塗装用刷毛の選び方 刷毛の形状、塗る場所、毛材、大きさなど

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刷毛にも種類があり使用するシーンに応じて使い分けていく必要があります。毛の種類の違いでも使用感は違うので、エキスパートの説明を参考に、選んでみてください。
DIYアドバイザーの野口僚さんに、塗装用の刷毛を選ぶときのポイントを教えてもらいました。
刷毛の形状で選ぶ 筋交いタイプ、平タイプ、コテタイプ、寸胴タイプなど
刷毛を選ぶときは、塗る場所に合わせて刷毛の形状を選ぶことが大切です。
筋交いタイプ こまかい部分が塗りやすい
持ち手が斜めについている「筋交いタイプ」は、1本持っておくと重宝する刷毛です。もともとは壁を塗るためにつくられた刷毛で、持ち手が斜めについていることで、高い場所でもらくに塗ることができます。こまかい場所も塗りやすいので、DIYをするならサイズ違いで数本持っておくとよいでしょう。
筋交いタイプは日本独自の刷毛で、海外ではほとんど見られません。
平タイプ・コテタイプ 広い面を塗るのに最適
壁や床など広い面を一気に塗れるのが平タイプの刷毛です。持ち手がまっすぐについているのが特徴で、海外ではこちらのタイプが広く使われています。
壁や床、屋根などを素早く塗りたい・効率的に作業を進めたいときにぴったりです。さまざまなサイズのものが市販されているので、塗る場所の広さに合わせて複数本購入おくとよいでしょう。
寸胴タイプ 粘度が高い塗料に適した
寸胴タイプの刷毛は、毛の量が多いのが特徴です。毛量を増やすことで塗料の含みがよくなり、粘度が高い塗料でもスムーズに塗れるのがポイント。昔はよく使われていましたが、近年はあまり使われることがなくなり、市販されているものも少ないため入手しづらいです。
粘度の高い塗料をよく使う人は、1本持っておくと便利でしょう。
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油性塗料用の筋交い刷毛。
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作業するシーンに合わせてかたちを選んで
刷毛にはさまざまな種類があり、形状から選ぶことにより適切なシーンで刷毛を使用することができます。
「筋交い刷毛」日本特有の刷毛で、手首を使って塗ることができるため細かい場所を塗るのに適しています。
「平刷毛」海外でよく使用される刷毛で、広い面を塗るのに適しています。
「寸胴刷毛」平刷毛に似ていますが、毛量が多く油性塗料の塗装などに適しています。
「コテ刷毛」スポンジと毛を合わせた作りのものが多く、刷毛の跡が付きにくいため広く平らな面を塗るのに適しています。
ほかにも刷毛の形状には種類があるので、ご自身が作業をするシーンに合わせて選ぶとよいでしょう。
塗る場所に合わせて選ぶ 箱の内側などは隅切り・ダメ込み用の刷毛を
箱の内隅など直角90度の場所をきれいに仕上げたいなら、「隅切り・ダメ込み用」の刷毛を使いましょう。隅切り・ダメ込み用の刷毛は、そうでない刷毛よりも毛先がまとまりやすくつくられており、隅の部分もきれいに塗れます。
なお、ダメ込みとはローラーではきれいに塗り切れないこまかいぶぶんを刷毛で塗ることを言います。
塗料に合った毛材の刷毛を選ぶ 馬毛・豚毛・山羊毛など動物の毛、化学繊維など
刷毛を選ぶ際は、毛の素材にも注目してみましょう。
水性・油性の塗料には専用の刷毛を
塗料は、水性と油性に大きく分けられます。刷毛にも水性塗料用と油性塗料用があるので、使う塗料に合わせて選びましょう。
水性塗料には、やわらかくコシのある刷毛が適しています。動物の毛や、動物の毛と化学繊維を組み合わせてつくられた白色のものが多いです。
油性塗料には、溶剤にも耐えうるしっかりとした刷毛を選びましょう。山羊や馬、豚の毛、化学繊維でつくられている、黒や茶色の刷毛が多いです。
万能刷毛は塗料のタイプを問わずに使える
水性・油性どちらにも使える「万能刷毛」もあります。万能刷毛は複数の毛材を組み合わせてつくられている刷毛で、塗料を選ばないのが魅力です。ただし、ひとつの刷毛で水性と油性の塗料を混ぜて使わないように注意しましょう。
万能刷毛といっても毛材の混合比率はさまざまです。刷毛によって「どちらかというと水性塗料向き」「油性塗料のほうが塗りやすい」などありますが、日常的に刷毛を使うのでなければあまり気にしなくてもよいでしょう。
芸術大学教員/DIYアドバイザー
毛材によって仕上がりに差が出る
刷毛に使用されている毛材は「馬毛」「豚毛」「山羊毛」といった動物の毛でできたものと「化学繊維」の毛があります。
動物の毛は、それぞれ硬さや太さが違い、塗料によって最適な刷毛が使い分けられています。
化学繊維の刷毛は、繊維を加工することによってさまざまな塗料に適した材質や形状になっており、非常に種類が多く幅広い用途に対応した刷毛が販売されています。水性塗料用、油性塗料用、万能用などがあり、塗料に合った刷毛を使用することで、効率的にきれいに塗装を仕上げることができます。
刷毛の大きさで選ぶ 号数とcm表記を確認
刷毛を選ぶときは、大きさにも注目してみましょう。刷毛の大きさは、cmやmではなく「号」で表されます。同じ号数の刷毛でも関東と関西で幅が異なるので注意しましょう。たとえば10号の刷毛の場合、関東では30mmですが、関西では27mmでつくられています。
ただし、近年はネット通販で刷毛を買い求める人も増えたことから、規格が統一またはcm表記も併記されるようになりつつあります。刷毛を購入するときは、号数と合わせてcm表記も確認して選びましょう。
芸術大学教員/DIYアドバイザー
幅の広い刷毛は塗料のもちがよい
一般的に塗装用の刷毛先幅は、15~70mmと多くの種類があり、使用シーンに適したサイズを選ぶことで塗装の作業性がよくなります。
幅の狭い刷毛は、狭い場所や細かい場所の塗装に便利で、丁寧な塗装作業に適しています。幅の広い刷毛は、大きい面などを効率的に塗装することができ、塗料持ちが良いため効率がよく、大量のパーツを塗装することにも向いています。
快適に塗装作業をするためにも、塗装する素材のサイズに合った刷毛を選ぶといいでしょう。
塗装用刷毛のおすすめ7選 人気の大塚刷毛ほか、水性用、油性用、高級商品も
ここまでに紹介した塗装用の刷毛の選び方のポイントをふまえて、実際にDIYアドバイザーの野口僚さんに選んでもらったおすすめ商品、編集部で選んだ商品を紹介します。

ハンディ・クラウン『INNOVA ECO ミディアム』

出典:Amazon
タイプ | ウレタン・シリコン、水性・油性兼用 |
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形状 | 筋交い |
毛材 | 化繊 |
サイズ | 30、40、50、60、70mm |

アサヒペン『お得用 多用途用ハケ(3本セット)』






出典:Amazon
タイプ | 水性、油性 |
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形状 | 筋交い |
毛材 | 山羊毛、化学繊維の混毛 |
サイズ | 30、50、70mm(3本セット) |

GRESATEK『多用途刷毛 ペイント 刷毛 はけ 6本セット (ホワイト)』












出典:Amazon
タイプ | 油性、水性、弱溶剤用、クリーニング用 |
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形状 | 平 |
毛材 | ナイロン |
サイズ | 18、22、25、35、56、80mm(6本セット) |

大塚刷毛『ラスター刷毛 356』

出典:楽天市場
タイプ | - |
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形状 | 平 |
毛材 | - |
サイズ | 1、1.5、2、 2.5、3、3.5、4インチ |

好川産業『ペイント刷毛 うめ印』

出典:Amazon
タイプ | - |
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形状 | 筋交い |
毛材 | 黒ゴマ毛 |
サイズ | 30、40、50、60、70、85、95mm |

トラスコ中山『TRUSCO ホーム刷毛』

出典:Amazon
タイプ | 油性、ニス |
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形状 | 筋交い |
毛材 | 山羊毛 |
サイズ | 30、50、70mm |

ハンディ・クラウン『INNOVA ワンタッチコテバケセット』












出典:Amazon
タイプ | 水性 |
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形状 | コテ |
毛材 | ポリエステル、発泡ウレタン、ABS樹脂 |
サイズ | 150、200mm |
アサヒペン 『バケット型万能用ローラーバケセット 5点セット (BS-180)』

出典:Amazon
タイプ | 水性、油性 |
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形状 | ローラー |
毛材 | - |
サイズ | - |
KingOrigin 『プレミアムペイントブラシセット 10点セット(10001A)』












出典:Amazon
タイプ | 屋内・屋外ペンキ |
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形状 | 平 |
毛材 | ポリエステル100% |
サイズ | 1.27cm(1/2in)、2.54cm(1in) 、3.81cm(1 1/2in)、5.08cm(2in)、ほか |
大田 『高級一行なで刷毛(穴あき) (NO214K1)』

出典:Amazon
タイプ | クロス張りの空気抜き |
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形状 | 平、穴あき |
毛材 | 豚毛 |
サイズ | 72mm |
ナムラ 『ステンシル ブラシ』












出典:Amazon
タイプ | 油彩画、塗料など |
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形状 | 金巻刷毛 |
毛材 | 豚毛 |
サイズ | 24×32mm、27×32mm |
ZWM 『スポンジブラシ 』
















出典:Amazon
タイプ | 水性塗料など(油性塗料・薬品や強溶剤は不可) |
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形状 | - |
毛材 | スポンジ |
サイズ | 2.54cm(1in) 、5.08cm(2in)、7.62cm(3in)、10.16cm(4in) |
「刷毛」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 刷毛の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの刷毛の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
刷毛の選び方で仕上がりが変わる! DIYアドバイザーからのアドバイス

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刷毛は、思い立ったらいつでもペンキが塗れるようストックしておくとよいでしょう。
芸術大学教員/DIYアドバイザー
刷毛は、塗装をする際に必ず必要になってくる道具です。塗料と素材に合った刷毛を選ぶことで効率的かつきれいに仕上げることができ、快適に塗装作業をすることができます。
使い捨てになってしまうことの多い刷毛ですが、しっかりと洗浄すればある程度使い続けることができるので、お気に入りの刷毛を見つけて愛用してみてはいかがでしょうか。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部 花島優史)
※2019/12/03 コンテンツ追加・修正と価格を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 花島優史)
徳島県の家具メーカーにて木製家具の製造に携わり、機械加工、仕上げ、組み立て、塗装など木工全般と家具製造ノウハウを培いました。 その後東京では業界新業態の体験型DIYショップで店長として勤務。店頭ではお客様の相談に乗りつつ、一人一人にぴったりのDIY用品を提案してきました。 同時にDIYレッスンの企画と講師を行い、日本のDIY文化発展のために努めてきました。 現在は大学のデザイン学部の助手として大学内工房に在中し、 学生に対しデザインやモノづくりの手法などを主に教えています。