よく切れるハサミの選び方とは?
誰でも1度は使ったことがあるメジャーな文房具「ハサミ」。両利きでも切りやすいハサミや工作用のハサミ、チタン製のハサミなど、多くのハサミがありますが、どのようなところがポイントになるのでしょうか。この記事では、文房具ライターのきだて たくさんに取材した内容をもとに、ハサミを選ぶときのポイントをご紹介します。ポイントは下記6点。
【1】自分の用途をハッキリさせておく
【2】切れ味を求めるなら高価格のものを
【3】使い方によっては特殊刃も候補に
【4】携帯できるタイプも便利
【5】利き手に合っているかをチェック
【6】用途に合った刃の形状で選ぶ
それぞれ解説していくのでチェックしてみましょう。
【1】自分の用途をハッキリさせておく
文房具ライター
ハサミは実はかなり繊細な道具です。なんでも切れるわけではなく、それぞれ切るものの向き不向きがありますので、まず自分がなにを切りたいのかを確認しておくと、スムーズに選ぶことができるでしょう。
例えばコピー用紙を数枚切るだけなら紙用のハサミ、工作に使いたいなら刃の厚い工作用ハサミ(厚もの切り)、さらにはプラ板やアルミ缶まで切れる工具バサミや分別ハサミ、布や薄いフィルムを切るなら繊細でシャープな裁ちバサミなどがあります。
また、工具バサミはなんでも切れるため「万能バサミ」と呼ばれることもありますが、実は紙を数枚切るぐらいの作業だと、大きすぎて取り回しが不自由なこともあるのです。
メーカーやブランドによって得意なハサミも違うので、その辺もチェックしておきましょう。
【2】切れ味を求めるなら高価格のものを
ダイソーやキャンドゥなどの百均(100円均一)でもたくさん発売されていて十分に使うことはできますが、粘着性のあるテープを切ったりしたあとにべたべたしたり、そもそも良く切れないものがあったりするのも事実です。
刃物鍛冶の町としても有名な岐阜県関市の製品などは、価格も高価ですがそのぶん切れ味がいいと評判です。とくにハサミの使用頻度が多い方にとっては、切れないストレスが少ないので、検討してみてもよいでしょう。
文房具ライター
最近は300~500円の低価格帯商品でも切れ味のよいものが増えてきましたが、やはりハサミは刃物であるため、値段の高い高級ハサミのほうが高品質で切れ味がよい傾向にあります。
切れ味にこだわる場合、紙用のハサミなら3,000円ほど。工具ばさみなら1,500~2,000円ほどの予算があれば、十分満足するものが購入できるでしょう。
【3】使い方によっては特殊刃も候補に
最近ではプラスチックも切れるペットボトルハサミも百均などで見かけるので、手に取りやすくなってきましたね。
ほかにも電工ハサミや布団も切れるハサミ、リサイクルハサミなどかなりの数があります。それぞれ違った刃が使われていることが多いので、購入前にチェックしましょう。
3mm、5mm、7mmなど、ギザギザに切れるギザギザハサミやなみなみハサミも特殊刃に含まれます。それらは総称してピンキングハサミとも言います。
文房具ライター
仕事で梱包などに対して使う機会が多いなら、グルーレスと呼ばれる特殊刃加工を施したものが便利です。前の項目で触れた低価格帯ハサミの上位版として出回っていて、ガムテープなどの粘着剤が付着しにくいためスムーズに作業ができます。
また工作用であれば、鋭い切れ味が長く続くチタンコーティング刃などもおすすめです。
※グルーレスとは、切断時に上刃と下刃が面で接しないよう加工された特殊刃で、粘着テープなどののりがつきづらくなっています。
【4】携帯できるタイプも便利
携帯できるハサミは、ペン型(スティック型)になっているものが多く、コンパクトハサミ、折りたたみハサミと呼ばれ普通のハサミよりもやや小さいサイズになります。
ハサミのサイズが小さくても切れ味が悪いということはなく、しっかり使えて重宝されています。
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ペン型(スティック型)などペンケースに収まるような軽量で携帯性の高いハサミも多く発売されています。
外出先や学校などで書類や封筒を切るだけでなく、服にくっついていたクリーニングタグを切り落としたり、開けにくいお菓子の袋を開封したりとなにかと使い勝手がよいので、自宅で使うものとは別によく切れて携帯しやすいハサミを持ち歩くのもよいでしょう。
【5】利き手に合っているかをチェックしよう
ハサミには右利き用と左利き用がありますが、日本人は右利きが多いため、店頭では右利き用のものが中心に売られていることが多いです。そのため左利きの方は、身近なお店に左利き用が売っていなくて、探すのに苦労するという方も多いでしょう。
ですが、ハサミは利き手に持ったとき、親指を入れるハンドルの刃が下に開き、切るものがしっかり見えるということが重要です。利き手と逆仕様のハサミを使うと切りたい場所が見えず、刃の噛み合わせを弱めてしまうので、できるだけ利き手用のハサミを使用しましょう。
【6】用途に合った刃の形状で選ぶ
ストレート刃
一般的に流通しているハサミの刃で、一番オーソドックスな形状がストレート刃です。刃にカーブがなく真っすぐで切りたい方向がはっきりとわかるため、直線を切るのに適しています。また、刃先が細くなっていて鋭いタイプのものは、クラフト製作や切り絵などこまかい作業に向いています。
一方、ハサミを閉じるにつれて刃と刃の間にできる角度が小さくなっていくため、それだけ切る力が弱くなり、切るものの厚みによっては手にかかる負担も大きくなります。
これらのことを考慮するとストレート刃のハサミは、長い刃の方がその分手に負担がかからず、何度も刃を上下しなくてもすむ利点があります。
ベルヌーイカーブ刃
文具・事務用品メーカーの『プラス』が独自に開発したのが、このベルヌーイカーブです。上下の刃に一定の角度(約30度)とカーブがついており、切るものをしっかりとつかみスムーズに切れるよう計算されています。
また、ハサミを開く大きさに関係なくこの角度は変わりません。刃の根元、刃先のどこで切っても軽く切れるので、厚いものでもあまり力を必要とせず、手にかかる荷重も少ないのがメリットです。
今までのハサミの常識を塗り替え、効率を大きく上げたと言っても過言ではない刃ですね。
ハイブリッドアーチ刃
刃の真ん中付近からのみ刃先にかけてゆるくカーブがついており、刃先にかけて刃と刃の角度が徐々に広がっているのが特徴です。また、刃の根元は大きなアーチ曲線、刃先を小さなアーチ曲線にすることで、厚みのあるものも切りはじめから刃先まで力を入れず、ラクに切ることができます。
通販やゴミの分別などで、段ボールや厚紙などを切る機会が多くなっている現代ですので、こういったハサミがひとつあると万能に使うことができるでしょう。
プルーナーアール刃
一般的なハサミは刃でものを「押し切る」のに対し、このタイプは上下の刃渡りの長さが違うことで「引き切る」という特徴があります。また、もうひとつの特徴が、片方の刃だけが大きくカーブしているということ。長い刃は切り刃、短い刃は受け刃としての役割があります。
これらの形状と作用により、段ボールや牛乳パックなどの厚く切りにくいものもスムーズに切ることが可能です。
錆にくい刃を使ったDIY用のハサミもあるので、「DIY用ハサミおすすめ7選」の記事もご覧ください。
右利き用ハサミおすすめ13選
ここまでに解説したハサミの選び方のポイントをふまえて、はさみのおすすめ商品をご紹介します。
まずは、右利き用(両利き用)ハサミです。



変わらない切れ味と粘着テープにも強い構造が特徴
コクヨが開発したハイブリッドアーチ刃の商品。従来のハサミでは切りにくかったものでも、力を入れなくても刃先までしっかりと軽くきれいに切れるのがポイントです。刃と刃の接着面積を極限までおさえた「3Dグルーレス構造」が特徴で、粘着テープを切ってもベタつかないハサミです。
グリップが左右対称のため、左利きの方にも使いやすい商品となっています。刃の表面はチタンコーティングされており、サビにくく切れ味が長もちするのも魅力といえるでしょう。
また、生花などの細かい作業にも向いており、水にも強いので安心です。手芸用ハサミとしても使え、重宝できます。
持ち運び自由!ペン型携帯の小さいハサミ
ペン型で場所を取らずコンパクトなので、携帯用として旅行や出先でとくに重宝します。小型なのでさすがに段ボールなどの厚いものは切れませんが、紙やテープなどちょっとしたものを切るには充分。
細身で持ちやすく、開梱する時にはロックが掛かる安心の設計です。キャップをはずして上下のグリップを握るだけで使用できる手軽さも魅力のひとつです。
カッターのパイオニアが作った切れ味抜群の逸品
折る刃式カッターナイフを発明したオルファが、上質な刃と洗練されたデザインで、使用する方に質感や使用感などすべてにおいて満足してもらえることを目指して作りあげた『リミテッドシリーズ』。そのひとつとして抜群の切れ味を誇るハサミが本商品です。
丈夫なステンレス刃を使用し、段ボールや布などさまざまな素材に対応できます。クラフト製作や、DIYなど幅広い用途に使える、非常に人気の高い商品です。
長さの違うふたつの刃で新感覚の切れ味
「押し切る」のではなく「引き切る」のが特徴のプルーナーアール刃によって、最大で約1/4の力で軽く切れることを可能にしたのがこちらのハサミです。上の刃にゆるいカーブがついているため、ものを切るときに自然と引く原理が起き、まるで包丁を手前に引いて切っているかのような感覚を楽しめます。
また、ハサミの中心部にはスムーズリング機構が搭載されており、動きを軽くスムーズに持続させてがたつきを抑えます。粘着テープを切ってものりがべたつきにくいアンチグルー刃(グルーレス刃)が採用されており、クラフト製作やDIYをする方にも嬉しい仕様となっています。

2種類の特殊刃で素材を逃がさずカット
工具メーカーが製造する、特殊刃を使いさまざまな素材を無理のない力で切断できるハサミです。
限定的な使い方になりますが、刃の形状を最適化することで、抜群の切れ味と耐久性を両立させています。刃の中央から先端にかけての平らに見える部分「マイクロセレーション」は極細繊維からPET素材まで対応、刃の根元に位置するギザギザの部分「ピラニアセレーション」は電線や線被覆コード、ロープ類のカットに最適です。
力を込めて持ちやすくするための「パワーフィン」、指詰め防止のための「フィンガーガード」、手にやさしい「ソフトハンドル」など、誰もが安心して使えるための配慮も充実しています。
耐久性抜群の高品質ステンレス鋼を使用
刃物用の高品質な特殊ステンレス鋼を使用しており、切れ味がとてもシャープなのが特徴。耐久性にすぐれており、長く使うことができる商品です。滑りにくいラバー仕上げのグリップがしっかりと手にフィットするため、長時間使っても疲れにくく、手も痛くなりにくいのがポイント。
親指から小指まで全てグリップに入れられるので、力をあまり入れなくても直線や曲線をストレスなくスムーズに切ることができます。
「ハサミ」のおすすめ商品の比較一覧表
左利き用ハサミおすすめ3選
続いて、左利き用のハサミをご紹介します。
レフティ専用なので使いやすいです。
「左利き用」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ハサミの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのハサミの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
新しいハサミで衝撃の切れ味体験を 文房具ライターからアドバイス
文房具ライター
日本のハサミは世界的に見てもクオリティが高い製品です。頑丈で切れ味も長持ちするので、ご家庭や職場でも、気がつけばもう何十年と同じハサミを使っている、というのもよくあることです。
とはいえ買い替えてみれば切れ味の差は歴然。新しいハサミはこんなによく切れるのか、と驚くことでしょう。今回ご紹介したハサミとその選び方のポイントを参考に、ぜひ衝撃の切れ味体験を味わってみてください。
用途別のハサミもご紹介! 【関連記事】
日々進化するハサミで生活を便利に
本記事では文房具のライターきだて たくさんへの取材をもとに、ハサミの選び方やおすすめの商品をご紹介しました。
ハサミといえば「切る」ことが基本ですが、今は多機能なものも開発されており、私たちの生活や趣味、仕事に幅広く活用されています。ゴミの分別も生活の重要な一部となっているため、そういった機能つきのハサミがあるのとないのとでは、かかる手間も大きく変わることでしょう。
また、DIYなどの普及により、ハサミにさまざまな用途を求める場面も増えています。ぜひ、本記事を参考に、自分に合ったハサミを探してみてください。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。 極端な悪筆と工作下手がコンプレックスゆえに自分を助けてくれる便利な文房具を探し求め続けており、その活動の結果得られた情報を雑誌・WEBなどの媒体で公開している。 文房具に関する著書多数。近著には『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(共著 スモール出版)がある。