「墨汁」のおすすめ商品の比較一覧表
墨汁の選び方とは? 用途と成分と文字の色がポイント
書道師範・筆耕士のぺんらいとさんに取材をして、墨汁を選ぶポイントを教えていただきました。成分や種類をよくチェックすることが大切です。ぜひ墨汁選びの参考にしてください。ポイントは下記の5つ。
【1】配合されている糊の成分
【2】用途
【3】洗濯で落とせるか
【4】煤(すす)の種類
【5】容量
上記のポイントを押えることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】墨汁に配合されている糊の成分で選ぼう 天然膠と合成樹脂の2種類
墨汁を選ぶときには、まず使用されている成分を確認しましょう。おもに「天然膠性」のものと「合成樹脂系」の2種類があります。
「天然膠性」は固形墨に似た書き心地 開封したら早めに使い切る
動物の皮や骨からは天然のたんぱく質「膠(にかわ)」が取れますが、それを使用したのが「天然膠性」の墨汁です。
書道のときには固形墨を使用するのがよいといわれますが、天然膠性の墨汁には固形墨と似たような心地よい書き味があります。
さらに墨汁に固形墨をすり足すこともできます。ただし長持ちしないので、天然膠性の墨汁は開封したら早めに使い切ることが大事です。
「合成樹脂系」は早く乾いて長く使える 天然膠性のような心地よい書き味にはならない
「合成樹脂系」の墨汁は劣化が少なく、開封後も長く使い続けられるのが特徴です。たまにしか墨汁を使わない方に適しています。
ただし、天然膠性のように固形墨をすり足して使うことはできません。合成樹脂系の墨汁はねばりのある書き味を好む方に向いています。
天然膠性のような心地よい書き味を求める方には適していません。
【2】用途により選ぶ 練習用か作品用かそれ以外か
墨汁の用途には、書道用と書道用以外があり、書道用は、練習用と作品用に分かれます。用途ごとに特徴が異なりますので、見ていきましょう。
書道練習用 価格が安い
練習用の墨汁は、作品用に比べて墨の色が濃くなくて灰色がかった黒色になります。価格も安いため気軽に思う存分使えるのがメリットです。
書道作品用 漢字用、かな用、写経用と用途別の墨汁がある
作品用は、練習用に比べて色に深みがあり、紺や赤を含んだ墨色の美しさが違います。書道用紙に書いたときのにじみや散りなども起こりにくいのが特徴です。
また、さらに漢字用、かな用、写経用と用途別の墨汁も用意されています。それぞれの用途において最適な筆勢が出せるよう、成分である煤(すす)の粒子の大きさが調整されています。
特殊用途向け 墨絵・漫画・版画・水墨画・魚拓・染色など
墨絵や漫画など、書道以外の特殊な目的に使う墨汁も発売されています。それぞれの用途により、書きつける対象の素材(紙・木・布など)や筆記具(筆・ペン・工具など)も違ってきます。用途別の専用墨汁があれば、それを取り入れるのがベターです。専用の墨汁がない場合には、書く対象の素材や使用予定の筆記具に対応しているかを確認するようにしましょう。
【3】洗濯で落とせるタイプなら汚れても大丈夫 清書用には向かないので、練習用として使う
書道の授業で子どもが服に墨をつけてしまうことはよくあります。墨汁も固形墨もなかなか汚れが落ちません。墨汁を選ぶときは、洗濯で落とせるかどうかもひとつの基準になります。
最近は洗濯で落ちる墨汁も販売されていますが、色味が落ちるので清書用には向かないようです。もっぱら練習用として使用するのに適しています。
また、洗濯で落ちる墨汁を使用すると、額に飾ったりはできないので注意してください。
【4】煤(すす)の種類もポイント 原料の違いで黒色の濃さやツヤが違う!
墨汁に使われている煤(すす)には、おもに「カーボンブラック」「油煙墨」「松煙墨」の3種類があります。それぞれの特徴を知っていると墨汁を選びやすくなるので、説明しましょう。
「カーボンブラック」は安価で黒色が強い 長期間の保存には向いていない
油やガスを使って工業的に製造されたものが「カーボンブラック」です。炭素がメインの微粒子ですが、墨汁だけでなくインクなど幅広く使われています。
カーボンブラックを使用した墨汁はリーズナブルな価格でありながら、強い黒色を得られるのが特徴です。ただし経年劣化しやすいため、長く保存したい書には向いていません。
「松煙墨」は深く、重い書き味が特徴 薄めて使うと青い色合いに
「松煙墨」は松材を燃やしてできる墨汁で、古い松材を使用した墨汁のほうが質がよいといわれます。製造量がすくないため、カーボンブラックより値段は高いです。
松煙墨の墨汁は深くて重みのある味わいで、燃焼温度によって墨の粒子にムラが発生するため墨色に幅があるのが特徴です。
薄めて使うと青い色合いの書になります。
「油煙墨」は濃くてツヤのある墨色 伸びがいい
「油煙墨」は植物性の油を燃やしてできた煤が成分になっており、この墨汁を使うとつややかで濃い黒色になります。
油煙を作るために使われる油にはごま油や椿油がありますが、値段の高い菜種油を使うことも。
油煙墨は松煙墨のような墨色に幅はありませんが、粒子がこまかいので伸びがいいのが特徴です。薄めると茶色っぽい色合いになります。
【5】容量で選ぶ 初めて購入するものは少量タイプを確認
墨汁には、子どもが書道学習のときに使いやすい少量タイプから、書画作品を制作している方などに向く大容量タイプの商品が販売されています。用途に合わせて使い切れる容量を選びましょう。
墨汁の色や濃さなどは使ってみなければわからないため、はじめて購入するなら少量タイプを選んで試してみるのもおすすめです。
書道の上達にあわせて墨汁を変えましょう 書道師範・筆耕士がアドバイス
書道師範/筆耕士
墨汁には初級練習用から高級作品用まで種類がたくさんあります。また、墨汁の色は黒といっても青みががった黒や茶色ががったもの、漆黒など微妙な違いがあります。成分にも違いがあるので、書道教室で習うならば教室の先生が薦めるものを使ってください。
一般的に書道を楽しむ方や専門的に使う方、水墨画用などそれぞれの墨汁があるので、ご自分にあったものを選びましょう。
墨汁のおすすめ16選 【評判のブランド・メーカー】呉竹、きくや筆本舗、古梅園、サクラクレパス、墨運堂、開明ほか
ここからは、書道師範・筆耕士のぺんらいとさんと編集部が厳選した、墨汁のおすすめ商品を紹介します。成分や墨の種類などをチェックしながら、自分にあった商品を選んでください。
開明『開明書液横口(SY5174)』






出典:Amazon
墨運堂『玄宗超濃墨液』






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呉竹『洗って落ちる書道液 練習用(BA14-18)』








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サクラクレパス『清墨』
















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呉竹『清書用墨滴 180ml(BA10-18)』








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きくや筆本舗『光明墨液(31-002)』

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古梅園『玄 紫紺系』

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祥碩堂『倭(やまと)』

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開明『墨の華(SU3005)』

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古梅園『龍雲』








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開明『木簡墨(SE1601)』

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墨運堂『水墨画用 No.31(11406)』






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サクラクレパス『洗濯で落ちる墨液(854127)』
















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祥碩堂『良寛(りょうかん)』

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不易糊工業『不易墨汁(FV36)』








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開明『まんが墨汁 純黒』






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通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 墨汁の売れ筋をチェック
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墨汁の落とし方 うっかり服についてしまったときの対処法とは?
「墨汁を服につけてしまった!」ということ、わりとありますよね。洗濯で落ちるタイプの墨汁なら安心ですが、そうでない場合は洗濯ではなかなか汚れが落ちません。
ここでは、うっかり服についてしまった墨汁の落とし方をいくつか紹介していきます!
マジックリン+固形石鹸で落とす!
花王から販売されている『マジックリン』と固形石鹸、水で落とす方法です。
まずはマジックリン1:水1の割合で混ぜ、墨汁が付いてしまった部分につけます。そのあと固形石鹸をすりこんでもみ洗いをし、水で流します。
この工程を繰り返し、墨汁のシミを落としていきます。
歯磨き粉を使って落とす!
研磨剤の入った歯磨き粉を用意し、古い歯ブラシに歯磨き粉をつけて墨汁のついた部分につけてこすります。もみ洗いをし水で流すという工程を繰り返しましょう。
書道筆や硯(すずり)もチェック! 【関連記事】
お気に入りの墨汁がみつかったら、筆や硯にもこだわりましょう。ますます書道が楽しくなる商品を紹介しているので、こちらもチェックしてみてください。
自分にあった墨汁を探してみて 編集部まとめ
おすすめの墨汁をご紹介してきました。いろいろな種類の墨汁があることに驚かれた方もいることでしょう。墨汁といえば真っ先に書道が思い浮かびますが、実は水墨画にも使われています。
また、墨汁のなかには木の表札や立て看板などに使える多用途のものもあります。書道をやらない方にとっても、墨汁は身近なアイテムです。
筆を墨汁にひたして白い半紙に向かえば、心に落ち着きと安らぎが生まれます。日々の生活にうるおいを与えてくれるアイテムのひとつ、それが墨汁です。
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※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
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筆耕士として贈答用熨斗紙表書き・名入れ、封筒など宛名書き等の代筆。書道歴15年以上。子育てをしながら書道教室に通い師範取得。現在書道展覧会の出品にも意欲的に取り込み中。冠婚葬祭において、前準備等に関する仕事にも携わっております。