデル
おすすめ製品として紹介しているなかでは、一番大型の4人用テントです。本体とフライシートは別売りですが、フライシートを含めた重量のひとり分はなんと700g以下と軽量です。サイズと価格のバランスの良い優秀な製品といえます。
さらに、モンベルならではのアフターサービスも、全国の店舗で受けられるため安心です。何より考えられているポイントはフライシートが別売りということ。フライシートかインナーのどちらかが使えなくなってしまってもすぐに買い直せます。
製品の価格設定もリーズナブルで修理対応も可能と、製品を使い倒せる、まさにアウトドアマンシップといえる取り組みが、アウトドアブランドとしてのモンベルの魅力といえます。

UL(軽量化)系2パーソンテント
ひとりあたりの重量が800g以下と、おどろきの軽さをほこるドーム型テントです。NEMOならではのすばやい設営が可能なシステムがほどこされ、耐久性はそのままに不要なものを失くして軽さを追求したモデルになります。
岩の露出する荒れている山地の上でも、じゅうぶんな耐久性と軽さが魅力のアタッカー向けモデルです。アクティブな登山からのステップアップを考える際におすすめのテントです。
軽さだけでなく携帯性にもすぐれた登山用テント
約0.94㎏の軽量化を実現するテント。サックが二通りの収納方法に対応しているので、軽いだけでなく、持ち運びのしやすさも考慮されています。
インナーテントはブリーザブルナイロンで、風などの冷気を防げます。インナーテント上部にフライバーボリューマイジングポールクリップと呼ばれる独自の構造を採用することで、広々とした空間を実現。前室もあるので、荷物の整理がしやすそうです。
とにかく軽いテントが良い!ならコレです
1.43kgという軽量ながらも、無駄のない設計により風雨を遮るには十分な性能を実現。靴の着脱や荷物置きにも使える、台形型の前庭がポイントのバックパックテントです。
使い勝手の良いドアが2つ付いているので、通気性も良く、居住スペースも十分。登山での軽量化を重視した一品です。
耐水性と通気性を兼ね備えたハイコスパなソロテント
国産メーカーのソロドーム。折りたたみ可能で、収納ケースもついていて、重さも約1.88㎏なので持ち運びがラクラクです。
多機能で高性能なうえに、高い耐水圧を兼ね備えているので、天気のすぐれない日も快適なアウトドア生活を楽しめるのではないでしょうか。インナーテントは通気性抜群のオールメッシュなので、暑い夏でも快適にすごせそうです。

KELTY(ケルティ)『SALIDA2 2人用』
収納が魅力の軽量2パーソンテント
大型のメッシュで通気性をもたせたインナーに前室が確保できるフライシートつきテントです。これだけだと普通のテントですが、最小重量がわずか1.76kgと軽く、ひとり分で換算すると800gと少しになり、ソロ登山用テントとしては驚きの軽さになります。
室内を台形にすることで、居住スペースを無駄なく使い切れる工夫がほどこされています。
なお、このテントの最大の魅力はパッキングにあります。通常テントはパッキング時、筒型に収納されるものが多くありますが、これは四角形で平たくパッキングが可能。収納時にザック内に生まれる無駄なスペースを消すことができて、荷物が多くなりやすい登山のパッキングもストレスなくできます。

軽さを追求するアタッカー向けの最軽量テント
ふたり用ですが、ひとりあたりの重量に換算すると500g台とおどろきの軽さ。重量1.08kgはもはやソロテントでも軽い部類にはいります。
ドーム型テントではないので自立こそしないため手間がかかるものの、それでもこの軽さではじゅうぶんすぎるくらいの機能といえるでしょう。
室内は必要最低限でミニマムといった感じですが、前室もあり荷物も置けます。軽快なハイキングやトレッキングにも気軽に持っていける登山用テントです。
体力の差があるバディ(仲間)と一緒に登山をする場合やカップル、夫婦などにおすすめの超軽量テントです。普段はソロだけどときどき2人といった登山スタイルのハイカーにもおすすめです。
実用性とデザイン性を両立した軽量テント
ほかにあまりない独特なデザインが魅力的。ただ独創的なだけでなく、雨や強風に耐えられるよう緻密に設計されているのがポイントです。
約0.71㎏と軽量ながら、ひとり用として充分な広さの居住スペースを実現。左右のドアを開けて開放的に使うこともできます。実用面とデザイン面の両方でセンスをアピールできそうです。
軽量性と設営の手軽さをハイコスパで実現
半自立式のダブルウォールのなかでも軽量な部類に入る1.62kgのテントです。軽量ながらもソロテントとして充分な広さを確保しています。持ち運びもラクなので、なるべく荷物を軽くして登山に挑みたい方は重宝するのではないでしょうか。
ポールが一体型なので、設営もスムーズ。マイクロメッシュのインナーテントが、結露や虫を防ぎます。
強度と軽量性を実現した国内生産のテント
軽量性と強度を兼ね備えていて、登山者にうれしい作りを実現。総重量は1.5kg程度で、軽量化を実現しながら風にも雨にも強い作りなので、安心して利用することが可能です。
プロモンテVLシリーズは、国産の生地を国内の工場で生産。日本の登山環境を想定した、熟練の職人によるていねいなモノづくりで高品質を実現しているのが魅力です。
耐水圧800・軽量コンパクトサイズの2人用テント
「ナノシールドファブリック」を採用した2人用シングルドア設計の4シーズンテントです。軽量コンパクト、本体とポールを合わせても重さ約1.2kg。
また、撥水性と通気性にすぐれており、耐水圧は800で、前部のドアと後部にはジッパーメッシュパネルが付いています。収納時は15×23cmまでコンパクトになるのもポイントです。
オールシーズン使える国産テント
フライと本体グランド部には、ナイロンよりも速乾性に優れたポリエステル素材を使用することで、悪天候下や結露などにも強くなり、より素早い撤収作業を実現したテントです。
職人たちの手により作られたテントは全て、設営検品をクリアして出荷されており品質は抜群。また、ポール一本から修理ができるアフターケア体制により、長く愛用できる製品となっています。
まるで軍幕!機能性を追求した無骨さが魅力
ミリタリー系アウトドア専門メーカーによる『無骨さ』がカッコイイ、機能的なソロテントです。まるで軍幕のような雰囲気ながらも、高品質なYSSファスナーをはじめ使いやすさは抜群!
50Dポリエステルを使用しているので軽量にもかかわらず引き裂きにくく、フルクローズもできるのでプライバシーも安心。耐水圧1,500mmで雨天時にもしっかり使えますよ。
欧州軍隊やアルピニストも愛用する高性能テント
ISO認証工場により製造された優れた耐水生地を使用し、大雪・大雨など過酷な環境下でも、素早く簡単に設置できる特殊設計を採用。高地でのテント泊や遠征の際におすすめのテントです。
加えて、使用時の快適さも追及。通気性のよいダブルウォール構造や前後に設けられた出入口、そしてメッシュ素材を含む3パターン扉など、キャンプ用としても使えます。
軽量と快適性の両立!
2.53kg未満に重量をおさえつつ、ゆったりと使える前室付きソロテントです。もちろん、インナーテントは吊り下げ式なので簡単に設置できます。
左右にはメッシュ窓が設けられており、夏場でも涼しく過ごすことができます。加えて、1,500mmの耐水性も持つのである程度の雨なら問題ありません。
スタイルに合わせてテントも変化できる
ツンっと尖ったテンションリッジにより、テント内部の空間を広げる効果と換気性が期待でき、最上部からはこもりやすい熱気も逃がしてくれます。大きめドアが特徴的な自立式テントです。
別売りのポールなどを購入すれば、屋外での料理やくつろぎのスペースとしても使えるハングアウトモード(フライをセミオープンシェルター化)にもできる点もポイントです。
メッシュ構造のインナーテントで夏も冬も心地よく
ダブルウォールのふたり用テントです。設営がしやすそうな設計なので、登山初心者も手軽に扱えるのではないでしょうか。
インナーテントにはふたつの大きなメッシュがあり、夏は心地よくすごせ、冬は結露を防ぎます。冬の雪山登山などで役立つスノーカートも備えており、4シーズン利用できるスペックだと言えるでしょう。
「山岳テント」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 登山用テントの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での登山用テントの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
登山用テントと一緒にチェックしたいアイテム マット、ツェルト、リュック、寝袋も
山岳写真家からアドバイス 山岳テントは必要最低限のスペースがあればよい
山岳テントは広々と使うのではなく、必要最低限のスペースがあればいいものです。人数分の就寝スペースがあれば、食事や着替えなど悪天候時でも可能になります。
テント泊になれているベテランハイカーであれば、シングルウォールのテントでも大丈夫ですが、前室があるとより快適に過ごせます。人数によって使い分けるのがベスト。もし、足りない分はソロテントなどと組み合わせれば、じゅうぶん対応できます。
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