書道筆の選び方 初心者の方は必見!
それでは、書道筆の基本的な選び方を見ていきましょう。
【1】よい書道筆の条件「四徳(しとく)」で選ぶ
【2】書きたい文字に合わせて毛の種類を選ぶ
【3】軸の形で選ぶ
【4】穂先の長さもチェック
【5】筆の太さと号数をチェック
上記のポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
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【1】よい書道筆の条件「四徳(尖・斉・円・健)」で選ぶ
よい書道筆の条件としてあげられるのが、「四徳(しとく)」。四徳には「尖(せん)」「斉(さい)」「円(えん)」「健(けん)」の4つの項目があり、これらがそろっているものを選ぶといいといわれています。
各項目について、詳しく紹介していきましょう。
▼尖(せん)|穂先が尖っていること
四徳の一つ目の条件は、「尖(せん)」です。これは字のとおり、書道筆の穂先が尖っているかどうかというチェックポイントのこと。
筆の毛の先がしっかりと尖って形づくられているなら、まとまりがよく、思ったように筆で穂先の動きをコントロールすることが可能になります。尖っていなければ、きちんと筆を動かしたつもりでも、まとまりのない字になってしまいます。
▼斉(さい)|穂全体のまとまりがいいこと
四徳の二つ目は、「斉(さい)」です。これは、書道筆の穂先がきめこまかく整っていて、まとまりがあるかどうかをチェックすることを示しています。
たくさんの毛の集まりである筆は、毛がよくまとまっていることによって、よく墨を含ませることができます。また、まとまりから外れた小さな毛が、書面を汚してしまうことも防げます。
▼円(えん)|穂の形が円錐形になっていること
四徳の三つ目は、「円(えん)」です。これは、書道筆の穂がきれいな円錐形になっているかどうかをチェックするということを促してくれます。
筆の穂が円錐形になっているなら、まんべんなく墨を穂に含ませることができるようになり、なめらかな線を書けますし、ボリュームのある力強い字を書くこともできるようになります。
▼健(けん)|毛にコシと弾力性があること
四徳の四つ目は、「健(けん)」です。これは、書道筆の穂先にコシがあり、ほどよい弾力をもっているかどうかをチェックするというポイントです。
コシと弾力があるなら、しなやかでスムーズな動きができるので、書道のみどころである、「とめ」・「はね」・「はらい」などの表現を自在に操れるようになり、より書くことを楽しめます。
【2】書きたい文字に合わせて毛の種類を選ぶ
筆にはいろいろなタイプがあるので、どんな文字を表現したいかによって、選ぶ筆の種類も異なります。
▼「楷書」には弾力性の高い剛毛、「行書・草書」にはやわらかい柔毛を
楷書で大きめの文字を書きたいなら、ひと文字ひと文字をじっくり書けるように、コシがあって弾力性が高く、筆のレスポンスが高い剛毛筆(ごうもうひつ)を選びましょう。
一方、行書や草書で書きたいというケースには、筆の穂にたくさんの墨を含んで一気に書きあげることができるように、穂先のコシがやわらかい柔毛筆(じゅうもうひつ)を選びましょう。
▼初心者には毛のかたさのバランスの取れた兼豪筆がおすすめ
あまり書道の経験がないなら、扱いやすいタイプの筆を選ぶようにしましょう。バランスが取れていて扱いやすいのは、弾力性のある剛毛とやわらかい柔毛がちょうどよく組み合わされた兼豪(けんごう)筆です。
筆が墨を含む量や、コシの強さの加減もバランスがよく、くせがないので、初心者の方がこれから書道を楽しむというケースにぴったりです。
【3】軸の形で選ぶ
軸のタイプは大きく分けて、「だるま軸タイプ」と「ストレート軸タイプ」があります。
▼子供でも扱いやすいだるま軸タイプ
だるま軸タイプは、持ち手の部分は細く、穂の根本に向かって太くなっているタイプの筆です。そのため、手が小さくて太い軸ではうまくにぎれないという方でも、穂の大きな筆を持てるようになります。
子どもでも扱いやすいタイプなので、学童用としても多く用いられています。
▼指先で太さが感じられるストレート軸タイプ
穂の根本と軸がほぼ同じくらいの太さに作られている筆がストレート軸タイプです。
だるま軸タイプよりも軽く、持ち手が太くなるため、書きにくいと感じる方もいるかもしれません。軸の太さは好みも関係するので、いろいろ使ってみるのもよいでしょう。
【4】穂先の長さもチェック
初心者なら、持っている位置から穂先をコントロールしやすいので、筆の穂の長さは長くないほうがよいとされています。
経験を積んで、腕全体で文字を書くという感覚を持っている方なら、長い穂を持っていてより表現力を発揮できるタイプの筆に挑戦することができるでしょう。穂が長ければ、線の強弱などのディテールをよりこまかく表現できます。
【5】筆の太さと号数をチェック
筆のサイズは、穂の太さによって1~10号に分類されます。号数が大きくなるにつれて、筆の太さは細くなります。
書き初めなどの大きな字を書くときにぴったりなのは1~4号(太筆)、半紙や色紙には5~7号(中筆)、手紙や写経などの小さい字を書くなら8~10号(細筆)がおすすめです。
書道師範・筆耕士からのアドバイス
まず筆でなにを書きたいのか決めましょう
手紙や金封袋など実用的な文字を書く場合と半紙に漢字を書く場合、かな文字と漢字を書く場合で筆の太さや種類が違います。
初心者が練習するだけだから安価な筆でいいと思われがちですが、技術が上達してこそ筆を扱えるのであって、初心者はうまく扱えません。初心者用の筆はかたい毛とやわらかい毛が混ざった兼豪筆で扱いやすいです。筆が扱えるようになってはじめて文字が上達するので、いい筆を用意しましょう。
書道筆のおすすめ12選 有名ブランド厳選! 趣味の書道や子どもの習字に!
書道師範・筆耕士のぺんらいとさんと編集部で、おすすめの書道用筆を厳選! 初心者向けのほか、上級者向けも紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。

太筆で半紙に漢字を書くならば、志昌堂『太筆白毛4号白峰』がおすすめ。穂の長さが少し短めなので、初心者でも扱いやすいです。
確かな弾力で初心者や子ども用にぴったりの書道筆
やや短穂型タイプの白毛の書道筆です。広島県熊野で生産された高品質な筆で、書き味に確かな弾力があり、初心者でも扱いやすく使いこなすことができるでしょう。
筆の軸が細く、穂先の部分との接続がだるま型になっているので、手が小さい方や子どもでも扱いやすいのが特徴です。

慣れてきていろいろな書体に挑戦するなら、あかしや『桂林』を選ぶといいでしょう。3号で少し太さがあります。
力強い表現が可能に! 脱初心者用の書道筆
書道教室や趣味としての書道で、中級者向けとして開発されている書道筆です。鋭く力強い表現ができるので、書道の楽しさをより体感できるようになります。
馬尾脇毛や羊毛や狸毛など、いろいろな獣毛を毛の部位からセレクトして組み合わせた書き味のよい穂が特徴。
12.5mmの筆径と268mmの長さと18gの重量というバランスで、とても持ちやすく、あかしやの筆匠たちの高い技術を感じられます。

名前を書くのに小筆を使うなら、墨運堂『写経筆白軸』がおすすめ。写経用なので細くしっかりと点画が書ける筆です。
イタチ毛で写経に向いている白軸筆
穂の軸径が3.5mmと細字で細かい文字を書くのに適している書道筆です。穂の長さは19mmとコンパクトになっており、穂先をコントロールしやすいです。イタチ毛でやわらかく、写経をするのに向いているタイプの細筆です。
軸径は細身で、筆の長さもわりと短めになっており、写経のときに出かける用に持っておくと、便利に使えるでしょう。
力強い線でややかためタイプの3号茶毛の書道筆
清晞(せいき)は、天然の竹を軸に使用した、持ちやすさを考慮された茶毛タイプの書道筆です。羊毛と馬毛を使って、ややかためのしっかりと力強いラインが書ける筆質が特徴。毛質はねばりがあって墨含みがほどよく、耐久性があります。
穂の長さもバランス重視タイプの中鋒で、おもに楷書や行書に向いている筆です。
大胆に筆を動かせて漢字を美しく表現できる書道筆
中級者や上級者向けの3号書道筆です。漢字を書くために起筆から収筆までを大胆に筆を動かすことが可能なので、とめ・はね・はらいなどの表現をとても美しくあらわせ、書道の趣味をじゅうぶんに楽しめるでしょう。
筆のかたさがちょうどよくなるように、さまざまな獣毛の組み合わせを、毛の部位までこだわってブレンドしてあり、筆職人のこだわりを感じられます。
やわらかめで上級者向けの3号竹軸筆
12mmの竹製ストレート軸で、やわらかめの穂先を持つ3号太筆の書道筆です。毛の素材には、尾脇毛と羊毛と馬毛を使用して、弾力がほどよくあり、中級者や上級者向けの仕様になっています。
広島筆で墨の含みがとてもよく、太い字が書けます。半紙に漢字2文字から4文字程度を快適に書くことが可能で、楷書や行書にぴったりの筆です。
人造の毛でお手入れがかんたんな細筆
ABS樹脂製の軸に、人造の材質の毛を合わせた7号の茶毛タイプの書道筆です。人工的に製造された毛は、耐久性にとてもすぐれていて、腐ったり、カビになったりする心配が少なく、お手入れがかんたん。
筆質は、細筆ながら毛がやわらかいのでよくしなり、しっかりとしたラインが書けるのが特徴です。
弾力のある人造毛製の細筆で基本を学べる
あかしやの白毛の細筆です。書写や名前書きの用途に適した筆の細さになっています。特殊な人造毛でつくられていて、自然の獣毛より耐久性が格段にあがっており毛抜けや毛切れの心配がありません。
先端が鋭くなっていて、強い弾力を感じられるので、書道・習字をはじめたばかりの初心者が、漢字のハネやハライなどの基本を学ぶのに適しています。
書きやすさを求めた伝統工芸品の短鋒筆
馬毛と狸の毛を素材に組み合わせて使用している、日本製の半紙用の兼毫筆です。伝統工芸品として書きやすさを追求して開発された筆で、だるま軸タイプになっているのでグリップしやすくのびのびと書けます。
短鋒タイプの穂先ですから筆のコントロールがしやすく、思ったとおりの筆の運びができます。書道・習字が楽しく上達できる筆です。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 書道筆の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの書道筆の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
書道と習字の違いは? 定義を理解しよう
書道と習字、似ているようで実は言葉の定義に違いがあります。まず習字とは、文字通り「字を習う」という意味。小学生、中学生などの子供が授業の一環として、正しい文字の書き順や美しい字の書き方を習うためのものです。
一方、書道は芸術色が強く、書体もさまざま。型にはまらず自分の個性や芸術センスを活かして自由に表現できます。子供だけでなく大人の趣味としても人気です。
書道筆の洗い方 太さでお手入れ方法が異なる
書道筆は使ったら毎度お手入れが必要です。ここでは筆の洗い方についても紹介します。
太筆の洗い方
使用後の太筆は毛全体に墨がたっぷり含まれている状態なので、正しい方法で綺麗に洗い落としましょう。
手順1.使い終えた筆は30~40℃のぬるま湯に浸す
手順2.根元部分をもみほぐすようにして内部まで筆全体を洗う、これを墨がほとんど出なくなるまで続ける
手順3.洗った筆の穂先の形を指で綺麗に整え、形が変わらないよう吊るして自然乾燥させる
細筆の洗い方
細筆は糊で固まっており、また毛先3分の1程度しか使わないため、水やお湯で全体を洗う必要はありません。洗わない方法でお手入れするようにしましょう。
手順1.いらない半紙やティッシュペーパーに水を数滴垂らす
手順2.その上に墨の付いた穂先を置き、ゆっくり回転させるようにして墨を拭き取る、これを墨が薄くなるまで続ける
手順3.太筆と同じく、指で穂先の形を整え、形が変わらないよう吊るして自然乾燥させる
洗い残しは筆が割れてしまう原因に!
墨がきちんと落ちていない状態で乾いてしまうと、穂先が二つに割れることがあります。筆の奥まで墨を含んでいると落とすのも大変ですが、使用後は根本までしっかり落としてから乾かしましょう。
また、筆を購入した際についてくるキャップは、新しい筆を保護するための役割です。使用後の筆にキャップをすることは、カビの原因になる恐れがあります。
ちなみに、シャンプーや洗剤を使って筆を洗うと、筆に必要な油分まで落としてしまいます。筆自体のダメージや、墨の含みが悪くなる原因にもつながるので避けましょう。
書道筆・習字筆セットや筆ペンのおすすめはこちら 【関連記事】
大人用の書道セットや、子供の初めての習字におすすめの習字セットなど、書道・習字の関連記事はこちらで紹介しています。
よい書道筆を選んで書道を楽しもう
書道を楽しむには、よい書道筆との出合いが欠かせません。自分の書き味の特徴や書道の腕に合わせたバランスの取れた書道筆があれば、書道をより楽しめるでしょう。
この記事で紹介した書道筆の選び方やおすすめ商品を参考に、自分にぴったりのアイテムを探してみてくださいね。
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筆耕士として贈答用熨斗紙表書き・名入れ、封筒など宛名書き等の代筆。書道歴15年以上。子育てをしながら書道教室に通い師範取得。現在書道展覧会の出品にも意欲的に取り込み中。冠婚葬祭において、前準備等に関する仕事にも携わっております。