登山用テントマットの選び方 地面からの冷気で身体が冷えることを防いでくれる
山岳写真家の荒井裕介さんに、登山用テントマットを選ぶときのポイントを4つ教えてもらいました。
テントマットの種類と特性を知って選ぶ
アコーディオン式に折りたためる登山用テントマット。軽量かつコンパクトのため持ち運びに便利。
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
テントマットには大きく分けて「クローズドセル」「インフレータブル」「自動拡張式」の3種類があります。
クローズドセルはEVAフォームなどで作られており、折りたたむなどして持ち運びが可能です。軽量で暖かく、任意の長さでカットできるので、かさばるというデメリットをカバーできます。
インフレータブルは、空気を注入して膨らませて使用します。「エアーマット」といいかえるとイメージしやすいでしょう。軽量なうえ、コンパクトに収納が可能ですが、空気層が冷えてしまうとマットの保温性は下がります。
自動拡張式は、その両方の長所を持ち合わせています。しかし、エアーを注入するタイプがゆえに、パンクの恐れはつきもの。ほかの2つとくらべても、重量が増してしまう傾向にあります。
装備の軽量化のために知っておきたいサイズの選び方
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
テントマットは、シュラフやテント同様に寝るときにしか使いません。一般的には首から足先までのサイズを選択するのですが、中~上級者になると、装備の軽量化のために背中から腰まではマットを使い、それ以外はザックや着替えなどでカバーする人もいます。
また、テントマットはザックのタイプでも使いわけることが可能です。たとえばクローズドセルはフレームを持たないUL(ウルトラライト)系のザックなどのフレーム代わりとしても代用できます。
自分の装備と合わせて兼用が可能かを考えるのも大切なプロセスです。
目的の山の気温によって選ぶ
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
シーズンや山域に応じてテントマットを選びたいものですね。3,000m級の山の気温は真夏でも初春とかわりませんし、雪渓の残るテント場もあります。
一方で低山ではマットが暑いなど条件はさまざまです。少しでも安眠できるように、スタイルにあわせてチョイスしましょう。
軽量でも厚みがあり空気層の多いインフレータブルは、冷えには弱いですが暑さには強いので真夏の低山派におすすめです。
クローズドセルはオールラウンダーで、自動拡張式はシーズンによって厚みや素材の選択が必要ですがコンパクトにまとまります。
シュラフの保温性を補う、ダウンマットの選択も
ダウンの入った登山用テントマット。-32℃まで対応するので、冬の登山などに向いている。
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
厚いシュラフを選んでも、背中側のロフトがつぶれてしまい保温性が下がってしまいます。その保温性を補うのがマットの役割でもあります。
ダウンが封入されたマットは、シュラフのつぶれてしまうロフトを補い快適な温度にしてくれる厳冬期のマストアイムです。
R値という断熱性をあらわす指標が設定された商品もあります。R値は1~10までの数字で定められ、数字が大きいほど断熱性が高くなります。
R値の選択をし、対象地域の気温や積雪の有無によってダウンマットを選択することが安全にもつながります。また、低山であればレイヤリングとマットでシュラフの保温性を下げることもできます。
登山用テントマット【プロ厳選】8選 軽量でコンパクト、究極の冬型マットなど
ここまで紹介した登山用テントマットの選び方のポイントをふまえて、山岳写真家の荒井裕介さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。

THERMAREST(サーマレスト)『Z LITE SOL(ゼットライトソル)』

出典:Amazon
サイズ | スモール:縦130×横51cm、レギュラー:縦183×横51cm |
---|---|
収納時のサイズ | スモール:幅51×奥行10×高さ14cm、レギュラー:幅51×奥行13×高さ14cm |
重量 | スモール:290g、レギュラー:410g |
厚み | 2cm |
素材 | 架橋ポリエチレン |
断熱性(R値) | 2.6 |

BIG AGNES(ビッグアグネス)『サードディグリーフォーム』

出典:楽天市場
サイズ | レギュラー:縦183×横51cm、ショート:縦122×横51cm |
---|---|
収納時のサイズ | レギュラー:直径15×高さ51cm、ショート:直径13×高さ51cm |
重量 | レギュラー:340g、ショート:227g |
厚み | 1.3cm |
素材 | EVAフォーム |
断熱性(R値) | - |

EXPED(エクスペド)『DownMat UL Winter M』

出典:Amazon
サイズ | 縦183×横52cm |
---|---|
収納時のサイズ | 直径11×高さ23cm |
重量 | 630g(ポンプ60g、スタッフバッグ15g) |
厚み | 9cm |
素材 | 表:20 Dポリエステル TPUポリエーテルフィルムラミネート、裏:20 Dポリエステル TPUポリエーテルフィルムラミネート |
断熱性(R値) | 7 |

KLYMIT(クライミット)『イナーシャオゾン スリーピングパッド』

出典:Amazon
サイズ | 縦183×横54.6cm |
---|---|
収納時のサイズ | 幅8.9×奥行15.2cm |
重量 | 346g(スタッフサック別) |
厚み | 4.4cm |
素材 | - |
断熱性(R値) | - |

mont-bell(モンベル)『U.L. コンフォートシステム エアパッド 150』

出典:Yahoo!ショッピング
サイズ | 縦150×横50cm |
---|---|
収納時のサイズ | 直径10×高さ20cm |
重量 | 431g(スタッフバッグ込み441g) |
厚み | 7cm |
素材 | 30デニール、ポリエステル、リップストップ(TPUラミネート) |
断熱性(R値) | - |

SEA TO SUMMIT(シートゥサミット)『コンフォートライトマット スモール』

出典:楽天市場
サイズ | 縦184×横55cm |
---|---|
収納時のサイズ | 直径8.5×高さ17cm |
重量 | 515g |
厚み | 6.3cm |
素材 | 40Dリップストップナイロンファブリック |
断熱性(R値) | 1 |

THERMAREST(サーマレスト)『PROLITE PLUS(プロライトプラス)』

出典:Amazon
サイズ | スモール:縦119×横51cm、レギュラー:縦183×横51cm、ラージ:縦196×横63cm |
---|---|
収納時のサイズ | スモール:直径10×高さ28cm、レギュラー:直径12×高さ28cm、ラージ:直径13×高さ33cm |
重量 | スモール:450g、レギュラー:650g、ラージ:880g |
厚み | 3.8cm |
素材 | 表面:50Dミニヘックスポリエステル、裏面:50Dポリエステル |
断熱性(R値) | 3.4 |

NEMO Equipment(ニーモ・イクイップメント)『ZOR(ゾア) 20R』




出典:楽天市場
サイズ | 縦183×横51cm |
---|---|
収納時のサイズ | 直径13×高さ18cm |
重量 | 380g |
厚み | 2.5cm |
素材 | 20Dポリエステル |
断熱性(R値) | - |
登山用テントマット【クローズドセル】おすすめ3選 耐久性抜群、寝心地にこだわる人向けなど
手軽に使えるクローズドセルのマットを3つご紹介します。
THERMAREST(サーマレスト)『RIDGEREST CLASSIC(リッジレスト クラシック)』






出典:Amazon
サイズ | レギュラー:縦183×横51cm、ラージ:縦196×63cm |
---|---|
収納時のサイズ | レギュラー:直径20×高さ51cm、ラージ:直径22×高さ63cm |
重量 | レギュラー:400g、ラージ:540g |
厚み | レギュラー:1.5cm、ラージ:1.5cm |
素材 | 架橋ポリエチレン |
断熱性(R値) | 2.6 |
NEMO Equipment(ニーモ・イクイップメント)『スイッチバック レギュラー(NM-SWB)』














出典:Amazon
サイズ | ショート:縦130×横51cm、レギュラー:縦183×横51cm |
---|---|
収納時のサイズ | ショート:幅13×奥行10.75×高さ51cm、レギュラー:幅13×奥行14×高さ51cm |
重量 | ショート:300g、レギュラー:415g |
厚み | ショート:2.3cm、レギュラー:2.3cm |
素材 | ポリエチレン |
断熱性(R値) | - |
CAPTAIN STAG(キャプテンスタッグ)『EVAフォームマット(M-3318)』


















出典:Amazon
サイズ | 縦182×56cm |
---|---|
収納時のサイズ | 幅13×奥行12.5×56cm |
重量 | 約270g |
厚み | 2cm |
素材 | マット:発泡ポリエチレン、EVA樹脂、バンド:合成ゴム |
断熱性(R値) | - |
登山用テントマット【インフレータブル】5選 空気が漏れにくい、収納ケースがポンプ代わりになど
収納が便利で寝心地にすぐれたインフレータブルの登山用テントマットを5つご紹介します。
Naturehike(ネイチャーハイク)『エアーベッド マットレス』














出典:Amazon
サイズ | 縦198×59cm |
---|---|
収納時のサイズ | 直径10×高さ30cm |
重量 | 約530g |
厚み | 6.5cm |
素材 | TPUナイロン |
断熱性(R値) | - |
snow peak(スノーピーク)『キャンピングマット2.5w(TM-193)』




























出典:Amazon
サイズ | 縦198×77cm |
---|---|
収納時のサイズ | 直径20×高さ85cm |
重量 | 1,900g |
厚み | 6.2cm |
素材 | 表地:75Dポリエステル、裏地:75Dポリエステルノンスリップ加工、インナー:TPUフォーム、バルブ:ABS樹脂 |
断熱性(R値) | - |
PuroMonte(プロモンテ)『GMT35(エアマット180)』






出典:Amazon
サイズ | 縦183×横51cm |
---|---|
収納時のサイズ | 直径15×高さ27cm |
重量 | 約450g |
厚み | 2.5cm |
素材 | 表面・裏面:ポリエステルリップ30D |
断熱性(R値) | - |
LOGOS(ロゴス)『セルフインフレートマット』










出典:Amazon
サイズ | SOLO:縦190×横65cm、DUO:縦190×横135cm |
---|---|
収納時のサイズ | SOLO:幅16×奥行16×高さ61cm、DUO:幅22×奥行22×高さ66cm |
重量 | SOLO:1,800g、DUO:3,800g |
厚み | SOLO・DUO:5cm |
素材 | ポリエステル、ポリウレタンフォーム |
断熱性(R値) | - |
Coleman(コールマン)『キャンパーインフレーターマット ダブルセット2』

出典:Yahoo!ショッピング
サイズ | 縦195×横63cm |
---|---|
収納時のサイズ | 直径20×高さ70cm |
重量 | 3,500g |
厚み | 5cm |
素材 | ポリエステル、ポリウレタンフォーム |
断熱性(R値) | - |
「登山用テントマット」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 登山用テントマットの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの登山用テントマットの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
【最後に】山岳写真家からのアドバイス 条件や目的に合ったマットを選び、登山を快適に
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
マットといっても、その種類はこまかく分けるとかなりの数があります。少ないプロセスでサッと使えるクローズドセルは広範囲で使用でき、軽さは折り紙つきですがコンパクトさに欠けます。
インフレータブルは、低山や春夏秋のシーズンであれば軽さと快適な寝心地を得られますが、冬の低温下の使用には向きません。オールマイティに使える自立膨張式は、重量が許容範囲ならポテンシャルは高いです。
春夏秋の3シーズンと冬季でマットを分けて使うのであれば、ダウンや保温素材が付加されたモデルを取り入れるのがいいでしょう。高機能を求めればそのぶん価格も上がりますが、マットの性能を最大限に引き出し、工夫を取り入れるのも快適な睡眠を得るポイント。保温性や寝心地を検討したうえでチョイスしてくださいね。
複合できる機能を持ったザックなどを積極的に利用することで、重量の軽減にもつながります。ギア選びは登山における総合力といえるでしょう。
登山用バックパックやテントも要チェック! 【関連記事】
登山をするならこちらも欠かせません
アウトドアライターの夏野 栄さんへの取材をもとに、登山用バックパックの選び方とおすすめ商品をご紹介します。安全かつ快適に登山するためにも、用途に合う登山用バックパックを、本記事でしっかり見ていきましょう。
大人数で楽しみたい方はこちらも
大人数でのキャンプで活躍するドームテント。アウトドアライターでキャンプブロガーのSAMさんへの取材をもとに、ドームテントを選ぶうえで知っておきたいポイントとおすすめ商品をご紹介します。プロの目線からみたおすすめのドームテントをぜひチェックしてみてください。
一風変わったものがほしい方に
DODは幅広いアウトドア用品を提供していますが、テーブル・チェアや焚火用品をはじめ、ユニークな名前や機能を持つ製品が多いのも特徴です。この記事では、キャンプライターの中山一弘さんがDODテントの選び方のコツとおすすめ商品を紹介します。
登山用テントマットについて5つのおさらい
1)「クローズドセル」「インフレータブル」「自動拡張式」それぞれの特性を知り、用途に合ったものを選ぶ
2)軽量装備を重視するならショートサイズも選択肢のひとつ
3)クローズドセルはザックのフレーム代わりにもなる
4)季節や山の気温によっても最適なテントマットは変わる
5)保温性が必要となる厳冬期にはダウンマットもおすすめ
季節や、アタックする山によっても最適なテントマットは変わってくるでしょう。ふたりで使用できる大きいサイズのマットや、凸凹構造で体にしっかりとフィットするマットなど、さまざまな種類があります。ぜひ自分のお気に入りのテントマットを見つけてください。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/12/13 コンテンツ修正のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 平野慎也)
ブッシュクラフト、狩猟、ULスタイル、沢登りなど様々なアウトドアに取り組む。海外生活の経験もあり銃器やトイガンにも造詣が深い。 アウトドア料理やビンテージアウトドアアイテムのレストア、道具作りにも造詣が深く自作アイテムのみでの山行も行う。 フェールラーベンのアンバサダーとしても活動している。