軽量登山用テントの選び方 山岳写真家に聞く
山岳写真家の荒井裕介さんに、軽量登山用テントを選ぶときのポイントを教えてもらいました。テント選びが初めてだと、色や重量を重視してしまいそうです。体験者でなくてはわからない、実用上のポイントもご紹介いただいているので、ぜひチェックしてみてください。ポイントは下記の6つ。
【1】「シングル」「ダブル」ウォールのメリット・デメリット
【2】「自立式」「非自立式」のメリット・デメリット
【3】雨や風に強いものを選ぶ
【4】日本のテント場で使うなら入口の向きにこだわろう!
【5】季節に合わせて選ぶ
【6】使用人数+1人分のサイズを選ぶ
上記のポイントを押えることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】「シングル」「ダブル」ウォールのメリット・デメリット
登山用テントには、大きく分けて「シングルウォール」と「ダブルウォール」の2種類があります。それぞれメリットとデメリットがありますので、その点を把握したうえで選びましょう。
シングルウォール
【メリット】
シングルウォールの特長は入り口が1枚壁で軽量である点です。透湿防水素材のやや厚みのある生地が使われており、コンパクトに収納できます。携帯性と設営のしやすさが売りです。
【デメリット】
前室がない分、雨の日には濡れたまま室内に入らざるをえません。また、結露しやすいという点もデメリットのひとつ。
ダブルウォール
【メリット】
透湿性のあるインナーテントと防水性のあるフライシートの2重構造が特長のダブルウォール。前室がある分、シングルウォールと比べ快適性があり、濡れたまま室内に入ることなく済みます。
【デメリット】
シングルと比べ、設営の手間と重量があります。
【2】「自立式」「非自立式」のメリット・デメリット
テントには自立式と非自立式があり、それぞれメリットとデメリットがあります。どちらのタイプが目的に合っている考慮して選びましょう。
自立式
【メリット】
骨組みとして張ったポールのみで設営できるテントです。ペグやローブなどを打たなくても簡単に設営できるのがメリットです。
【デメリット】
風の影響を受けやすいのがデメリットです。
非自立式
【メリット】
ペグやトレッキングポールなどを使って設営するタイプのテントで、軽量かつ耐久性があるのが特長です。
【デメリット】
自立式と比べて設営に手間がかかります。
【3】雨や風に強いものを選ぶ
山は気候が変わりやすく、暴風雨に見舞われた際のことも考えておく必要があります。そのため、雨に強い素材で耐久性のあるものを選ぶようにしましょう。
【4】日本のテント場で使うなら入口の向きにこだわろう!
アルプスなど多くのテントサイトでは、出入口がテントの短辺側にドアがあるものを選択することをおすすめします。稜線上の限られたスペースにテント場があることも多く、ハイシーズンのテントサイトではテントがびっしり並びます。短辺側にドアがあると、狭い稜線上でのビバークやテラスでも設営できるのでおすすめです。
長辺にドアがあるものは、調理などの作業性や居住性もよく快適ですが、限られたスペースを安全かつ最大限利用するのもテント選びには重要です。
また、強風のときには風を受ける面積が少ない部分(短辺側)にドアがあると風の影響を受けにくくなり安全性が上がります。
【5】季節に合わせて選ぶ
テントには、春・夏・秋の3シーズンテントと冬の使用時も想定した4シーズンテントがあります。
3シーズンテント
夏の使用を目的としているため、通気性と防水性を重視しています。そのため、気温の低い季節には向いていません。
4シーズンテント
外気の侵入を防ぐ設計でベンチレーション(換気)を装備し、保温性があるのが特徴です。
【6】使用人数+1人分のサイズを選ぶ
実際に使用するときは、使用人数とは別に荷物のスペースのことも考えておく必要があります。したがって、実際の人数+1人分のスペースで考えて選ぶようにしましょう。
軽量登山用テントおすすめ5選 重量・サイズをチェック!
軽量登山用テントの選び方のポイントをふまえて、山岳写真家の荒井裕介さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。それぞれの特徴が簡潔にまとめられているので、自分の用途との相性がとてもわかりやすくなっています。


超軽量のソロテントならこれだ!
一般的なソロクッカーセットと同サイズに収納可能なコンパクトなソロテントです。じゅうぶんな居住性を確保しているのにコンパクトに収納できるのは魅力ですよね。
また、強度を保つために力のかかる部分にダイニーマテープが骨格のように施され強度が高い作りがうれしいですね。
ソロテントでありながら全室に50cm x 90cmの空間があり、靴や濡れたものを室内に持ち込まなくて済むので悪天候時には便利な機能ですね。冬季用のフライなどオプションも充実しており、4シーズン使えるので最初のテントとしても安心して使えます。本格的山岳テントとしても、低山縦走の装備としてもおすすめのテントです。
本格的な登山にも適応する超軽量モデル
ビバークを繰り返し登攀(※とうはん)するような本格的な登山向けのテント(ツェルト)です。パネルは耐水圧1,000mm、透湿量8,000gのポリウレタン透湿コートを施した15dnナイロンリップを採用。軽量かつ快適な居住空間を実現しました。
過酷な状況に挑戦するクライマーたちにとって、軽量化はとても重要な課題。この『クロスオーバードーム』は、2人まで収容できて重量は700g。単独だけでなくチームやペアで登攀することを目的に設計されたテントです。
※登攀(とうはん):山や高所によじのぼること。
本体660g! 超軽量を登山テントをお探しなら
本体660g、ポールなどを入れても790におさえた『Carbon Reflex』。カーボンポールを最小限の本数にとどめ、極薄生地により、軽量化を実現。まるでタープのように軽量な非自立式ダブルウォールテントです。付属のフライシートにはファスナーも使わない徹底ぶり。入口を固定するのはベルクロと小さなフック。
コンパクトではありますが、インナースペースは、通気性が高く快適かつ開放感のあるマイクロメッシュ素材を採用。立ち上げると、フロアはバスタブ状をしており、デッドスペースをなくした設計になっています。また、別売のフットプリントを使うことで、フライシートとポールのみでの設営も可能となっています。
軽量・安価! ツーリングなどのお供に
本体と収納バッグのほかペグ4本、ポール2本のみ。これで920gと軽量で、かつ価格が2,000円台~とかなりお手頃価格です。その分、雨が本降りの際はやや心もとないでしょう。ただ、小雨程度であれば問題なく、主にタープと併用して活用するのがおすすめです。本格的な登山というよりは、緊急用やツーリングのお供にするくらいがちょうどよいのではないでしょうか。
なお、付属のペグではやや頼りないので、もう少ししっかりしたペグで固定したほうがよいでしょう。このテントの売りはなんといっても、軽量コンパクトで安価なことです。それだけでも充分に満足できる高コスパ品といえます。
「軽量登山用テント」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 軽量登山用テントの売れ筋をチェック
Yahoo!ショッピングでの軽量登山用テントの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
軽量登山用テントに関するQ&A よくある質問
初めてのソロ登山におすすめのテントは1人用? 2人用?

2人用がおすすめです。1人用と2人用とでは、ポールの長さとファブリック分だけでそれほど重量が変わりません。2人用は荷物を置くスペースができて快適性も増します。
テントを安く買う方法を教えてください。

テントを安く買うなら、スポーツ用品店「ヒマラヤ」で購入するのがおすすめです。ヒマラヤは、有名ブランドが20%オフなどの価格で販売されることで知られています。また、Amazonや楽天といったネット通販サイトでは、毎月のようにセールを開催されています。30%オフ以上の値引き率を目安に選んでみてください。
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ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
オールシーズン使えるテントといっても、どの山域でいつ使用するかを考慮することも大事です。低山をのんびり楽しみたいのか、厳冬期のアルプスを狙うのかによって必要な性能は大きく異なってきます。
まずはテント泊に慣れることが目的なら3シーズン対応の軽量テントやコスパ重視でいいでしょう。徐々にステップアップするのであれば、拡張性を考えてオプションがあるモデルを選ぶのも手です。
また、テント以外の装備を見直すことで快適性や居住性を高めることも可能です。スリーピングマットやシュラフ、レイヤリングにこだわるのもいいでしょう。
個人装備を軽量化できる現代の登山だからこそ、テントを選ぶ楽しさがあります。そのためにも自身のターゲットとするフィールドをよく把握してください。ただし、ビギナーはダブルウォールから選んだ方がよいでしょう。
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ブッシュクラフト、狩猟、ULスタイル、沢登りなど様々なアウトドアに取り組む。海外生活の経験もあり銃器やトイガンにも造詣が深い。 アウトドア料理やビンテージアウトドアアイテムのレストア、道具作りにも造詣が深く自作アイテムのみでの山行も行う。 フェールラーベンのアンバサダーとしても活動している。