ヤマハエレキギターの選び方 音楽ライターに聞きました
音楽ライターの田澤 仁さんに、ヤマハエレキギターを選ぶときのポイントを3つ教えてもらいました。
バリエーション豊富な「PACIFICA」は初心者にもおすすめ
音楽/DTM/PCオーディオ 専門ライター
ヤマハのエレキギターを選ぶときに、まずチェックしておきたいのが「PACIFICA」シリーズです。ストラトキャスタータイプのボディを基本に、ピックアップの種類や構成、トレモロユニットの違いなどによって、バリエーション豊富なラインナップがそろえられています。上級モデルのために開発された技術も盛り込まれていてコストパフォーマンスもよいので、初心者はもちろん、中級者以上にもおすすめできる製品が数多くあります。
たとえば、シングルコイル3個のストラトタイプもあれば、リアにハムバッカーを搭載したSSH構成で幅広いジャンルに対応するモデルもあります。このほか音の太さも抜けのよさも兼ね備えたP-90タイプや、交換用パーツとして人気のセイモア・ダンカン製など、ピックアップの種類だけでもかなりのバリエーションがあります。
本当に幅広い仕様のモデルがたくさんありますから、まずPACIFICAシリーズを探してみれば、きっと気に入った1本が見つかるはずです。
YAMAHA『PACIFICA112V』
さまざまなジャンルで使える万能なギター。手に取りやすい価格なので、はじめてのギターにも最適です。
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音楽/DTM/PCオーディオ 専門ライター
高中正義、サンタナ、カシオペアの野呂一生などが使ったことで一気に有名になり、80年代に一世を風靡したのがヤマハの「SGシリーズ」。
その頃はフュージョンやクロスオーバーに向いたギターというイメージでしたが、現在は大胆に方向転換し、ロックギタリストにもおすすめできるギターへ変身しています。
仕様の面での大きい変化は、ネックジョイントが以前のスルーネックからセットネックになったことですが、それでも音の伸びには不満はないし、トップを大きく削るデザインになってバックのマホガニーの比率が高まり、パワフルで低音も豊かに鳴らせるようになっています。搭載するピックアップの種類によって3タイプがあるので、ロック志向のギタリストはチェックしてみてください。
YAMAHA『SG1802』
P-90を2つ搭載したSGモデル。音の太さもありながら抜けの良いサウンドが心地よいです。
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音楽/DTM/PCオーディオ 専門ライター
ヤマハらしいギターが欲しいなら、60年代のカスタムバイクに着想を得たユニークなデザインを持つ「REVSTAR」がおすすめです。
SGを基本に発展させた新シリーズで、演奏しやすさを追求したボディ加工が施されているのが特徴です。ピックアップ構成は2ハムバッカーを基本に、モデルごとに多彩な種類のピックアップが組み合わせられています。ヘヴィなサウンドのロックはもちろん、以前のSGのようなジャズ系で使えるモデルもあります。
また、ジャズ向きといえば「SAシリーズ」。見た目も美しいし多彩な音が出せるセミアコなので、ジャズ系のギターを探している人にはぜひ選択肢に入れてもらいたいモデルです。
さらに、超個性的なモデルとして「RGXA2」もあります。未来的で斬新なデザインで目立つこと間違いなしのモデルですが、残念ながら生産終了となっているので、気になる人は早めにチェックしましょう。
YAMAHA『RS720B』
「REVSTAR」シリーズの1本。木目の美しさが特長的で、クリアで明るいサウンドはさまざまなジャンルにあいます。
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ここまで紹介した、ヤマハエレキギターの選び方ポイントをふまえて、音楽ライターの田澤 仁さんに選んでもらったおすすめ商品をご紹介します。

YAMAHA『SG1802』

出典:Amazon
シリーズ | SG |
---|---|
ボディ材質 | ボディ:マホガニー、トップ:メイプル |
ネック材質 | ネック:マホガニー、指板:ローズウッド |
フロントピックアップ | セイモア・ダンカン(SP90-3) |
センターピックアップ | - |
リアピックアップ | セイモア・ダンカン(SP90-3) |
クラシックロックならP-90タイプ搭載SG
ロック志向のSGの中でも、クラシックロックやるならこれで決まり、というモデルです。懐かしいクランチサウンドが魅力のP-90タイプのピックアップ(セイモア・ダンカン製SP90-3)を2基搭載していて、音の太さがありながらも中域の抜けがよいのが特徴です。
カラーはブラックもありますが、ゴールドトップなら音も見た目も50年代末のレスポールのような雰囲気。ハンドメイドによるセットネック構造やアーチ形状のトップ、ローズウッド指板など、SGシリーズならではのこだわりの仕様もポイントです。
同社独自のI.R.A処理も施されていて、長期間弾き込んだようなボディ鳴りをはじめから味わうことができますよ。

YAMAHA『PACIFICA112V』

出典:Amazon
シリーズ | PACIFICA |
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ボディ材質 | ボディ:アルダー |
ネック材質 | ネック:メイプル、指板:ローズウッド |
フロントピックアップ | シングル(アルニコV) |
センターピックアップ | シングル(アルニコV) |
リアピックアップ | ハムバッカー(アルニコV) |
コスパ抜群、初心者におすすめの万能ギター
PACIFICAではもっとも低価格なモデルですが、幅広い音作りができる、いわば万能なギター。とくに初心者におすすめです。上級機種にも使われ、抜けがよくバンドに埋もれないサウンドが魅力のアルニコVマグネット採用ピックアップを、SSHの構成で搭載しています。
リアのハムバッカーにはコイルタップ機能があり、シャープなトーンのシングルコイルとしても使えるので、多彩な音を出すことができます。
また、リアピックアップはボディの振動をダイレクトに受け止められるよう、ピックガードではなくボディに直接マウントされているので、一般的なストラトタイプよりも迫力のあるサウンドを出すことができます。

YAMAHA『REVSTAR RS420』










出典:Amazon
シリーズ | REVSTAR |
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ボディ材質 | ボディ:マホガニー/ナトー、トップ:メイプル |
ネック材質 | ネック:マホガニー、指板:ローズウッド |
フロントピックアップ | YGD VH3(アルニコ)ハムバッカー |
センターピックアップ | - |
リアピックアップ | YGD VH3(アルニコ)ハムバッカー |
REVSTARの手ごろな価格のモデル
個性的なルックスが魅力のREVSTARシリーズの中で、比較的低価格なモデルです。
ピックアップは、ミドルが強調された粘りのあるサウンドが特徴のハムバッカーを2基搭載。艶のあるトーンを生かし、ブルースからヘヴィなロックまで幅広く対応できます。また、ドライスイッチと呼ばれる独自の機能も搭載します。
これによって自然に低音域をカットすることができるので、ノイズを軽減しながらもパワフルなサウンドを鳴らすことができ、繊細なニュアンスの表現もすることができます。ボディ背面は体にフィットするコンター加工が施され、ネックも薄いので、弾きやすさも抜群です。

YAMAHA『PACIFICA612V II FM』














出典:Amazon
シリーズ | PACIFICA |
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ボディ材質 | ボディ:アルダー、トップ:フレイムメイプル |
ネック材質 | ネック:メイプル、指板:ローズウッド |
フロントピックアップ | セイモア・ダンカン(SSL-1) |
センターピックアップ | セイモア・ダンカン(SSL-1RwRp) |
リアピックアップ | セイモア・ダンカン(Custom5) |
幅広いサウンドをカバーするSSHモデル
1本でいろいろな曲を弾きこなしたい人におすすめなのが、PACIFICAシリーズのフラッグシップモデルです。
ピックアップはすべてセイモア・ダンカン製で、フロントとセンターは、ビンテージのストラトピックアップを再現したきらびやかなトーンのSSL-1、リアのハムバッカーもビンテージらしさを持ち、ハイゲインでまとまりのよいCustom5というSSHの構成。リアのハムバッカーはコイルタップも可能なので、組み合わせにより本当にいろいろな音を出すことができます。
ロック系を中心に、幅広いジャンル、いろいろな曲調をこれ1本でこなすことができます。ブリッジはスムーズにアーミングできるWilkinson社製VS-50を搭載し、人工象牙のナット、ロック式チューナーの組み合わせにより、チューニングも安定しています。ボディトップとヘッドにフレイムメイプルを使用し、シースルーカラーで仕上げた美しくゴージャスなルックスも魅力です。

YAMAHA『RS720B』


















出典:Amazon
シリーズ | REVSTAR |
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ボディ材質 | ボディ:マホガニー、トップ:フレイムメイプル |
ネック材質 | ネック:マホガニー、指板:ローズウッド |
フロントピックアップ | YGD VT5+(アルニコ)ローアウトプットハムバッカー |
センターピックアップ | - |
リアピックアップ | YGD VT5+(アルニコ)ローアウトプットハムバッカー |
音も見た目もレトロなビグスビー搭載モデル
ロカビリーやカントリーにぴったりなのが、REVSTARシリーズの中でもひときわレトロなテイストを持つこのモデル。トップのフレイムメイプルは木目も美しいし、渋めのカラーでとても高級感があります。独特のやわらかいビブラートがかけられるビグスビーアームを搭載することで、ひときわクラシカルな印象です。
ピックアップは、クリアで豊かな低音域が特徴の独自開発のハムバッカーを2基搭載。とくにクリーントーンや軽く歪んだクランチサウンドは抜けがよく、見た目のイメージそのままに、レトロなサウンドをとても心地よく鳴らすことができます。
『RS420』と同じく、自然に低音をカットするドライスイッチも搭載。ファンキーなカッティングもカッコよく決められます。

YAMAHA『SA2200』


















出典:Amazon
シリーズ | REVSTAR |
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ボディ材質 | ボディ:アーチド・メイプル/シカモア/バーチ、トップ:メイプル/スプルース |
ネック材質 | ネック:マホガニー、指板:エボニー |
フロントピックアップ | SA/SAH-SAIIG(アルニコV) |
センターピックアップ | - |
リアピックアップ | SAH-SAIIG(アルニコV) |
多彩な音作りができる木目の美しいセミアコ
木目が美しいメイプル・トップのアーチ状ボディの『SA2200』は、ジャズ向きのセミアコモデル。2ハムバッカーのスタンダードなセミアコに見えますが、バイサウンド・スイッチという、いわゆるコイルタップ機能を搭載。
フロントとリアで個別にシングルとハムバッカーを切り替えられるので、クリーンからクランチ、ドライブサウンドまで、想像以上に幅広い音作りをすることができます。
立ち上がりが速く抜けがいい音で、少し歪ませてもつぶれずに美しい響きでプレイできるので、ファンクやブルースなど、多彩なジャンルで使えます。セミアコはギブソンに限るという人は多いようですが、そんな人にぜひ試してもらいたいモデルです。

YAMAHA『RGXA2』
シリーズ | RGXA2 |
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ボディ材質 | ボディ:A.I.R. (オルタネイティブ・インターナル・レゾナンス) |
ネック材質 | ネック:メイプル、指板:ローズウッド |
フロントピックアップ | オリジナル・ハムバッキング(アルニコ) |
センターピックアップ | - |
リアピックアップ | オリジナル・ハムバッキング(アルニコ) |
未来的ルックスの超軽量モデル
ステージで目立つこと間違いなしの、超個性的なモデルです。航空機をイメージしたスマートなデザインで、ノブの周辺はLEDでグリーンとブルーに光るなど、モダンを通り越して奇抜ともいえる未来的なルックスが目を引きます。
軽量な芯材を硬質な材で上下から挟み込む、独自のA.I.R.テクノロジーによって、ギターとしては驚異的な2.5kgという軽さを実現しています。片手でつかんで楽に持ち上げられる軽さなので、ギターを振り回すパフォーマンスも楽々こなせます。ボディだけでなく、アルミ削り出しのシリンダー型ペグを採用してヘッドも軽量化されているので、ボディバランスも良好です。
ただし、残念ながら生産完了となっていて、店頭在庫に残っているだけになっています。興味がある人はお早めに。
「ヤマハエレキギター」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ヤマハ エレキギターの売れ筋をチェック
Yahoo!ショッピングでのヤマハ エレキギターの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
音楽ライターからのアドバイス
音楽/DTM/PCオーディオ 専門ライター
初心者ならPACIFICAのセットがおすすめ
初めてエレキギターを購入するなら、ギター本体だけでなく、アンプやシールドケーブル、チューニングメーターなどが入ったセットもおすすめです。ヤマハのエレキギターでは、PACIFICAシリーズにさまざまなセットが用意されています。
たとえば『PACIFICA112V』のセットなら、4万円前後でギターの練習に必要なものを一度にそろえることができるので、とても便利です。セットによってはお手入れに必要なクリーニングクロスや、弦交換を効率的に行えるストリングワインダーなどが入っている場合もあります。ただし、不要なものまで入っていると、かえって割高になることがあるので注意しましょう。
とくにアンプやピックは、音が気に入ったもの、使い勝手が自分に合ったものを、個別に選んだほうがよい場合もあります。本当に必要なものがそろっているかどうか、セットの内容をよく確認してから購入するようにしてください。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
90年代にプロドラマーとして活動、その後、音楽ライターとして書籍、雑誌などの執筆を行なっている。 DTM、PCオーディオ関連の著書、DTMソフト、シンセサイザーの日本語マニュアル制作など多数。 Webでは2007年~2009年までサイトAll Aboutで「ロック」のガイドを務めたほか、音楽情報サイトBARKSでは国内外の数多くの有名アーティストのインタビュー、ライブ取材などを行なっている。 得意分野はAOR、ハードロック、フュージョン、80年代。