インクジェット複合機とは
インクジェット複合機の説明をするには、インクジェットプリンターの説明が必要になります。
インクジェットプリンターとは、インクに圧力や熱を加えることで細かな粒子にし、印刷用紙に吹きかけて印刷するプリンターのこと。シンプルな印刷方式を採用しているため、本体のサイズがコンパクトに収まり、家庭用に向いているタイプです。
そして、複合機とは、印刷だけでなく、書類のコピーやスキャン、FAX、ほかにも、CDやDVDのラベル印刷まで、様々な機能を搭載しているプリンターのこと。
そのため、インクジェットプリンターとは、印刷以外の機能が充実したインクジェットプリンターのことを指すことになります。
プリンターとスキャナーが一体になっているためコピーを取ることができ、また、FAXの送受信や紙の文書を読み取ってパソコン上のデータに変換することができます。
(★)ビジネス利用の場合はここに注意!
ビジネス利用の場合、個人宅での利用と違ってプリントアウトする枚数が多くなります。インクカートリッジ1本でどの程度の枚数の印刷が可能なのか、インクカートリッジ1本あたりのコストがどの程度なのかによって、長い目で見たときのランニングコストが大きく変わってきます。
また、有線/無線LANでパソコンと接続できる機種なら、多数のパソコンでかんたんに複合機を共有できて業務効率のアップが期待できます。
インクジェット複合機の選び方
それでは、インクジェット複合機の基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の5つ。
・文書印刷か、写真印刷か
・両面印刷機能
・スキャナー機能
・ネットワーク接続機能
・FAXや電話機能
上記の5つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】文書印刷か、写真印刷かチェック
インクジェット複合機のメイン機能は印刷で、その中でも特に文書印刷と写真印刷の品質が重要。一般的にインクの色数が多いほど印刷品質が高くなります。また、インクの種類も大切。
写真印刷の場合はインクを重ね合わせて色を表現するため、にじみやすい染料インクを用いますが、これは、普通紙に印刷することの多い文書印刷には向きません。
文書印刷が多い場合は、より向いている顔料ブラックインクを採用しているモデルがおすすめ。メーカーによって発色の方向性が異なるため、できれば家電量販店などで印刷サンプルなどをご覧になることを推奨いたします。
【2】両面印刷機能をチェック
どの複合機もA4用紙や写真用紙、はがきなどに対応しますが、A3などさらに大きなサイズの印刷に対応するモデルもあり、両面印刷が可能なモデルなら、印刷する紙を減らすことができます。
CDやDVD、Blu-ray(ブルーレイ)などのレーベルに直接印刷できるモデルもあるので、そういった用途でも使いたい人はしっかりとチェックを。2段給紙トレイなど、複数の用紙をセットしておけるモデルであれば、毎回用紙を入れ替えずに使えるので便利です。
【3】スキャナー機能をチェック
次に重要なのが、コピーにも用いられるスキャン機能。インクジェット複合機のスキャナーは、専用機ほど高品質ではありませんが、なるべく解像度の高いものを選ぶことが大切です。
また、ADF(自動原稿送り装置)を搭載しているモデルなら、複数枚の原稿を自動的に送って1つのファイルにしたり、一気にコピーしたりできます。資料のデジタル化を進めたい人は、要注目の機能です。
最近は使うことが少なくなっているかもしれませんが、必要な人はFAX機能、さらには電話機能などにも注目するとよいでしょう。
【4】ネットワーク接続機能をチェック
最近はWi-Fiに対応し、パソコンからネットワーク印刷ができるモデルがかなり増えてきました。
パソコン1台だけに接続するのであればUSB接続でもいいですが、ネットワーク接続に対応するモデルなら複数台のパソコンから印刷できるだけでなく、スマホやタブレットなどからも印刷可能です。
スマホで撮影した写真をプリントアウトできるだけでなく、スマホアプリを使って年賀状作成ができるモデルなどもあります。
【5】FAXや電話機能をチェック
メールやSNSが浸透したとはいえ、まだまだファックスが必要になる場合もあります。ファックス機能が必要な方は電話と一体となったインクジェット複合機を選びましょう。
手軽に電話番号を押せば、プリントを送り合える機能、中には、迷惑電話をブロックできる機能のプリンターまで販売されています。初期設定が簡単なものも多いので、ぜひチェックしてください。
家電ジャーナリストのアドバイス
IT・家電ジャーナリスト
型落ちでも機能性が高いものを選ぼう
インクジェット複合機は各メーカーがインク販売で利益を得るビジネスモデルのため、機能の割に本体が安く抑えられているのが特徴です。発売当初でもない限り、最上位モデルでも比較的安価に購入できるので、できるだけ機能が充実していて性能が高いモデルを選ぶことをおすすめします。
「最上位モデルではちょっと高い」という人は、2番手あたりを狙うのがおすすめ。印刷よりもスキャンやコピーを重視したいという人は、ADF(原稿送り装置)搭載モデルを狙いましょう。
インクジェット複合機の代表メーカー
本項では、インクジェット複合機を販売する代表メーカーをご紹介。パソコンの接続機能や操作性なども含めてメーカーのカンタンな特徴をご紹介しますので、商品選びの参考にしてみてください。
※各社のシェア率は、IDC Japan調べ、2017年 国内インクジェットプリンター/MFP市場実績 より
エプソン(EPSON)
エプソンのプリンターはコスパ最強との呼び声も高く、小型プリンターの評判もいいです。カートリッジにも大きな変更を加え、コスト面、環境面でメリットのある大容量エコタンク(インクタンク)機種も発売。
2017年にはA3サイズに対応した機種が登場するなど、印刷技術だけでなく、プリンターそのものの機能性を高めてきているメーカーです。
キヤノン(CANON)
国内のインクジェットプリンターシェアも43.7%(※)を占める2番目人気のメーカー。人気機種「PIXUS(ピクサス)」を筆頭に、6色のハイブリッドインクを採用している機種が多く、写真、文書ともに、バランスのよい印刷をすることができます。
家庭用プリンターとして使われることが多く、最新プリンターの評価も毎度高いです。基本色でもあるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色は染料インク、これに顔料インクのライトグレー、ブラックの2色を加えることで、色の階調性を整えています。
ブラザー(brother)
国内のインクジェットプリンターシェア10.3%(※)で、3位になっているのが、世界40カ国に拠点を置くグローバル企業・ブラザー。特にインクジェットプリンター「PRIVIO(プリビオ)」シリーズは低コスト、高機能と人気が高く、主力商品となっています。
パソコン用のプリンターであればどれも非常に使いやすく、慣れによる部分が大きいかもしれません。ブラザーでは6色インクには対応しておらず、4色インクのみでの印刷となります。先述の2社と比較すると、必要十分の機能をバランス良く搭載したコスト面で優れた機種を揃えています。
インクジェット複合機おすすめ10選
上記で紹介したインクジェット複合機の選び方のポイントを踏まえて、おすすめ商品を紹介します。
Canon(キヤノン)『PIXUS TS8230』

出典:Amazon
重さ | 約6.6kg |
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サイズ | 373×319×140mm |
インク | 6色(独立インクタンク) |
最高解像度(dpi) | 4,800×1,200 |
液晶モニター | 4.3型TFT(タッチパネル) |
WiFi接続の有無 | 有 |
自動両面プリントの有無 | 有 |
EPSON(エプソン)『カラリオ EP-881A』

出典:Amazon
重さ | 約6.8kg |
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サイズ | 約349×340×142mm(収納時)、約349×527×183mm(使用時) |
インク | 6色(染料、独立インクタンク) |
最高解像度(dpi) | 5,760×1,440 |
液晶モニター | 4.3型TFT(タッチパネル) |
WiFi接続の有無 | 有 |
自動両面プリントの有無 | 有 |
brother(ブラザー)『プリビオ DCP-J978N-W』

出典:Amazon
重さ | 約8.6kg |
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サイズ | 400×341×172mm |
インク | 4色(独立インクタンク) |
最高解像度(dpi) | 6,000×1,200 |
液晶モニター | 2.7型TFTタッチパネル |
WiFi接続の有無 | 有 |
自動両面プリントの有無 | 有 |
印刷スピードが速く多機能で使い勝手は抜群
染料の3色インクと顔料のブラックインクを組み合わせた4色インクを採用するモデルです。キヤノンやエプソンのモデルに比べると写真画質はやや落ちますが、印刷スピードが速くて文書印刷にはバッチリ向くモデルです。
ほかの2機種と違ってADF(自動原稿送り装置)を搭載しており、最大20枚まで連続読み取りができますので、紙文書のデータ化が進みます。
前面トレイは2段構造でA4とはがき用紙を同時にセットできます。自動切り替えには対応していませんが、レバーを動かすだけで切り替えられるので便利です。
自動両面印刷やレーベル印刷にも対応しており、スマホアプリを使った年賀状作成も可能。文書印刷のしやすさと使い勝手は抜群のモデルです。
Canon(キヤノン)『PIXUS XK80』

出典:Amazon
重さ | 約6.6kg |
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サイズ | 373×319×140mm |
インク | 6色(独立インクタンク) |
最高解像度(dpi) | 4,800×1,200 |
液晶モニター | 4.3型TFT(タッチパネル) |
WiFi接続の有無 | 有 |
自動両面プリントの有無 | 有 |
brother(ブラザー)『プリビオ MFC-J998DN』

出典:Amazon
重さ | 約9.3kg |
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サイズ | 400×402×172mm |
インク | 4色(独立インクタンク) |
最高解像度(dpi) | 6,000×1,200 |
液晶モニター | 2.7型TFTタッチパネル |
WiFi接続の有無 | 有 |
自動両面プリントの有無 | 有 |
brother(ブラザー)『プリビオ(MFC-J6983CDW)』

出典:Amazon
重さ | 約23.4kg |
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サイズ | 最大575×834×467mm |
インク | 4色独立カートリッジ方式 |
最高解像度(dpi) | 最大1,200×4,800dpi |
液晶モニター | 3.7型TFTタッチパネル |
WiFi接続の有無 | 有 |
自動両面プリントの有無 | 有 |
EPSON(エプソン)『ビジネスインクジェット(PX-M5081F)』

出典:Amazon
重さ | 約22.3kg |
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サイズ | 567×817×418mm |
インク | 4色独立カートリッジ方式 |
最高解像度(dpi) | 600×1,200dpi |
液晶モニター | 4.3型 |
WiFi接続の有無 | 有 |
自動両面プリントの有無 | 有 |
Canon(キヤノン)『ビジネスインクジェットプリンター(G6030)』

出典:Amazon
重さ | 約8.1kg |
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サイズ | 約403×671×306mm |
インク | 4色独立インクタンク |
最高解像度(dpi) | 4,800×1,200dpi |
液晶モニター | 2行モノクロ |
WiFi接続の有無 | 有 |
自動両面プリントの有無 | 有 |
EPSON(エプソン)『EW-M571T』

出典:Amazon
重さ | 約5.5kg |
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サイズ | 375×567×259mm |
インク | 4色独立インクタンク |
最高解像度(dpi) | 5,760×1,440dpi |
液晶モニター | 1.44型 |
WiFi接続の有無 | 有 |
自動両面プリントの有無 | 有 |
Canon(キヤノン)『ビジネスインクジェットプリンター(TR9530)』

出典:Amazon
重さ | 約9.7kg |
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サイズ | 約468×820×373mm |
インク | 5色独立インクカートリッジ |
最高解像度(dpi) | 4,800×1,200dpi |
液晶モニター | 4.3型TFTタッチパネル |
WiFi接続の有無 | 有 |
自動両面プリントの有無 | 有 |
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする インクジェット複合機の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのインクジェット複合機の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
まとめ
本記事では、インクジェット複合機の特徴や選び方、そしておすすめ商品をご紹介しましたが、いかがでしたか?
商品を選ぶ際は、文書印刷か、写真印刷かどちらをメインで使用するのか考えたあと、両面印刷機能やスキャナー機能、ネットワーク接続機能といった便利機能を選択すると使いやすいインクジェット複合機を選ぶことができます。
ペーパーレス化が進んだとはいえ、まだまだ紙の書類が必要な場面は多くあります。インクジェット複合機なら初期コストを低く抑えつつ印刷・読み取りなどの機能を手軽に導入できます。本記事でご紹介した選び方は最低限抑えておくべきポイント。より高機能な製品も発売されているので、自宅やオフィスにどんな機能が必要であるかを検討し、満足のいく買い物をしてくださいね。
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※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
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※2021/04/01 コンテンツ追加のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 加藤佑一)
一般財団法人 家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout オーディオプレーヤー、スピーカーなどのガイドを務める。 日経BP社『日経ネットナビ』『日経ネットブレーン』『デジタルARENA』『日経トレンディネット』などを経てフリーに。 デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。 KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」に出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの構成などにも携わっている。