NASとは 家庭用ネットワークやRAIDが構築できる
Network Attached Storageの略であるNAS。ネットワークに接続すればケーブルなどで物理的につなぐことなく、複数台のパソコンで共有できる外付けハードディスクです。
NASは単にデータ置き場所としての役割のほか、複数台のパソコンから同時に接続し、ファイルを共有することができます。大きく分けてHDD内蔵型とNASキットの2種類があります。
また、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks:レイド)という、複数のHDDを組み合わせてデータの保存を強固にできる仕組みを構築することもできます。
NASの選び方 HDD内蔵型かNASキットか
ネットワークに接続して使えるHDD「NAS」。製品を選ぶにあたって、HDD内蔵型とNASキットに分けることができるほかにも、RAIDやメーカーなど注目すべきポイントが多数あります。
この記事では、NASの選び方をご紹介します。快適に利用するためにも、自分がどのようなシーンで使うかをイメージしましょう。
ポイントは下記。
【1】HDD内蔵型かどうか
【2】多機能を求めるなら「NASキット」
【3】RAID機能で選ぶ
【4】「DNLA対応」の製品を選ぶ
【5】「DTCP-IP」「DTCP+」を選ぶ
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】すぐに使いたいならHDD内蔵型
まず、HDD内蔵型は当初からHDDを備えているものです。NASとは別にHDD選びで悩む必要がないので、購入してからすぐに使用できるのがポイント。初心者向きのアイテムです。
【2】多機能を求めるなら「NASキット」を
別途HDDを購入しなければならないデメリットはありますが、豊富な機能が魅力的なのがNASキット。ファンやHDDが壊れた場合もそれを個別に自分で交換できる点も特徴で、接続方法がわかる人向けのアイテムです。
NASキットはベイやドライブベイにも着目
NASキットを選ぶ際、HDDの搭載可能台数もチェックするようにしましょう。ベイやドライブベイといった用語で表記されているので、その数字を確認することがポイントです。たとえば、2ベイであれば、HDDを2台搭載可能となります。
また、容量は使用するHDDごとに異なりますので、対応するHDDもチェックしておきましょう。
【3】RAID機能で選ぶ
RAIDとは、データへのアクセス速度やバックアップに役立つ機能です。複数台のHDDをひとつのドライブのように表示する技術で、「RAID 0」や「RAID 1」などのレベルが採用されています。
「RAID 0」は、複数台のHDDに分散して、一度に別のデータを書き込むため、高速化を実現しているのが特徴です。デメリットとして、一つのHDDがおかしくなると全てのデータの復旧ができなくなってしまいます。
「RAID 1」は、ミラーリング機能を持ち、自動的に1つのファイルを複製して、複数台のHDDへ同時に同じデータの書き込みを行います。ファイルのバックアップに最適です。1台のHDDにトラブルが発生しても、別の1台からデータを復旧できるのが特徴です。
書き込みの速度を優先する方は「RAID 0」を、対障害性の高さを求める方には「RAID 1」がおすすめです。
【4】「DNLA対応」の製品を選ぶ
DNLA(Digital Living Network Alliance)対応という表記にも注目しましょう。 これは一種のガイドラインであり、対応していないものを選んでしまうと多くの機器との互換性を欠き、できないことが増えてしまいます。
【5】「DTCP-IP」「DTCP+」を選ぶ
せっかく購入しても、録画した映像が観られない場合があります。そこで、「DTCP-IP」や「DTCP+」に対応したものを選びましょう。
DTCP-IP
録画した番組など、著作権で保護されたコンテンツを複数の端末で再生するのに適している。
DTCP+
外出先などから、インターネットを介して録画放送を再生できる。
各メーカーの特徴をおさえる 使いやすさやサポートに差がある!
NASはメーカーごとにそれぞれ個性があります。コストパフォーマンスや利便性、サポート方法などに各社の特徴が見られます。ここでは3社に注目してみましょう。
コスパの高さが魅力「I-O DATA(アイ・オー・データ)」
I-O DATA(アイ・オー・データ)の製品はリーズナブルなものが多いですが、初心者にはじゅうぶんな機能を備えています。後から機能を追加することもできるので、最初のアイテムにいいでしょう。
セッティングがかんたんな「BUFFALO(バッファロー)」
NASを購入しても、セッティングのハードルは高いもの。バッファローNASは、セッティングがかんたんなのがポイントです。製品の種類も豊富なので、選ぶ楽しみもあります。
サポート体制も充実「Synology(シノロジー)」

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Plusシリーズ、Value シリーズ、FSシリーズ、Jシリーズなど、多くのシリーズを展開するSynology(シノロジー)。海外企業だとアフターフォローなどに不安を覚える方もいるかもしれません。しかし、Synologyはサポート体制が充実しているところが特徴。NASは多機能だけに不明点も多くなりがちなので、このような点も重要なポイントです。
エキスパートのアドバイス
NASを構築する環境と用途を考慮して選ぼう!
NASを構築する環境と使用用途によって選び方も変わります。自宅で複数のデバイスで音楽や動画、写真を共有するくらいであればHDD内蔵で直接ルーターなどに接続できる機種が非常に使い勝手がいいでしょう。
一方、PCのバックアップなどを自動でとっておいたり、サーバー構築をして外部からのアクセスもという場合はNASキットでHDDをすぐに換装できるほうが利便性が高くなります。
NAS【HDD内蔵型】おすすめ7選 初心者でもラクにセッティングできる
こまかな機能やセッティングに注意が必要なので、いきなりNASキットを選ぶのはハードルが高いです。そこで、まずは初心者でもセッティングがラクチンなHDD内蔵型7製品を紹介します。
かんたんでプライバシー機能も充実
初心者向けに作られたモデルなので、セットアップがかんたんなのが魅力です。購入してから箱を開けてもセットアップになかなか手をつけられないということがなく、すぐにNASを体験することができます。
近年、個人情報やプライバシーの重要性は高まる一方です。この製品は自分専用のフォルダを作成することで自分以外からは見られなくでき、安心して利用できます。
デュアルコア搭載! HDDの交換も可能
デュアルコアのCPUを搭載しているため、速度面でも安定性が期待できます。HDD内蔵型ではありますが、HDDの交換が可能なのが特徴です。
また、外出先からもネットワークを通じてアクセスができます。設定がかんたんですぐ使用することができるのもポイントです。
PCを介さずハイレゾ音源を再生・ダウンロード可能
オーディオ用として誕生したネットワークオーディオサーバーです。特徴は、USB-DACをパソコンに接続しておけば、PCに接続することなくアンプやスピーカーを通じて音楽を再生することができます。
また、コントロールアプリ「fidata Music App」も用意されているほか、CDのリッピング機能やCDトランスポート機能、ハイレゾ自動ダウンロード機能などを搭載。ネットワークオーディオ機器として存分に楽しむことができます。
どこでもアクセスできる
NASのセッティングとなると、PCや端末機器を操作するなど面倒なイメージがあるかもしれません。しかし、この製品はアプリをインストールするだけでスマホやタブレットもすぐに利用可能になります。スマホが今や生活の一部となっている人にぴったりです。
スマホを活用できるのは、セッティング時に限りません。自宅のNASに外出先からもWEBを通じてアクセスして、データを登録したり保存データにアクセスすることができるのも魅力。あたかも大容量のデータを持ち運んでいるかのよう。さらには、地デジなどの録画番組をほかのテレビからも観ることができるDTCP-IPにも対応しており、録画した番組を別の部屋で見ることもできます。
自分の好みに機能をカスタマイズ
国内製で3年保証がついており、安心感があるNASです。難しい操作なしに、自宅に戻りアプリを起動するだけで自動的に写真や動画のバックアップをとれることが特徴。スマホの容量を空けるために必要な画像を削除してしまったなんてアクシデントも防げます。
購入したときには、メモリーの消費を抑えるために必要最低限の機能を搭載。物足りなく感じるかもしれませんが、NASに慣れてきたら、徐々に新たな機能を追加していくことができるのも魅力です。
お手頃価格で大容量2ベイ! DTCP-IPも対応
3TBのHDDを2つ内蔵している2ベイ仕様。DTCP-IPに対応しているので、テレビ番組や写真、音楽といったコンテンツを誰かと共有したり、HDDレコーダーでは収まりきらなくなったデータを録り貯めていったりするのに活用できます。
AndroidとiOS用スマートフォンアプリが用意されているため、外出先からのネットワークによるリモート接続にも対応。外にいながらにして自宅のデータを持ち出せます。
NASキット【4ベイタイプ】おすすめ3選 大容量バックアップやコスパ重視の人に
多機能を求めるのであれば、NASキットを選ぶのがポイントです。HDD内蔵型にくらべ、高く難しいイメージがあるかもしれませんが、コスパの高いものや高性能なものがあるので、チェックしていきましょう。
玄人向けの高速体験が可能
黒を基調に、まるでセキュリティボックスのような重厚な作りの見た目が印象的。4ベイで大容量に対応しているので、ゲーム配信を目的にする人やプロ向けの製品。そのほかにも、監視システムの構築でも活躍してくれます。
配信をする方なら、とくに転送速度が気になるところ。その点、この製品なら高速なLAN環境を実現することができるので、遅延なく安定した配信が可能となります。
高性能でコスパが高い
白い正方形のボックスがかわいい印象のNASキット。見た目はシンプルに見えますが、デュアルプロセッサーをはじめ、その機能性はじゅうぶん。小規模であればビジネス用としても使うことができます。また、DLNAにも対応しておりネットワークに接続した機器での再生や録画先として利用できます。
メーカー保証2年とAmazon限定延長保証6ヶ月がセットでつくので、購入後も安心して使えます。
きれい・かんたんに整理整頓できる
Java仮想マシンをはじめ、多くのアプリケーション構築が可能なNASキット。お手ごろ価格でビジネス用にも使用できるところが心強いです。NASキットですが、インストールや初期化がかんたんな点もポイントです。
追加機能として、読み取りや書き取りのアクセス権を設定できます。これを活用すれば、プライバシーを守りながらフォルダを整理していくことも可能です。
NAS【ビジネス向け】おすすめ3選 大規模ネットワーク構築にも対応
情報共有が重要な現代社会、それゆえビジネスの場面でもNASは不可欠です。そこで、ビジネスの局面でもじゅうぶん役割を果たしてくれる4種類の個人事業から法人向けNASを紹介します。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする NASの売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでのNASの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
【関連記事】あわせてこちらをチェック NASと一緒に検討したい
まとめ
この記事では、NASの選び方とおすすめ商品を紹介しました。いかがでしたか?
便利なNASにも、ネットワーク環境がなければ使用できないというデメリットがあります。そんなときには、USBケーブルをつなぐことでネットワークが不要の外付けHDDを利用するという手も考えておきましょう。
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家電量販店、家電情報ブログ「家電損をしない買い方をプロの販売員が教えます」を運営するプロの現役家電販売員。 学生時代から家電に対する並々ならぬ興味を持ち、アルバイトを経てそのまま家電量販店の道へと進んで15年弱。 個人で年間2億円を売り上げ、数々の法人内コンテスト等で表彰された経験を持っています。 家電アドバイザーの資格を有し、家電と名の付く物全てに精通しています。家電で分からないことはありません。 現在は家電ライターの業務も通して「全ての人が平等に良い家電に巡り会える機会の提供」に尽力しています。