登山用テントマットの選び方
それでは、登山用テントマットの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の4つ。
【1】テントマットの種類と特性
【2】装備の軽量化のために知っておきたいサイズ
【3】目的の山の気温
【4】シュラフの保温性を補う、ダウンマット
上記の4つのポイントをおさえることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】テントマットの種類と特性をチェック
テントマットには大きく分けて「クローズドセル」「インフレータブル」「自動拡張式」の3種類があります。
クローズドセルはEVAフォームなどで作られており、折りたたむなどして持ち運びが可能です。軽量で暖かく、任意の長さでカットできるので、かさばるというデメリットをカバーできます。
インフレータブルは、空気を注入して膨らませて使用します。「エアーマット」といいかえるとイメージしやすいでしょう。軽量なうえ、コンパクトに収納が可能ですが、空気層が冷えてしまうとマットの保温性は下がります。
自動拡張式は、その両方の長所を持ち合わせています。しかし、エアーを注入するタイプがゆえに、パンクの恐れはつきもの。ほかの2つとくらべても、重量が増してしまう傾向にあります。
【2】装備の軽量化のために知っておきたいサイズをチェック
テントマットは、シュラフやテント同様に寝るときにしか使いません。一般的には首から足先までのサイズを選択するのですが、中~上級者になると、装備の軽量化のために背中から腰まではマットを使い、それ以外はザックや着替えなどでカバーする人もいます。
また、テントマットはザックのタイプでも使いわけることが可能です。たとえばクローズドセルはフレームを持たないUL(ウルトラライト)系のザックなどのフレーム代わりとしても代用できます。
自分の装備と合わせて兼用が可能かを考えるのも大切なプロセスです。
【3】目的の山の気温をチェック
シーズンや山域に応じてテントマットを選びたいものですね。3,000m級の山の気温は真夏でも初春とかわりませんし、雪渓の残るテント場もあります。
一方で低山ではマットが暑いなど条件はさまざまです。少しでも安眠できるように、スタイルにあわせてチョイスしましょう。
軽量でも厚みがあり空気層の多いインフレータブルは、冷えには弱いですが暑さには強いので真夏の低山派におすすめです。
クローズドセルはオールラウンダーで、自動拡張式はシーズンによって厚みや素材の選択が必要ですがコンパクトにまとまります。
【4】シュラフの保温性を補う、ダウンマットをチェック
厚いシュラフを選んでも、背中側のロフトがつぶれてしまい保温性が下がってしまいます。その保温性を補うのがマットの役割でもあります。
ダウンが封入されたマットは、シュラフのつぶれてしまうロフトを補い快適な温度にしてくれる厳冬期のマストアイテムです。
R値という断熱性をあらわす指標が設定された商品もあります。R値は1~10までの数字で定められ、数字が大きいほど断熱性が高くなります。
R値の選択をし、対象地域の気温や積雪の有無によってダウンマットを選択することが安全にもつながります。また、低山であればレイヤリングとマットでシュラフの保温性を下げることもできます。
おすすめ5選|クローズドセル
それでは、おすすめのテントマットをご紹介します。まずは、手軽に使えるクローズドセルのマットです。ぜひ参考にしてください。
すぐれたクッション性で折りたたみやすいマット
クローズドセルですぐれたクッション性が特徴の製品。比較的リーズナブルな価格設定で、コスパにすぐれたテントマットと言えるのではないでしょうか。
構造もしっかりしていて使い心地のよさも魅力。厚さ2cmのフォームですぐれた寝心地を実現し、体が痛くなることもなさそうです。折りたたんで収納できるので、持ち運びやすいのもポイントです。
耐久性のあるクローズドセルマットレス
耐久性にすぐれているのが特徴。凸凹構造なのでしっかりと体にフィットします。熱が逃げないように保温性の高い素材になっており、暖かくて寝心地もよいでしょう。
レギュラーサイズとラージサイズが展開されているのもポイント。快適性重視で大きめのものを選んだり、装備の重量を考慮してレギュラーサイズを選んだりと用途に合わせられます。
六角形をベースとしたフォームで寝心地を追求
クローズドセルでヘキサゴナル(六角形)の形をベースとした構造が特徴。独自の構造になっているパッドで体にしっかりとフィットします。かたさの違う2層の素材を組み合わせているのも、快適な寝心地を追求しているポイント。裏面に熱を遮断するフィルムを取り入れています。
2層フォームながら分厚くなく、コンパクトに持ち運べるのも魅力です。

クローズドセルでも軽量でコンパクト!
適度なかたさで快適な睡眠をとることができます。アコーディオン式で折りたたみができるうえ、とても軽量です。湿気や水分の吸い込みがないのが特徴で、ザックの外につけても安心して使用できます。
表面の凹凸が適度なクッション性をもたらし、薄くても快適、かつ軽量に設計されたモデルで、登山者からハイカーまで広く支持されています。必要に応じて折り目から切ることもできるので、カスタマイズも自由です。

自動膨張式マットの定番ともいえるアイテム
マットといえばこちらを思い浮かべる方も多いくらい定番のマット。寝心地、重量、保温性どれをとってもオールマイティに使えますよ。最初のマットは長く使えるものが好ましいのですが、軽量さやコンパクト化など、マット選ぶうえでの基準にもなります。
クローズドセルは、エアー注入タイプのようにパンクするおそれはなく安心です。さらに、収納や展開時に広げるだけで使用可能。休憩時にもさっと広げて使うことができます。ほかの装備で軽量化を図れる人であれば、こちらの安定感のあるプロライトがおすすめです。
おすすめ7選|インフレータブル(エアー式)
続いては、収納が便利で寝心地にすぐれたインフレータブルの登山用テントマットをご紹介します。
二重蓋で空気が漏れにくい構造が魅力の製品
インフレータブル設計で蓋が二重になっているため、空気が逃げない構造。空気が逃げるとクッション性がなくなったり、何度も空気を入れる必要性がありますが、この商品ならそんな心配せず使えるでしょう。
空気を入れるときも空気が抜けることがなく、ストレスなく就寝の準備ができそう。空気を出すときはバルブの底を開くと、わずか数秒ですぐに抜けます。
収納ケースをポンプとして使用できる
収納ケース自体を空気入れに使用できるすぐれものです。空気を入れるためのポンプはたいてい別に持っていくことが多いので荷物がかさばりがち。しかし、このキャンピングマットなら収納ケースをそのまま使用できます。
使用中に穴が開いてしまったり破れたときはカンタンに修理ができるリペアキットも便利。初心者にも扱いやすそうなテントマットです。
自動膨張式でクッション性が高く快適
自動膨張式でフィット性とクッション性にすぐれたキャンピングマット。厚さ5cmと超極厚なので体にしなやかにフィットし、寝心地もとてもよさそうです。クッション性も高く快適にすごせるのではないでしょうか。
パルブを開くだけで空気が入るので、膨らませる手間がないのが大きな特徴。さらに、テントフロアにフィットするサイズも魅力のひとつです。
自動膨張式でふたりでも使用できるじゅうぶんな広さ
2枚組セットなので、ふたりでも使用できるのがポイント。家族や友達とキャンプするのにも便利そうです。キャンピングマットを何個も用意する必要がありません。ひとりで使用する場合も、広々と快適に寝られるでしょう。
収納袋がポンプとして使用できるのすぐれもの。ポンプを持ってくる必要がなく、荷物をよりコンパクトにできます。

個性派の安眠にはもってこいのピローつき
シュラフ(寝袋)の中にいれて使うタイプのマット。肉抜きされた形状は、シュラフのロフト(かさ高)をできるだけつぶさないように設計されています。マットの隙間で膨らんだシュラフは保温性を保つことができます。サブマットとして厳冬期に使用するのもいいでしょう。夏山のマットとしてもかなり快適に過ごせます。
複雑な形状ですが、軽量でコンパクト。かかとが落ち込まないように配慮された、足元の構造もポイントです。エアーマットで快適な夜を過ごしたい方におすすめです。

ハイブリッドなエアーマットは、まるでベッド
頭部と足は1層、重量のかかる背中や腰は2層と、大小計算されて配列したエアスプリングにより、厚みをもたせても軽量でコンパクトになるのが魅力です。長時間横になっても負荷が分散されるので、疲れることなく安眠できます。
マット内部にこまかい気室をつくるので、チューブタイプよりもこまかく点で体を支え、スプリングベッドのような快適さを感じられます。さらに、ほかのエアマットと同様に気圧で寝心地をコントロールすることができるので、好みのかたさに微調整が可能です。
「登山用テントマット」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 登山用テントマットの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの登山用テントマットの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
登山用テントマットに関するQ&A よくある質問
登山用テントマットはなぜ必要?

テント泊登山には、テント以外にシュラフ(寝袋)とマットの3つが必須です。マットは、地面からの底冷えを防ぐために必要なのです。
マットの種類は?

マットは大きく分けて2種類あります。コンパクトに丸めて持ち運べる「クローズドセル」とエアーを注入して膨らませる「インフレータブル」(エアー式)の2種類です。
【関連記事】登山用バックパックやテントもチェック!
ダウンや保温素材が付加されたモデルがおすすめ 山岳写真家からのアドバイス
マットといっても、その種類はこまかく分けるとかなりの数があります。少ないプロセスでサッと使えるクローズドセルは広範囲で使用でき、軽さは折り紙つきですがコンパクトさに欠けます。
インフレータブルは、低山や春夏秋のシーズンであれば軽さと快適な寝心地を得られますが、冬の低温下の使用には向きません。オールマイティに使える自立膨張式は、重量が許容範囲ならポテンシャルは高いです。
春夏秋の3シーズンと冬季でマットを分けて使うのであれば、ダウンや保温素材が付加されたモデルを取り入れるのがいいでしょう。高機能を求めればそのぶん価格も上がりますが、マットの性能を最大限に引き出し、工夫を取り入れるのも快適な睡眠を得るポイント。保温性や寝心地を検討したうえでチョイスしてくださいね。
複合できる機能を持ったザックなどを積極的に利用することで、重量の軽減にもつながります。ギア選びは登山における総合力といえるでしょう。
季節やアタックする山によっても選び方が変わる
1)「クローズドセル」「インフレータブル」「自動拡張式」それぞれの特性を知り、用途に合ったものを選ぶ
2)軽量装備を重視するならショートサイズも選択肢のひとつ
3)クローズドセルはザックのフレーム代わりにもなる
4)季節や山の気温によっても最適なテントマットは変わる
5)保温性が必要となる厳冬期にはダウンマットもおすすめ
季節や、アタックする山によっても最適なテントマットは変わってくるでしょう。ふたりで使用できる大きいサイズのマットや、凸凹構造で体にしっかりとフィットするマットなど、さまざまな種類があります。ぜひ自分のお気に入りのテントマットを見つけてください。
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ブッシュクラフト、狩猟、ULスタイル、沢登りなど様々なアウトドアに取り組む。海外生活の経験もあり銃器やトイガンにも造詣が深い。 アウトドア料理やビンテージアウトドアアイテムのレストア、道具作りにも造詣が深く自作アイテムのみでの山行も行う。 フェールラーベンのアンバサダーとしても活動している。